京都市美術館から清水三年坂美術館に向かう。この界隈は相変わらず観光客や修学

旅行生が群れている。しかしこの美術館に足を踏み入れる人はほとんどいない。私が

入館したときには二三人居たが、彼らが帰ると私一人の独占場となった。


     『超絶技巧の明治の牙彫・木彫』

 私は少し前に高村光雲の『幕末維新懐古談』(岩波文庫)を読んだばかり。社会の

転変は仏像彫刻の不振となる一方、象牙彫が輸出向けに活況を呈していたことなどを

知った。それが今日、そこに記された実物と出会えることとなった。

 石川光明 「木彫 元禄美人」…40センチほど。

      「牙彫 蓮根に蛙」…恐ろしいまでの生き写し

      「寒山拾得図手箱」「仔犬図硯箱」

      その他 煙管、香合、短冊(浅彫)

 高村光雲 「江口の遊君」丸額…舟を象に、江口を普賢菩薩に見立てる。

      「木彫 西王母」…80才の作

      「木彫 鍾馗、翁舞、白狐、西行法師、法師狸、太子像、寿老人など」

 金江寿明 「牙彫 老人花売」

 菊池互道 「牙彫 初秋、灯明を持つ女」

 吉田道楽 「牙彫 花売り娘」

 朝日光道 「牙彫 三童の木橋渡り」

 山崎和沾 「牙彫 鴫猟」

  その他無銘の牙彫の人物像多数、輸出用か。

 山崎朝雲 「木彫 童と犬、鍾馗、亥」

 森田藻己 「木彫 阿呼詠像」…道真の幼名

 根岸量雲 「木彫 延年寿、老婆童子」

 山崎南海 「自在蝦」

 穐山竹林齋 「自在虯龍」

 宮本理三郎 「木に蜥蜴」

 安藤緑山 「野菜、果物…剥きかけの林檎、柿、柘榴、茄子、栗、貝づくし」

 旭玉山  「家鴨図手箱」…石や貝、色板で造形し、貼付けたもの

      「銀◯鳩図手箱」…  同上

          54回美術展覧会一等賞金牌受賞


 それこそ超絶技巧の堪能する。ただ技巧だけか、それを一歩抜けたものかが、価値

の分かれ目。