日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2008年04月

桜草花壇作り

 我家の花壇は桜草用の小屋組花壇である。棚は五段で、7・8・7・8・7鉢の全37鉢

で構成する。鉢は丹波香炉型六寸なので、一段に8鉢として千鳥に置くと窮屈に過ぎる。鉢

の詰めすぎはよろしくない。

 先ずは飾る鉢探し、花茎が4本とも高さがほぼ揃っているものを取出す。鉢は地面に直に

置いてあるので土で汚れている、これを束子で水洗い。

 次に花茎の歪みを直す。株元にへらを入れて思いの方向へ傾ける。土の空いたところには

培養土を詰める。歪みがきつい場合には、竹串を使う。これをまっすぐに鉢底まで差し込

み、テープで茎を固定する。ここで十分水をやって一晩休ませる。

 翌朝写真を撮る。私はなおリバーサルフィルムーエクタクローム64を使っている(残念な

がらコダクローム25が手に入らない)。

 ここから花壇に並べる、あるいは入れ替えをする。うつむき加減の花は上段に、受け咲き

系は下段にと振り分ける。その上で、色・花形・咲き方が重ならないように注意する。

 最上段ー心意気、香炉峰、丹頂、玉孔雀、花筏、荻の上風、紫宸殿

     月天心、極光、桃の里、白珠、桃の盃、酒宴の床実生、駅路の鈴、雪の肌

      (省略)

 今年の我が花壇は、いままでで一番水準が高いようである。が、あまり見に来る人はな

い。自己満足で終わらせたくないのだが……            

  ※これを見た人は『日本桜草』

      http://blog.livedoor.jp/yamaharasakura/

     をも参照されたい。

                                  (山原茂)

桜草ヴィールス病の蔓延

 我家の桜草は、肥当りを起こしていた鉢も何とか持ち直して咲き始めている。4本植で、

花茎も4本上がり、花がほころび始めた時、その1本の花ににヴィールスによる症状が現れ

たときはがっくり来る。それが今年は何鉢にも及んでいる。

 ヴィールスは桜草とはつきもののようで、緑の斑が入るのはヴィールスのせいであるとい

われている。あの「青葉の笛」も緑が入っているから可愛いので、それがなければ見所はな

い。

 ところで、ヴィールスによる典型的な症状は以下のようである。

  ・花全体が萎縮して、ゆったりと柔らかな風情にかける

  ・花びらの先が不整形となる

  ・花びらのあちこちから突起が出る

  ・白目の品種では、目流れ状を呈することもある

 実生の新種を別にして、桜草の大概の品種はヴィールスに罹患していると考えていい。と

いっても必ず発症するわけではない。神経細胞に潜むヴィールスがある日突然悪さをする人

間の帯状疱疹に似ている。

 「出物腫物所嫌わず」で、いつ発現するか分らない。同じ鉢に植わっていても全部の花に

発症するわけでもない。これはあきらめるより仕方がないか。

 ただ症状の発現し易い品種、しにくい品種があるようで、耐性のある品種を増やすのも一

つの行き方かもしれない。

 罹患していても発症しないか株、つまりどういう条件ならでヴィールスが休眠するのか、

誰か研究する人はいないだろうか。                         

                                 (山原茂)

奈良国立博物館ー天馬展

  特別展 『天 馬』

        〜シルクロードを翔ける夢の馬〜

 「天馬」という主題で日本で展覧会を開くとは少々無謀かなと思いつつ、雨の中を出かけ

る。平日なのでさすがに人は少ない。


 [第一章 天馬誕生]

 「有翼鷲頭像レリーフ」…天馬の起源は有翼獣であるという。よく思いついたものであ

る。これはBC.9C新アッシリアのもの、大きくて鮮やかな浮彫り。

 「スフィンクス形飾板」…頭は女性、身体はライオン、そして翼がある。象牙製。

 「狩猟文飾板」…ここにきて有翼の馬ペガサスが生まれる。


 [第二章 ペガサスの飛翔ーギリシャ・ローマ世界]

 「ペガサス型飾」…MIHOの小さなペガサス、浮いた血管まで精細に。

 天馬は、目が合ったものを石にするというメドゥーサの切られた首の血から生れ出たとい

う。ギリシャ神話の世界で活躍するが故に、アンフォラの壷(黒像式、赤像式)の絵に登場

する。BC.6・5Cにすでにこんなに流麗な線が生まれているのは驚きである。金銀貨にも支

配者の顔とともに天馬が表されている。


 [第三章 天馬東走ーアジアの空へ]

 天馬の図形がシルクロードを通って東の世界ーササン朝ペルシャやガンダーラーに移され

ていく。そして西方に伝搬した絹織物ではあるが、その模様には西洋起源のものも多く採ら

れている、唐草文しかり。

 「有翼馬文錦」が幾つも展示される。そのなかの圧巻は、

 国宝「四騎獅子狩文錦(法隆寺)」である。こんな大きな布が無事に伝わっているのは奇

蹟に近い。

 天馬だけでなく、馬その物の作品もある。

 ペルシャの「帝王狩猟文銀皿」、さらに唐の「狩猟文六花形高脚杯(白鶴美術館)」があ

る。後者は小さいものながら、まことに手の込んだ文様が刻まれ、品格が高い。


 [第四章 天馬を夢見てー東アジアの天馬]

 中国では前漢の時にすでに天馬というか有翼馬が様々な動物とともに見出される。甎では

型押が使われていた。

 茂陵の「鍍金馬」が来ている。武帝のの求めた汗血馬なのであろう、精悍な体躯。

 唐の三彩馬がある。墓に納めるために型でたくさん作られたようだが、それでも生き生き

とした表現は出色。

 北朝の「石棺床飾板」がある。そこに有翼鹿、有翼馬、有翼羊が並ぶ。これを見るとMIH

Oの棺床屏風を思い出す。そこには天馬はないが、騎馬像がたくさん浮彫りされていた。

 国宝「竜首水瓶(法隆寺献納宝物)」…異国情緒たっぷりの動きのある天馬が線刻されて

いる。さすが国宝。


 [第五章 仏教と天馬]

 国宝「誕生釈迦仏立像及び灌仏盤」…花祭りの道具である。盤の外側に天馬が線刻されて

     ある。

 「絵因果経」…空を飛ぶ馬が描かれる。

 「一遍聖絵」…那智の滝の図の上部に馬が描かれている。なぜここに馬なのか。滝の本地

   

仏である馬頭観音を表してあるといわれる(黒田日出男『絵画史料で歴史を読む』)


 [第六章 神の前に駆けるー競馬の文化史]

 省略

 日本で天馬などどうなることかと思っていたが、ルーツから東伝、そして日本への流れが

見事に組み立てられていた。すぐれた取組であったと思う。       (4.23)

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奈良県立美術館ー浮世絵展

 特別展 ミネアポリス美術館秘蔵 『浮世絵展』

 浮世絵の展覧会が続く。展覧会となると良い作品が選ばれるのだろうが、やはり浮世絵は

美しい、日本人の心にピタリとはまる(西洋に多く所蔵されるということは、彼地の人もそ

の良さが理解されているのだろうが)。

 ただこの浮世絵もどれほど作られたのであろうか。不明にしてその数を知らない。諸外国

にも多く所蔵され、その実数がつかめないのだろうか。

 今回はUSAのミネアポリスからやってきた浮世絵である。所蔵の3000点の中から厳選され

た245点という。それが前後半に分けて展示される。今日は前半の部である。

 初期の鳥居清信のものがある。四人の役者絵「開闢月代曾我」…ゆったりとした墨線で、

日本人らしい胴長のフックリした人物像をつくっている。

 奥村政信「娼妓画牒ー和国」…後ろ向きに坐る女、身体は左に開き、顔は右を向く。なま

めかしくエロティック。

 鈴木春信がある、十数点も一度に見るのは、画集以外では初めてである。彼は錦絵という

華やかな色の世界を生み出しただけでなく、新しい人物像も創造した。はかなげで優しい顔

つき、ほっそりとした7等身の身体、楽しい小道具立て、見立の一ひねり、どれをとっても

新鮮という他ない。

 座舗八景「行灯の夕照」…繊細さがよくでる。

     「塗桶の暮雪」…真綿のふんわり感をきめ出しで。紙の厚みが生かされている

 「見立牧童」…何に見立ててあるのだろうか。

 「三味線を弾く男女」…寄添った男女が、二人で一つの三味線を弾いている。男の肩から

袖への直線が画面を二つに分けている、珍しい構図。

 春信の絵は優しく優美であるが、これが実現できたのは高い技を持った彫師・摺師がいた

ればこそであろう。

 勝川春章「沢村宗十郎と大谷広次」…役者絵だが、春信のように繊細。

 鳥居清長は少し下膨れの清長美人を生み出下。細面ですらりとした背の高さは理想の女性

像であろうか。

 「四条河原夕涼躰」…三枚続きで、それぞれ三人の女性が居るリズム感のある構図。特に

ユニークなのは、帯を境に上と下とで色違いの着物をきている人がいる。

 窪俊満「六玉川」…それぞれの玉川に一枚宛、都合六枚が一揃え。    

 歌川豊国「岩井半四郎の助六」…団扇絵。赤・黄・緑の色がよく残り美しい。

 喜多川歌麿「画本虫撰ー蛇とかけ」…見事な写生。

      美人画がたくさんでている、目のつり上がった歌麿美人。

 写楽「市川鰕蔵」…よく知られた作品を目の当たりにすることができた。迫力あり。

 国芳…いろんな要素のてんこ盛り。

 北斎「壬生狂言」…春朗時代の写実的な顔がいい、これが北斎漫画につながるか。

   「元禄歌仙貝合 あわび」…金に糸目をつけず作った摺物だけに手が込んでいる。

          そこここにぼかしが用いられている。

   「百物語」…図案・構図・鮮やかな色の組合せ。富士さんよりも面白い。

   風景では「諸国瀧廻り」の下野・黒髪山が好きである。

 広重もやはり構図と色の対比が抜群である。切手にもなった「月に雁」が出ていた。

 今回の目玉は何といっても春信であろう。その半分が後半に見られるという。まことに楽

しみである。

桜草の開花が進む

 19〜23日まで好天に恵まれ気温も上昇したため、一気に花が咲き始める。ただ急な温度上昇で、蕾から開花

までの時間が短かく未熟な花に終わる可能性が心配。

 培養土に混ぜた油かすの未熟な醗酵での肥料負けの影響はなお残るものの、少しは改善されつつある。黄ばん

だ葉のままで健気にも咲いてくれるものあり、一方でイビツな姿をさらしているものもある。

 また出芽のときの根の故障は、花芽の異常をも引き起こしている。蕾の萎縮、花弁異常などである。

 肥料耐性の強いものは黒々と育っていて,施肥の効果がはっきり現れている。

 つまるところ元肥の十分な醗酵が何にもまして改善しなければならないところである。

 新たに我家にやってきた実生新花の評価がなやましい。一目見て今までの品種と違うというものは、そうざら

にあるわけではない。何か良い点を見出したいのだが。

 21日に展示小屋を組み立てる。どんな品種がここに納まるやら。

長居展示最終日

 20日は長居公園での展示最終日、蕾のものまで出展せざるをえないまま初日を迎えたのだが、ここにきてやっ

と何とか咲き揃う。

 ここ数年で一番ましな展示となった。天候の加減もあったし、何よりも新しい展示小屋の役割が大きかった。

馬子にも衣装、花も段飾りにすると何と映えることか。

 そして最終日の恒例行事「日本桜草の作り方」の講習会がひらかれる。毎年同じパターンだが致し方ない。

  ・花の美しさとはどういうことなのか……それは瑞々しさにあり

  ・桜草のおもしろさとは……花の形・色・咲き方などの変化にあり

  ・桜草の栽培法

  ・桜草の栽培史 

  ・スライド上映…代表的品種、最近の実生新花、実生の系統変化、

  ・その他

    参加者は37名

                                           (山原茂)

大津市立歴史博物館ー楳亭・金谷ー再

 展示替えがあるので再び訪れる。目玉になる作品がそう多くはないので、替わってもあまり気付かない。

 [紀楳亭]

  「聖明燕遊図」…明清画そのままだが、修練のほどがうかがえる。

  「梅林山水図」…蕪村風に日本化された山水。

  「漁夫大鯰図」…大きな線描きの人物がユーモラス。

  「蓬莱群仙図」…こちらは重厚に描き込んである。

  「柳蔭納涼図」…画面いっぱいに三本の枝垂柳で、近代的。

  「春社図」…四条派をも学んだか。

 [横井金谷]

  「鍾馗大臣」…太い力強い輪郭、顔は細かく。

  「蜀道積雪図」

  「南廬三顧山水図」…上の積雪図とともに一対になっているように思うのだが如何。

         独特の描き込んである山水。

  「四季山水図・四幅」…墨の力強い黒さの一方で代赭色が映える。 

  「田子浦富士図」…雲の様子など近代的。

 やはり蕪村・呉春に比べると……


 平常展では名品が展示されている。そこに俳人の書を集めた貼交屏風があるが、中に松尾芭蕉の書簡が出て

いる。翻刻されていたので、写しておく。

 [正秀宛]

 さまさま御懇志 筆二も言語難尽被存候 偏々貴境旧里のことく二被存候間

 立帰り御やつかひ二成可申候 お袋様御懇意忝 熊御暇乞 不申達候間 能々

 御礼頼存候 先々 貴様御作意 殊之外上達候間、無御油断御勤 天下二名を

 いよいよ御ふるひ可被成候 先伊賀へ心指候間 追付又可得御意候 連衆へ

 能様二御申なし 被成可被下候 以上

    九月二十三日

 正秀様   はせを


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はじめに

 このブログは『日本桜草』というブログを継承しています。これはよんどころない理由で記

入が出来なくなったために新たに作製したものです。よければ『日本桜草』をも参照くださ

い。美術館・博物館鑑賞、日本桜草の栽培記録などを載せています。
 
 http://blog.livedoor.jp/yamaharasakura/

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