品名異聞8−色分け花図鑑の部⑸

  「色分け花図鑑の部⑴」の「小笹の雪」の項目で、私の解説に誤りがあったので訂正し
   ます。
   鳥居氏は「小笹の雪」の色の説明に作伝法を引用されただけで、作伝法に「小笹の雪」が載っ
   ているとは言われていない。私の不注意を反省します。
   こんなことではこの「品名異聞」も信用されないなあ!

[九十九獅子]…「髪をふり乱した獅子を連想」したものには違いない。ただ「九十九」というのは[百から一を引いたら白」になるはずなのだが、この品種は赤色である。すでに「白髪獅子」があるのにあえて同じ意味の「九十九獅子」としたのは、ひょっとしてこれが「白髪獅子」の実生であるのかもしれない。
 牡丹にも「九十九獅子」があるが、これも桃色である。

[花の上]…「上出来の花」なのでとされるが、この品種だけが上出来とはこれいかに。これ以外の「銘花」は形無しではないか。芭蕉の有名な句「しばらくは花の上なる月夜かな」などを典拠とする方がすっきりする。
 どうしてこんな解釈になったのか。それにはさくらそう会の大先達大山玲瓏氏が関係しているようである。彼は品種名を音読みする癖があり、これも「ハナノジョウ」と読んで品種紹介した。後代の人がこれを承けて、この音読みから逆に意味を推察したようである。
 こんなおかしな解釈をみんながどうして受け入れるのだろうか、不可解。
 なお朝顔の古花に「花の上」という品種があり、桜草はこの名を流用したものと思われる。京都の近郊宇治で生まれたこの花は、その土地にふさわしく雅に「ハナノウエ」と呼ばれたに違いない。

[花の筵]…早い記録では「花筵」(明治22年)とあり「〜の〜」はなく、「ハナムシロ」と読んでいたようである。その意味は、「花見に使う筵、転じて花見の宴」また「一面の咲きそろったさまを筵に見立ること」という。
 鳥居氏は「筵」を「エン」と読んで「宴エン」の意味とされたが、そこまでせずともよかったようである。
 ところで「花の宴」という品種がある。これは源氏物語の第八巻の名から採られたものだろう。これと「花の筵」との関係には氏は言及されない。

[芙蓉]…「芙蓉はアオイ科の花で、中国では最高級の花とされ、美人の形容でもあった」とされるが、いろいろ誤解があるようである。芙蓉は蓮の別称で「蓮美人」と称される。また中国で最高級の花は「牡丹」で「百花王」ともいわれる。白い「芙蓉」の咲くさまは牡丹に似なくもない。