目が覚めたら人が消えていた目が覚めたら人が消えていた

2007年01月09日

目が覚めたら人が消えていた

 売店、食堂、待合室、診察室、検査室、ナースステーション、病棟、屋上、どこにも人なんているわけでもなく、ここまでくれば人がいなかろうが何も驚く事が無い。
 病院内のすべてを見て回ったわけじゃないが、この病院内には俺以外いないだろう、勘だけど間違いない。
 逆に、ここで人が目の前に現れても、おまえは本当に人間か? と、疑ってしまいたくなるくらい、俺は、この世界に適応してきていた。
 タバコに火を点けてロビーから外へ出る、デパートを出た時と比べると太陽は確実に地平線に向かって落ちていたが、雲ひとつない晴天で、まだまだ日差しは強かった。
 母親が消えたのに、なんて親不孝な子供なんだろうと自虐的に考えながら、短くなったタバコを指で弾いて、放物線を描きながら地面に落ちていくタバコと、病院の向かいにある路地に視線が重なった瞬間、黒っぽい車が一台通り過ぎた。
 「――あっ!」
と、思った時には、すでに駆け出して車に飛び乗っていた。

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