2008年10月18日

決意2

いつもより多くため息が出ている気がする。


レコの家は学校から歩いて10分ほど。その日はゆっくりゆっくり歩いて、
フラフラと寄り道して、それでもまだ家に着かない。
帰る気がないといった方が正しいかもしれない。
家に帰りたくないということと、手紙の内容も気になって仕方がないからだ。
そしてレコはある事に気付いく。(手紙の内容によっては父に見せなくて済むかもしれない。)
そう思った瞬間悩むのを止め、すぐに封筒を開けた。
手紙は(給食費約3年分と修学旅行費がまだ支払われていません。)という内容だった。

自分の父親にガッカリした、当然ガッカリしたが、これなら父に話さず兄に相談してみよう、給食費はわからないけど修学旅行費くらいならと思い、少しばか気が楽にはなった。


レコの兄は高校2年生で部活はせず、日々アルバイトに励んでいる。兄弟愛が強く、レコとは仲も良い。困ったときはいつも助けてくれるような優しい兄だった。

その日レコは家には帰らず、近く公園で時間を潰しながら兄の帰りを待つことにした。

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秋、葉っぱのほとんどが優しいオレンジ色に染まってきた、夜になるにつれ半ズボンのレコにはさすがに肌寒い。それほど帰りたくないのか、父親に会いたくないのか。

10時過ぎ、公園の前をアルバイト帰りの自転車に乗った兄が通った。「お兄ちゃん!」キキッと急ブレーキ。「レコ?どうした?」心配そうな顔で聞いてきた。「うんと、ちょっと相談があって。」
ゆっくりと二人で家へと歩きながらレコは話すより早いと思い手紙を見せた。
兄は不思議そうな顔で手紙を開き、街灯のかすかな光を頼りに真剣な表情で読み始める。その顔には眉間にわずかながらしわがよっていた。そんな兄を見てレコは自分ではどうしようもないとはいえいつも兄に頼ってばかりだな、と今さら気付き、(修学旅行はあきらめようかな。)と考えた。
「お兄ちゃん、やっぱり僕・・・。」「安心しな。」レコの言葉に被せるよう喋りだした兄。
「安心しろって、俺が出してやるから。」ニコっと微笑みながら言ってくれた。
「ありがとう。」ちょっと泣きそうになった。嬉しくて。


2人が家に着くと父親は先に帰っていた。
家の間取りは1DK、子供達の部屋に行くには父親がいる部屋を通ることになる。
「・・・。」
この家庭に会話はない。目すら合わせない。
寝転がってテレビを見ている父親の横を2人が横切る。
兄が先に歩きレコが横切ろうとした瞬間、ガッと腕を掴まれた。
ビクッと反応し体が小刻みに震えだすレコに父はテレビを見たまま、顔も見ずに言った。
「酒買ってこい。」


yam333 at 18:13│Comments(0)TrackBack(0)

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