しばらく博物館通いから足が遠のいていたが、「打出のコヅチ」に出かけるのに合わせて京都に出る。
時間的余裕がないので、今日は京博だけにしぼる。
 京都はまさに観光シーズン、バス乗り場は人が一杯。仕方がないので歩いて行く。帰りは時間の関係でバスの載ったのだが、修学旅行の中学生と乗り合わせる。どこの学校か知らないが、女生徒の羽織る紺のカーディガンもお揃い、足下を見るとズック靴もお揃い。どこぞの私学の有名校でもあるまいに、そこまで子供たちを統制しなければならないのだろうか。

   特別展覧会 『 魅 惑 の 清 朝 陶 磁 』

DSCF2930DSCF2932

 中国当時の最高峰は何と言っても宋白磁・青磁であるが、元染付、明の色絵のにぎわい、そして清官窯の豊かな色彩と研ぎすまされたよな姿形も捨て難い。
 その清朝の陶磁が見られるというので期待して出かける。がちょっと私の思惑は外れた。私は官窯の銘品がずらっと並ぶと思っていたのだが、日本との関係を重視した歴史的な展示になっている。

[第1章 行き交う唐船]
 江戸期の日本は、オランダ・中国と長崎で交易を行っていて、中国の文物もそれなりに日本にはいってきていた。やはり日本人の中国へのあこがれは深まりこそすれ、衰えることはなかった。薬種・書籍等々とともに陶磁器もたくさん舶載されて来ている。日本でも有田で磁器の焼成が出来るようになっても、先進地中国の物がもてはやされたようである。中国の明清の王朝交代の混乱期でも、文物の輸入は続いていたという。
 「唐館蘭館図絵巻」石崎融思筆(1801~04)…記録画としての信用性が非常に高いと解説で。
      唐人屋敷で生活する女性ー「遊女生出替之躰」の場面も
      航海の安全を祀る「天后馬姐堂」も描かれている
 「コンダオ、カーマウ沈没船引き揚げ陶磁」
 「ダイアナ号、テクシン号引き揚げ陶磁」…どちらも東南アジア向け、あるいはバタビアのオランダ
      商館向けの民窯の商品で、精巧というわけではないが、染付けで器体は薄い。

[第2章 出土品が語る江戸・京都・長崎]
  江戸遺跡、京都市内、長崎唐人屋敷跡からの出土品。年代の基準となる。

[第3章 独自の回路]
  京都建仁寺は室町時代より中国との交渉事に関わって来た縁で、その塔頭に中国の陶磁が伝わって  いる例が多い。
 「白磁観音立像」霊洞寺…説明文にいう。
   もともと切支丹の初代末次平蔵の息子が建立した春徳寺の本山建仁寺の山内に伝えられたと。
 「大坂住友銅吹所跡出土中国陶磁」…住友は日本の輸出品である棹銅を製造していた関係で、長崎と
      の独自の繋がりがあったらしい。この銅吹所が火災に逢い、そのときの破損した処分品
      で、年代のきめてとなっている。欠けた品を見事に復元している。

[第4章 日本からの注文]
  18C.末から増え始めたといわれる。すでに日本でも作れたのに、明代末期の器に似せたものをわざ
 わざ作ってもらっている。
 「青花雲鶴文福寿文字散釣瓶形水指」…1775年の注文記録あり。
 「青花茄子文狂歌磁板」…中国人絵付師が仮名を書いている。
 「青花梅樹文詩文芋頭水指」…日本で作られた素焼きを中国に送り、景徳鎮で絵付焼成して日本に送
      り返された品(道光3年)
 「染付雲堂文筒茶碗」永楽保全作…中国物の火入れを写して茶碗としたもの
 「青花雲堂文筒茶碗」…保全が写した本歌の後代のもの

[第5章 旧家伝来の清朝磁器]
  岡山倉敷児島の野崎家(野崎家塩業資料館)…現在資料館で「屏風展と清朝陶磁」を展観中。
 角屋保存会、究理堂、田中本家博物館、
  名物の散り蓮華や小碗などの「十錦手」がいくつも出ている。まことに華やかで、これは使うより
 見せるものだったのではないか。
  旧家は資料の宝庫だという。どこも大切に扱われて来たという。
 
[第6章 江戸時代の中国趣味]
  江戸期の日本の知識人のあいだに煎茶がはやる。そのための道具や部屋の設えが揃えられていっ
 た。そのとき好まれたのが明末の陶磁であった。その写しが求められ輸入された。
 
[第7章 清朝陶磁と近代日本]
  重文「琺瑯彩梅樹文盤」…まことに精緻な作品
  「粉彩百鹿図壷」…多様で鮮やかな色彩を尽くした官窯は、日本の作り手の手本となった。
    今泉今右、清風余平、清水六兵衛、宮川香山など

[終章 影響の双方向性]
  中国・朝鮮からの伝来の技術によって始まった日本の磁器生産も、中国明清の政権交替時の混乱を
 きっかけに、ヨーロッパに輸出がはじまる。景徳鎮の復活した時、ヨーロッパが求めた図柄は日本有
 田のものであった。中国の職人は見たこともない日本の風景を描いたのであった。
  

 *次回は清朝官窯のなかでも、康煕・雍正・乾隆時代の名物を見せてもらいたいものである。