「出掛けたい」との家人の要望で信楽から伊賀上野に車を走らせる。しかし出遅れたので、伊賀は無理と、「陶芸館」に向かうことにする。
 信楽は何年か前と較べて人が少ない、観光客の姿をあまり見かけない。陶芸の専門店でも店を閉めてしまったところが目につく。
 先ず腹ごしらえと、蕎麦の「黒田園」に行くも、ここだけは人がいっぱいでかなり待たねばならなさそうなので、今回は蕎麦をあきらめる。
 
 陶芸の森「陶芸館」特別企画

     『 十 人 陶 色 』 The Colorful World of Ceramics

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  *滋賀県在住の年寄りは無料だった

 今回の展示品は「陶芸館」所蔵の国内外の現代作家のものが展示される。

 陶芸の基本は「用の美」で、「食物の着物」と言われている。魯山人、富本憲吉、浜田庄司などなど。
 その一方で「用」を外した美術作品が、出展の大半を占める。それは重く大きく、強い自己主張の塊である。これらは新たな作り手が次々加わって新作が世に出てくる。それを美術館は収集し、保管、展示をする。平和な日本が百年二百年と続くようなら、どの美術館も作品で一杯になってしまうであろう。その時には作品の選別が行われざるをえない。その時どれが淘汰されるのであろうか、そんなことをふと思ったことであった。
 ところで私が吃驚した作品がある。十二代三輪休雪の「LOVE」である。壷から赤い液が流れ出る姿を写したもので、生々しい赤色が印象的であった。それにしても萩焼の茶道具を作る家元が、伝統から飛び出して自己を解放するエネルギーとしての振る舞いに、私は驚かされた。