日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2010年10月

京都国立博物館ー高僧と袈裟

 泉屋博古館からバスで博物館へ。途中寄り道をして河原町四条へ。京都らしく普段着の舞妓さんを見

かける。さらに博物館の近くで見かけた70歳近くの御婦人、少し薄めの鶯色の着物を見事に着こなさ

れている。眼福。


     特別展覧会

       『 高 僧 と 袈 裟 』


 袈裟というのは、インドで、仏教者が他の宗教者と区別するために着た布地。方形の裂をつないで一

枚としたもの。使い古した布を用いるので雑色である(糞掃衣)。これが中国に入ると、衣服の上に羽

織るものとなる。なお繋ぎ合わせて作るのは律に記され、継承された。


[第1章 袈裟のはじまり 律衣と糞掃衣]

 国宝「十誦律 巻第二十七 中尊寺経」…第四誦にある七法の最後に「衣法 割裁衣 三衣を聴す」

     と。金字銀字を行毎に違えて大変美しい。

 国宝「四分律 巻三十九 中尊寺経」…第三分に「衣捷度、糞掃衣、十種衣」とある。

 「袈裟 鑑真料 葵紋九ッ目結紋蒔絵箱入」…江戸期に鍵がかけられて以来、開けられず調べられ

     ず。

 「七条袈裟」…上の鑑真料を模したもの。さすが質素。

 国宝「七条袈裟(健陀穀子袈裟)恵果料 空海相伝」…糞掃文様を綴織で表したというが、ボロボロ

     で何やら分からず。絹は劣化が早い。

 重文「恵果像 真言八祖のうち」

 重文「空海像 真言八祖のうち」…ともに宅間俊賀の筆。


[第二章 天皇家と袈裟]

 貴族が出家すれば先例に準じ袈裟を用いたが、皇族(法皇)はその決まり事から自由に色・柄・模様

を使ったという。

 重文「横被 性信法親王料」…地の田相には火焔宝珠と羯磨の織。縁は牡丹丸文様の金襴という華や

     かのもの。

 「後白河法皇像」…頭の頂が平な相。顔は後補という。

 重文「三衣 叡尊料 亀山天皇、後宇多天皇、後醍醐天皇相伝」


[第3章 鎌倉仏教(浄土と禅)と袈裟]

 「九条袈裟 大慧宗果料 能忍相伝」…阿育王寺の拙菴徳光から能忍へ。唐草文様を六枚綾で(紺

     色)

 重文「二十五条袈裟 道元料 大智相伝」…紺色

 国宝「法然上人絵伝 巻十三」…聖護院の無品静恵法親王が法然から臨終行儀を授けられ往生する場

     面。

 国宝「一遍聖絵 巻第十」…伊予で三島に参詣する場面。田植えされた田が見える。

 「阿弥衣」…麻などを筵のように編んだ粗末な生地で作った衣。下方に「遊行元祖御衣壱枚」の張紙

     あり。


[第4章 伝法衣にみる東アジア交流1]

  伝法衣とは、師から弟子へ法を伝えた紅しとして授けられる特別な袈裟で、嗣法の象徴。

  禅宗では修行を深めるために中国に渡る僧が多かった。中国の高僧に参じ、奥義を究めて師から授

  けられた袈裟が日本に多く伝わる。宋代の華麗な織物が使われる。ただし年月を経て往年の輝きは

  なく、ほんとにボロボロのものも出展されている。どのように運んで展示したのかと心配するほ

  ど。

 国宝「九条袈裟無準師範像 自賛」…名高い国宝像。絵の中の袈裟では田は無地、行は青地金泥、環

     は鍍金した金属製か。

 「直綴 白雪慧曉料」…7種9片の裂で作られている。袈裟の下に着るもの。今日でも雲水が着てい

     る。


[第5章 道教・神道と袈裟]

 重文「刺繍九条袈裟貼屏風」…重源請来、法然継承。田に道教の諸尊の姿が見られる。美しい絵模

     様。


[第6章 伝法衣に見る東アジア交流2]

 「九条袈裟 夢窓疎石料」…折り畳んだ状態での出展。広げると崩れてしまう可能性がありそう。

 重文「夢窓疎石像 東陵永與賛」…上記の袈裟を着けた像。


[第7章 袈裟と名物裂]

[第8章 伝法衣にみる東アジア交流3]

 中国の元や明からの輸入金襴・銀襴による仕立て。


 ※律に糞掃衣と規定されながら、中国で仏教が国家仏教になっていくなかで、権威の表れてして豪華

  な衣装が用いられるようになる。それが日本にも伝わったのであろう。質素を旨とする禅宗でも、

  特別な袈裟だけであろうが、この流れのなかにはいったか。


 ※袈裟に関わる展示は京都ならではのものであろう。ただ歴史的には大きな意味があろうが、決して

  美しいものとはいえないものが大半で見ていて退屈する。大きな袈裟を広げて展示するための特別

  なケースがたくさん作られてあった。さすがに国立である。

泉屋博古館ー日本の美術

 三年坂美術館を出て坂を下っていると、法観寺の所で水煙が上がっていて通行止めとなっている。放水

システムの通水式が行われていたのだ。ちょうどこれを眺めている人の中に舞妓さんの衣装を着けた観光

客の人がいた。頭や化粧もそれらしくしているのだが、ただ一つ違っていたところがあった。それは草履

を履いていてコッポリではなかった。素人にはコッポリは難しいのであろう。

 記念の展示が続く。


      泉屋博古館創立50周年記念

         『 日 本 美 術 』 


 前回の中国美術に続く日本の美術特集である。国宝や重文が並ぶ。大半はかって拝見したものである

が、再び出会えて幸いである。

 国宝「線刻仏諸尊鏡像」…鏡の表に像を刻んである。上段中央に如来、その左右に脇侍菩薩、その下

     に左・文殊菩薩、右に普賢菩薩、中央に宝珠、下段の左は毘沙門天、その右に二童子を従え

     た不動明王。金堂に居ます諸像を鏡の世界集めたものか。

 重美「仮名消息ー藤原俊成」…花を贈られた礼状。手紙が残るという事は、この受け手がこの手紙の

     よさを知って大事にしたためであろう。

 重文「布袋図」…黙庵霊淵筆。賛は中国阿育山広禅寺の月江正印である。線が生きる。

 重美「山水図」…周文の弟子岳翁蔵丘に比せられる。狩野の初祖にも近いような

 「魚樵問答図」雪舟…破墨の味わい。

 「小井戸茶碗・銘六地蔵」「紅葉呉器茶碗」…ともに朝鮮の無造作に作られた雑器である。これを有

     り難がる気もわからぬではないが、私には歪な価値観との思いが強い。指跡をおもしろがる

     のは笑止の沙汰。

 「白鶴香合」仁清…何気ない座る鶴だが、端正で品格あり。

 〈刀装具の世界〉…略

 重文「是害坊絵巻」…中国から来た天狗の話。生き生きとした表現。

 「蔬菜図巻」呉春…全体が淡い墨と彩色で。葉は没骨で、茎・根は線書きで。

    大根、水菜、蕪、人参、独活、慈姑、蕗の薹、百合根、著路儀、シメジ、菜

 「日吉山王祭礼図屏風」海北友雪…人物の個性的表現、華やかさあり。

 「梅図屏風」彭城百川…金箔地に水墨。勢いあり。

「海棠目白図」伊藤若冲…この館の日本画のなかの白眉。「動植綵絵」に比しても遜色なし。繊細優

     美にして大きな広がりあり。

清水三年坂美術館ー柴田是真

 再び是真である。先に承天閣美術館でUSAからの里帰りを含めて大きな展覧会あった。今回は三年坂美

術館が欧米で買い戻してきたものが中心の小体の展覧会である。多くの作品は海外に流失していて、日本

では見る事少ない是真を再び見る事が出来た。全て状態の良いものばかり。

    帝室技芸員シリーズ1 蒔絵
      
        〜柴田是真と池田泰真〜

柴田是真

[絵画]

 「鵜飼之図」…中国の山水と同じく岩場と滝を大きく、下に小さく人物を。あでやかな色合い。

 「鍾馗図」…赤地に円内に鍾馗、外に逃げ出す鬼。鮮やか。

 「漆絵画帖」…どうしても粘っこく濃い色になってしまう。

[漆芸]

 「芦刈図手箱」…小さな鎌の刃が本物のように光る。

 「柳に青海波図菓子箱」…深い黒赤色がよい。彼が再興した青海波塗では模様の繰り返しが多く、

     もっと大胆に波を躍動させてもらいたかった。

 「五節句図硯箱」…わざと表面を荒く青銅塗に。

 「残菜入(とんこつ)」…鉄刀木の木目を模す。鉄刀木と思って持つと、その軽さに吃驚するしか

     け。

 「紫革腰差煙草入 秋草蒔絵煙管筒」…秋草に包丁が添えられてある。煙草入には狸の金具が添えら

     れてある。狸汁の意か。この金具は加納夏雄野作。名人の共作。

 「蜘蛛落葉図箱」…照明の加減で見えないのだが、微細な蜘蛛の糸があるはずなのだが。

[印籠]

 まことに凝った作りのものが並ぶ。


池田泰真 是真の弟子

 「海辺平和の意ー沈香棚」…金具は海野勝民

    沈香という貴重な木を使った棚。当然瀟洒な作り。彼がどこまで作ったか

 「昔噺ー竹に雀ず硯箱」…長袴姿の雀が三宝に乗せた杯を進める。筆置きに割り竹の意匠。

 「羊歯蒔絵手箱」…古くからあるもの羊歯の意匠を新しく。

 「菖蒲革腰差煙草入 秋草蒔絵煙管筒」

         蟷螂図緒締は海野勝民作

  煙管筒がいくつか出ているが少し手が込みすぎる。


福島泰哉

 「金唐革腰差煙草入 蕨蒔絵煙管筒」   

     煙管筒は見事のうぐいす色。金唐革の風合いがおもしろい。


 その他略。 

兵庫陶芸美術館ー古伊万里の華

 兵庫の加西に行く用があり、家人と自動車で出かける。せっかくここまで来たので陶芸美術館へ寄る

事にした。ここへは来たいと思っていたのだが、何せ遠いのと足がなかなかなかったのである。私はこ

の美術館がどこにあるかはっきりとは知らず、ナビの通り進むと、なんと丹波立杭にあるのであった。

ここへはだいぶ以前に、桜草鉢を買いに二度ほど連れてきてもらった事があった。新しい美術館はなお

木の香も漂う新しく美しいものであった。

 はるばるきた甲斐があった。


     日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念

          『パリに咲いた古伊万里の華』

 今回の出展作品は、パリ在の碓井文夫氏によりヨーロッパで収集された古伊万里コレクションであ

る。優れた名器が里帰りしている。各地を巡回するのだろう。


[第1章 欧州輸出の始まりと活況(寛文様式1660〜70)]

 オランダ東インド会社の商船フォーゲルザンク号が1659,10,15に5748点の磁器を積んで長崎を出

航してヨーロッパに向かった。それから数えて350年という。当時磁器といえば中国製と相場は決まっ

ていたが、中国は明清政権交代の混乱期にあって輸出どころではなかった。オランダはヨーロッパの需

要に応えるべく、磁器生産の根付き始めた日本に代替生産を求めたのであった。

 そのため最初は中国製品の模倣が多く、またヨーロッパからの注文品も作られている。ただ有田に輸

出注文が集中したので生産追いつかず、国内向けからも選ばれて送られたという。

  芙蓉手の大皿がたくさん出ている。手本とした中国製もあり比較できる。

 ◎「色絵花鳥文蓋付壷」…尾長鳥にあじさい。染付けに赤・緑の色付け(ダミにぼかしが上等)。口

     縁部に飾り模様。

  「染付太湖石花鳥文瓶」…下膨れのいかにも中国らしい形。

  「染付色絵盆栽朝顔皿」…ほんとに珍しい盆栽の絵が描かれている。

  「染付鯉蓮波文手付水注」…蓮の中から立ち上がる鯉という珍しい形。

 ◎「色絵花鳥文皿」…藍・緑・黄で紅のない色絵、さわやか。


[第2章 好評を博した日本磁器の優美(延宝様式1670〜90)]

  柿右衛門様式が注目をあびる。
 
   典型例…乳白色(にごしで)青味を除いた釉で真っ白な肌合いを。

       そこに余白を十分とって、色絵だけで描く。

   広義例…青味のある釉をそのまま使う。染付けと色絵の併用。

       柿右衛門窯でも広義様式を生産していたようであるという。

      ※これから考えると宋白磁は何とすごいことか。

  ○「色絵牡丹芥子粟松竹梅鳥文輪家花鉢」…丁寧に青を除いた白釉の良さ。

  ○「色絵鶴亀文菊花形皿」

  ○「色絵龍火焔宝珠文菊花形皿」…染付けの龍が美しい。

  「染付花鳥文輪花大皿」…柿右衛門窯の見事な染付け。


[第3章 宮殿を飾る絢爛豪華な大作(元禄様式1690〜1730)]

  景徳鎮「染付柘榴仏手柑文大皿」

     中国が清朝によって平定され、社会が安定するにつれ輸出が再開された。

  有田「染付柘榴仏手柑VOC字文大皿」  

     景徳鎮の上の皿を写したもの。何が描かれているか分からずに描いている。今から見れば中

     国製に軍配が上がるが、当時は日本の方が評価が高かったそうだ。ただヨーロッパでは日本

     製か中国製かの区別はつかなかったようである。

  「金彩菊花短冊花束唐草文大皿」…染付の線が生きていて、ダミ・暈も上等 

  この時代から染付け色絵が金襴手に移っていく。そして景徳鎮が伊万里を真似て「チャイーニーズ

  イマリ」が生まれる。

  実用からはなれて大きな宮殿を飾る大壺・花瓶の組み物が渡っていく。


[第4章 欧州輸出の衰退(享保様式1730〜50)]

 景徳鎮との価格競争に敗れ、オランダの経済活動の退潮もあり、さらにヨーロッパで磁器の生産

(1709年磁器生産始まる)が軌道にのった事で、公式の輸出は1757年に終わる。


   ※ヨーロッパでは磁器をそのまま使うだけでなく、金の唐草などの飾り加工を施されたものも多

    い。またコーヒー・紅茶の流行によって喫茶道具も輸出されている。初期の輸出ではヨーロッ

    パの見本によって把手の付いた水差しなどが作られているが、コップなどは把手はついていな

    い。


 テーマ展[丹波焼の発見]
 
  田中寛氏コレクションの展観。

  丹波焼についてはしばらく前に「丹波古陶館」で多様な優品を見ているが、ここでも見事な品がな

  らぶ。室町時代の大壺が欠けずによくも伝来したものである。自然釉のたっぷりかかった壷も楽し

  い。赤土部の赤茶色のなまめかしい肌色に思わず手が出そうになる。

    ※丹波焼では自然釉の景色が見所なのだが、壷や花生だけでなく我が家には丹波焼の植木鉢が

     ある。かってはこれらも登窯で焼かれたため、釉がうまく乗った鉢も町の園芸店で市販され

     ていたのである。鉢でも観賞価値の高いものがある。おろそかには出来ない。

滋賀の文化財講座ー打出のコヅチ6

滋賀の文化財講座ー打出のコヅチ6

    『聖衆来迎寺の新出資料』  

        滋賀県文化財保護課  井上 優氏


 聖衆来迎寺は大津の名刹である。寺ではライコウジと濁らずに発音するという。

このお寺のお住持が蔵の整理をされていて、珍しい発見があったという。

1) 蕎麦器

2) 阿難尊者像

3) 古文書

 ちなみに井上氏はこのお寺の檀家だそうである。


 1) 蕎麦器  

   貼り紙には蕎麦器と書いてあるのだが、これは多分提重(野弁当)であろう。この器は幕末の関

   白一条輝良の妻・芳寿院懿姫(紀州藩の娘)の遺品である。比叡山に納められたが、回向をする

   来迎寺に預けられたものである。さすがに非常に丁寧に意匠豊かに作られているという。ところ

   がこれが蕎麦器だというのだが、蕎麦は庶民のたべものであったろうし、高級漆器でどういう風

   に食べたのか、疑問の多い器である。

 2)阿難尊者像 …寺では善導大師立像として伝わる。

   井上氏によれば、寺の本尊は釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来の三尊であるが、釈迦如来は鎌倉

   時代、後者の2体は室町時代の作で、この「伝善道大師」は鎌倉時代のものであるという。すな

   わち同じ鎌倉時代作で、一対であったか可能性が強く、釈迦如来の脇に置かれた阿難尊者であろ

   うと。

   小さいながら慶派の目鼻立ちのすっきりした作である。現在大津市立歴史博物館で展覧中とい

   う。この間行ったのに気がつかなかった。

 3)古文書

   このお寺には貴重の古文書がたくさんあったが、ドロボーに入られてその大半を失われたとい

   う。ただ幸いに東京の史料編纂所に写真で残っているという。こんなのが市場に出てくるのだろ

   うか。

   今回新たに100点ほどの文書が見つかったという。    

    「高島郡阿弥陀寺関係資料」

      かってか阿弥陀寺の住持を来迎寺の住持が兼ねるということがあり、    

      ここにその関係文書がのこったという。

      ・御忌日田事

      ・阿弥陀寺住持盂蘭盆会勧録疏

    「乱版頒布関係文書」

      江戸での出開帳のおり、「阿弥陀来迎図」の刷り物 も売ったが、木版がすり減って

      絵が乱れたので「乱版」といったという。

細見美術館ー琳派8

 今回の琳派展では、江戸琳派と江戸狩野のコラボレーションである。画風は違うが同じ江戸のこと互い

に影響したかもしれない。東京の板橋区立美術館収蔵の江戸絵画の内から江戸狩野の作が京都にやって

きた。


   『琳派展8 江戸琳派と狩野派』

        〜板橋区立美術館×細見美術館〜


[狩野派]

 狩野常信(探幽弟で木挽町2代目)

   「四季花鳥図屏風 6曲1双」…ちんまりとまとまっている。柔らかみあり。

 清原雪信(久隅守景と探幽の姪の間に生まれた女性)

   「花鳥図屏風 6曲1双」…優しく穏やか。

 融女寛好「渓流小禽 軸」…ていねい。

 狩野栄信(木挽町8代目)

   「花鳥図」…太湖石に牡丹。濃厚な大和絵。

 狩野養信(木挽町9代目)

   「群鹿群鶴図屏風」のうち。沈南蘋の写し。新しい流行も学んでいる。

 狩野周信「花鳥図巻」…伝統的。

 伝狩野探幽「風神雷神図屏風」…こじんまりとしているが、勢いあり。風に吹かれる人、雨に傘さす

     人。


[江戸琳派]

 酒井抱一「桜に小禽図」…大瑠璃がよい色合い。

 酒井抱一・小鸞「紅梅図」…結ばれて新春を迎える喜びを絵に

      “行過野逕溪端 踏雪相求不憚労

      向處蔵春々不見惟 聞風裡暗香雲風”

 酒井抱一「扇面貼交屏風」…35扇が貼られている。絵は多様。全てに署名印がある。

 鈴木其一「朴に尾長鳥」

 鈴木其一「文読む女」

   酒井抱一賛 ‘無有三都 一尺楊枝 只北廓女 朝々玩之’

         ‘長房のよふし涼しや合歓花’

 鈴木其一「春秋草木図屏風」…屏風の中央に小さく貼られている。

 酒井道一「桐菊流水図屏風」…明治。金地、装飾的ではなやか。

 鈴木鶏村・酒井鶯蒲「秋草図屏風」

 池田弧村『光琳新百撰』元治元年

 中野其明『尾形流百図』明治

     『尾形流画譜』明治

京都市立美術館ー京都の油絵の始まり

 大阪の長堀で大阪市立近代美術館の「油絵の大阪展」が開かれているが、軌を一にして京都でも油絵の

発達を追う展覧会が開かれた。

 京都市立美術館では大きな展覧会が目白押しで、このような地味な催しは残念ながらかすんでいる。入

場者も少ない。


   『画家たちのヨーロッパ』


 100年以上もたった作品が多く、表面が汚れているのか暗い。近世ヨーロッパの絵がよく日本に来る

が、クリーニングしてニスが塗られているので、描きたてのような明るい画面である。ただ日本でいう古

びが全く考慮されていないのも気にはなるが。


[浅井忠と関西美術院]

 伊藤快彦、鹿子木猛郎、都鳥英喜、津田青楓、川端弥之助など

 安井曾太郎「自画像」1906年


[太田喜二郎と華畝會]

 太田喜二郎[レッスン」…マティスやボナールの雰囲気。

 三尾公三「LONGEST」…アクリルの吹き付け。特異な味わい。

 西岡義一「マンボウが聞いた話」…荒いタッチながら、ふわっとした味。


[黒田重太郎と白堊会]

 黒田重太郎、松村綾子、水清公子など。


[須田国太郎と京都独立美術研究所]

 須田国太郎「ルイザ・バルバラ」

   模写ーグレコ「復活」、チッティアーノ「音楽家とヴィーナス」など

 北脇昇「眠られぬ夜のために」…シュールの不可思議。  

京都市立美術館ー高島屋百華展

 先だって大阪日本橋の高島屋東館の資料館にいったのだが、そこの主立った資料が高島屋の創業の地

である京都で、来年創業180年になるのを記念して展覧されている。お隣では「日本画の誕生ー京都市

立芸術大学の創立130周年記念展」が行われている。日本画家で共通した人も多い。両館の入場券を同

時に買うと割引となる。


    近代美術の歩みとともに

      『高 島 屋 百 華 展』


[第1章 近代美術の巨匠たち]

 入館してすぐ目の前に、平櫛田中の「大黒天像ー有徳福寿尊像」がある。彼が高島屋のために5年の

歳月を費やして105歳のときに完成した大きな木像。一部の彩色は奥田元宋が行う。背には田中の手形

が印されている。

 下村観山・横山大観「竹の図」…絹本金箔地に水墨。共作。

 富田渓仙「風神雷神図」…にぎやかに明るくおどけて。

 川端龍子「潮騒」…躍動感のある画面、色鮮やかだがそれでいてあっさりしている。2600年記念の

     綴織の原画として描かれたもので、壁掛けが作られてヒットラーに贈られたという。

 富岡鉄斎「盆踊り図」2幅、1900年

     「贈君百扇」…箱書も鉄斎が。

 竹内栖鳳「アレ夕立に」…これをもとに織物が作られたことは先に資料館で展示されていた。

 勝田哲「縁のつな」…地唄より、芸妓の舞。

 竹内栖鳳「富士」

 横山大観「蓬莱山」…二つの富士が並べられている。私は栖鳳に軍配を挙げる。

 横山大観 呉竹庵杉戸「竹図」…見事な杉板に墨の濃淡で。

 北野恒富「婦人図」…片袖脱ぎの女性。ポスターに使われて、

     ‘香くはしき近代の詩の面影を装とせん明眸のため 晶子’が記される。

 和田三造「狩りの図」

 如月会(起佐羅伎会)寄書1947年…13人の錚々たるメンバー。

                  松園・松篁母子も。

 その他…前田青邨「みやまの四季」、小倉遊亀「椿花」

     安田靫彦「富士明、  中村貞以「白と赤の朝」

     森田曠平「富士太鼓」、小野竹喬「茜」

     池田遙邨「月光富士」、山口華楊「玄花」

     東山魁夷「深山湧雲」、奥田元宋「霧晴るる湖」

     平山郁夫「ペルセポリス炎上」

 洋画…岡田三郎助「支那絹の前」、川口軌外「花束」

    須田国太郎「孔雀」

 彫刻・陶芸…省略


[第2章 京都画壇と美術染織]

 世界三景・雪月花・原画(下絵)

  竹内栖鳳「ベニスの月」都路華香「吉野の桜」山本春挙「ロッキーの雪」

   →ビロード友禅として輸出された。一部大英博物館に収蔵されたという。

 岸竹堂下絵「金地虎の図」「桐に鳳凰」…友禅も。

 幸野楳嶺下絵「厳島紅葉溪図」…友禅も。

 百選会…呉服の展示会、大正2年より平成6年まで。着物が装いの中心であり、その流行を作り出

     す。

 上品会…伝統的な着物の展示会。昭和11年より今に続く。

 高島屋を代表する花は「薔薇」で、バラの絵もいくつかある。

   絹谷幸二「高島屋の薔薇」

「高島屋百華展 近代美術の歩みとともに」

日野のまちなか秋の桟敷窓アート

 滋賀は日野町のお祭りは春に行われる。たくさんの曳山が運行され大変賑わう。

その曳山が町中を進む時、各家では塀にあけられた窓から見物する。この窓を「桟敷窓」といってい

る。これが日野にはたくさん残っている。

DSCF0462

DSCF0456DSCF0455















 秋にも町おこしのにぎわいをと、民家を舞台にした工芸や絵画展が開かれ、曳山も一部展示される。

信楽院の本堂天井には高田敬輔の雲竜や飛天がみられる。

DSCF0457











 気に入った小物があればと、私は毎年のようにのぞきにいっている。毎年出展されている日野椀

北川高次さんが喫茶店をされているので、ここで一服しするのが習わしとなっている。お昼は名物鯛

そうめんをいただく。

国立国際美術館ーコレクション2

[コレクション2]

 ここは現代アートの拠点となっている。しかし訳の分からない自己満足の作品も多く、そのうち美術

館の倉庫はガラクタの山となろう。私の面白いと思った人と作品を記しておく。

 〈彫刻〉

  戸谷成雄「森」「洪水」

  舟越桂 「枝は手帳」…やはり安心してみていられる。

  柵田康司「入道雲の少年」…細い不安気名少年。
  
 〈版画〉

  日和埼尊夫 詩画集「卵」より…極細密な木口木版

  柄澤斉   詩画集「迷宮の潭」より…これも木口木版

  吉原英明  「二つの地平A・B」

  山口啓介  「繭の記憶」

 〈写真〉

  奈良原一高「空気遠近法」…カラーが美しい。

  東松照明

 〈絵画〉

  館勝生,金月召子、犠田哲、郭徳俊 
Archives
TagCloud
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ