大好きな本谷有希子著の恋愛小説

 

第135回芥川龍之介賞候補、第18回三島由紀夫賞候補作品

 

表紙は富嶽三十六景の神奈川沖浪裏が使われている

 

あらすじは(新潮社公式サイトより)

 

 

 

 

なんで、自分が、こんなに、馬鹿みたいに、寝るのか、誰か、納得のいく、説明を、しろ。

 

――母親譲りの躁鬱をもてあます寧子は、コンパのなりゆきで同棲し始めた津奈木の部屋で、インターネットの掲示板を前に眠り続ける。

 

そこに元彼女が現れて……。

 

「並大抵でない言語感覚」「深い読後感」と絶賛された恋愛小説らしからぬ「恋愛小説」。

 

 

 

 

俺は本谷有希子という人がすごく好きだ

 

演劇も見に行ったことあるし、ラジオも好きだったし、この人が書く文章も大好き

 

 

そしてこの作品

 

 

これは、至極良い

愛すること、または愛そのものについてすごく的を得てると思う

本谷の小説ってやっぱり演劇が土台にあるものがほとんどだからか

とても過剰な感情の登場人物が多い(ほとんどかな)

でもこれはその過剰な人物と冷静な人(まぁその対比もなんか過剰な気もするけど)がうまいバランスをとってます

にしても解説がかなりしっくりきた

 

 

互いの領分を決して侵さない寧子と津奈木の関係は、卵二つでつくった目玉焼きのように、それぞれの核をしっかり守ったまま、白身であやふやに繋がっている状態と言えばいいだろうか。


しかも寧子の黄身は半熟で、まだグチュグチュしている。


卵の黄身は「自我」というか、「本当の自分」みたいなものだ。


直接、黄身と黄身が触れるとものすごく危険なので、緩衝地帯として神様は白身というものを発明したのだろうが、寧子はできれば黄身と黄身が直接に衝突しあうようなかたちで人と付き合いたい。


寧子は自分の「味の濃さ」に辟易しているといいながらも、相手にも同じくらい濃い「黄身」を期待せずにいられない、そんな女なのだ。


(解説 p.141 より

 

この解説はすごく的を得ていて、思わず納得してしまった

 

普段解説は作者の知識や作品背景を知るために読むんだけどね

 

 

あと印象に残ったのがこのセリフ


「あんたが別れたかったら別れても良いけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。(中略)いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ」

 

素晴らしいです 

他には富嶽三六景の5千分の1の奇跡と愛とのくだりもすごく良い 

愛ってこういうものじゃないかなぁって思う 

なんにせよ本谷有希子の本気を見た

最高の一冊でした

 

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)
生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)
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