日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2009年11月

京都市美術館ーコレクション展…儚きもの

 この美術館の年に数回催されるコレクション展は、私にとって楽しみの一つである。主題にそって、

まことに多彩な作品が選ばれる。しかもすべて館蔵品からで、また大きな展示会の出品作である場合

が多く、各画家の代表作が揃う。

 入館者も少なく、ゆっくり鑑賞できるのが有難い。それにしてもつい先頃行われた「ルーヴル展」で

は61万人の入場者があったという、それに引替え………


   京都市美術館コレクション展第三期

        『儚きもの』


 [1、生命の瞬き]

 番浦省吾「陽と菜」…彩漆作品。渋い素地、金の太陽にカボチャとトウモロコシが。

 登内微笑「安佐我保」…白と青の朝顔が清新。

 金島桂華「芥子」…芥子を描いた作品は数多いが、これはそのなかでも出色。ただエネルギッシュで

     妖艶で、吸い込まれそう。

 三浦景生「花菖蒲」…何度も展示されて馴染みのもの。赤と青の取合わせが絶妙。


 [2、天空のうつろい]

 鈴木表朔「漆器棚引棚」…棚などは直線で構成されるのが普通だが、ここには曲線が用いられ、柔ら

     かい雰囲気を醸している。

 秋野不矩「草原落日」…インドの風景。

 小野竹喬「夕雲」…茜色の空をバックに、葉を落とした木々の梢をえがく。どうして竹喬展にでてい

     ないのであろうか。類画がおおいからか。

 皆川月華「社交服 輝雲彩波之図」…まことに派手やかな着物で、誰が着こなしたものやら。


 [3、形なきもののかたち]

 菊池契月「供燈」…しっとりとした風情だが、画面いっぱいに女性を写すというのも珍しいか。

 松本一洋「送り火」…少女三人の可愛らしさだけで、物足りない。

 梶原緋沙子「いでゆの雨」…単なる風俗画になっている。

 斎藤眞成「ヴェトナムの炎」 

 川北霞峰「温泉場のほとり」…さわやかな緑に赤い岩。鮮やかな色の対比で、こんな明るい日本画も

     あるものかは。

 番浦省吾「潮文の貌」…色合いのよさとリズム感。

 皆川月華「染彩繍 波濤図」…ほとんど抽象の陽。これも色とリズム。

 小牧源太郎「壁画十一面観音像」…チベット絵画のよう。

 池田遙邨「寂」…波に浮かぶ骸骨、そこに烏が一羽。これは何なのか。


 [4、光と影 水への反映]

 上原卓「残光の谿」…蛇行する川を俯瞰する。川の色の変化、光と影と水。

 上村松篁「池」…池のなかの河骨の花を描く。

 福田翠光「篝火耀映」…太陽に反射する波、鵜2羽。

 秋野不矩「裏町 カルカッタ」…つらなく家屋が川面に映る。


泉屋博古館ー富岡鉄斎

 この館所蔵の鉄斎作品展がかって行われたことがあるというのだが、それが再び催されている。

   住友コレクション『 富 岡 鉄 齋 』

              ー墨に戯れ、彩に遊ぶー

 17年前の図録がそのまま通用しているのである。これは購入。

 鉄斎の作品は万を持って数えられるといわれ、全部を見ることはかなわないが、鉄斎美術館は別格と

し、ここでは粒揃いのものがまとまって見られる。ただ代表作・大作というものはないようである。

 それにしても毎度のことながら、一点一画もゆるがせにしないこの館の展示技術は見事いう他ない。

 「奉慶画扇 富士山図」…皇太子御成婚(昭和天皇)の献上品という。さすがに品格高く、親骨は螺

     鈿仕上げ。裏は都良香の富士山記が記される。しかし献上品がなぜここにあるのか。

 「賀茂真淵増」「孝女曽与像」「松尾芭蕉像」「塙保己一像」が並ぶ。あっさりとした風俗画風、60

     歳代の絵。

 「掃蕩俗塵図」…山中での閑居の図だが、82才にしてこれだけ描き込まれている。歳を取っても集中

     力が全く衰えていないのは驚くべきことである。ピカソなど足もとにも及ばない。

 「漱老謔墨帖」…小さな冊子で、中国の故事説話から21図を手遊びで楽しんで描いたという。61才

     の作だが、後年の自在な人物像がすでに表れている。「李白月下独酌図」が開かれている。

 「胎笑大方」13握…女性用の花を描いた小振りの扇子もある。「梅月双清図」「寿老人図」がいい

     か。「桔梗図」は琳派そのもの。

 「利市三倍図巻」…“自分の作品をもらいうけた人が多くの利益をうるならばそれでかまわない”とい

     う意味の題名。目の詰まった高級な絖に中国の民衆風俗が描かれているという諧謔。

   [乾]の賛に“明の墨はいいのだが、すでに歳を経て膠も脆くなり色もよくない〜金冬心が羅小華

    の墨を砕いて膠をくわえて新たに作った物がある〜この墨を蔵しているが、これが本物かどう

    か分らないが、これを使って描く〜”とある。

   [坤]の識語に“余有疝痛之微患 不能為揮毫者数月矣 偶得少快 漫然写此 以為一楽 固不計

    巧兼拙也 明治三十八年一月大寒月 於桃花僊館 鉄齋老人并識”とある。

 彼は墨使いの大名人である。

滋賀の文化財講座ー打出のコヅチ第6回

 前回の5回目は諸般の都合で出席できなかった。今回も仕事が入っていたのだが、うまい具合に曜日

変更があって、参加することが出来た。


   打出のコヅチ第6回は

      『滋賀県新指定文化財説明会』

 建造物2件

 「三尾神社本殿 一棟」   

   この神社はもと園城寺の鎮守社の一つであったが、明治になって分離されて現在地に移された。

   もう一つの鎮守社であった国王の「新羅善神堂」とほぼ同じ時期に建てられたもので、同様の価

   値があると見ての指定という。

 「有川家住宅 六棟」

   中山道鳥居本宿の有川市郎兵衛家は和漢健胃薬「赤玉神教丸」の製造発売元として知られてい

   る。その主屋以下六棟は江戸後期に断続して建てられたもので、大店の商家の風格をたたえた作

   りという。

 美術工芸品ー絵画

 「絹本著色熊野曼荼羅図 一幅」…錦織寺

   曼荼羅であるが熊野三所権現を中心とした熊野神で構成されたもの。熊野曼荼羅としては最古の

   ものといわれる。この図にも那智の滝の横に白馬が描かれている。これは『一遍聖絵』の那智の

   滝の箇所にも登場するもので、滝の本地仏である馬頭観音を表したものといわれる(黒田日出男

   『絵画史料で歴史を読む』参照)。ボロボロになっていたものを修復なっての指定である。

 「絹本著色八相涅槃図 一幅」…浄光寺

   高田敬輔の代表的な大作である。通常の動物たちとともに、淡水魚である鯉、鮒、鯰、亀、蟹な

   どが描き加えられている。また描き表装になっている。


 美術工芸品ー彫刻

 「木造僧形神坐僧 一躯」…本隆寺

   平安初期の僧形神で、榧の一木作り。全体にバランスがよい。


 美術工芸品ー工芸品

 「銅鐘 一口」…下新川神社

   和漢混交鐘として最古のものといわれる。高さ40センチ余。かって紹介されたことあり。


 書跡・典籍・古文書

 「西河原遺跡群出土木簡 64点」

   この木簡の中に「貸稲」の文字有り。これは出挙の前身の制度で、日本書紀に一度出てくるとい

   う。

 歴史資料

 「里内文庫資料 16,056点」

   里内勝治郎が収集した資料群。  

 史跡

 「植遺跡」

   古墳時代の大型倉庫建造物跡

 「禾津頓宮跡」

   膳所高校の敷地内にあり。奈良時代中期の大型建造物跡で、聖武天皇の行幸に伴って作られたも

   のかもしれないと。

 名勝

 「有川氏庭園」 

   有川市郎兵衛家の建物が文化財となったと共に、その庭園も名勝に指定された。奥行きのある商

   家の庭として重要。


 天然記念物

 「西明寺のフダンザクラ」

   今の時期に咲く特殊なさくら。指定木および若木6本。


 公にまとめて発表されるであろうが、取り敢えず心覚えに書いておく。

安土城考古博物館ー修復の世界

 安土で大変珍しい展覧会が開かれている。普段は見ることが出来ない文化財の修復の様子を展示を主

眼としたものである。もちろん修復前のものは写真であるが、修復によっていかに甦ったか、さらに表

装と本画との色合わせ、バランスを変えることで、一段と絵のよさが引き立つ様子も示される。

 存立の危機に立たされている「琵琶湖文化館」ここにありと、その存在感をしめすものとなってい

る。

  特別陳列

    『よみがえった文化財

        ー文化館の収蔵品と修復の世界ー』



 「木造説相箱」…僧の什器を納めた小さい箱である。東大寺から流出したもので、さすがに漆塗り・

     金具などしっかりしている。金具の魚子紋は、一列に整然と打たれている。

 「紙本銀地着色桜秋草鹿図屏風」…鶏頭は若冲を思わせるユニークな形。八重の白芙蓉が描かれてい

     るが、実際には見たことない。

 「絹本著色薬師十二神将像」…かって「打出のコヅチ」で詳しい修復の講義を受けたその実物。元の

     写真では中折れ、擦傷、裂傷など満身創痍状態。それが見事に復活している。箱や太巻も新

     調されているが、旧の表装資料も大事に取っておかれている。

 塩川文麟「絹本淡彩樂山楽水図」…汚れが落とされて生き生きとしている。

 狩野常信「絹本著色新六歌仙図」…染みだらけ姿から、蒸留水・過酸化水素素溶液・日光などでク

     リーニングされて見違えり、さらに表具裂を少し濃いめにして絵を浮かび上がらせている。

     一部修理前の写真が反転している。

 円山応震「絹本著色琵琶湖図」…淡い作品に濃いめの裂が配されていたが、重い印象を受けるので、

     色・柄ともに控えめな裂の取り替えて奥行きが出たと。元の裂も展示。

 広瀬柏園「絹本墨画山水図」…表具裂の取合わせを変え、上下に長く、柱を半分にして、滝の長さが

     より強調される。

 中村竹洞「紙本墨画馬図」…裂を萌黄から藍に変えることで、馬の黒とよく会うように。

 中村竹洞「絹本著色花鳥図」…裂を変えることで面目一新。くすんだ紅色を使って斬新に。

 これらの作品は琵琶湖文化館でよく拝見していたものであるが、このように修復の前後を比較でき

て、鑑賞を深めることが出来たように思う。

 その他、修復の道具、紙、裂など見本として展示されている。

 また慈眼寺の「薬師如来坐像」の修復の過程も写真で見られる。建築物の修理の様子も大きな木材を

持ち込み、さらに考古遺物の修理の様子も展示されてある。

 それにしても、こんなためになる展覧会には大勢の人に来てもらいたいものである。

三木美術館ー東山焼

 東山焼は幕末に藩窯として始まった。主に他国への贈答・献上品として作られたようである。そのため

京都から陶工を呼び寄せて、染付、青磁など大変質の高いものが生み出されている。どの藩でも同じよう

なことをしたようで、滋賀では湖東焼が著名である。

 展示されている東山焼は大振りで、形も丁寧に作られている。染付に見るべきものが多い。よい絵付師

がいたようである。

 「馬文徳利」…群れる馬が流麗な線で描かれている。ただ馬ではなくロバかもしれない。

 「祥瑞写瓢形水指」…全く京焼の祥瑞と較べて遜色はない。堂々としている。

 「青磁滝鯉花瓶」「青磁蝶耳鳳凰文花瓶」…ともに浅く浮彫りした上に釉が掛けられている。

 東山焼は、焼かれた期間が短かく、また他国へ贈られたこともあって、このようにまとめてみることは

極めて珍しいことであろう。

 『内海敏夫展ー姫路の町並みー』が同時に開催されていた。懐かしい絵柄が並ぶが、ただそれだけか。

 4階は常設展。那波多目功一、牧進、上村淳之などあり。

兵庫県立歴史博物館ー沖縄・琉球の美

 姫路市立美術館から博物館に回る。

   『国宝 沖縄・琉球王国の美』

 沖縄の歴史・美術を視覚的・総合的に見るのは初めてである。

 沖縄というと、日本の一部というのだが、何となく異国情緒の匂いがするのは禁じ得ない。馴染みがな

いせいか。

 「聞得大君御殿雲龍金簪」…何とも大きな簪、金を内からたたき出したもの。

 すばらしい紅型の衣装が並ぶ。紅型は王族の女性たちや元服前の王子が着たという。朱・紫・藍・黄な

ど華やかな色合いのもの、一方では落着いた地味なものもあり、色とりどりである。また「枝垂桜文様」

のものもあったが、沖縄にそんな桜があるとは聞いたことがなく、ひょっとすると日本本土からその模様

が伝わったのかもしれない。というのも紅型は何となく友禅染に似なくもないからである。

 漆器は沖縄の代表的な工芸品であるが、良いものは外国への献上品として使われ、余り残っていないよ

うである。

 焼物は、日本や中国と較べるのは酷であるが、見事な緑釉の作がでている。

 国宝「壷屋焼 緑釉四方燭台」、「壷屋焼 緑釉嘉瓶」

 国宝「色絵紅葉文風炉」…形といい色合いといい極上。

 残念ながら国宝の王冠や衣装の展示は終わっていた。 

 その他歴史史料もたくさん出ていたが、ゆっくり読んでいる余裕はなかったので省略。  

姫路市立美術館ーベルギー美術の変貌

 秋の関西1ディパスを利用して姫路へ。私のところからJR新快速で1本で行けるが、2時間少しかか

る。駅から歩いて美術館へ。もうすぐ改修が始まって見られなくなる姫路城の雄姿が迫ってくる。高台

の上に建つのでより大きく見える。

 美術館の庭には彫刻が点在する。いま表面塗装がなされつつあった。やはりブールデルのものが力強

さに満ちている。美術館には私が一番乗りであった。


   コレクションシリーズ 象徴派から現代まで

     『ベルギー美術の変貌』

 この美術館の収集の三本柱は、郷土ゆかりの作品、国内の名品、ベルギーを中心とする海外の美術作

品である。姫路市がベルギーのシャルルロア市と姉妹都市となった縁もありベルギー関係の美術が集め

られている。

 美術・芸術は国に縛られるというものでもなく、ベルギー美術といっても、ヨーロッパ全体の芸術の

動きのなかで見ていくのが本筋であろう。ただ日本の美術界が食わず嫌いなのか、ベルギーの画家の大

半は見たことも聞いたこともない人が多い。


 [第1章 目の前にある「現実」]

 社会の近代化・産業発展のなかで生まれた労働者は貧困層を形成する。美術はこれをみすえる。

 レオン・フレデリック「チョーク売り」…籠を背負い赤子を抱いて坂道を歩む男の後姿。リアルに描

     かれえているので、侘しさが漂う。チョークが何なのか不明。

◯フェリシアン・ロッブス「古い物語」…仮面を手にもつ女性を描いた小品。小粋。

  *芸術村シント・マルテンス=ラーテムという美しい村での風景画が生まれる。 

 エミール・クラウス「レイエ川の水飲み場」…水の表面の小波を点描で。穏やかで暖かい。

          「フランドル地方の収穫」…麦の収穫で、ゴッホを思い出す。

 コンスタン・ベルメーク「波止場にて」…暗く重い画面。ヴラマンクのコテを用いた切り裂くような

     描法が使われている。

 レオン・スピリアールト「自画像」…まるで水墨画のような雰囲気


 [第2章 心の眼]

 現実には、ありのままを越える神秘性が潜んでいる。それを表現する象徴主義。

 フェルナン・クノップフ「天井画」…夢見心地のような天上画。

 ジャン・デルヴィル「ダンテ(レテ河の水を飲むダンテ)」…幻想的表現。

 コンスタン・モンタルド「寓意的な情景」…水辺で佇む人々を夢幻的に。

 フェルナン・クノップ「女性習作」「ヴェネツィアの思い出」…心ここに無しといった風情の女性。

 ジェームズ・アンソール「果物・花・裸にされた光」…淡く優しい光のしたで。


 [第3章 つきつめた「現実」]

 シュールレアリスムの世界へと展開。

 ルネ・マグリットの作品が並ぶ。

 「マグリットの捨て子たち」…ここにもだまし絵がでてくる。森のなかの紳士、実景とそれを描いた

     画布の連続など。

 「ジョルジェット」…妻の顔を2方向から細密に。

    ※14才で2才年下の彼女と市場の回転木馬で出会い、23才で結婚した相手。

 彼の作品を見てふと前田藤四郎を思い出した。彼の絵も不思議な発想を持っている。

しかも前田藤四郎の方が時代的には早い。こちらをもっと評価しなければならないだろう。

 ポール・デルヴォーの作品が並ぶ。

 「汽車と風景」…水彩。さすがにうまい。

 「水のニンフ」等々。

 「窓」…リトグラフ。乳房を出している二人と裸の一人が座っている。生々しい油絵よりホツホツと

     線の切れるリトグラフの方が優しく見よい。


 [第4章 真理を求めてー戦後の諸相]

 世界共通での抽象の世界は何が何やら分りづらい。 

 バブリエル・ベルジョンヌ「老子の11番目の言葉」…書に通ずるスタイル。

 他は省略


 [新収蔵品コーナー]

 酒井抱一「鬼」

     「柳花帖」…開かれている箇所では、隈取りした白鷺が描かれている。

           “片手には ちろり下げたる 雪の鷺”とある。

 小出楢重「裸婦」

     「裸女」…ガラス絵。小さいがエロティック。

 青山熊治「狂女」「りんご」

 林重義「漁婦」…黒一色のリトグラフ。重い。


彦根城博物館ー政治の時代

 松原下屋敷庭園に行った足で博物館に寄る。彦根は観光地としての知名度が上がったせいか、人出が

多い。彦根城では城にの登るのに待ち時間まででている。博物館にも人が流れて、いつもの静かなたた

ずまいとは趣きを異にしている。


  井伊直弼と開国150周年祭

    特別企画展

      『政治の時代』

        ー井伊直弼と幕末の群像ー


 狩野永岳「井伊直弼像」…良く知られた正装の直弼像。

    直弼の賛…あふみの海 礒うつ波のいく度か 御世にこころをくだきめるかな

 「直弼所用具足」…やはり赤供。藩主が改まると新しく作られた。実際に身につけたのであろうか。

 「朱地井桁紋纏」…大きな旗指物で、金で井桁が縫い取られている。

 「オランダ別段風説書・回覧写」…オランダからの情報を幕閣に回覧したおりの写し

 「ペリー肖像画」…メリー・グローエン・ジョンソン模写。東博蔵。


 この他に幕末の揺れ動く政治を彩った人物の書状がたくさん展示されている。直弼の好敵手であった

水戸の徳川斉昭の字は豪快で目についた。ただ文書類の展示形式では、歴史の動きを追っていくのはな

かなかにつらい。文字は翻刻されているが、ゆっくり読んでいられず、図録を買ってまで学ぶ意欲はな

い。

 この博物館の展示はいつもは館蔵品で占められるのだが、今回は他館からの借出しも多く意欲的で

あった。

旧彦根藩松原下屋敷

 新聞の地域版に松原下屋敷の庭園公開の記事が出ていたので、家人と拝見しに出かける。

 丁度彦根城の北、湖岸沿いにこの下屋敷がある。廃藩置県の後は藩主井伊家の邸宅となったいたよう

で、門には「井伊直愛」の表札がかかってる。しかしご多分に漏れず、こんな大きな屋敷は住まい勝手が

悪そうで、長らく使われていず、朽ち果てる寸前である。

 庭園の方は、琵琶湖の水を引き入れた池泉回遊式となっている。借景がない分、起伏を大きくとってあ

る。ここも何年と手入れされていず、植えたはずのなさそうなくぬぎが径20センチばかりに育ち、松もイ

ビツな姿をさらしているが、かっての趣きある風情を想像させるに余りある。国の指定名勝となっている

所以であろう。

 今回の公開は、井伊家からの買取の目処が立ち、修復に向けての第一歩ということで行われたようであ

る。それにしても大名庭園の遺構はあまりないとのこと、早く復元後の姿形を見てみたいものである。

美術館「えき」KYOTOー円空と木喰

 いわゆる仏師ではない、僧による仏像その他の彫刻作品のなかで、この二人のものは傑出して見事な

ものである。

 木喰については、昨年生誕290年ということで木喰展が全国巡回したところである。私は京阪百貨店

守口店で見ることが出来た(ブログー日本桜草2008.4.1参照)。

 今回は合同展である。

  ー庶民の信仰ー

    『円空・木喰展』

 [円空]

 「釈迦如来」関市・天徳寺…小さいながらごく丁寧な出来。

 「護法神」志摩市・少林寺…くねった自然木に切り込みを入れて目・口としただけ。円空式といわれ

     る抽象的なもの。

◯「観音菩薩」木っ端仏…木の割れあとそのままに、顔だけ彫り出したもの。

 「大般若経巻頭絵」…54卷に絵が付けられている。生きのよい線。

 「十一面観音菩薩」津市・真教時…2メートルはあろうかという巨像。

 「馬頭観音」名古屋市・龍泉寺

◎「大黒天」…大きな木のコブのかたまりそのままに、目鼻立ちのみ彫り入れてある。

 「千面菩薩」名古屋市荒子観音寺…小さな厨子の中に納められていたものが昭和47年に発見されたも

     の。木の香も残っていたという。

 「柿本人麿」名古屋願成寺…こんなものまで依頼に応じて作られたのであろう。

 「烏天狗」下呂市久津八幡堂

 →全体を彫ったものより木っ端仏の方がシャープで味わい深い。


 [木喰]

 「不動明王」笛吹市・山梨県立博物館…小さいものだが細部まで丁寧に仕上げられている。

 「五智如来」宇部市極楽寺…眠るが如く優しい雰囲気。

 「子安観音」新城市徳蔵寺 

 「釈迦如来」河井寛次郎記念館…もと四国堂にあったもの。

 「三十三所観音菩薩」長岡市資生寺

 「十二神将像」柏崎市西光寺

 「子安観音(立木観音)」四国中央市光明寺…彫像のまわりから新しい肉がせり出してきて、閉じる

     前に伐採されたものか。

 「四十四部観音と自身像」長岡市金比羅堂…顔をなでてご利益を得ていたか、すり減っている。

 「自身像と十王尊、葬頭河婆と白鬼」猪名川町東光寺

    →木喰の彫像は堅い木に彫られているのであろう、表面が輝いていものが多い。バランスよく

     安定感がある。接して楽しい。
Archives
TagCloud
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ