日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2009年02月

植付け終了

 今日でほぼ桜草の植付けを終える。あとは落ち穂拾いのみ。2週間でと踏んでいたが、雨

での休みをも含めて予定通りの進行であった。しかし出芽の動きが早く、追い立てられるよ

うに作業をせざるをえなかった。

 残念ながら今年も3品種を絶やしてしまった。特に「紅女王」を失ったのは痛い。早いと

こ誰かに譲ってもらわねば。

 作った鉢数

   丹波6寸ー673鉢  丹波5寸−36

   プランター大−13 プランター小−25 駄温5寸−26

   ポット?

 展覧会用のポットは結局90作ることが出来た。このうち幾ポット長居公園に飾れるか。

 私は植付けその他の園芸作業は素手で行っている。このところの寒暖の差が激しく、霜焼

けが治らない。それが少しましになったと思えば、今度はあかぎれが始まった。いまの私の

手は何とも無様な状態である。

大阪市立東洋陶磁美術館ー濱田庄司展

 このところ濱田庄司の作品に出会うことが多い。大山崎山荘美術館ではたいがい常設さ

れている。少し前は吹田の万博公園にある大阪日本民藝館で特別展があった。もう少しす

ると大山崎山荘美術館でも特別展示が始まる。

  特別展『濱田庄司/HAMADA SHOJIー堀尾幹雄コレクション』

 いつもは高麗青磁の名品が並ぶ展示場にこのコレクションが並ぶ。

  「柿釉抜絵角皿」…格子の区切がさわやか。

  「青釉白流描皿」…得意の青釉が美しい。

  「黒釉錆流皿」…黒々と光る。


 [壷]

 様々な色・形が試みられる。やはり私は柿釉が一番好きである。「掛分指描壷」は指で

蝋を引いて釉を抜いてある。沖縄で学んだ「赤絵」が華やか。「藍塩釉壷」はやや異質。


 [茶碗]

 堀尾コレクションの中心でもある。ここに57碗もある。様々な色・形がある。やはり

地元の土が優先で、志野もなく、楽も一点のみ。地釉(じぐすり)を用いた灰黄土色の釉

ではたいがい下部にカイラギ状を呈する、ねらったものか。   


 [その他]

 皿・鉢・飯茶碗・茶碗・茶器・小皿・紅茶器一式・盃・湯呑みなどなど


 まことに200点に及ぶ大コレクションだが、これらは堀尾氏によって実際に使われたも

のという。ここ美術館に寄贈され、鑑賞の対象となってしまったのはしかたがないか。

 最後に軸がある。

    昨日在庵

    今日不在

    明日他行

       庄司



大阪難波高島屋ー細見美術館展

 そんなに規模の大きな美術館ではないのだが、小粋な内容と展示で楽しませてくれるの

が京都の細見美術館である。ただ狭い敷地を有効に利用するため、階段の上り下りがある

のはしかたがないか。

   細見美術館開館10周年記念展

      『日本の美と出会う』

         ー琳派・若冲・数寄のこころー

 細見美術館には何度も足を運んでいる。その主なところはすでに拝見してるつもりであ

る。しかし良いものは何度見ても感動を新たにするもの、今回は10周年ということで、

どれほどのものを見せてもらえるか期待して出かける。京都の高島屋でも大阪に続いて展

示されるが、待ちきれなかった。


 [琳派の花づくし]

  〈典雅な京琳派〉

    宗達・光悦の「扇面」「色紙」  

    宗達の「藤原仲文」

         花さかぬ朽ち木のもまの杣人の

               いかなるくれに思ひ出づらん

    渡辺始興「白象図屏風」…ゆったりとした太い輪郭線。金砂子をまく。

    光琳の「香包(柳図)」「墨竹図」

    芳中の「白梅小禽図屏風」「立葵図扇面」

    雪佳の「金魚玉」「色紙貼屏風」

       「四季草花図二幅」…白い桜草2株あり。

       「四季草花図屏風」…近代的でしかも華やか。


  〈江戸琳派の洗練〉

    抱一の「松風村雨図」…25才での肉筆美人浮世絵。

       「紅梅」…添い遂げた小鸞との初春の合作。

    其一の「雪中竹梅小禽図二幅」…雪を描き残して白く。小粋。

    鈴木守一、酒井鶯蒲、沖一峨、山本光一などなど。


 [若冲と北斎と江戸絵画の世界]

    *少し妙な取合わせ

  〈若冲と自然へのまなざし〉

    「群鶏図」「蝦図」「伏見人形図」など。

    『糸瓜群虫図』はやはり他を圧する。   

    「鶏図押絵貼屏風」…伝若冲とあるが、印が巧妙に似せてあるのだろうか。

    「花鳥図押絵貼屏風」…墨の濃淡の妙。

    応挙「若竹に小禽」

    森狙仙「猿図」…祖仙と署してある。

    芳中「初夏山水図」…花鳥画の芳中にも山水があったのである。

    大雅「児島湾真景図」…点描で描く。

    「東山名所屏風」…1596年の方広寺大仏の崩壊以前の姿を残す。

    「江戸名所遊楽図屏風」  

    勝田竹翁「観馬図屏風」…誰か身分の高い若者の元服記念に作られたものか。

                上級武士の衣装が華やか。


  〈北斎〉

    「夜鷹図」

    「五美人図」…画中群女顔催靨 画外一夫口出涎

           君のため目に正月としたれ共 

               こころに起す盆々煩悩



 [数寄の美とかざり]

 茶釜4点、利休掛物、茶碗、鉢(志野、織部)、足利義持「騎驢人物図」、

 根来器物

 最後に『男女遊楽図屏風』…彦根屏風に並ぶ美しさ。


 オールスターパレードと思ったが、ここに出ていない名品もたくさんあり、今また本館

でも展覧会中だし、細見の凄さを垣間見せてくれたというところか。

   

私の実生花が選定佳品に

 私の実生新花である「光る雪」と「標野行」が、東京の「さくらそう会」の選定佳品に

選ばれたと、知人からの知らせにあった。私は「さくらそう会」の会員でもないので、試

作のために苗を提供したこともなく、選ばれるはずがないのにである。当然私への連絡も

ない。向うがかってに選んだというだけのことなのだが、私としては戸惑うことしきりで

ある。

 というのも、なぜ「光る雪」を選んだのかということが解せない。この花はもう30年

近く前の実生花で、今頃取り上げられるような新味はない。これを母体に同じ花容で豪華

な「雪野山」が出来ていて、すでに「光る雪」は過去の花になっている。私のところでは

見本として置いてはあるが、外に出すことはない。

 選定された人々は、他の多くの優秀な新花を差し置いて、「光る雪」のどこを良しとさ

れたのであろうか。まさか浪華さくらそう会の会長である私に敬意を表して選んだわけで

もあるまい。私の判断と大きく乖離している。

 そもそも美醜の判断評価などまことに個人的なもので、しかも時代や社会状況に制約さ

れる。ゴッホやモディリアーニなど生前はたいして評価されなかった。逆に生前はもては

やされながら、死後には顧みられない画家のいかに多いことか。いまの価値判断が長く続

くとは限らない。「さくらそう会」があえて会としての価値判断を示されているのは、こ

の常識への挑戦なのであろうか。

 さて、東京の「さくらそう会」の認定や選定佳品の品種は、或はそれに外れたものは、

100年後にはどうなっているのであろうか。そんなことに係わらず、人々の好みにした

がって作られていくであろう。

 とにかく「光る雪」は推奨されるほどの品種ではないと、作者は思っている。

                                  (山原茂)

植付け 7

 25・26日と植付けを続ける。

 晴れると日差しは暖かく、作業には楽だが、土の中で随分と伸びた芽を植付けるのは気を

遣う。

 初期の頃はどんな芽も大事にポットに植えたものだが、植付け方は手抜きをしていないも

のの、もう今の段階になると小さな芽はどんどん捨てていっている。野放図に鉢やポットは

増やせないし、早く植付けをすませる方が優先する。私もモッタイナイと思うものの伸び出

してしまった芽は如何ともし難い。

 あともう2・3日天気がもってくれればいいのだが、明日は雨の予報でお休みの予定。

桜草栽培史30 江戸期新資料『隻盧輪』

 竹岡泰通氏が発掘された桜草に関する資料を紹介する。浪華さくらそう会誌43号に載

る。

 『隻盧輪』 田中千梅  宝暦三年(1753)刊

        ※田中千梅は、先祖は近江辻村出身で、江戸は深川の鋳物師、蕉門千那 
        の門人

   三月

   一 桜草

   花色トモニサナガラ桜ニ似テ甚タ小シ コノ艸 花肆ニ一株数茎アルモノ小キ陶器

   ニ植テ売是也 好事ノ者実植ニテ数種異花ヲ出ス 或ハ紫絞リ薄紅白花ノモノ有リ

   花モ大ク銭ノ如シ 九輪艸七重艸ト云モ此類種也


            ※出典『近世後期歳時記本文並びに総合索引』

  江戸で桜草が鉢植えにして売られている。ただこの株は自家増殖したものか,それ

ともどこか自生地から掘りとって来たものか分らない。そして「実植」という文字も出て

いて、実生記事の嚆矢のようである。その色変わりは『地錦抄附録』などとと同様であ

り、後世の品種物とは結びつかないと思われる。

植付け 6

 22・23日と植付けを続ける。

 埼玉の宮崎三千男氏より実生新花を送っていただく。

    絵鑑ー春告鳥×菱袴1996

    玉の簪ー春告鳥×玉珊瑚1998

    藤紫ー春告鳥×松の位2001

 昨年頂いた「四方の春」「面影」はともに優美な垂れ咲きで、私のところにはない雰囲気を

持つ。私のところではこのところ実生の成績は芳しくなく、こちらから送れないのが残念

である。

 植付けの様子を写真に撮っておく。講習会用にと思っていたのだが、総会でも使えるだ

ろう。

 4寸プラ鉢の整理をする。私のところでは小さい鉢の成績が大変悪い。それなりに気を

つけて夏の水やりもしているのだが、消えてしまったり小芽になったりと散々である。小

さいビニールポットで作られている方はどんな風に夏越しをされているのか教えてもらい

たい。

美術館「えき」KYOTOーロベール・ドアノー写真展

 戦後から70年代までのパリの風俗写真である。時代の一瞬を切り取ってまことに分り

易い。ただ年代をしっかり押さえないと間違ったイメージを持ってしまうだろう。

     ロベール・ドアノー写真展 『パリ・ドアノー』

 「ピェレット・ドリオン」…流しの美人アコーディオン奏者を追ったもの、安食堂での

     一輪の花といったところ。

 「絵を見る人々」…娘の裸体の後ろ姿の絵が画廊にある。それをガラス越しに眺める

     人々を写したもの。10枚組。

 「ディナ・ヴェルニー」…彫刻家の彼女が自作の裸婦像の据え付けに立ち会っていると

     ころ。ともに立派な体格。


 [3つのキス]

 「ヘルメットをしたキス1966」…渋滞する自動車の群の中で、オートバイの2人。

 「パリ市庁舎前のキス1950」…パンフレットにも使われた著名なもの。

 「かかんで口づけ1950」…荷車の中の彼女と。


 [パリの子供たち]

 どこの国の子供たちも同じ。時代による差を見たい。


 [コンコルド広場のカメラマン]

   裸婦を見る人を写したように、素人カメラマンを写す。


 [コンコルド広場の歩行者たち]


 [オートクチュールの内幕]

 ココ・シャネル、ラクロワ、ジヴァンシー、ランヴァン、ディオール、サンローラン、

コルティエ達。それに更衣室のモデル達。いまのモデルとだいぶ違う1958。


 [下宿屋]

    ビルの全景に各部屋の写真を貼付けてある。アイデアの勝ち。


 [パリの犬達]


 [街角の女]

    人を待つ、成功、部屋へ……


 [よき息子良き兵士であったパリの少年のありふれた話]

    町中の彫刻でストーリーを構成したもの。誕生から青年まで。
 

細見美術館ー萌春の美

 国立近代美術館で何やら訳の分らないものを見た後の口直し、華やかな日本近世の世界を

堪能する。

    『萌春の美』

 重文『豊公吉野花見図屏風』…今回の目玉作品。

     ‘文禄三年甲午二月二十五 大坂出立 作り髭、眉作らせ 鉄黒なり’

     歴史の一齣を壮麗な屏風に描き留めたもの。今日ならさしずめ写真・VTRで記録

     するところであろう。秀吉が輿に乗って進む。左右には着飾った供奉の人々(大

     名)がいる。本殿の前には秀吉の家族が出迎えている。コノ行列を中心に、宴

     席、宴の準備等々当時の風俗が緻密に描かれている。宴席を飾るものとして提重

     や染付けの大皿が見える。400年近い昔の姿が生き生きと眼前にある。すぐれも

     の。

 「北野社頭図屏風」…若衆がたくさん描かれている。娘衆との出会いを楽しむ風も見て取

     れる。

 酒井抱一「立雛図」

        けふさらによそふひゐなのとのつくり

             遊ぶおとめのやよひまちゑて
  文詮僧都

 鈴木其一「立雛図」…菜の花、蓮華で男女の雛を。

 鈴木守一「立雛図」…菜の花を笹の葉でくるんだ姿に作る。


 [梅]

 光悦・宗達「月梅下絵和歌扇面」

        曇れかしなかむるからに悲しきは

             つきにおほゆる人のおもかけ
  八条院高倉

                          (新古今1270)

 宗達「墨梅図」 

 鈴木其一「梅椿に小禽図」…江戸琳派のしゃれた一品。


 [椿]

 神坂雪佳「椿に菫図」


 [桜]

 酒井抱一「桜に小禽図」…最晩年の作という。

       剪雲彫雪下瑶空 綴向蒼柯翠葉中

       晉代桃源何足問 蓬山異卉是仙人風


                    亀田綾瀬

 鈴木其一「月次花鳥帖面」…三月は桜草。

 酒井道一「桜に白鳩ず」…鳩を描き残して白に。

 能装束「白地吉野龍田文様唐織」…ここにも桜と紅葉が同居している。

 宗達派「忍草下絵…」…桧の葉を版木変わりに用いた文様。

 神坂雪佳「百々世草」…まことに独創的な驚きのデザイン。


 [雛飾り]

 享保雛、古今雛、御殿飾り、立雛、描き雛など

 狩野永岳の描き雛は水墨に淡彩

 雛道具の中に三弦合奏の楽器がある。ここでも尺八ではなく胡弓となている。



 
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京都国立近代美術館ー椿昇展

 ここしばらく近世近代の絵画ばかりを見ていたようなので、現代物の作品をもという気

持ちで、ここ近代美術館に出かけた。

    椿昇2004−2009

      『GOLD/WHITE/BLACK』


 入館そうそう、巨大な風船様のモニュメントがある。ICBMを模したものという、中に

空気を入れるためのモーターがうなる。張り子の虎という意味か。

 3階に上がる。金採掘労働者(黒人)の大きな肖像写真がズラリと並ぶ。富の象徴の金

が貧しい労働者の労働よって成り立っているということか。四角柱の上面に、上からの照

明で腐食?された面が金色に輝く。これも幾本も立ち並ぶ。

 中央の部屋では、バングラデシュでのお祭りで、牛が犠牲にされる場面を3つの画面で

映像として写し出される。あまりに生々し過ぎるのか、刃物を入れる場面は省かれてい

る。しかしこれは何なのか。

 一方、宇宙ステーションを模した巨大画面が並ぶ。パレスチナに取材したというのだ

が、これも何だかわからない。

 せっかく来たのだが、何の予備知識もなしにこれらを見ると、何が何やら分らない。美

しくもないし、メッセージも伝わらない。何が言いたいのだろうか。入場者も極めて少な

い。あの広い会場で出会ったのは10名もいただろうか。

 さらに情けないおまけがついた。ロッカーに折り畳み傘を置き忘れたのだが、後で気が

ついて戻ってみるともうなかった。受付にも届けられていなかった。好きな傘だったのだ

が、大事に使ってくれればいいのだが……
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