日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

本の紹介『日本園芸界のパイオニアたち』

 横浜の著名な園芸家である椎野昌宏さんが本を出された。私もほんの少し関わったので紹介したい。ただし書評ではない。

     椎野昌宏楮『日本園芸界のパイオニアたち』   淡交社  1800+税

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 明治以降今日まで、日本の園芸界で活躍された20人の方の評伝である。
  1、鈴木卯兵衛(園芸綜合商社を創業)
  2、辻村常助・伊助(「園芸=芸術」を主張)
  3、井下清(都市型公園を導入、植樹を振興)
  4、石井勇義(園芸雑誌で斯界をリード)
  5、松崎直枝(国際派の園芸家・研究者)
  6、尾崎哲之助(朝顔園芸の極致に到達)
  7、宮澤文吾(先見の明をもつ実践的学者)
  8、伊藤東一(進取の精神、明治人の真骨頂)
  9、吉村幸三郎(「常に夢あれ」と後進を教導)
  10、清水基夫(ユリに捧げた生涯)
  11、龍胆寺雄(サボテンに魅せられた作家)
  12、池田成功(次代へ託す蘭への思い)
  13、中村是好(小品盆栽に投影される俳優の人生)
  14、水野豊造(魂でつくるチューリップ)
  15、小玉三代司(菊作りに一生を捧げる)
  16、平尾秀一(「とびきり良い花を」追い求めて)       
  17、中村長次郎(朝顔とさくらそう園芸の功労者)
  18、御園勇(観葉ベゴニアを日本にひろめる)
  19、桐野秋豊(日本のツバキを世界にアピール)
  20、山本武臣(あじさいになった男)
 これだけで近代日本の園芸界の動きが見てとれる便利な内容となっている。
 私と関わりのある人は二人いる。一人は中村長次郎さんで浪華さくらそう会の先輩である。お逢いしたことはあるのだが、挨拶をしたぐらいで桜草に関して話したことはない。もう一人は平尾秀一さんである。30年以上前、ガーデンライフ誌で、平尾さんがネリネの子球(受粉すると種子ができるのではなく子球ができる)を分けてくれるとの記事が出て、早速送って頂いたものがいまだに我家で毎年咲いている。

佐川美術館ーミュシャ展

 家人を誘って湖岸の佐川美術館へ。
 私は浪華さくらそう会の会合で堺東に行くことがあり、そこにある「堺市立文化館 堺 アルフォンス・ミュシャ館」にも何度か訪問している。

     『 ア ル フ ォ ン ス ・ ミ ュ シ ャ 展 』

           ー麗しきアール・ヌーヴォーー

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 今回の佐川美術館の展示品は堺から来たものではなく「OZAWAコレクション」 「AGATAコレクション」からの出展だという。
 丁度入館して展示会場につくと、OZAWAコレクションの所蔵者である尾形寿行氏によるギャラリートークが始まったばかりで、しばらく同道して話を聞かせてもらう。ポスターは一度に3000枚ほど摺られるのだという。「ジスモンド」のような大きなものは真中で継いであると。その他購入金額なども言われていた。
 当時の印刷の主要なものは石版印刷である。これはやり方は違うとはいえ、日本の浮世絵の影響を受けていると見るべきであろう。輪郭の線描、そして面での色表現。歌麿を横目で見たに違いない。

[第1章 パリ時代の魅力的なポスター]
[第2章 暮しを彩る装飾パネル]
[第3章 装飾資料集・装飾人物集]
[第4章 挿絵の魅力]
[第5章 くらしの中で愛されるミュシャ]
[第6章 ミュシャとアメリカ]
[第7章 我が祖国チェコ]

 「装飾パネル」に「桜草」があった。洋種のポリアンタ系のもののようである。
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あべのハルカス美術館ー北野恒富展

 京都から大阪阿倍野に回る。ハルカス美術館は混んでいると思っていたが割にすいていた。開場してから一ヶ月も経ち、来るべき人は来たからなのか。

      『 北 野 恒 富 展 』  *「ARTことはじめ」のブログへ

             浪花の美人図鑑
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 北野恒富は金沢出身だが、早くに大阪に出て画家として大成した。これは菅楯彦も同様である。
 いかにも大阪的な華やかな画家なのだが、取り上げられることは少ないのは残念である。
 この北野恒富が本格的に取り上げられたのは没後50年を過ぎてからで、平成15年(2003)にやっと大きな展覧会が持たれた。東京、金沢、滋賀と巡回し、私は滋賀近代美術館で拝見したことであった。それから14年して今度は本拠であった大阪での展覧会である。
 北野恒富は美人画家と言われる。残された画業のほとんどは美人像である。しかし明治・大正期のいわゆる美人画は個性の無い類型的な顔立ちで、そうでなければ絵を買う人が承知しなかったのだが、彼の描く娘は個性的な顔立ちが目立つ。彼の力量のなせる技か。

[第一章 「画壇の悪魔派」と呼ばれてー明治末から大正 写実と妖艶さと]
 「道行」…退廃的とも言える男女の姿、そこの写実的な二羽の鴉
 「鏡の前」「暖か」…黒を基調にした生々しい表現が斬新

[第二章 深化する内面表現ー大正期の実験と心の模索]
 「淀君」…恒富の代表作という。
 「仙人」…魯山人の木印「徒祢等微」が捺されている。繊細と大胆の織りなす世界
 「道頓堀」…珍しい風景画。緑の柳が新鮮。

[第三章 大阪モダニズム「はんなり」への到達 昭和の画壇ー清澄にして艶やか]
 「涼み」…13回再興院展出品。まことに丁寧な筆致。ところが全く同じ構図の小品ではざっくりと
      した筆致になっている。これは展覧会へは全精力を傾け、そこでの評判で絵の注文を受
      ける。数をこなすための仕儀であろうか。
 「舞妓」…これも展覧会出品作品と小画面のものとは明らかに手数が違う。
 「いとさんこいさん」…これも彼の代表作か

[第四章 グラフィックデザイナーとして 一世を風靡した小説挿絵とポスターの世界]
 「高島屋キモノの大阪」…今でもその複製が見られる片肌脱ぎの娘の姿
 谷崎潤一郎の「乱菊物語」「盲目物語」など
    彼のデッサン力は卓越している。

[第五章 素描]

[第六章 画塾「白耀社」の画家たちー大阪らしさ、恒富の継承者たち]
  島成園「伽羅の薫」「鉄漿」…成園の代表作
  木谷千草、中村貞以、生田花朝など

[北野恒富関連資料]
  手紙類…谷崎潤一郎、横山大観、安田靫彦、川端龍子、鏑木清方、冨田渓仙
  印章類
  
   島成園

京都国立博物館ー名品ギャラリー

 今日は阿倍野の「北野恒富展」に行く予定なのだが、それだけではもったいないので途中下車して京博を覗く。

 《名品ギャラリー》

[陶磁ー染付の美/日本と東洋のやきもの]
  伝仁清「色絵蓮華香炉」…まことに華やかな色合い
  数々の中国磁器…江戸時代に日本からの注文でつくられたもの。
   「琵琶湖八景図磁板」…15枚作られたものの一枚
  重文「信楽檜垣文壷」
  鍋島窯「染付菊唐草文皿」…墨引き、白抜線文、グラデーションの技がひかる

[絵巻ー兵ー軍記物語と武勇譚]
  重文「騎馬武者像」…かつて尊氏像とされていたもの
  「俵籐太絵巻」

[中世絵画ー霊雲院の障壁画 狩野元信晩年期の名作]
  重文「四季花鳥図(1543)」…この一面に「鶴鳴図」がある。

[近世絵画ー祝いの調度ー祭礼図屏風]
  重文「日吉山王祭礼図屏風」檀王法林寺
      光信周辺の絵師がかかわるかと、明確な人物表現
  重美「加茂競馬図屏風」

[中国絵画ー伝説の画家たちが描いた仏画]
  寧波附近の工房で大量製作されたものが日本にもたらされたという。
  日本の絵師のものとは味わいが違う。

[彫刻ー閻魔と地獄/日本の彫刻]
  国宝「大日如来坐像」「不動明王坐像」金剛寺…巨大な像

特集展示

[書跡 古書画へのまなざし 伴實コレクション]
  光格天皇の宸翰消息があるが、全く分らず。 

[名刀聚英ー永藤一の愛刀]
  日本刀は武器であるのだが、早くから鑑賞の対象となっていて、名刀の数々は使われることなく
  大事に受け継がれてきている。ただ刀の展示ではガラス越しで見るので、刀の表面の細かい変化
  を味わうことができない。もっと展示の工夫ができないものか。刀表面の拡大写真をいっしょに
  見せてもらいたいものである。

山百合

 私は山百合の華やかな花容が好きだ。球根を買っては花を咲かせるのだが、次の年には作落ちして萎縮してしまうのがオチであった。
 昨秋、園芸店で山百合の球根が売られていたので、また挑戦することにした。それが今咲いている。やはり美しい。
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 ところが、ところがである。匂いがほとんどしない。匂いの無い山百合なんて山百合なのであろうか。せっかく咲いてくれたのに楽しくない。
 と山百合に関する記事が眼に入った。今の山百合は、オランダに行って作り易く改良されたものであるという。この間に匂いをどこかに置き忘れたものらしい。西洋人は匂いに敏感だと思っていたのだが、意図的に育て易さだけを求めたようだ。
 これから出回るであろう山百合の球根はこのオランダ種であろうから、百合の匂いは期待できないことを踏まえてこの百合を作らねばならないだろう。
 オランダでさらに匂いの復活した山百合を育種してもらいたいものである。

 [アガパンサス]
 アガパンサスも今ちょうど咲いている。アガパンサスは旺盛な成長力でよく増えるので、地植にすると株が大きくなって始末に困る。そのため我家では鉢植で育てている。小さめの鉢で一本植にしている。そうすると肥料を十分集中できるのか、花数が多くなり花期も随分と長くなる。
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観峯館ミニコンサートーポルトガルギター

 観峯館で年に数回開かれているミニコンサート。たいていは書に関係のある中国楽器が演奏されるのだが、今回は趣向を変えての催しである。
 ポルトガルギターは珍しい楽器でポルトガルでのみ生き残っている。リュウト族の撥弦楽器で、イギリスから伝わったと言われ、シターンから変化したらしい。スティールの12弦でファドなどの伴奏として用いられている。
 演奏者の上川保さんは日本を代表するギター奏者で数多くの内外の歌手の伴奏をされている。その彼がポルトガルギターもよくする。今日はそんな珍しい楽器の演奏会である。
    *上川保さんの演奏はユーチューブでも聴ける

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 〈プログラム〉
 1、Barco Negro
 2、Uma casa portugues
 3、The shadow of your smile
 4、The third man
 5、Noturno
 6、Fado e Lisboa
 7、イムジン河
 8、Cinema paradice
 9、Gelsomina
  アンコール …彼の声が優しすぎてよく聞き取れなかった。

 スティール弦をピックでつま弾くので、少しバンジョウのようにも聞こえる。

観峯館土曜講座第三回 崇叡堂コレクションについて2

 前回の講座の中心は約百年振りに公開された「光格天皇の宸翰尺牘」であった。その翻刻は公開されていたが、私が丁寧に見たところ三カ所に問題があったので、私の読みを、そしてせっかくなのでその意訳をも載せておくことにする。大方の批判を乞う。

 〈原文〉
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 〈翻刻〉 クイックすれば拡大します
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 〈意訳〉
 さて春は四季のうち景色が一番で、他とは較べられません。
といっても日々は絶えず過ぎ行き、すでに暮春に。宮殿前の桜の花も風に散り、土にまみれ。鶯も枝を渡り、幽谷へと帰っていき、ようやく春の気配がなくなりました。ただ池のほとりにある燕子花はまさに咲こうとしています。これを観ていると、紫の印綬の色合いのようです。この景色を目にしては、どうして自分一人で楽しめましょう。みんなとともに楽しむに越したことはありません。そこで不肖の私めの伏しての願いです。明日のお昼過ぎに、乗り物を差し向けます。互いに向き合ってこれを鑑賞できれば喜びの極みで、何ものにも競べられないでしょう。まさに孟子のいう「衆と共にするにしかず」がこのことでしょうか。
  彦頓首死罪敬拜言
     三月下旬の二十六日
          穆堂主人天彦拜上
 呈
観月堂 堂下 

 この宸翰にはいくつかの疑問がある。
 1、宸翰に印が捺されているが、いつ捺されたのであろうか。もとは無かったろうに。
 1、自ら差し向けた乗り物を「金駕」と表現するであろうか、さらに「金駕」で改行するであろう
   か。
 1、光格天皇の宸翰というのだが、いつの時代のものなのであろうか。
     部屋住み時代、皇太子時代、天皇の時代、譲位後か
   「殿前の桜」の文字からすると紫宸殿の主であった頃のことなのであろうか。
   後半のへりくだった物言いからすると、「観月堂」は実父のことなのであろうか。


   平成二十九年度土曜講座 第三回

       『崇叡堂コレクションについて2』

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 1、久邇宮家と龍田町
    五箇荘の竜田町は幕末に彦根藩から久邇宮朝彦王の所領となり関係が発生することになる。
    竜田神社の扁額は朝彦王の三男邦彦王の筆による。
 2、竜田神社所蔵「三十六歌仙色紙」について
    この色紙は邦彦王の妃俔子(ちかこ)殿下による奉納
    妃殿下の書、夜久臥矯の絵

   他省略

 
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