目が覚めたら人が消えていた目が覚めたら人が消えていた

2007年01月08日

目が覚めたら人が消えていた

 田舎町とはいえ、徒歩で市内を回るとなると一日ではとても回れそうにもない。
 どうせ、そこら中に持ち主が消えた車がゴロゴロあるのだから、一台や二台借りたって問題ないだろう。
 吹抜けのある広場から屋上まで続く螺旋階段を登り、三階のエントランスにたどり着く。
 店内に続く扉を開けると、エンジンのアイドリング音が聞こえた。
 音のする方向へ視線を動かすと、すぐ近くに、白い軽自動車がヘッドライトを光らせたまま、まるで俺を待っていたかの様に停車していた。
 買い物に来た主婦が持ち主だろうか、車内には特別な装飾などは無く、コラムシフトのレバーに交通安全祈願の御守がぶら下がっていた。
 扉を開けると、今年の夏中、テレビやアルバイト先の有線放送で何度も耳にした女性シンガーのセカンドシングルが流れていた。
 道を塞ぐように停まっている車を避けながら、出口の案内に従って進み、外へ通じる暗い坂道を下り終えると、真夏の日差しの様な眩しさに目を細めた。
 そういえば、家を出る時、母親の車が無かったが、仕事には行ったのだろうか。
 母親の勤務先は、この町では唯一の総合病院で、当然朝早くから人が集まる場所だ。
 行くも無い俺は病院のある方向へハンドルを切った。


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