滋賀の文化財講座 
  打出のコヅチ第四回目である。
  
 『建造物修理を「見せる」「魅せる」

       ー文化財活用の新たな展開』の開催について

              文化財保護課   池野保氏

 文化財は長い年月を経て今の姿がある。それは人々の適切な手が加わっているからである。人々の造った人工物は、放置すればすぐに朽ち消滅してしまう。石山寺の本堂は平安末期に建てられたものだが、一度も解体修理されることなく堂々と建っている。常に手入れがなされているためである。
 文化財は一旦失われれば復活再生することは難しい。それが長く私達の身近にあるためには、それが単に‘ある’というだけでなく、どうして‘いまあるのか’という歴史性の認識がなければならない。
 今私達のまわりでは、物の造られる姿を直接見る機会は大変少なくなっている。建前にしても、工場で造られた部材を現場で組み立てるだけである。かってはどんな風に建てられるか、目の前で材が切られ鉋がかけられ壁が塗られと言った手順が見られたものだが。物が完成品として提供されると、壊れれば取り替えれば済むと思ってしまう、それは代替のきく消耗品になり下がることになる。
 文化財をこれからどうするか、他人事でなく私達の財産と考えたとき、一人一人がそれらの関心を持つことが大事となる。
 そこで滋賀県では平成23年度から「仏教美術等再生活用事業」がスタートした。奈良や京都では当たり前となっている旅行業者による文化財探訪ツアーを滋賀でも進めてもらい、そのとき文化財の修理現場をそのコース組み込んでもらうことが計画される。修理現場では所有者による見学者用の足場の設定やパネル・パンフレットの用意が進められている。
 これらによって仏教美術等をより身近に感じ、保護の重要性を理解してもらうとともに、観光振興や地域の活性につなげようとするものである。
 すでに子どもたちに対しては、総合学習の一環としての修理現場見学が実施され始めている。それをVTR収録してその成果を全校のものとする試みもある。
 石山寺の多宝塔の修理が始まり、そこではすでに見学者用の足場が組まれ、寺域見学コースに組み込まれている。また多宝塔や修理に関するパンフレットも作られている。
 西明寺の三重塔も足場作りが進められているところであると。
 これらでは主体はあくまでも所有者なのであって、行政はそれを支援するという方式である。ただ大きくて力のある寺社はいいが、規模が小さく指定もされていない文化財をどうするかが課題であるという。そこまで人の目や手が向くであろうか。

 *帰りの電車のなかで非常に美しい女性に出会った。顔かたちだけでなく、身に付けているものバッグ等も良い雰囲気をかもしていた。ただ抱いていた赤ちゃんは普通であった。