日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2010年09月

美術館「えき」KYOTOーユトリロ展

 日本人の好きなユトリロがまたやってきた。全作品が日本未公開という、約90点。

    『モーリス・ユトリロ展』

 正直言って今まで見てきたユトリロの白の時代の作品は、漆喰の複雑な色合いがそこはかとない憂い

を含んでいるようで、優れものと思っていた。しかし今回の作品群ではそんなによいものとは思えな

かった。ユトリロといえど並の作品もあるだろうし、今までに日本に紹介されなかったということも

ちょっと引っかかるところがある。絵はがきから移した街の風景がそんなに良いかしらん。画商にしてや

られたのかもしれない。もしフランスで「佐伯祐三展」をすれば、フランス人はなんというだろうか。私

は佐伯の方が絵としてはずっと上等だとおもうのだが。


 〈モンマ二ーの時代〉

 「モンマ二ー風景」2点…ごく初期のもの。厚塗りで、筆致をそのまま残す。


 〈白の時代〉

 漆喰壁を好んだ彼は、それを表すために鳩の糞、卵の殻、砂などを混ぜたという。しかし今回の展示

品では単純な色合いのものが大半である。

 「シュレーヌ教会」…並木と白い家

 「サン・ローラン教会」…空の明るい色が気になる。

 「教会」…空が明るい黄土色。

 「パイアン通り」1915

 「エリゼ・デ・ボガール小路」…絵はがきそのまま

 「サン=ヴァンサン通りとアンリ4世の茅葺ミヤネの家」1917

 「ノルヴァン通り」

 「モン=スニ通り」


 〈色彩の時代〉

 1920年代にはグワッシュの絵が多くなるとともに色彩が鮮やかになる。母親の再婚相手アンドレ・

ユッテルがマネージャーとして、絵の量産を強いられたという。1935年金持ちの未亡人リュシュー・

ヴァロールと結婚。白の時代の絵を描くことを求められた。

 何も思わず、ただ絵はがきを見て描きに描いた人生であったのか。

 京都市美術館ー京都日本画の誕生

 京都は既に観光シーズンに入っている。外国人がやたらと多い。時々中国語も聞こえてくる。

 美術の秋であり美術展が目白押しである。京都市立美術館でも同時に4つの展覧会が開かれている。

時期をずらせるなり他の館で開けばいいものを,ちょっと頑張り過ぎのような気がする。


   京都市立芸術大学創立130年周年記念

      『京都日本画の誕生

          巨匠たちの挑戦』


 〈第1章 明治の京都と画学校の設立〉

 東京遷都の後、京都を復活させるべく教育に力が入れられた。市民の手で番付小学校が作られてい

く。さらに京都の産業(染織や工芸)振興のため画学校が設立された。ここから日本を代表する画家が

輩出することになる。

 京都の日本画の祖は円山応挙の写生という。

 重文 円山応挙「牡丹孔雀図」…清心で爽やかな写生はさすが。現在は相国寺所蔵となっているが、

『第1回京都博覧会目録』によると、滋賀圓萬院蔵となっている。圓萬院が売り飛ばしたものか。

 幸野楳嶺「仙洞御苑春け景図」明治6年

     「龍馬負河図」明治13年…‘作龍馬負河図 以祝画学校開設’とある。

 鈴木松年「春秋風物山水之図」明治21年

 岸竹堂原画 西村総左衛門織「孔雀に花文様友禅染裂」

  ※京都では高名な画家が友禅の原画をたくさん描いている。

  同 「大津唐埼図屏風」…左隻全体に広がる松の葉が繊細に。

  同 「豹虎図」…さすがに岸派の虎である。

 川端玉章原画「花篭と金魚図」 川島甚兵衛による壁掛けに。

 菊池芳文原画「百花孔雀」これを室内装飾に→室内装飾透視図に。


 〈第2章 日本画の登竜門〉

  幸野楳嶺、竹内栖鳳、山本春挙,谷口香喬等の絵手本多数。

  入江波光「十二天像水天像模写」…京博の国宝の模写、よくできている。

   同  「降魔」大正7年

  石崎光瑶「緋縅綬鶏」…美しい羽毛の鳥の日本画的細密描写。

  横山大観「山越阿弥陀図模写」…これも見事なもの。

  土田麦僊「罰」「髪」…髪を梳く後ろ姿ながら何とも艶かしい。

  重文 村上華岳「日高河清姫図」…はかなく思い詰めた女性像。

  甲斐庄楠音「横櫛」…妖艶な目。

  岡本神草「口紅」

  上村松篁「春立つ頃」

  西村英雄「廃船」…すでに日本画の圧塗りが始まっている。


 〈第3章 師弟で見る京都画壇〉

  岸竹堂「月下吠狼図」  

  都路華香「東莱里の朝・萬年台の夕」

  竹内栖鳳「絵になる最初」

  上村松園「待月」

  池田遙邨「雨の大阪」

  上村松篁「月夜」

  秋野不矩「幻覚」

  中村大三郎「ピアノ」

  堂本印象「猫」



※次の世代の活躍が見たいものである。

泉屋博古館―中国美術展・再

 前回の訪問で「安晩帖」の全面公開につき‘リピート入館券’をいただいたので再訪する。

 八大山人・安晩帖「冬瓜鼠図」…墨の濃淡と滲みで描く冬瓜。その上に鼠がいる。頭に帽子をいただいた姿。

  その他中国絵画の名品をゆっくり鑑賞。やはり私は石濤のものが一番心を打つ。少ない墨と色でやさしく包み込むような

画面に仕上げている。特に『蘆山観瀑図』の大画面はゆっくり微笑みかけてくるようである。

 石濤「黄山八勝画冊」第8図は「十便十宜帖」の雰囲気がある。

   ‘遊人若宿祥符寺 先去湯池洗之 百刧塵根都洗画 好登峰頂細吟詩’とある。

高島屋東別館資料館―アルバムと下絵

 高島屋東別館は日本橋電気屋街の一画にある。もと松坂屋百貨店の建物であるが、今

は百貨店の機能はない。資料館・結婚披露宴会場などがある。

  『高島屋貿易部アルバムと下絵展』

 高島屋は明治に入ってしばらくして、織物や工芸品を輸出することに力を入れる。そ

の輸出品の商品アルバムが30冊ほど残されている。製品は輸出されて日本には残ってい

ないのだが、近年イギリスでその幾点かが発見されたという。

 今回は製品の写真と、そのもとになった下絵とを比較できるよう展示されている。「玉

虫厨子・模作」…本物の玉虫5千数百匹を使い、9年の歳月を経て昭和35年に完成したも

の。台座の四面の凸凹のある板に例の密陀絵が描かれている。


 今回の展示品は美術品そのものではなく、下絵や美術工芸品とうものである。

 ●竹内栖鳳「アレ夕立」(1909年文展で評判になったもの)…これをそのまま商品化した

     もの。下絵→ビロード友禅に

     「光琳風四季草花四幅」…飾り屏風原画 

 ●神坂雪佳下絵「孔雀象背掛」…明治41年シャム王室御用達となり、43年に注文を受け

     たもの。

 ●谷口香嶠「波上飛雁」

   上田萬秋写し…ビロード友禅の壁かけに

 ●都路華香「月下芦雁図」

   上田萬秋写し…刺繍屏風に

 ●洋画の写真

   →下絵「猟をする犬」

     →「逃れる鹿」…衝立屏風

 その他下絵「古藤の燕」「松上の鷹」「雨中の鷺」「花冷え」「古社瑞鶏」

  その他略

 アルバムの中に『是真作品集』のタイトルのものがあった。先に相国寺承天閣で、里

帰り品をみたばかりで、かなりの量が外国に出て行っているようである。

大阪高島屋グランドホール―安野光雅が描く奈良

 産経新聞に平成21年1月から掲載されている水彩画60数点がメインの展示

会。


    安野光雅が描く

      『日本のふるさと奈良展』


 水彩画というのは文字通り水の使い方が成否をわけるのであろう。ここにある絵

では自在に使いこなされている。たくさんの出展のうち特に心に響いたものをあげ

ておく。

  「興福寺阿修羅像」…背景を黒にして像を浮かび上がらせて見せる。真写である。

 「吉野山―吉水神社より一目千本」…柔らかいモコモコした感じで、半抽象。

 「甘樫の丘」…灰青色の滲みが画面をしっとり落ち着かせる。

 「法隆寺と柿」「法隆寺百済観音像」


 <明日香村>から

 「高家から甘樫の丘」

 「上居から橘寺方面」…青の山々のつならり。

 「大和平野遠望」…あかねさす山々。


 <絵本平家物語>より

  ※これはかって拝見したことがあるもの。

 「鹿ケ谷」…灰青色の大きな岩に、他の山は薄墨で。

 「足摺りの山」「奈良炎上」「竹生島詣」「倶梨伽羅落し」

 「横笛」「女院死去」「判官都落」


 →気楽に楽しめた。

大阪市立近代美術館―油絵の大阪

 大阪における油絵の始まり、その系譜をたどる試み。


      『油絵の大阪』

         商都に生きた絵描きたち


 <第1章 明治から大正の大阪の洋画家たち>

山口愚僊・松原三五郎の来阪により本格的な油絵が大阪に伝えられた。山口愚僊は東京から大阪朝日新聞社に入社により、

松原三五郎は岡山から大阪府立師範学校に移ってきたことによる。

 それ以前では、鈴木蕾斎の油絵が残る。

  「大井川の渡し図」「豆州海上」

 その他彼の錦絵・文武高名伝より「西郷隆盛」「大山綱良」(大首絵)

 山口愚僊

  「金屏」「長閑」…原画および石版による朝日新聞の新聞付録

           石版化では10版もの刷りで、見事な出来栄え。明治24年

  「なにはかた」…冊子挿絵で、木版の機械印刷という。

  「藤井孫兵衛肖像」…写実。明治23年。

  「朝妻舟」…油絵での屏風仕立て。

 松原三五郎

  「老媼夜業の図」…ランプの光による写実。明治25年

  「婦女図」…黒チョークによる真写。

 宇田川通喩

  「裸婦」…印象派風。大正5年。

 伊藤快彦

  「能面の静物」…横長の杉板の画面。木目を生かす。

  「花果図」…  同上

 赤松麟作

  「孔雀」…屏風仕立て

  「住之江の火薬庫」「海岸風景」「中庭」


 <第2章 大正末から昭和の初めの大阪の洋画団体>

  [新爐社]

   青木宏峰「中之島風景」「裸婦」…日本人の婦女の皮膚感覚。

       「静物」…岸田劉生の影響がありそうな。

  [赤松洋画研究所]

   田川寛一「水泳選手MI嬢」昭和6年

   松本鋭次「新聞を売る女」昭和13年

   広瀬勝平はヴェルサイユ条約の西園寺公望公と同行。

       「ディレット風景」「欧州風景」「南仏風景」

   赤松進は麟作の息で29歳で夭折。

       「夏果」…まことに爽やかな味わい。

  [艸園会]

   吉原治良「朝顔と魚」

  [信濃橋洋画研究所]

  [中之島洋画研究所]

  

 小出楢重「銀扇」…大正3年。彼の最も大きい作品。全体に暗すぎ。

     「卓上草花」「静物(ガラス絵)」「支那寝台の裸女(ガラス絵)」

     「山の初夏」「菊花」「裸女3」「卓上静物」

 鍋井克之「静物」「春の浜辺」「刈田の雨」

 国枝完二「中之島風景」「都会風景―信濃橋」

 黒田重太郎「静物・デッセール」「朱卓牡丹」

 田村孝之助「卓上菜果図」

 石丸一「卓上風景」…不思議な空間

 佐野繁次郎


 <装丁>

 小出楢重 谷崎潤一郎「蓼食う虫」「猟奇の都」

      邦枝完二「東洲斎写楽」

      庄野貞一「十八カ国欧米の旅」

 吉良治良 東郷青児「カルバドスの唇」「手袋」

 佐野繁次郎 横光利一「機械」「時計」


 今回は歴史的流れを追ったもの、メインは小出楢重か。佐伯祐三はでていない。    

滋賀県立近代美術館―出光コレクション

 出光コレクションが滋賀にやってきた。出光美術館の大阪分館が長堀にあった時はよ

く通ったものであった。


    『色と黒のいざない

        出光コレクション展』


 <はじめに>

 出光といえば仙厓なので、滋賀にかかわって「近江八景画賛」二幅が出ている。軽妙洒

脱。

 <絵巻物とやまと絵>

 私が見たこともない絵巻がいく点も出ている。

 「融通念仏縁起絵巻断巻」…本山は大阪平野の大念仏寺。こんな絵が描かれるほどかっ

     ては盛んだったようである。

 「源義家図」…武家のきりりと引き締まった顔立ち。

 「長谷寺縁起絵巻」 


 <室町水墨の流れ>

 「待花軒図」…画は伝周。多くの僧による賛があり、詩画軸といわれる形式。この代表

    が国宝「瓢鮎図」。

 「山水図」…伝周文。最密

 相阿弥「瀟湘八景」…玉澗の発墨を学んだという。

 土岐富景「白鷹図」…美濃土岐一族の出という。鷹を得意とした画家。外暈で白を強

     調。

 宮本武蔵「竹雀図」…速筆で本質をえぐる。晩年細川侯に近侍。

 元信印「花鳥図屏風」…軽快平明の行体で、光信かという。


 <室町から近世初頭のやまと絵>

 伝土佐光信「源氏物語画帳」…極彩色の細密画。都へのあこがれの強い守護大名などの

     注文品であったのだろうか。

 「平家物語・一の谷・屋島・壇ノ浦合戦図屏風」…江戸時代。ものすごい数の戦士の姿

     が描かれている。

 岩佐又兵衛「四季耕作図」…中国の伝統的画題。粉本を写したものだろうが、全体が淡

     い色調に。

  同   「瀟湘八景図巻」…謹直な表現

  同  「在原業平図」…細面で下ふくれの独特の顔つき。


 <近世諸派>

 狩野探幽「叭々鳥小禽屏風」…余白を大きくとった瀟洒な形式が人気にと。

 呉春・岸駒「群仙図屏風」…珍しい共作。岸駒の方が良いか。

 葛飾北斎「亀と蟹図」…肉筆で、さすがにうまい。

 冷泉為恭「雪見花図」…すでに近代に足を踏み入れている。


 <文人画>

 池大雅「秋社之図」…珍しい絖を用いた作例。祭りの人物が不思議な服装。

  同 「山邨千馬図」…無数の馬が押し合いへしあい描きこまれている。遊び心。

 浦上玉堂「溌墨山水」

     「密林軼雲図…速筆で簡潔に描いてあるようだが、透徹した世界が広がる。

 富岡鉄斎「柳塘消夏図」「仏鑑禅師図」…このエネルギーはどこからくるのか。



 [常設展]

 <小倉遊亀コーナー>

  毎度見ているので省略

 <横山大観と仲間たち>

 横山大観「帰帆」「夕映え」「月下牧童」「木莵」

 菱田春草「雪後の月」

 下村観山「観音図」…若い女性のような匂いやか。

 木村武山「瀑布図した」…下半分をほぼ余白にしたような構図。

 北野恒富「鏡の前」「暖か」…上方のこってりした味。美人画だが類型化からは免れてい

     るか。

 奥村土牛「シルバータビ―」…金地で猫を。

 速水御舟「洛北修学院村」…青一色の世界

     「鴫・柿・」…鴫が超細密

 安田靭彦「卑弥呼」…代表作。  

滋賀の文化財講座・打出のコヅチ第5回

 近代和風建築の魅力

   ー蘆花浅水荘を中心にー

        県教委文化財保護課 菅原和之さん

 <近代和風建築とは何か>

 明治以降昭和20年ころまでに建てられたもので、木造・鉄筋コンクリートを問わず、

日本的味わいを色濃く発揮しているものをいうと。

 平成4年以降全国調査が進められ、大まかに

   1皇族住宅 2一般住宅 

   3ホテル・旅館…奈良ホテル、富士屋ホテル

   4駅舎…旧二条駅舎

   5官公庁舎・博物館・美術館…東京国立博物館、京都国立博物館

   6社寺…東本願寺、近江神宮

 ※木造建築では、高い建築技術(大工)と良い材料を尽くしたものが作られたという。

 <蘆花浅水荘>
  
 この住宅は日本画家の山元春擧が大正時代に建てた数寄屋風別荘(のち住居に)で、重

要文化財の指定されている。先般数年かけての修理がおこなわれたのを機会に、ここで

の紹介となったという。

 私は10年ほど前、ここで工芸展示会が行われた時見学したことがある。日本画家がこ

れほど立派な邸宅を作れるものかと驚いたことがある。

 本屋は今も住まわれているのでそこは別として、2階の応接間・画室、離れ、持仏堂な

どが写真で紹介された。

 やはりここでも貴重な素材があちこちに使われている。本屋の床の間の床板は巾1メー

トルもある松材、また畳廊下の化粧棟木は5間もの北山杉の丸太(上下同じ太さ)である。

 ただ美術品と同じで、本物を目の当たりにしたいと痛切に思う。

 ところでこのような木造建造物は水漏れと白アリが大敵とのこと、これにやられると

あっという間に家が崩れてしまうという。

 明治以降の日本建築は近江にはたくさん存在している。近江八幡。五個荘、日野の豪

商のお屋敷もなかなかに大した木材が使われているのを目の当たりにする。しかしこれ

らがこれからどう生き残っていくのか。こんなお家にはもう住めないし、資料館。博物

館としてもそんなに数はいらないだろうから。


 

大丸ミュージアムKYOTO-棟方志功展

 今なぜ棟方志功なのかわからないが、初期から晩年まで代表作が網羅された展

覧会である。今なおお客さんの呼べる人気のある作家・作品なのであろう。


     『棟方志功―祈りと旅』

 彼のかなりの作品は見たつもりであるが、多作であったので未見のものもある

かもしれない。

 「華狩頌板壁画」…アイヌの行事に想を得たというが、イランの狩猟文様をヒン

     トにしたようにも見える。

 <第一部 祈り>

  油絵「雑園習作」…帝展初入選した「雑園」(所在不明)の習作。

  初期お版画は全く川上澄生風である。

 〇「亀田邸の内園」「長谷川邸の裏庭」…独自色を出した版画。

 〇「大和し美し」…板毎に分け、表面彩色された版。

  「華厳譜」…

 〇「二菩薩釈迦十大弟子」…白黒の対比、顔の表情といい、やはりこれがなん

     と言っても代表作だろう。菩薩は再刻のもの。

 〇「善知鳥板画巻」…これも白黒の対比がよし。単純なのがいい。

 〇「鐘渓頌」…河合寛次郎の鐘渓窯より。昭和20年。艶やかな彩色がなされ

     る。

  「湧然する女者達々」…仏教の世界を湧然、没然の二幅に。


 <第二部 津軽>

 故郷青森のネブタ祭りに題を取るもの多し。

  飛神の冊」…地を赤に、顔を白に、鮮やか。


 <第三部 旅と文学>

 アメリカ旅行により生まれた「ホイットマン詩集」挿絵。

  「東海道棟方板画」などはもう一つ。

 〇「富嶽頌」…草野心平の詩に板画を添えたもの。

  谷崎潤一郎「鍵」の挿絵59点…ハガキ大の小さなものによくも彫ったもので

     ある。


 <第四部 文人画家の多彩な芸事>

 晩年、漱石の「行人」の挿絵を描いているが、良い出来とはおもえない。

 その他略。  

京都高島屋グランドホール―岩澤重夫展

 私は不明ながら岩澤重夫さんについて知るところ少ない。大分日田出身で、京

都市立美専を出た日本画家である。堂本印象に師事したという。そのためか抽象

作品も手掛けている。雄大な風景画で文化功労者にも選ばれている。


   金閣寺客殿壁画完成記念

      『岩澤重夫展』


 日展を中心とした展覧会出品作が主に出ているので、大きな画面のものばか

り、息苦しいほどに圧倒されるばかり。 

 「灯台のある町」…昭和29年、27歳の作。油絵風の塗り重ねる筆致ではじまっ

     ている。

 「砂丘」「昇る太陽」「礁」「晨」「響く雪」

 「嶂壁」…抽象

 「回転」…樋を何本も貼り付け、そこに玉が転がるように入れられてある。

 「集」「万」…黒い板に大小の釘また丸ピンが無数に打たれてある。

 「位相空間」…横に白いカーテンがあって、作品と見間違ってしまった。

 「響意」…印象の響に触発されたか。白黒金銀の玉が張り付けてある。


 雄大な自然の描写へ

 「湖」「水煙」「気響」「刻」「清潤」「凍韻」「輝く峰」「故郷」

  どこか山元春擧に通ずるものをふと感じたが。


 <金閣寺客殿>

 「写実の梅」…床は太陽・波涛・松

     枝垂れ梅・紅白の梅

     障子下にプラチナによる鳩が描かれている。絵の具が収縮して裂け目

     ができている。ただ一部絵の具がはげているところが見られた。

 「抽象の梅」…金銀の切箔を散らして。

 「プラチナと薄墨の山水」…さすがに堂本印象に師事した人らしい。



 ※この人の作品をあまり見ないと思ったら、作品の多くが日田市などに寄贈さ

れているかららしい。
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