March 09, 2006

THE RUMOUR『MAX』('77)

39dc7e6f.jpg2/17「THE COUNT BISHOPS」の項で触れてた「探してたCD」がこれ。俺の知る限り今回が世界初CD化のはず。

英国パブ・ロックに多大な影響を与えたバンドのひとつにTHE BANDがある。
特に、パンク/ニューウェイヴ以前のシーンにおいてはBRINSLEY SCHWARTZからDR.FEELGOODまで、度合いの大小があれど、何らかのTHE BANDフィールが流れている。

異国人(THE BANDは5人中4人がカナダ人)による「幻のアメリカ」への造詣、その微妙な距離感と解釈により紡ぎだされた豊潤な音世界は、英国人からしても、最も馴染みやすく影響を受けやすいものだったのかもしれない。
そんなTHE BANDフィールが全編に発揮されたグレイトな傑作が、77年発売の本作。

BRINSLEY SCHWARTZ、DUCKS DELUXなどのバンドメンバーがGraham Parkerのバック・バンド用に集められたのが結成の経緯だが、パンク/ニューウェイヴ旋風巻き起こるシーンにおいて、自らもその影響を逃れられない状況において、自分達の中のTHE BANDへの愛情と影響に落とし前をつけようとした一作、と勝手に解釈してる。

それにしても、既に円熟の極みな演奏力の素晴らしさは当然のこと、メンバー作による楽曲の粒揃いなことよ。THE BANDの影響を下敷きにしながら、英国人的視点を盛り込みつつ再構築したようなポップでソウルフルなチューンの数々。い諒胴饅と英国臭が絶妙に交錯する情感とか、Г離ャッチーなR&Bフィーリングにはハートを鷲掴まれっぱなし。
2曲のカバーのセンス〜Duke Ellington&Stevie Wonder〜も絶妙だし、BRINSLEYの旧友NICK LOWEが提供した MESS WITH LOVE」は胸躍る名曲(本人も後年セルフ・カバー)。
Graham Parker抜きでと懸念してたヴォーカルも堂々の安定感と味わいで、曲によってリードをとるメンバーが変わるのがこれまたひたすらTHE BANDっぽい(まるでリック・ダンコのような泣き節で歌ってるのは誰?)。

で、A面はまさにTHE BAND色濃い曲が並ぶのが、B面にかけて徐々に同時期の英国らしいソリッドな解釈が曲のかしこに見え隠れしていき、アルバムの最後を「Don't Ask Me Question」に通ずるまさに当時の英国的なレゲエ曲で締める、という流れもまた、単なるルーツ嗜好の集団でない現場に生きる連中のセンスを感じ、嬉しくなってしまう(次作では更に同時代性を意識したタイトなプロダクションになっていく)。

ちなみにパブ・ロック・フリークには有名な話だが、タイトル「MAX」は、当時世界的にメガ・ヒット中だった「Fleetwood Mac/Rumours」をおちょくったもの。好きだなあ、こういうの。

CD1枚一気に聴けてしまい、ワクワクした気分で再度1曲目から聴きなおしてしまう作品なんぞ、新譜旧譜含めても、本当久しぶり。
Graham Parkerのバックバンド、という程度の認識しか無い人(というか今やGraham Parkerすら知らない人が多いのか?)は勿論、英国パブ・ロックに意識的な人、THE BANDを愛する人なら、絶対のマストアイテム。

なお、このCDは全世界1000枚限定らしいので(MSIサイトより)、少しでも興味あれば早めに入手しとくことを薦めておきます。

yamadacake at 20:52│Comments(12)TrackBack(1)RECORD 

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1. Max / Rumour  [ 裏 東京こあらRECORD ]   March 16, 2006 22:30
九州のcakeさんに教えていただいて手に入れた 全世界1000枚限定の初CD化。 いままで出てなかったのが不思議。 発売元MSIのサイトにはもう無かったので あきらめ半分でHMV覗いたら在庫ありました!! しかもBBCライヴのボーナス・トラック付き!! いーですよ、コレ。...

この記事へのコメント

1. Posted by 盗聴エディ   March 10, 2006 00:50
はじめまして。
これ大好きです。アナログ盤は擦り切れるほど聴きました。オリジナルのCD化は初なんですか。
1stと2ndを合体させたCDは持ってるんですけど。
2. Posted by オビン   March 10, 2006 11:06
5 僕もこれは死ぬほど好きなアルバムですね
それにしてもリック ダンコ似の泣き節、本当に誰が歌って
いるんでしょう?
ピンボールかなんかやってるジャケもいい
最高の楽曲 最高の演奏 僕はim so gladがとくに好き
取り上げて頂き大感謝です Cakeくん!
3. Posted by CAKE   March 12, 2006 14:11
>盗聴エディさん
はじめまして。コメント有難うございます。
これまで店頭で目撃したこともなく、雑誌などで稀に取り上げられてた際もCDの規格番号が表記されたことは無かったので、これまで未CD化と思っていたのですが、1stと2ndを合体させたCD」ってあったんですか?2nd&3rdならあったような気がしたのですが(同じSTIFFからのリリースだし)。

但し今回のリイシューもオリジナル・マスターからのリマスターでなく、アナログ起こしでは?という説もあります。マスター自体が既に消失してるのかもしれません。
そうなればvertigoUKオリジナル盤でちゃんと聴いてみたい気も。
4. Posted by CAKE   March 12, 2006 14:11
>オビンさん
>リック ダンコ似の泣き節、本当に誰が歌って
いるんでしょう?
オビンさんならご存知かと思ったんですが。。。しかし、聴けば聴くほど、絶対的に「英国」の音なのがこの作品の魅力を深めてます。USのバンドでは却ってこうはならない気がしますね。
im so glad最高!個人的には他に´い△燭蠅ツボです。

5. Posted by 盗聴エディ   March 13, 2006 00:50
こんばんは。
訂正です。
引っ張り出してよく見たら、2nd,3rdに2ndがらみのシングルB面加えたヤツでした(METRCD043)。仕方ないのでアナログから起こした自作CD焼いて聴いてたので記憶がゴッチャになってました。

>泣き節は誰?
Graham Parker東京公演での記憶をたどると、2曲ほどソロヴォーカルを披露したFlying Fenderの異名をとったMartin Belmontと思われます。他のメンバーは声質が軽かったし、、、
6. Posted by CAKE   March 13, 2006 09:01
>盗聴エディさん
おお、貴重な証言有難うございます。Martin Belmontですか。しかしながらこれだけ歌える&弾けるミュージシャンが潜在的にかしこに存在してるところにも英国音楽シーンの底の深さを感じます。

(METRCD043)は確か日本でもMSIからリリースされてる「ベスト・オブ〜」ですよね。
アルバム単体としても、今月ビクターがリイシューするSTIFFシリーズに含まれてるようで楽しみです。
7. Posted by 盗聴エディ   March 14, 2006 23:13
こんばんは。
HMV覗いたら在庫ありました。しかもボーナストラック BBCのライヴ付じゃないですか!!
早速オーダーしました。貴重な情報ありがとうございました。
8. Posted by CAKE   March 15, 2006 10:06
そうそう、本文では特に触れてなかったですが、スタジオ・ライヴが4曲収録されてて、これがまた滋味深いんです。正直リイシューCDとしては価格がやや高いですが、このボーナス・トラック収録分で、それだけの価値はあると思ってます。
ルーモアは2nd、3rdも紙ジャケ&リマスターでリイシューされました(本日発売)。これの国内盤が出るのも、15年程前にセンチュリーがSTIFF関連リリースして以来かも。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discographylist2/00078.html
9. Posted by 盗聴エディ   March 16, 2006 22:40
こんばんは、CD来ました!
ボーナス・トラック良かったです!感謝してます。

M.Belmontの映像チョビットあったので、うちのブログにリンク貼っておきました。よかったらどうぞ。

TB貼らせてもらいました。
10. Posted by CAKE   March 17, 2006 11:07
入手できて良かったです。どうやら既に在庫は店頭分のみのようですね。

M.Belmontの映像格好いい!これは何時頃のやつですか?

TB有難うございます。エディさんのブログにもまたお邪魔しますね。ディープそうで楽しみです。
11. Posted by 盗聴エディ   March 18, 2006 02:01
どうもです。
補足記事UPしたので、よかったらどうぞ。
12. Posted by CAKE   March 20, 2006 19:17
なるほど、非常に参考になります。有難うございます!

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