日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2009年12月

大阪市立東洋陶磁美術館−汝窯青磁

 中国北宋の汝窯は天下に聞こえた名窯として名高いが、伝世品が少ない事から、幻の焼物と言われて

いる。その汝窯について、近年の窯場趾の発掘成果を示す展覧会である。

 発掘品なので失敗作として破棄されたものの復元が並べられている。汝窯を代表する青磁色を示すも

の、壊れながらも見事な造形を創造させるものもあるが、陶磁研究者でない私のような素人愛好家に

とっては、それほど魅力的な展示ではない。このような研究者向けと言ってよいものを一般の美術館

で、しかも特別展と銘打って(特別料金もとって)催す意味はどこにあるのだろうか。


    国際交流展

      北宋『 汝 窯 』青磁

            考古発掘成果展


 宝豊清涼寺汝窯趾からの出土品が並ぶ。内ら側に青磁碗が入ったままの「匣鉢」がある。「支焼器

座」「執餅」、また青磁の色にこだわったのであろう「色見片用楕円形台」もある。

 青磁破片の復元品はやはりもう一つ。

◎「澱青釉碗」…釉が焼成の過程で流れ落ちるので、口縁部は浅葱色でグラデーションで青磁になる。

◎「青磁碗」…汝窯張公巷窯趾出土のもの。貫入が二重に入っている。淡青色もよい。

 特別出品「青磁楕円盆」…この美術館所蔵の汝窯伝世品の名品。‘天青色’と言われる青色がかった青

     磁。

 その他高麗青磁の同系統の作品が並ぶ。

◯「青磁彫刻鴛鴦蓋香炉」…浅堀が見事。

◯「青磁洗」…翡色青磁の最盛期のものという。

 「青磁瓶」…玉壷春瓶と似ているもの。色よく形も珍しく端正。

 これらは高麗青磁と言われなければ中国のものと区別するのは難しいかも。


 [宇野宗甕の陶芸] 遺族より寄贈された事による小企画

  青磁「万声写し」

  青磁「下蕪形花活写し」

  青磁「筒型花生写し」

     まことに見事に、形・色が再現されている。特に「下蕪」の青磁色は華やかである。

  「鈞窯釉花生け」…紫の変異が美しい

  「鈞窯釉皿」…赤紫の雲が流れる

  「鈞窯茜映茶碗」…淡い茜色が霞んでいる  

  「鈞窯青磁三耳壷」…鮮やかな青と赤のまだら模様。明治30年にしてこんな鮮やかなまっ赤な釉が

     完成していたとは驚き。 

 とにかく釉薬の美しさは絶品と言っていいか。「汝窯展」よりこちらの方が良いかもしれない。
 

上方浮世絵館ー寿好堂よし国

 上方の浮世絵はそのほとんどが役者絵である。しかも舞台上の役者姿を描いてある。背景、大道具、

小道具、衣装など役柄を彷彿とさせる道具立てが揃っている。この形が踏襲されているため、絵師によ

る個性的な表現はまことに少ない。私の見る目がないのか、どれを見ても同じように見える。しかし中

判ながら実に細かい彫りが施されている。

 さて今回は絵師の特集である。


    『寿好堂よし国とその門人たち』

◯「絵本殿下茶屋聚」…狂画堂芦国…1818

    嵐吉三郎…人形屋幸右衛門…和事の見えの場面

 「太平記忠臣講釈」…寿好堂よし国…1821

    浅尾工左衛門…岩城忠太夫

 「釜淵双つ級巴」…よし国

    中村歌右衛門…石川五右衛門

    嵐吉三郎…倅五郎市

 「傾城郭土門」…1923…三枚つづり

    沢村国太郎…新九郎妻しがらみ ー国広 

    中村歌右衛門…庄九郎妻小てふ ーよし国

    藤川友吉…仲居おはな     ー芦ゆき

◯「競伊勢物語」…国広、よし国…1824

    坂東秀太郎…孔雀三郎

    嵐橘三郎…仕丁和田作  ※顔が繊細

 「日本歌竹取物語」…よし国…1825

    藤川友吉…娘田毎

    市川団蔵…福刹/呉道子 

    浅尾額十郎…司馬将軍竜央

 「伊勢音頭恋寝刃」…よし国…1826

    市川団蔵…福岡みつぎ

    中村額十郎…大蔵 

 「初代嵐璃寛系図」…よし国…1821

◯「近松門左衛門信盛之像」…よし国…1823

 「ねりもの図…わたや りきの」ー唐土宮女…よし国

 「ねりもの図…中ノ扇屋 みさき」…よし国

 「ねりもの図…中ノ扇や 雛とりーささらすり」…よし国   

 「夏祭浪花鑑」…よし国門人梅国…1823

    市川蝦十郎…三河屋義平治

    中村歌右衛門…団七九郎兵衛

 「狭詞花川戸」…梅国…1826

    沢村源之助…白井権八

 「菅原伝授手習鑑」…梅国…1826   

    嵐来芝…梅王丸

    尾上菊五郎…さくら丸

    中村芝翫…松王丸

◯「浪花文章夕霧塚」…梅国…1823

    中村鶴助…ふじや伊左衛門

 「長柄長者黄鳥墳」…政国、梅国…1824 ※ながらちょうじゃうぐいすつか

    中村鶴助…佐々木源之助

    市川滝十郎…淀与三右衛門

 「雪国嫁威容」…とし国…1825 ※ゆきのなどころよめおどしたに

    市川甚之助…蒲生結城之助

 「傾城飛馬始」…よし国、政国、森国…1824 ※けいせいひめはじめ

    中村鶴助…尼子四郎

    大谷友次…大内高丸

    尾上芙雀…毛利元就

 「太平記忠臣講釈」…芝国…1821

    嵐小六…娘お久米

    中村歌右衛門…加藤与茂七

    浅尾奥山…小山田太平次

 「見立」…芝国…1821

    カルタ状の大きさで16人分描かれている

 「遖傾城花大矢数」…芝国…1824

    市川団蔵…蔵人助国 ※あっぱれけいせいまくらのとおりや

       ※横長の画面、筏の上

 「島廻月弓張」…芝国…1822

    嵐橘三郎…鎮西八郎

 「当り振舞之図」…芝国

    中村歌右衛門(芝翫)

 「伊賀越乗掛合羽」…芝国…1824

    沢村国太郎…ささ尾

    市川団蔵…丹右衛門

 「遖傾城花大矢数」…芝国、多美国…1824

    市川蝦十郎…和田雷八

    中村歌右衛門…小畠壬斗頭

 「舞上りの鶴」…多美国…1824

    中村歌右衛門(中村鶴助)

 「双蝶々曲輪日記」…芦ゆき、多美国…1823 ※4枚つづり

    嵐富三郎…あづま

    坂東重太郎…与五郎

    嵐橘三郎…放駒長吉

    浅尾額十郎…濡髪長五郎

    中山百蔵…たいこ持さよ七

 「日本第一和布苅神事」…多美国…1825

    尾上芙雀…吉川帯刀

滋賀の文化財講座ー打出のコヅチ7

 打出のコヅチも最終回 今年は皆勤ならず

   「近代建築を守り、生かすー登録文化財(建造物)の取組ー」

            教育委員会文化財保護課建築物担当 尾山義高

 文化財保護制度の概説

  1、文化財保護制度の歴史

  2、文化財建造物の保護制度について

     指定制度 重要文化財    2351件(4304棟)

            内国宝    214件(262棟)

          内滋賀県     181件(232棟)

            内国宝     22件 (23棟)

         県指定        73件(99棟)

         市町村指定      236件 

     伝統的建造物群保存地区

           全国     85区

            内滋賀    3区

              大津市坂本、近江八幡市、東近江市五個荘金堂

  3、文化財登録制度

      原則50年以上経過していること、国土の歴史的景観寄与

      造形の規範性、再現の難しさ等を要件とする

  4、滋賀県の登録有形文化財

        全国    7747件

         滋賀   273件

 写真による代表的な登録有形文化財の紹介

    第1号…黒壁ガラス館本館←銀行支店

        丸八百貨店

        白雲館←小学校

        近江八幡ユースホステル←勧業館

        ガリ版伝承館←個人住宅

          (その他省略)

    当初の業態を止めるもの    

        スミス記念堂

        本家鶴喜そば本店

        比叡山鉄道ケーブル坂本駅舎(木造)

        比叡山鉄道ケーブル比叡山駅舎(鉄筋 )       



 価値ある建造物を文化財として保存していくことは大変意味のあることと思う。ただそのような建物

の維持管理は大変である。特別なものは重要文化財その他に指定されて保護の対象となっている。それ

ほどでないものに対して「登録有形文化財」という制度が設けられて、緩やかな形で保存が図られてい

る。といって当初の業態のままいつまでも使えるわけではない。多くのものは多用な用途を模索した上

で余命をつないでいることになる。これもいい方で、使い道が定まらねば、個人所有のものなど朽ち果

てさせるしかないものもでよう。

 一般住宅でもそうである。手をかけて作られた大きな屋敷はそれなりに保存される場合が多いのだ

が、普通の家屋となるとそうはいかない。近江八幡には伝統的建造物保存地区があるのだが、その周辺

をも含めて空き家となっている住宅がかなりあると聞く。家の構造が今の生活に合わないところが多い

のである。快適に住もうとすれば大幅な改修を必要とする。

 丹波篠山の河原町妻入商家群を見学にいったことがある。古い商家が軒並み残っているが、それぞれ

間口が狭く、天井が低く、奥行きの深く暗い家は住みづらいと感じた。ここでも空き家がチラホラ目

立った。それらを観光に利用するといっても限度があるし、何より人のあまり住んでいない町など魅力

はなくなる。

 ことほど左様に建造物の保存活用は難しい。

京都文化博物館ーアイヌの美

 アイヌの人々について詳しい知識は持ち合わせていない。日本の古代にあっては、彼らは蝦夷と呼ば

れていたらしいこと、彼の地で使われていた蕨手太刀が毛抜太刀として日本でも使われたというくらい

である。ただその生活振りは全く知られることはない。我々の知識では、アイヌの人々とは近世以後の

蝦夷地に住まう人のことなのだが、エゾのみならず、カラフトや千島列島にも住んでいたらしい。私に

は全体像はわからない。

 今回の展示の主たるものはロシアに於いて収集されたいわゆる「民藝品ー生活雑貨」で、まとめて見

る良い機会となった。


  世界無形文化遺産登録記念

    平成21年度アイヌ工芸品展

      『アイヌの美』

         カムイと創造する世界    

           ロシア民俗学博物館・オムスク造形美術館所蔵

         ※帯広での展示会の様子詳しい解説有り

 [まかなう]…生活用具類

 サラニシ…樺皮製容器ー手提げ

 クフテレ…海獣内蔵製容器

 イメヘペ…杓子

 マキリ…小刀で、鞘に見事な模様が彫り込んである。

 シトペラ…団子へら

 パラパスイ…匙

 サハカ…箸

 ニキセリ…煙管ーノリウツギの木を使用、吸口は真鍮。

 オトホコホペ…煙草入れ、黒地に美しい刺繍あり。

 チニペニパポ…椀ー中国の耳杯に似る。片耳のものもあり。

 シカリニーソン…皿、楕円や円形状。表面に細かい模様有り。


 [まとう]…身につけるもの

 テララペ/カーアハルシ…草衣と呼ばれる繊維製品で、たくさんでている。背中・袖口・裾まわりに

     模様があるのは、そこから悪霊が入り込まないようにするため。

 カヤ…魚皮衣ーサケ・マス・イトウなどで作る。数十匹で一着。イラクサの繊維の糸で縫い合わせ

     る。

 セタルシ…獣皮衣

 カパリミプ…木綿衣ー明治期白地の木綿が流入して衣料となる。

 チヂリ/チンジリ…これも木綿の衣で、藍地に白のアップリケか木綿糸での刺繍。

 クフ…帯

 クマカイ…首飾り、青玉が好まれた。

 マイダリ…前懸け

 ハンパキ…脚絆

 ラクンペ…手甲

 オポンペ…股引き

 チョンパキロ…長靴

 マトウメレ…手袋


 [いのる]

 イクニシ・イクパスイ…捧酒箸、祭に欠かせない小道具。平ベッタイ木片。多様な文様が彫刻してあ

     る。たくさん出ている。

 トンコリ…五弦琴


 [描かれたアイヌの世界]

 平山屏山の描いたアイヌ風俗絵(幕末期か)がある。日本との交渉の場面、アイヌの生活・祭など12

点。オムスク造形美術館所蔵品。


 今回の展示品のように、すでに生活用具としての役割を終え、過去の遺物となったものを見るのは少

し悲しい。たとえ使われなくとも刀や刀装品などは美術品としてそれなりの命を長らえられるであろう

に。


 [受け継いでいく祇園祭]…世界無形文化遺産登録記念企画展示

 祇園祭の全体を見ようとすれば、それはもう祇園祭そのものに接するの一番である。ここでは記念企

画ということで、その歴史や今の姿など、ごく一部の展示で祭の雰囲を示そうというものである。

 「祇園祭礼図屏風」…明暦2年(1656)の記年があり江戸時代初期の姿を表す。極めて保存がよ

     い。鉾や山は今とほとんど変わらない。

 写真展示がある。明治や昭和での巡行の姿が、町の様子とともに残されている。

 「放下鉾の見送・胴掛・後掛など」…貴重な外国製の織物が並ぶ

 「大船鉾の大金幣その他宵山飾り」…豪華で賑々しい飾り付け

 「山鉾巡行末広」…元知事の蜷川虎三氏の功績をたたえて各鉾・山から贈られたもの。15点。

堂本印象美術館ー印象作品の表裏

 展示会でときどき日本画の下絵を見ることがある。今回はその下絵がメインの展覧会といえる。本画と

下絵が隣り合って比較できるようになっている。下絵はあくまで下絵なのだが、本画への道筋がわかって

おもしろい。

 「木華開耶媛」…まことに若々しく美しい。日本の美人画の中でも最高位にある作品である。まこ

とに若々しく美しい。それを盛り立てるように一重八重の桜が、春の草花が取り囲む。さらに苔のついた

年経りたさくらの古木がどっしりと支えている。ただ気になるのが、黴で変色した額である、何とか修復

してほしいものである。下絵の顔はより目が大きく近代的な顔立ちとなっている。それが本画では古風とな

り、かすかに口を開けている。足先や桜の素描も出ている。

 「或家族」…5人の女性の群像である。何となくバタ臭い雰囲気を持っている。下絵は変らず。ところ

が中年の婦人のもとになったのは「農家の婦」「上賀茂の婦」で、こちらはいかにも日本の農婦然として

いる。戦後の日本画では写生を越えて一種のデフォルメが一般的になったようである。そして洋風の味わ

いを付け加える。小倉遊亀もそうである。

 「春」…妹の髪を梳く姉の姿。これも下絵と変らず。この絵のもとになった別府でのモデルの写真があ

る。個別の少女の素描もある。写真から本画までの道筋がたどれる。

 「婦人公論表紙絵」…1933.1〜34.12まで彼が担当した。今回は10点展示。典型的・類型的なモダ

ンガールの美人像である。たいてい少し上目使いに描かれている。下絵から本画になると没個性にな

ってしまう。

 その他省略。

 [ミニ企画]…印象による印象美術館構想

 芸術家が自らの作品を展示するために個人美術館を作ることがある。この美術館もそうなのだが、全

体の構想から外壁の有り様、さらにドアの把手・ノブなどの小物二位たるまで印象自らの意匠にこだ

わって作られている。この建物全体が作品と言いのかもしれない。そのためのデッサンなどが、たくさ

ん展示されている。

大山崎山荘美術館ー睡蓮池のほとりにて

 冬の寒い一日、近くに用事で来たので、大山崎山荘美術館による。冬枯れに庭では、南天の赤い実が

よく映える。花はと見渡すが何もない、椿もまだのよう。入口近くのバラの植栽地で寒空に咲き残りが

侘しそう。

 ここは地の利がよいのか、宣伝が行き届いているのか、そこそこの入場者で賑わっている。


     『睡蓮のほとりにて』

        モネと須田悦弘、伊藤存


 面白いコラボレーションが部屋を飾る。

 ルーシー・リーの大振りな鉢が並ぶ。簡素な形にシックな色合い。日本人感性の渋い作品である。こ

ういうものがイギリスで受け入れられたのであろうか。これらの作品のまわりに、伊藤存のシンコ細工

のような小さなつくりものが散らしてある。ルーシーの鉢を睡蓮の花か葉に見立ててあるのであろう

か。

 そして同じく伊藤存による、この美術館の庭園からイメージした各種の刺繍作品が並ぶ。刺繍と言っ

ても素描のような線刺繍である。

 またバーナード・リーチとの、河井寛次郎との組合せもたくさん出ている。


 2階に行く、常設の『民藝をモダンに楽しむ』がある。

 [バーナード・リーチ]…私にとって初めてのものも多い。

  「ガレナ釉スリップ大鉢」…黄地に黒の流れるような繊細な模様。表面に重ね焼きした時につく傷

      が5点ある、惜しい。

  「鉄砂抜絵パン入蓋物」 

  「スリップ指描松絵大皿」…唐津のような大らかな松の絵。

  「素描 北米風景」…日本人感性も持ち合わせていた人のようである。

    その他

 [河井寛次郎]

  「柿釉地白筒描花文合子」 

  「練上手鉢」

  「海鼠釉線文瓶」その他

 [濱田庄司]

  「柿釉蝋抜市松文様角鉢」

  「柿釉蝋抜緑差須角鉢」

  「鉄釉緑釉黍文瓶」その他   


 《新館》

  相変わらずのこの美術館の名物、モネの睡蓮が5点でている。私はモネではやはり「日の出」「積

みわら」そして「ルーアン大聖堂」などの連作をかいたい。

 ここに須田悦弘の細工物がある。入口左右の窓に、睡蓮の葉の超のつく微細な作り物ー木を削り彩

色。部屋の中央に、池から浮かぶ花・蕾・葉を模した細工が置かれている。

 京都の東山、三年坂美術館での金工細工、印籠、根付、刀装品の展示で空恐ろしいばかりの細かい仕

事を見せてもらっているものにとっては、それを受け継ぐ人がここに居ることにホットする。

サントリーミュージアム天保山ークリムトとシーレ

 日本で人気の高いクリムトの絵が出ているというので、かなり人出がある。しかしクリムトの絵は少

しだけ、オーストリア絵画の分離派前後の流れを中心とした展示で、普段見聞きすることのない画家の

作品が多数あり、こんなはずではなかったと思う人もいるかもしれない。


     ウィーンミュージアム所蔵
 
         『クリムト、シーレ、ウィーン世紀末展』


 [第1章 リアリズムから情緒印象主義へ]

 ハンス・マカルト「子どもたちの絵」…赤子にスポットを当てたようで幻想的。

 フーゴー・シャルルモント「ハンス・マルカトのアトリエの静物」…模型の舟に花瓶が乗る、手前に

     貝その他。見事な写実。

 アロイス・グライル「食堂にて」…風俗画

◯ティナ・ブラウ「たんぽぽとリンゴの花」 

◯ハンス・ティヒ「修道院の庭」…落着いた色合いの写実。

 フェルディナント・シュムッツアー「愛」…艶かしく横たわる裸婦

 ゴットループ・テオドール・ケンプ・フォン・ハンテンカンプ「我が妻」…写真のように精細

 カール・ツェーヴク「仲人(による結婚の打診)」…外光を受けて逆光の顔に


 [第2章 クリムトとそのサークル]

 クリムト「宝石商」…古典的な顔立ち 

     「女性肖像」…写真の如し

    ◯「パラナ・アテナ」…華やかで妖艶な眼に魅かれる  

     「素描・横から見た裸婦」…見事な線


 [第3章 エゴン・シーレ]

 マントン・ペシュカ「エゴンシーレの肖像」…絵の調子がシーレと違うなと思ったら、別の作者で

     あった。

 エゴン・シーレ「自画像」…少しの誇張と独特の線と色合い

        「アントゥール・レスラー」「イーダ・レスラー」「裸婦背面」


 [第4章 分離派とウィーン工房]

 分離派は美術の対象として生活の様々な場面を想定して作品を作っていった。ここに何とグスタフ・

マーラーのエッチングがでている。彼は作曲家であると共に多様な分野にその才能を発揮しているとい

う。

 オスカー・ココシュカ「夢みる少年たち」…色石版画

 カール・モレ「書斎の机に向かうアンナ・モル」…奥からの光を受けた肖像 

 エドゥアルト・シュテラ「踊り子(エルゼ)…明るく輝く肢体表現。

 コロ・モーザー「シクラメン」…1907年の作、今から100年前のシクラメンの鉢植えの姿、今ほど豪

     華ではないがよく咲いている。

       ◯「麦わら帽子の娘」


 [第5章 自然主義対表現主義]

 リヒアルト・ゲルストル「母と娘」…顔や目つきはしっかりと、他は粗いタッチ

 アーノルト・シェーンベルク「自画像」



  残念ながら世紀松から20世紀にかけてのオーストリア絵画界の流れを知らないので、十分展示の意

図を汲み取ることが出来なかった。といって図録を買う気にもならなかった。

 それにしても、もうしばらくするとこの美術館も閉館になるという。すべてが東京一極集中になって

しまいそうで、これからの大阪の美術界はどうなるのだろうか。

 地下鉄への途中にある「星の森」で一服。チャイをいただく。ここはカレーとお茶の店。天保山に来

ると寄ることにしている。店の机にはブガンビの厚い板が使われていてこれにも会いにいく。
 

伊丹市立美術館ー大江戸の賑わい(浮世絵)

 伊丹で何やら楽しそうな浮世絵展があるので、その題名に魅かれて出かける。ちょうど昼前だったの

で、小西酒造がやっているブルワリービレッジ白雪「長寿蔵」で昼食。ここの地ビールもいただく。


  幕末浮世絵アラカルト

     『大江戸の賑わい』

        北斎・広重・国貞・国芳らの世界


 会場を進むうちに何か見たことがあるような気がして来た。後で帰って調べてみると、2年半前にこ

の展覧会を京都の大丸ミュージアムで見ていたのである(ブログ「日本桜草」2007.4.20の項)。こん

な長期にわたって全国を巡回しているらしい。私としてはこんな名作を何度も拝見できて嬉しい限りで

ある。されにしてもたくさん出ている。エントランスでは浮世絵版画の道具や版木そして摺りの実際が

展示されている。


 [美人画]

 歌川国貞ー星の霜当世風俗「行灯」…何とも色気たっぷりの姿態で、情事の後の気怠さまで漂ってき

     そう。稀代の名品であろう。

 歌川国芳「当盛風俗好」藍摺りで、ベロ藍が鮮やか。

 [役者絵]

 歌川国貞ー大当狂言之内「八百屋お七ー岩井半四郎」※キラ刷豪華版     

            「梶原源太ー坂東三津五郎」

            「大工六三郎ー尾上松助」

            「幡隋院長兵衛ー松本幸四郎」

            「菅丞相ー市川団十郎」

            「与次郎ー中村歌右衛門」 

 三代豊国ー大役者絵「那迦犀那尊者」※豪華工芸の極致

 北斎・広重の代表作も少しでている。


 [江戸の劇画]

 歌川国芳「相馬の古内裏」…おどろしいが遺骨が主人公

     「讃岐院眷属そして為朝をすくふ図」…巨大な魚図

 歌川芳員「源義経平知盛の霊に遭う」…踊るようなおどろしい波頭

 葛飾北鵞「椿説弓張月」

 歌川豊国「彩入御伽草子ー小平次の亡魂」…小平次の顔がどこにでも居そうな普通の顔に描かれる。

 歌川国芳「白壁笑壁のむだ書」…役者絵取締の目をごまかすための奇策で、落書きの程に

 広重・豊国の組合せ「風流源氏雪の眺」…三枚続きの内、中を広重の雪景色、左右を豊国が娘のいる

     景としている。

 歌川芳虎「時参不計狐嫁入見図」…皇女和宮の降嫁のパロディ


 [異国もの]…ペリー以来の紅毛人を写したもの

  歌川芳年「新阿蘭陀南和留連寿国之図」…南ウェールズのことか

  歌川芳豊「アメリカ人コドモチョウアイノズ」

  その他ペリーの属官たちの肖像


 [摺物]

 柳々居辰斎「時計」 獅山「ラクダガラス絵額」


 あまりに多いので見るだけで疲れる。
  

美術館「えき」KYOTOーエロール・ル・カイン展

 時間があったので京都駅で途中下車して美術館に寄る。

 私は戦後の日本お貧しい時代に子ども時代を過ごしたので、絵本というものには縁遠かった。今は時

に開かれる絵本の原画展を覗くくらいであるが、小さな画面で、印刷に付されて広く見られるにしては

感動を覚えるものに出会うことしばし、絵本といえ侮れない世界と認識している。

 今回のル・カインはシンガポールに生まれ、インドで子ども時代を過ごし、香港・日本にもいたとい

う。長じてイギリスで絵本・アニメ・挿絵など多方面に活躍し、1988年47才の若さで亡くなった。


   〜めくるめく絵本原画の世界〜

      イメージの魔術師

        『エロール・ル・カイン展』

 [子どもたちへのまなざしとファンタジー]

 「A HAPPY CHRISTMAS」…日本の子どもたちに贈られた肉筆画。クリスマスリースの中に雪だる

     まと子どもが描かれる。

 絵本「こまったこまったサンタクロース」「1993年のクリスマス」など

 「リンゴ村の危機」…中間色の優しい色合い、丁寧な細密画。

 「キャッツ」「ボス猫」「グロウルタイガー絶体絶命」など秀抜なデザイン。


 [むかし話と民話の世界]

 「サー・オルフェオ」…インド風細密画

 「かしこいモリー」…渋い複雑な色合いの美しさ

 フレーム画がいくつもでている、あたかも日本の描き表装のようである。またウイリアム・モリス風

でもある。

 「三つの魔法の贈り物」「アラジンの魔法のランプ」


 [東洋の神秘と神聖な世界]

 「龍の凧」 

 「フォーの子犬」…フォーとは釈迦のこと。狛犬の由来を絵にしたもの、線画。

 「キューピッドとプシケー」…ビアズリー風の白黒画面。


 [アニメーションの仕事]

 背景画を担当したという。

 「階下の幽霊」…弁護士事務所の事務員デニス・ファストが老人と取引し“人生の最初の7年”と引き

     換えに大金を手に入れる。翌日7才の少年デニスをつれた老人を目にして、夢や希望に満ち

     ていた頃の自分を売ってしまったことに気付く、というストーリー。


 [幅広い活動のフィールド]

   略

 [ル・カインの周辺]

 さくらももこさんもフレーム画を用いた絵をものしている、などなど。


京都国立近代美術館ーボルゲーゼ美術館展

 前評判の高い展覧会にやっとでかける。この美術館のお向かいの京都市美術館でつい先頃「ルーヴル美

術館展」があって、理解に苦しむほどの人出であったが、こちらは日本では名前が知られていないだけで

内容はさほど変らないのに観客は何十分の一、お蔭でゆったり鑑賞できる。


    『ボルゲーゼ美術館展』

      華麗なるイタリア貴族のコレクション、初公開

 [第1章 15C.ルネッサンスの輝き]

 ラファエロ・サンツィオ「一角獣を抱く貴婦人」…この美術館の至宝である。若々しい娘が輝いてい

     る。さすがに天才ラファエロでその精妙な描写力は特筆される。ダ・ヴィンチに並ぶか。こ

     の作品は元「アレクサンドリアの聖カタリナ」とされてきたが、修復時に描き加えられてい

     たところが除かれて今の姿に甦ったものという。これひとつ見るだけでも来た甲斐があった

     というもの。

 ジョルジョーネの摸倣者「フルートを持つ歌手」…個性的な顔立ちが生きる。
 
 ウンブリアの画家「聖セバスティアヌス」…細密だが技巧に走るか。


 [第2章 ルネッサンスの宝石百花繚乱の時代]

 群像表現の絵が多い。

 ルカ・カンビアーソ「海のヴィーナスとキュー」…娘の肌の表現がまことに生々しい。


 [支倉常長と慶長遣欧使節]

 日本で開催される展覧会なので、日本関連の出展である。

  パウロ五世の支倉への「ローマ市民公民権証書」

  「支倉常長像」…白っぽい羽織袴で、袴には薄、上着には鹿模様が描かれている。


 [第3章 新たな表現に向けてカラヴァッジョ]

 バロック芸術はラファエロの形態とヴェネチア派の色彩を合わせた光と影のコントラストという。

 「二匹の蜥蜴のいる静物」…たくさんの野菜、セロリ、キャベツ、洋ネギ、桃、葡萄

 カラヴァッジョ「先礼者ヨハネ」…光と影を見事に現す。

 バッティ・ステッロ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」…これも光と影がたくみ。

 アンドレア・サツキ「クレメンテ・メルリーニ卿の肖像」…近代的な表現

 ジュゼッペ・デ・リベーラ「物乞い」…17世紀始めで、こんな主題がどうして選ばれたのだろうか。

 ゲラルド・ディレ・ノッティ「スザンナと老人たち」…スザンナの生き生きした表情が印象的。


 16・17世紀を代表する絵画を見ることが出来た。油絵は修復で表面の汚れを落とすと描いたばかり

のように復活する。日本や中国のように時代の色がつくわけでないので、あまりにもその生々しさに

ちょっと辟易する。
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