日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2011年02月

伊吹の見える美術館ー万年青展

 グリーンパークに来るとたいがいこの美術館に寄ることにしている。仏師中川大幹の作品が常設

されている美術館である。

 今回は珍しい光景に出会うことになった。作業室ではその中川大幹氏が仁王像をまさに刻んでい

る姿を拝見することができた。岡山のさる寺に納められるものという。

 この美術館で一部仏像に代わって「万年青」の展示が行われている。日本人の美意識の結晶の姿

とでもいうべき万年青はまさに生きている宝石とでもいえるものである。今さら万年青の栽培に取

り組む元気はないが、見るだけでも楽しい。
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 せっかくこの地にまで来たので、名物の蕎麦を食べることにする。「伊吹野」で〈おろし天ぷら

蕎麦〉をいただく。中の上というところか。天ぷらは揚げたて熱々だったのだが、大根おろしは甘

かったので減点。

グリーンパーク山東ー盆梅展

 久し振りのまとまった雨が降る。作業が出来ないと思っていると、都合良く家人から「盆梅展」に

行かないかとの誘い、二つ返事ですぐに出発。

      『鴨の里盆梅展』

 伊吹山の麓ーグリーンパーク山東へは、長浜同様、毎年のように訪れている。ただ大概雨の日であ

る。

 ここの盆梅は個人で栽培されているものを持ち寄って展示されているらしい。立派な古木もたくさ

んあるのだが、木造では長浜に一歩の長を譲るようである。それでも展示品数ではこちらが圧倒的に

多い。2月の末というと花はもうしまい加減であった。

 〈不動〉                〈彩雲〉
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桜草短型鉢の由来

 我が家にある桜草鉢のいろいろ
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 丹波鉢の短型鉢
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 私は丹波の香炉型を仕立て鉢にしているので、この短型鉢は段飾りの展示には出番がない、ただ

200鉢以上あるので養成鉢としてはもったいないと思いつつ使っている。

 この形は独特で、普通の丹波鉢を寸詰まりにした姿となっている。私はこの鉢を大阪の天王寺の

有名な種物屋の「赤松」で見つけ、桜草にふさわしいものと直感して購入した。他では売っていな

かったようである。こんな珍しい形の鉢がどうして作られたのか、今までよくわからなかった。た

だ朝顔の大家である尾崎哲之助氏に関係しているらしいとは想像がついていた。

 そこで架蔵の彼の著『朝顔抄ー花とともに六十年』を繰ってみると。知り合いから譲られた清水

六兵衛作の桜草鉢を見本に丹波で桜草鉢を作らせたという記事にであった。それは京王百花苑で使

われたらしいが、そこが閉園してのち京王百草園となった今でも春には桜草の展示が行われてい

て、そこに彼の丹波短型鉢が使われているのである。鉢に横筋が入っていたり、凹みがあったりす

るのだが、紛れもなく全体の形は私のものと同じである。数千鉢作ったと言われているのだが、同

じ型で作ったものが赤松で市販されたようである。

 これでやっと疑問の一つが解けたのだが、情けない事に『朝顔抄』はかって読んだはずなのだ

が、眼は字面だけを追って中身に及んでいなかったようである。

 ところでこの型の鉢がなぜ関東で普及しなかったのであろうか。尾崎哲之助氏は営業活動の一環

として桜草の栽培と展示をされ、趣味の団体としての「さくらそう会」とは深い関係を持たれな

かったのであろう。そして「さくらそう会」は伝統的な孫半斗鉢にこだわって、尾崎氏由来の丹波

鉢や香炉型の朝顔鉢に関心を寄せなかったようである。

2011桜草の植替ー⑵

 ついこの間まで寒さに震えていたのに、この2・3日来異常な暖かさになった。土が乾燥して水やり

をせざるを得なくなり、また早くも芽が動き出しているのが心配で心急く。

  今年の古土を積み上げる。
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 怠けて培養土の準備をしていなかったので、まずは古土の篩通しから始める。約一年ほど経た土

嚢袋入りの古土を2ミリの篩で微塵を抜く。残るのは赤玉土と黒曜石パーライトだけ。
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これに新たにバーク堆肥、新しい赤玉土、パーライト、燻炭を混ぜて培養土が出来上がる。気温

が高いので10袋ほど出来たところで植替に切り替える。
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 夏越しに失敗して不定芽のついた根だけになった品種がいくつもある、2・3年辛抱せざるをえな

い。何とか増えないまでも必要な芽がとれればほっとする。

 一品種で通常植えるのは、仕立て鉢・養成鉢で、芽のよく出来たものは展示用ポット(15センチ

ポットの上部2センチを切ったもの)や養成用ポットもつくる。
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左より仕立鉢、展示ポット、養成鉢、四角ポット

2011桜草の植替ー⑴

 いよいよ今日から桜草の植替えに取りかかる。

 まずは送っていただいた苗を植付ける。

   千葉の猪野勇一さんからの「千葉乙女」を大鉢に

      *送ってもらった量が多かったので総会で仲間6人に分ける

   埼玉の川端利明さんからいただいた

    浦澤儀行氏実生新花「次紫」「初紅」「白加賀」「青雲」「緋乙女」

   岐阜の古畑佑樹さんからの「泥中の玉」

   中島満晴さんよりの「秋風楽」「艶姿」

   冨増和彦さんよりの「澄藤」「南湖梅」「桜八橋」

 培養土はまだ作っていない。昨年の残り2袋を使う。

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 植付に取りかかったところで、「朽木バーク」を買いに米原まで出かける。ここ「坂田園芸セン

ター」のはとにかく安い、3袋で1050円である。一般の園芸店では倍以上する。この「朽木バー

ク」はバークとうたってはいるが、勿論本物のバーク(広葉樹の樹皮)を使ってはいない。木っ端

クズを醗酵させたもののようだが、この製品のよいところは、土と化した腐葉土などとは違い、形

がしっかり残っていることである。

15袋購入。
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浪華さくらそう会総会

浪華さくらそう会総会

 年に一度の総会を開く。

    堺のサンスクエアで。1:30〜3:30。約25名の参加。

 ・開会

 ・挨拶と最近の桜草情報

    昨年酷暑のの影響で苗の出来がもう一つ

    切手の発行…「ふるさとの花第9集」埼玉県の花、50、80円、

    竹岡氏の史料発掘…水谷豊文自筆本「桜艸花形附」

             伊藤太郎吉「桜草銘鑑」

             「佐貝良分限」

 ・事務局より報告

    花博20年記念に「咲くやこのはな館」に小屋掛花壇を出展

    「山野草とミニ盆栽」誌(84号)に当会関連記事が載る

 ・会計報告と監査報告

 ・鉢植と桜草について   

   ○人と花の関わり

     1、人は花を美しいものと認識する。

          ネアンデルタール人の葬送儀礼に花が使われる

     1、自然植生をそのままに愛でる 

     1、居住地近くに植栽するー人の手が加わる

          庭園、公園

     1、持運びの出来る器に植える(盆、鉢、プランター、コンテナー)

          人の手が植物の生死を握る。

     1、切花…枯れる事が予定される花に前もって止めを刺し、最後の輝き    

          を自在に楽しむ

   ○鉢植の革新性

      人工的な都市の発展が鉢を生んだのかもしれない

         (農村では鉢は生まれない)

      植物を人間の都合で特別な環境条件の中に閉じ込める。

         人の世話を必然とする…手を抜けば枯れる。

      自由に持ち運べる

      環境条件を自由に操作できる…光、水、土、温度、栄養の加減

         最もよい条件を与える事もできる。

      よい花を選択して飾る事が出来る。

   ○鉢と植物の大きさ

      植物に対して大きすぎる鉢ー大は小を兼ねないー過湿になり易い

            小さすぎる鉢ー成長しないーそれを利用した盆栽仕立て

      植物体より少し小さめの鉢が適当か

        鉢の大きさの標準は

          大きい鉢ー持運びが困難に

          小さい鉢ー土の量が少なく、管理が難しい。

             →5〜6寸鉢が最も取り扱い易い。

   ○鉢植に似合う植物

       主に鉢植で育てて楽しむ草花…以外と少ない

          シクラメン、ベゴニア、洋蘭

          朝顔、海老根、東洋蘭、

    桜草は鉢植として最も適当な大きさの植物と言える。

 ・桜草の仕立と観賞       

    徹底的に4芽植の鉢を美しく仕上げるにはどうするか。 

       *近日発行の会誌掲載予定なので省略

 ・植替実演

    鉢の正面を手前に据える

    培養土を鉢の半分強入れる(通気性の高い用土なので鉢底石は使わない)

      土をしっかり押さえる

    4芽を追抱えに配置、芽の尻を土に据える

    なお芽の見えるところまで用土を入れる

    芽の先が正四角形で、高さが一様である事を確認

    用土を芽の上1センチ弱まで入れる

    用土をしっかり押さえる

    名札を挿す

 ・スライド上映…昨年開花のもの

 ・苗の頒布

 ・閉会


長浜郷土資料館・黒壁美術館

〈長浜郷土資料館〉

 近世・近代の生活用具がたくさん展示されている。特に櫛笄の収集は見事。

 今回は戦国期の合戦を描いた浮世絵が特集展示される。すべて大判三枚組。

幕末の毒々しいほどの色使い。
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  「賤ヶ谷合戦図」…芳虎画

  「山崎大合戦図」…一魁齊芳年画

  「賤ヶ峯大合戦両雄血戦の図」…一魁齊芳年画

  「太平記合戦図」…国輝画

  「兄川合戦之図」…一宝齊芳房画

   その他、一蘭齊国綱、一英齊芳艶、貞虎など。

〈黒壁美術館〉

 ガラス器専門の美術館で、古民家をそのままに利用して展示場としている。

主にアール・ヌーヴーとそれ以後現代に至るヨーロッパの作品が展示される。
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 前回来たおりもそうであったが、今回も

     『野村陽子植物細密画』が展観されている。

 花を中心にした精密描写であるが、写真とは全く違う。写真は物の一瞬を切り取るものである

が、絵画は時間を超える力を内包しているといえる。
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長浜盆梅

長浜観梅行

 毎年この時期に長浜での「盆梅展」に行っている。

 「慶雲館」で銘梅を見る。さすがに名にし負う銘木である。

[不老]…左斜幹。幾筋にも分かれた幹の上に艶やかな桃八重の花が乗る。女王様である。
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[さざれ石]…右斜幹。どっしりとした重み。
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[昇龍梅]…幹の上の方が太い不安定な木。
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 今回は目ぼしいものだけを駆け足で見る。

 「長浜盆梅パスポート」を購入したので、他の館に急ぐ。

〈浅井歴史民俗資料館〉

 NHKの大河ドラマ「江」によせての展示で、あまりみるべきものなし。

昨年までは隣接する「浅井ふれあいの里」で盆梅展が催されていたが、今年は「江」に場所を譲っ

て盆梅はなし。聞く所によると古木に枯れが出たという。「長政」や「お市」と名付けられた銘木

はどこにいったのか。

安土城考古博物館ー近江の観音と巡礼

   第41回企画展

     『近江の観音像と西国三十三所巡礼』  

 安土城考古博物館の企画展とはいえ、このようの企画は本来的には琵琶湖文化館が担うべきもの

のようにおもうのだが。安土に仏教関連の学芸員がどうしているのかと考えてしまう。県教委が琵

琶湖文化館にではなくこの博物館にこのような学芸員を配したのはなぜなのだろうか。人事からし

て琵琶湖文化館を軽視しているようである。

 それはさておき近江に伝わる優れた文化財がここに集結している。


[観音の成立ー教典に説かれた観音ー]

 「紺紙金銀交書法華経(延暦寺)」…中尊寺経に先行する交書経の優品。

 「妙法蓮華経普門品(聖衆来迎寺)」…奈良前期の無界の写本。紙がしっかりしている。しかし

     これがなぜ近江にあるのかと思ってしまう。

 「不空羂索神変真言経(聖衆来迎寺)」…光明皇后願経の一つ。正倉院伝来の物はたくさんある

     (宮内庁所蔵)が、これもどうして近江にあるのか。

[観音の種類と変奏ー観音はどのように表現されてきたのか]

  観世音菩薩ー聖観音、十一面観音、千手観音、如意輪観音、馬頭観音、

        准てい観音、白衣観音

 重文「木造聖観音立像(来迎寺)」…神秘的な風貌、災いを払い福をもたらす威力を込めた顔と

     いう。

 「木造聖観音立像(仏心寺)」…柳腰で細身のさっそうとした姿。檜の一木造。

     素地仕上。光背銘に‘貞元元(1222)仏師近江講師経円、勧進僧良真’とある。

 「阿弥陀三尊千体観音像(浄信寺)」…阿弥陀と矜羯羅・制多迦に19段500体の聖観音が描かれ

     る。

 「木造十一面観音立像(誓光寺)」…バランスのよい姿で金箔仕上げ。

    胎内納入品に、木札に観音像、松枝双鶴鏡、摺仏多数。

 「木造千手観音立像(福寿寺)」…でっぷりと太め。素地仕上。木肌がよく残る。胎内に‘中原貞

     俊とその妻子一族、嘉応2(1190)仏師僧長順…’と。

 「千手観音像(浄信寺)」…婆薮仙(虎皮の上)功徳天(荷葉座)を従えた観音。脇手を頭上に

     組んで化仏を奉持する形をとる(清水寺型)。

 「馬頭観音立像(山内公民館)」…平安時代作として珍しいもの、三面六臂。

 「護船観音立像(正眼寺)」…嘉永二年京の吉成宗兵衛作。船に乗る型値。

 「如意輪観音坐像(石山寺)」…竹生島の物と同形。

[観音信仰の展開と諸相]

 「聖観音・十一面観音立像(押立神社)」…平安時代。眼は刻まれず墨で描かれるのみ。神の依

     代としての用いられたらしい。

 重文「阿弥陀来迎図(浄厳院)」…いままで見た事の少ない、生きた顔つきの阿弥陀さん。

 「十一面観音三尊像懸仏(長浜城博物館)」…脇侍は不動明王と毘沙門天。

     応安元年(1368)秦守弘から長道寺に寄進されたもの。

[西国三十三所観音巡礼]

 「三十三所観音曼荼羅図(石山寺)」

 「巡礼本尊図」…近世以降は曼荼羅とはいわず本尊図と言われる。

 「巡礼札」…銅板もあるが木が一般的。巡礼の印として札を納めるので「札所」の名が起こった

     という。千社札の元の姿か。

 「道中記」その他も出ている。


  ※さすがに近江の国、重文クラスがたくさん出ている。

大丸ミュージアム神戸ーアートアクアリウム展

 室内装飾として金魚を使えばどうなるか、その試みである。

     『アートアクアリウム展』

 [壁掛水槽]…細長い水槽を三段に掛けてある。中に長尾の黄色・錦・黒が泳ぐ。

 [花瓶水槽]…水槽の面から試験管が差し込まれている。

 [万華鏡水槽]…金魚の泳ぐ姿が万華に展開する。

 [巨大金魚鉢]…直径1mはある金魚鉢。

 [行灯水槽]…水槽の表面に模様があり金魚の邪魔をしている。

 [屏風水槽]…ちょっとやりすぎ。


多くの金魚の種類が出展されていた。

   琉金ー4歳飯田産…更紗模様で短躯背が盛り上がる。

   パンダ蝶尾、

  ◯茶金花房…花房だけみかん色

   東錦、柳出目金、日本おらんだ、黒オランダ、虎オランダ、羽衣オランダ

 ◯オランダ獅子頭、

 ◯土佐金…泳ぐ時の尾ひれの動きがまことに優美。

  南京、

  ショートテール白琉金…あまりに短躯で奇形すぎる。

  キャリコ琉金

 ◯丹頂

 ◯卵中、桜錦

 ◯高頭パール…頭皮が水泡上に大きく膨れている。

  ピンポンパール

  出目浜錦

  ※さすがに百貨店の催物会場は人で賑わっている。これくらい美術館にも人が入ればと思わず

   にはいられない。立地条件が物をいうか。
     
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