私はたくさんの仏像を今までに見て来たが、今も新たに作られている仏像についてはそんなに拝見する

機会は無い。

 江里康慧・佐代子氏のものは個展会場で、松本明慶氏の白檀の観音像は観音正寺で、向吉悠睦・中村桂

睦氏のものは琵琶湖文化館友の会新春公演会で見ることが出来たくらいである。

 「伊吹の見える美術館」では中川大幹氏の作品が常設されているが、今春は個展という形で、写真を

含めて45点が展示されている。

 仏像は長い伝統の中でたくさんの決まり事の多い世界である。そのなかで各仏師が自らの個性を生かし

ながら信仰の対象であるものを形として表すのである。

 今回の出展では、龍玄精舎本殿の本尊や四仏(写真)の均整がとれ、極彩色に彩られた姿が見事であっ

た。

 また小さな「阿弥陀仏立像」にまことに華やかな截金が施されてあるのも美しかった。

 村瀬信吾氏の「曼荼羅」2点は、これも極彩色で、恐ろしいほどの細密さに満ちていた。

 別の部屋には、制作過程を示す写真アルバムも置かれていた。そのなかに大変興味深いものがあった。

ある新興宗教の教祖の坐像である。それはどこにでもいるようなお婆さんの姿をしている。それを信仰の

対象として、仏像と同じ方法で作られてたのである。

 軽い気持ちで立ち寄ったのだが、何とも豊かな気持ちにさせられた。