久しぶりに東大阪市民美術センターを訪れる。ここもご多分に漏れず、指定管理者制度に移ってから、特別展の数が減ったようである。

     菊池寛賞受賞記念

        染司吉岡幸雄

           『日本の色 千年の彩展』

 染織の分野でどんな展示になるのかと思いつつ東大阪へ。
 「染司よしおか」の代表的な色である「憲法染(黒っぽい藍色)」の布が垂らしてある入り口を入ると、正面に東大寺修二会で使われる造花の椿と大仏開眼1250年法要で用いられた別当着用の紫衣と糞雑衣の七条袈裟が迎えてくれた。
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 会場ではまず東大寺・薬師寺・法隆寺の幡が並んでいる。
 そして『四騎獅子狩文錦』の色鮮やかな復元品がある。その復元の過程をVTRで紹介してある。
     *VTRのなかで吉岡氏の肩書きを大学講師としてあったが、「染師」では物足ら 
      ないのであろうか。
 次に大仏開眼1250年法要のとき催された伎楽の衣装が続く。これらも復元されたものだろうが、まことに落ち着いた渋い色合いになっている。約10数領と馬形
 次の部屋では「源氏物語」の世界が展開する。主な帖に登場する女性に合わせた布地・襲の紹介。こんな繊細微妙な感覚の世界があったのである。といって何人の人がこれを享受出来たのか、ほんの一握りであったろう。
 石清水八幡宮では古くから神への供花(仏教に由来する行事といわれる)が行われてきたが、それも「染司よしおか」から提供されているという。水仙・椿・梅・桜・牡丹など12種の花々が台の上に飾られてある。
 最後に染めの原料である紅花や蘇芳、山梔子などがそれで染めた絹糸とともに展示される。唯一動物性ではラックがあり、それは臙脂綿(色素を染込ませた円盤状の物)として示されていた。
 エントランスの展示室では吉岡姓の美術家の作品があった。
    *繊細優美な色の世界を堪能させてくれられた。

 このあと「上方浮世絵館」にいったのだが、その折のメモ帳を紛失したので、その内容は後日紹介することとする。