近代日本画の世界で京都画壇を率いた竹内栖鳳の大きな回顧展にやっと出かかることができた。
 会期も終わりに近づくと、平日にも関わらず観覧者は多すぎるほど。なかには幼稚園児の集団観賞も、大人の間を縫うように先生に率いられてウロウロ。何を学ばせようとするのか?

  京都市美術館開館80周年記念

      『 竹 内 栖 鳳 展 』

          近 代 日 本 画 の 巨 人
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[第1章 画家としての出発]
 若くして絵に惹かれ、幸野楳嶺門下で研鑽を積む。円山応挙、呉春の流れを汲むとともに、狩野派など多様に学ぶ。
 「芙蓉」…最初期の水墨小品。
 「龍神渡御の図」…23歳で結婚、それを期に画業で立つ。それを記念して神泉
     苑に奉納した絵馬。  
  *模写や写生に励む。
[第2章 京都から世界へ]
 パリ万博に派遣されて、彼の地の美術事情を視察。
 「観花」…踊る骸骨。本物の骸骨を借りて骨格を学ぶ。生々しすぎたのか展覧を
      拒否されたイワクツキの作品。
 「松虎図」…虎と言えば岸派なのだが、それを越える写生の妙。
 「寒林帰牧図」…薄墨の筆致が冴える。
  獅子図が何点か出ている。ヨーロッパの動物園での写生をもとに。ヨーロッパ
 の細密写生を日本画で再現。これを見た人はびっくりしただろう。評判が良かっ
 たので何点も描いているが、その雰囲気は皆違う。同じ物は描かなかった。
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 「飼われる猿と兎」
 「象図」…薄墨の伸びやかな筆使いが正確な写生を生かす。
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[特集展示1:美術染織の仕事]
 高島屋は京の高名な画家に染織のための原画制作を依頼して、それを元にした染め・刺繍製品を輸出した。栖鳳は高島屋一時勤めたこともあり、長く染織製作に関わった。*難波の高島屋資料館参照。
 「雪中蒼鷹図」…原画と刺繍作品が並ぶ。
[第3章 新たなる試みの時代]
 「絵になる最初」…栖鳳の女人像は3点しかない。これは東本願寺のための天女 
      像モデルが裸体になるのを恥じらう姿を写す。
 「河口」…洋画の雰囲気の風景画
 「斑猫」重要文化財…ものすごい質感。青く光る目が野生の身構える姿を捉える
 「蹴合」…闘鶏図。軍鶏が今にも動き出しそうな迫力。
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[特集展示2:旅]
 イタリア、中国、日本では東海から潮来の風景。
[第4章 新天地を求めて]
 「馬に乗る狐」…大津絵風の絵。
     落人の野分てまとふきつね川
 「雷公」…
     古はいものは見たくて、そっと障子を明れは、雷とのか手水鉢て
     手を洗ふている若し おまえは何をなされますといへは
     於為今あそこて臍を掴みそこなった 恵衣きたない
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 「清閑」…眠る子犬。応挙を越えたか。
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 「風濤」…大きな波を線と面で表す。浮世絵に学んだ西洋風景画の影響か。線と
     面のいいとこ取りを目指したか。
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【下絵を読み解く】
   竹内栖鳳の下絵ばかりの特別展が別室で行われる。
 1、絵を躍動させる要素:動き
    軍鶏の「蹴合」のための激しい動きのを捉える下図。
 2、巧みな構図づくり:モチーフの集合と分散、余白の活用
   鳥や動物を数体組み合わせて全体像を表すと。
 3、組み合わせの妙
   「炎暑」では如雨露に止まる小さな蜂が主人公
 4、空間の広がり
   風景画で空の空気を描く。
 5,京都画壇と下絵…本画と下絵が並べられている。
    西村五雲「園裡即興」…兎と籠。技法は栖鳳から受けたか。
    榊原紫峰「奈良の森」…鹿を描く。2曲一双
    菊池契月「交歓」…時代絵
    土田麦僊「平牀」…朝鮮の女性二人  
    金島桂華「紅蜀葵」
    富田渓仙「伝書鳩」
    中村大三郎「女人像」…美人画の典型、だがシミが。
    野長瀬晩花「海近き所の舞妓」
    村上華岳「聖者の死」…これは下絵のみ
    林司馬「舞妓」