日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2010年11月

神社の石橋

 先頃、滋賀の文化財講座ー打出のコヅチで近江の古い神社の話を聞いたとき、神社の構成物としての石橋が気

になった。とその石橋の写真展があるという。早速家人の自動車で見に行く。


   甲賀市甲南町竜法師 「忍びの里プララ」

       石橋研究家 森野秀三氏による120点の写真展示。


 近江にもあるが、最もたくさん存在するのは愛知県・岐阜県だそうである。残念ながら詳しい調査もされない

まま壊されるのも多いらしい。森野氏による調査は雑誌『湖国と文化』の123号に記載されているとのこと。

 そこで帰宅がてら、森野氏に紹介してもらって石橋のある神社に寄ることにする。


[甲賀の矢川神社] かなり大きな神社。本殿は囲いも無く全体を拝見できる。その前の拝殿は寒さ対策でか

          サッシが入れられている。今しも七五三の祈祷を受けているところに出くわした。門は趣

          のある茅葺き、その前に石の太鼓橋がある。参道の紅葉があまりにも色づいていたので
       
          パチリ。
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[甲賀の水口神社] ここも広い境内を持っている。ここは本殿に囲いがある。神社に面する道路側に石橋が。
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[竜王の苗村神社] 西本殿は近江で3番目に古い神社建造物で、国宝である。ここはまた大きな茅葺き門で

          も名高い。広い境内の片隅にこじんまりした石橋がある。欄干は後補。
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堂本印象美術館ー金島桂華展

 この美術館の展示は期間が長いのだが、他館の所蔵品を中心とする場合は短期となる。今回もうっかりして最

終日の一日前にやっと足を運ぶことが出来た。

 昨年も同じ頃にここに来て、まことに珍しい景観に出会った。それは館内にある大きな欅の葉が雨霰の如く流

れ落ちる場面であった。今回もそれを期待したが少し遅かった。


  特別企画展

    『金島桂華の世界』


 金島桂華は広島出身で、大阪に出て絵を学び、京都で活躍した画家である。今回は岡山の井原にある華鴒大塚

美術館の所蔵品が京都にやってきた。

 金島桂華の作品は総体に単純明快、主題を大きく捉えて余分なものは省き、大変分かり易い絵である。という

ことは少し深みにかけるかもしれない。

 「秋晴」…柿に目白

 「紅梅鶯」

 「富貴花」…背景を暗くして花を浮かび上がらせている。

 「猫」…母猫に子猫4匹。見事な写生。

 「モロコ」…蓮の葉を背景に小さなモロコを精細に。

 「紅葉葉」…にぎやかで装飾的。

 「あけび」…背景は抽象。

   その他花鳥の写生画続く。

 「緑陰」…金鯉がゆったり泳ぐ。上品。

 「富有柿」…空白を残さず、枝・葉・実で全体を埋める。

 「葡萄とダリア」2幅…1920年28歳の作。花と鶏を描き込んだ賑やかさ。

   その他、鶴や椿など単純化しすぎてあまり感心しない。


[ミニ企画ー印象の花鳥画]

 「雪持ち椿と小鳥」…雪の柔らかい表現。

 「牡丹の花」…葉の緑がかすかに滲む。豪華な花容。

 「沢瀉花咲く」…平面的

 「夕顔」…白い花を浮かび上がらせる手法に、白のグラデーションで花を生き生きと。

 「清秋譜」

   これらの戦前の作品群にはまことに爽やかな印象を受ける。

   それが戦後になると、こってりとした味わいに変化。

 写生画ー鵯、雉、うそ、アトリ、目白、上鶲、豆鳥、かわらひわ、

    朝顔、椿、桃、猫柳など 


  ※このあと大学の同窓会あり。11人出席。

滋賀の文化財講座ー打出のコヅチ

   打出のコヅチ第7回

       『近江の神社建築とその景観』

              県教委文化財保護課 課長補佐 池野保氏


 近江は文化財建造物の宝庫だという。古代は奈良、中世は近江、近世は京都に行けばよいと言われると。特に

中世の神社建築では近江に集中しているという。そんなところの私は住んでいるのだった。

 神社といっても、それは以下のようなもので構成されている。

  神、神体山、鎮守の森、境内建造物、宮座

     境内建造物ー鳥居、門、手水舎、拝殿、幣殿、本殿、社務所、橋、回廊、

           神楽殿、絵馬殿、新撰殿、灯籠、能舞台など

              ※拝殿、本殿以外のものは江戸時代に多くは整備されたらしい。

 この中で私の注意を引いたのは「橋」であった。大阪の住吉大社の太鼓橋が著名であるが、ちょっとした神社

でも入り口に鳥居とともに橋が架けられている。その下には川(池)がしつらえられてある。神域との境界を示

すもののようである。

   ※神社だけでなくお寺にもあることを思い出した。相国寺にも一番南に橋が架けられてある。神社形式を

    襲ったか。

 「能舞台」もそうである。近江八幡の日牟礼八幡宮にも能舞台があり、今でも利用に供せられている。神社と

能とどう関係があるのかわからないが、お寺には信仰で集まるのに対し、神社は集落の運営にかかわる祭りの場

として使われてきた流れがあるのであろうか。

 また自転車で近くの農村を走っていると、鎮守の森がよく目に止まる。かなり大きな森で出来ているものがあ

る。神域であるだけでなく、神社の建物の再建や修理に必要な建材を用意するためのもののようである。檜を植

えて、その皮を採取して桧皮葺が維持されてきたという。ただ私の見る森では、古木はあまりない。大戦前後に

伐られたのであろうか。

 近江の神社では中世のものが多いので、大半は「流造り」形式である。大津の日吉大社は「日吉造り」である

が、古式の神明造り、住吉造り、大社造りはない。

 近江の古い神社建造物は以下のものがある。

   ・栗東市 大宝神社 1283年建造

   ・草津市 志那神社 1298年建造

      ※この両社は軽トラックの乗るほどの小さな建物。それが地域の人々によって修理手当てされて今

       に受け継がれているという。

   ・竜王町 苗村神社 1308年建造

 これほどの文化財が身近に残っていることを知らせていただいた講義であった。これからは「鎮守の森」行脚

といこう。
 

私の使用する桜草鉢

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 [左]丹波・伝市窯・桜草鉢…昭和50年頃、浪華さくらそう会が伝市窯で作ってもらった鉢。基本形は香炉型

    の朝顔鉢である。「浪華さくらそう会 伝市」という刻印入り。仕立鉢。これは今でも購入可能。6寸。

 [右]丹波・香炉型鉢…もとは朝顔鉢であったようである。登窯で焼かれたものらしく自然釉の景色がみられ

    る。仕立鉢。

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  丹波・短型鉢…これももとは朝顔鉢であったようである。尾崎哲之助氏が焼かせたものの系統と考えられ

         る。釉をかけたもの、焼締などいろんな変化がある。養成鉢として使っているもの。

         6寸鉢。この中には30年以上も使っているものがある。

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 植木鉢でもこのように見事な釉の景色がみられる。うまく使えば茶道具の一つになるかもしれない。

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 いわゆる丹波鉢の7・6・5・4寸である。4寸3芽植でミニ花壇を作るのも面白い。

 私の若い時分には、このような丹波鉢も町の園芸店の片隅にころがっていたのだが。

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 [左]丹波・伝市窯・桜草鉢…昭和50年頃、浪華さくらそう会が伝市窯で作ってもらった鉢。寸胴型5,5寸。

 [中]信楽塗鉢…丹波の寸胴型を信楽で焼いてもらったもの。初期のもの。

 [右]信楽塗鉢…2度目に信楽で焼いてもらったもの。

      ※これらの寸胴型では、15センチビニールポットで仕立てたものを鉢に納めて展示することが出来

       る。

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 これは私の最も好きな鉢なのだが、数鉢しか入手できず展示には使えないもの。


 私が桜草の栽培を始めた時期が良かったようで、このような丹波鉢を大阪天王寺の赤松種苗で数百も買うこと

が出来た。一つ2〜3百円だったと覚えている。今ではとても手に入らない。

 その他、桜草にふさわしい鉢は多数あるのだが、浪華さくらそう会のHPで紹介される予定である。


団扇サボテンの実

 自転車道ー安土から能登川へーの途中で見かけたもの。イチジクと見紛うほどの大きさ、なかは濃い紫色、嘗

めてみたが味はなかった。

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桜草の鉢開け−4

〈古土の処置〉

 8〜9ヶ月使用した培養土の姿である。あまり風化は進んでいない、赤玉土もその姿をなお留めている。

 この土を土嚢袋に入れて、雨の出来るだけかからないところに積み上げておく。その間に微生物の働きで有機

物や根が分解される。これを後に2ミリ目の篩を通して再利用する

 古土を消毒・殺虫処理しないので、使用した鉢も土をこそげ落とすのみで、洗うことまではしていない。

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ボーダレス・アートミュージアムNO~MA マクロとミクロ

 どんな人でも美術・芸術ー心の叫びーを表現できるとして、その発表の場を提供しているのが滋賀県は近江八

幡のボーダレス・アートミュージアムNO~MAである。主に知的障害を持った人たちの作品が展示される。その

代表作は今「ARTBRUT JAPONAIS」としてパリで開催展示中である。


      『マクロとミクロ』

           ーミクロはマクロに向かい、マクロはミクロに向かうー


 鎌江一美…陶器。米粒ほどの大きさの粒を無数に人物その他に貼付けてある。集中力が途切れないようであ

     る。

 上田志保…絵画。色マーカーで「こゆびさん」を無数に描き込む。

   「作品3」では「こゆびさん」に大小が生まれ、波のように揺れる。

 孫雅由…絵画。滲む楕円が展開する。ポロックの作品のようである。

 富塚純光…絵画。文字(物語)と絵の組み合わせ。色がモザイクのように広がる。

 広野公…絵画

   「想像絵図」…2階の床全面と片方の壁を使った巨大な地図絵。近江八幡の町並み、そこに朝鮮通信使の

          一行が通っている。湖に面しては長命寺、八幡山、安土城がある。

 ムラギしマナブ…絵画と映像。

   「アロアンヌ製造中止」…かに男の像。

   「アロアンヌ製造中止の映像」

 吉田拓也…紙工作。

   「鶴の恩返し」…ロール状の巻き紙、230メートル、8キログラム。紙に模様が貼付けられてある。本人

           の「鶴の恩返し」の歌が流される。


   ※いわゆる現代アートとの違いはなにもない。しかも作品というのは生み出されるだけでなく、いかに発

    表する場を持つか、いかに見せる展示をするかにかかっているようにも思える。

上方浮世絵館ー幕末の動乱と見る上方浮世絵(再)

 家人の付き添いで近くまで来たので上方浮世絵館による。展示当初に見ているのだが、もう一度見ておこうと

思ったのである。

 今回は展示作品のなかでも上作のもののみを取り上げる。

[恋陸奥媚賊(こひのみちのくおんなとうぞく)]大判

   丸丈齊国広  1823

    中村歌右衛門ー三島おせん

     〈見所〉これ以上無いという髪の毛の細さ、彫の冴。

[けいせい清船調(けいせいきよめのふなうた)]

   五粽亭広貞  1851

    中山南枝ーおつゆ

    中村歌右衛門ー深見勝五郎

     〈見所〉中判を縦に2枚継いだ細長い画面。2階建てを描く。小さい画面なのに、2センチほどの顔の

         表情がまことに繊細。特に女中(?)のおかめ顔が秀抜。さらに黒塀を背景に枝に積もった

         雪がハラリと落ちる景も見事。

[絵本太閤記三]

   五粽亭広貞  

    中村玩雀ーぎおん坊

    三枡大五郎ー鈴木孫弾正

    実川延太郎ー足利よし栄君

    実川延三郎ー慶覚法師

     〈見所〉着物の模様が実に細かく表現されている。


 その他色々。

秋の桜2

 安土の自転車道で西の湖のほとりを走っていると、また桜の花が目についた。前回10月13日に見た桜の木がま

だ咲いている。そこでもう一度パチり。
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 その自転車道のほとりの畑に普通には見かけない野菜が植わっていた。根深の一種であろうが、葉が異様に太

く、間を空けて植えられている。特殊な根深らしい。
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美術館「えき」KYOTOーブリューゲル版画の世界

 絵画の世界に庶民生活が描かれることはあまり無かったことである。それは絵画の鑑賞者・購買者が富裕層や

権力者であったからである。それが近世オランダではスペインの支配下で未曾有の経済発展を成し遂げたがゆえ

に、庶民が歴史の表舞台に顔を出すことになる。それを担ったのがブリューゲルである。農民のお祭りや婚礼を

描いた作品がつとに知られているところ、さらに妖怪やお化けなどマンガ的要素も描いて先駆的でもある。今

回はそのブリューゲルの版画だけで構成された展覧会である。といっても彼が彫りまでしたのは1点のみで、日

本の浮世絵よろしく、彼は原画の作者であり彫師は別にいたのである。


      400年前のワンダーランドへようこそ

         ベルギー王立図書館所蔵 

           『ブリューゲル 版画の世界』


[プロローグ]

 作者不肖「ブリューゲル像」…生前に下絵が準備されていて特徴を捉えてるとされるもの。

 「野うさぎ狩りのある風景」…ブリューゲル本人が彫りまでした1点。

 「ヒエロニムス・コックの版画屋」…版画の専門店で、日本でいえばさしずめ蔦重であろう。蔦重の店の浮世

     絵も残されているに同じ。
 

[1章 雄大なアルプス山脈と田園風景への親近感]

 1551年(25歳)で画家の親方登録をし、その後イタリアに2〜3年遊学する。

 「大風景画シリーズ−13点ほど」…アルプス辺りの雄大な風景を取り込んでいる。ティヴォリ風景、休憩する

      兵士、エマオへの道など。

   ※一方で同時代の他の画家の小風景画もでているが、あっさりしている。

[2章 聖書の主題や宗教的寓意を描く]

 ブリューゲルの先輩ヒエロニムス・ボスの幻想的な絵に習い、第2のボスと呼ばれたことも。

 「聖アントニウスの誘惑」 

 「キリストと姦通女」

 「冥府へ下るキリスト」 

 「七つの原罪」…傲慢、嫉妬、激怒、怠惰、貪欲、大食、邪淫

 「七つの徳目」…愛徳、信仰、希望、節制、賢明、剛毅、正義

     ※左右反転の絵もあり。

 「忍耐」…怪物の集まり。背景にアントワープが。

[3章 武装帆船やガレー船の驚くべき表現力]

 船の細密画

 「メッシーナ海峡での海戦」…詳しくは「エルマ通信」参照

[4章 人間観察と道徳教訓の世界]

 「錬金術師」

 「学校でのロバ」…ロバがどんなに学んでも馬にはなれない。

 「やせた台所」「肥えた台所」

 「怠け者天国」

[5章 諺を通じて知る「青いマント」の世界]

 青いマントとは諺を絵にしたもので、いわばカルタを一枚の絵にしたようなもの

 「大きい魚は小さな魚を食う」…弱肉強食

[6章 民衆文化や民話への共感]

 「ホボケンの縁日」

 「野外の農民の婚礼の踊り」…農婦の様々なずきんの描き分け。

       新婦のみ髪を垂らすことが出来る。

[7章 四季や月暦表現で綴る市民の祝祭や農民の労働]

 「春」…3・4・5月分で、3月の造園を大きく取り上げている。土作り、整地、植付など今日的な花壇が生まれ

     ている。

[エピローグ]

 「不釣り合いのカップル」「死とクピド(キューピット)」 


   ※白黒の線ばかりで、しかもしっかり描き込まれているので、こんなにたくさん見ると印象が薄くなるのは

    否めない。油絵の作品と比較してみたかった。

   ※パンフレットは版画を大きく写し、しかも見開なので楽しめる。
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