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朝日に燦燦と光り輝く藪々



【日 程】2021年12月03日(金)
【山 域】弁慶山地
【山 名】無名峰(552m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】
(概 略) 



駐車場(9:15)---(11:14)無名峰---(12:29)駐車場---林道終点(13:30)---(14:00)駐車場




こちらをご覧の皆様、大変ご無沙汰をしております。久々の更新でございますが、いかがお過ごしでございましょうか?
こちらは何とか生きてはおります(大汗)


今秋は何やかやと雑用が忙しく、奴隷の如くこき使われておりましたが、やっと体が空きまして山に向かう気になりました。けれどもブランクが…
心配してもしょうがないのでいざ実践、下見を兼ねたトレーニングと言えば聞こえは良いが、むしゃくしゃした気持ちの憂さ晴らしの意味合いもあるのだ。計画はあって無いようなもの、近場の適当な場所へ軽トラを飛ばす。


準備を整えたら結構な重さになった。万一のために持った鉈が重いのかな?まあいっかと出発、すぐに藪の中に入る。前日降った雪が少し残っている。何かの足しになるかと持ったストックが大失敗、最後まで邪魔でしょうがなかった。それにしても何だこの藪は、まあ修行と思って諦めるしかないか…(大汗)
少し登ったところで見えた大平山が良い感じだ。





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大平山が高い





藪漕ぎの何が楽しくてこんなことやってるんだろうという疑問が沸々と湧き上がる。傍から見たらただのアホ、でも誰も見てはいない。
ガサモソと熊のようにササや雑木と格闘するが、時間の割に一向に進まない現実、時に鞭のような一撃を顔面に喰らい悲鳴を上げ、ザックを後ろに引っ張る蔦を引きずりながら怒りに任せて引きちぎる。しかし息も絶え絶えの怪しげな老人を笑い蔑む人は皆無だ。
でもやっている方は真剣そのもの、日頃の憂さを山にぶつけて居る訳ではないが、一心不乱に打ち込む事は嫌いではない。





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密藪が延々と続く。





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時にはこんな滝も現れた。





人間には得手不得手があるもの。どんな分野でも飛び抜けた才能を持つ人間なんてほんの一握り、好きな事に熱中し、どんどん深みにハマって行くことは決して悪いことではない。他人に迷惑を掛けない限り、非難される筋合いなんてないと思うし、思うようにやれば良い。
傍から見てアホなことをやっていても、当人が真剣ならそれは尊重すべきだと考えるが、世の中には当然別の考えを持つ人もいる。持つだけなら良いが、自分の考えに合わない対象に敵愾心を持ち、誹謗するのはどうかと思う。何となく最近の風潮としてそういう存在が目立つ事が多々ある。


確かに藪漕ぎは好きではない。けれども目的を達するための手段なのだから、必要に迫られてやっているのだ。山菜採りの名人だって結果だけ見れば羨望の目を向けられるが、その過程は想像できぬほどの苦痛を伴う場合だってある。もちろん全てではないが。
山好きな人には色々なタイプがいる。やっていることも千差万別で、エクストリームなものから散歩まで、中には命に係わるような行為も平然とやってのける人も多い。極端な話、自分だって藪漕ぎの最中に、熊や蜂に襲われて命を落とす可能性だって無い訳ではない。そんな危険は山登りに限らずどこにでも存在するもので、誰にでもその要素はあるものだろう。そして人は誰でも、それらの危険を本能的に回避しながら生きていくものだと思う。
極端な話、街中の歩道や仕事場、家の中だってなんら変わらない気がする。


山から遠ざかり、山力が落ちのを取り戻したい情熱がまだ少し残っているのだろうか、はたまた単純に山に戻りたくて、がむしゃらな行動をとっているのだろうか、ひょっとしたら、山なんて好きでもないのに、やることがないから惰性で山に飛び込んでいるのか分からない。でも一人っきりで山中にいることは嫌いではない。何故ってそこは決して孤独な世界ではないからだ。雲の動きや風の音、木々のざわめきの中で感じる何かの気配、五感をフルに使い感じ取るメッセージは、とても美しく嬉しく楽しいものなのだ。


急登の藪を抜けると幹の太い立派なブナが現れた。ここは里山で植林された杉も多いが、太古からあるブナの林は、何故か足元もさっぱりしていて綺麗だ。次々に現れる多彩な樹枝に挨拶しながら歩を進めると木々の間に展望が広がる。全ての葉を落とした木々を纏う遠くの山容に思わず歩を止めて見入る。





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突然目の前に現れたブナの巨樹





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風にたなびく枝?





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あんたも立派やな!





足元の覚束ない山中を歩いてふと気が付く、左足に微妙な違和感があるのだ。目指していたピークにはほど遠いが一気に気力が落ちた。まあここもピークと言えばピークだし、この先アップダウンも結構あるし、まあいいか…
せっかく持ってきたのだ、重い鉈をザックから取り出し周辺の藪を刈り払う。思いの外日差しが温かく風も当たらずもってこいの場所だ。木々の枝が邪魔をして展望は悪いが見えないことはない。どっかりと腰を下ろしてランチタイムを楽しむ。





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ランチピークからの展望





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これは以前登った二ッ森





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こちらのお山は???





これから雪山シーズン、どこの山に行けるのかな。妄想は果てないが現実に戻ろう。帰りの藪が待っているのだ。変なものでこの頃には手強い藪に妙な愛しさを感じる自分に苦笑した。ところが現実は手厳しい。左足の違和感が痛みに変わってきたので、だましだましゆっくりと下った。
普通に歩くには問題ないのだが、左足を持ち上げると、膝下から足首までの内側の筋が、悲鳴を上げる程痛い。下るのは何とか下れた。こんな痛みは初めてだ。一体これは何だろうか?


無事下山したものの少し時間が残っている。試しに荷を背負ったまま林道を少し歩いてみた。何の問題もない。調子に乗って歩いたら結局終点まで来てしまった。帰りながら改めて周辺を眺めたらこれはこれでとても良い晩秋の雰囲気だ。沢沿いに延びる道は落葉に覆われ、白い樹皮と渓谷の水音と風の歌声、辺りにはもちろん誰もいない独り占めの世界、帰るのがもったいなくなった。


もうすぐここも雪に閉ざされ静寂の世界となる。それはそれで美しいものだろうが、現実的に訪れることは難しい。せめて雪が融ける前に再訪したいと思う。
久々の山歩きは気持ちもリフレッシュでき楽しかった。
歩行距離7.2km 移動時間4時間46分の藪山修行でした。


ああ、万助に行きたかったなぁ…(涙)