はじめに
 野党の衆議院議員の階猛氏(無所属)、同・井出庸生氏(無所属)、前衆議院議員の井坂信彦氏らは「年金抜本改革チーム」を起ち上げ、「年金抜本改革のイメージ」を公表した。源泉徴収制度の下、手取りしか意識したことがなく、自分の社会保障負担など気にしない人が多いサラリーマンをピンポイントで狙う彼らには、なかなかうまいものだと感心するしかない。(下記リンク)

消費増税なしでベーシックインカム年金は実現する

相続税率≒100%~フェイク年金”消える4000万円問題”~
 寿命が続く限りもらえたはずの基礎年金を75歳までと年限を区切って廃止し、それ以降は”ベーシックインカム”と彼らが称する実質的な仮払い生活保護支給にかえる。自分のものになる基礎年金6万5千円ほどを、自分のものにならず、いずれ没収されるかもしれない生活保護仮払い8万円に”変える”というトンデモ改革である。
 例えば、95歳まで夫婦であと20年間生きるとすると、それは8万円×12か月×20年×2人で3840万円支給されるが、その95歳時点で亡くなれば、およそ3840万円以下の資産は没収されるのだ。つまり、4000万円近いお金を遺していても、(相続)税率ほぼ100%全額が没収される。なぜなら、彼らの論理では、生活保護の仮払金だから、遺産が残れば、それはいらなかったものだとみなせるからだ。
 他方で、政治家は政治団体を迂回して子供に遺産を承継することで相続税と”没収”消える年金を回避でき、その負担を免れることができる。そして、もちろん、自営業者にも抜け道が用意されていて…
 返納対象となる相続財産からは、相続人が住む家や事業承継する会社株式などを除外し、預貯金や保険金などの金融資産についても故人の葬儀費用等を考慮して一定額を除外する。
とされ、やはり会社に資産を移すことで遺産を調節し負担を軽減できる。
 だから、これはお金に疎いサラリーマンのみを狙い撃ちにする消える魔球ならぬ”フェイク年金消える4000万円”問題とも言えるだろう。

相続税対策と政治献金
 現在の相続税でさえ、少しお金に余裕がある人々がその対策のために、ひどい情報の非対称の下、サブリース契約をして大きな損害を出していることが問題になっている。このベーシックインカム年金は、現在の相続税よりもはるかに過酷な”リサイクル”と称する年金遺産没収とセットだから、その対策として、もっと過激なスキームが流行ることは推して知るべしだ。高齢になって、このリサイクルスキームをどうやって逃れようかと、資産についてずっと考えなくてはならない老後が来るのだ。ベーシックインカム年金が施行されれば、リテラシーのない高齢素人相手に法を駆使する際どいスキームを提供してぼろもうけを狙う企業は天国のような機会をつかむことになるだろう。それゆえに、そういった抜け目ない企業は、三氏にしっかりと政治献金をして、このベーシックインカム年金を推進してもらうといい。しかも弁護士の活躍の場もきっと広がることになるだろう。

”国畜”サラリーマンはゴミ!?
 金に敏い政治家や自営業者はしっかりとした抜け穴を備えるが、”サラリーマンだけ”を標的にして基礎年金をはく奪し、その遺産を没収することを「リサイクル」と呼ぶのが、衆議院議員の階猛氏(無所属)、同・井出庸生氏(無所属)、前衆議院議員の井坂信彦氏らである。こんな”没収”に等しいことを”リサイクル”と呼ぶほどサラリーマンの扱いはぞんざいで軽い。
 現行制度でも、折半の会社負担分の厚生年金がほぼ召し上げられ、しかも負担額が次々と引き上げられるため、その分に取られ賃金がほとんど上がらないサラリーマンは、政治団体を利用できる政治家や所得を操作できる自営業者に比べはるかに冷遇されている。にも関わらず、さらに搾れるだけ搾って何が悪いと言いたげな制度だ。社畜なる言葉がサラリーマン界隈にはあるが、まさに三氏にとってサラリーマンなどまさに奴隷”国畜”なのだろうか。サラリーマンは働いている間も奴隷であるし、死んでもなお金をむしり取ってよい奴隷なのだろうか。犠牲にして喰い物にして当然という存在なのだろうか。
 サラリーマンは、今まで打ち出の小づちの扱いで、とにかく制度の辻褄を合わせるための金作の道具だったが、ついに三氏に至っては、モノではなく、ゴミにまで落ちたようだ。だいたいリサイクルなどとはしゃぐことか。リサイクルなどゴミ相手に使う言葉だろう。いったいどういう神経をしているのだろうか。サラリーマンがどんな気持ちで保険料を支払い、どんな気持ちで貯蓄していると思っているのか。

おわりに
 確かに、年をとって経済的な苦境に立つものもいるだろう。だが、若いときから無計画にそのときそのときに、あるだけの金を使って貯金もせず、しかも年金が少ないのは誰の責任だろうか。いま40歳の人が、10年たてば50歳、20年たてば60歳、30年たてば70歳、40年たてば80歳になるのは、小学1年生でも分かることである。80歳で働いて賃金を得られるのだろうか、病気になりやすくなるのではないかと、考えれば誰でもわかることである。こんな自明すぎることもわからない人は本当に気の毒な人だろう。だが、生活を抑え計画的にお金を使い貯金をして、年金をちゃんと払ってきたものが、こんな放蕩者の尻拭いをさせられるのは、もっともっと不合理で気の毒なことだろう。若いときに抑えめにお金を使って貯蓄をし老後の憂いを少なく生きようとするのも、若いときに強めにお金を使って楽しみ、貧しい老後を送るのも個人の選択であり、個人の責任である。自由や権利には責任が伴うものだ。
 その場だけ、その瞬間だけ、その人だけをみて、ただ気の毒だからと情緒に訴え、サラリーマンを当てにし、喰い物にすることを”抜本的改革”と呼ぶ。これが公平公正というのなら、三氏はなかなか大した正義感をお持ちだ。サラリーマンだけ実質的に年金を廃止し、負担を重課することを”リサイクル”などというのならば、隗より始めよで、三氏が自分自身の賃金財産をいますぐにリサイクルに出してはどうだろうか。筆者は不本意ながら、その資金をリサイクルしてやってもいい。
 たった1万5千円増えたように感じさせるだけで、元の6万5千円も含めすべてが見せ金となる、驚異の消える魔年金4000万円問題!!安倍内閣の自助老後2000万円問題どころじゃないぞ。
 野党新統一会派こそ「サラリーマン、年金はく奪じゃないか。”サラリーマン・ゴミ”」ってことか。