日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2011年12月

銘品集め

 先日花友から私が希望した桜草の古い銘花が12種類送られてきた。
 私は栽培を始めた早い段階で200を越す品種を集めたので、その後は知人との品種の交換などですこしづつ増える程度で、意図的に増やす努力はしなくなっていた。
 数年前に桜草花壇を作って段飾りを始めた。私が見た段飾りの中で最も見事であったのは、10数年前の浮間桜草圃場での黒田信男さんの花壇であった。これに近づき乗り越えたいと思っている。ところがなかなか満足のいくように作り上げることが出来ない。さらに望むらくは、自家実生品だけで雛壇が出来ればいいのだが、これは不可能に近い。自家の実生品にはどうしても自身の好みが出て、雛壇に必要な色・花型・咲き方など様々な変異を一人の手で生み出すのは難しい。
 そこで定評のある銘花をとにかく手に入れようと思ったのであった。
 現代の銘花の基本形は染植重の『桜草名寄控』に載る品種に始まる。1840年代に大きな転換があったようである。そこには既に「一天四海」「紫鑼」「唐縮緬」「伊達男」「玉光梅」「東鑑」「楊貴妃」「白鷲」「江天鳴鶴」「漁火」「宇宙」「思の侭」「三保の故事」「九十九獅子」「大力無双」があり、その後の実生品種もこの範疇をでていない。既に百数十年を経た品種が銘花の位置に並んでいるのである。今日、八重系品種や4倍体系品種が生み出されているが、在来銘花を越えてはいない。なお遺伝子変異の集積が一定の閾値に達していないようである。この一線を越えるのは果たして何時になるのであろうか。
 そんなことで35鉢の段飾りの理想的な姿を出来いるだけ早い機会に作り上げるつもりである。
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これなどまだ完成度50%程度である。ただし100%はない。

雪の朝

 降雪の予報が出ていたが、その通りになった。明け方のほんの少しの吹き降りでうっすら雪化粧したポットたち。しばらくして消えてしまったが。
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打出のコヅチ第八回

 滋賀の文化財講座 打出のコヅチも最終回

    『木簡が語る近江の歴史』

          教育委員会文化財保護課  井上優さん

 木簡と言えば、平城宮跡や長屋王跡から出たものが著名である。しかし木簡は全国から出土するし、この近江からも重要なものがあらわれている。
 そもそも木簡とは、現代的には、墨書された木片のすべてを指すとされる。お札も卒塔婆もそうである。
 木簡は地下に埋まっていたものが掘り出されて日の目を見たものだが、文字が記されていることで、それは古文書として取り扱われる。

[近江の木簡調査・研究史]
  北大津木簡「音義木簡」(7C.)
    *慕=尼我布(ねがふ)と読むと。
  鴨遺跡木簡「収穫高明細」(長さ166センチ)
  西河原遺跡群出土木簡
    計64遺跡1万点以上出土

[近江各地出土木簡]
  大津市東光寺遺跡出土木簡
    「(呪句)鬼 急々如律令」
  甲賀市宮町遺跡出土木簡
  草津大将軍遺跡出土木簡
  東近江市斗西遺跡出土木簡
    「道師布施百四布」*「みちのし」天武八姓の一つ
  栗東市十里遺跡出土木簡

[重要文化財木簡]
  西河原遺跡出土木簡
    「貸稲」のちの出挙の文字が出てくる。
    「牒状木簡」
    「歌木簡」 奈尓波都尓佐〜なにはつに咲くやこの花冬ごもり
                      今を春ベと咲くやこの花 
        *少し前安土城考古博物館で展示されていた。
    「評」 こおりの記載のあるもの。
    「益須郡」つまり野洲の地名がでてくるもの
           そこに渡来人の名が多く記載される。

[こけら経の世界]
  薄い板材に経典を墨書したもの。全国で百数例のみ。
  頭部は五輪塔、圭頭、方形がある。ほとんどは法華経が記される。
  「天神畑遺跡出土」には金剛般若波羅蜜経が書かれたものがある。この経は禅宗との関わりが強い      もので、永源寺開祖寂室元光との関係、さらに佐々木一族とのつながりが考えられるので      はないかという。
  「見せ消ち」が見られるものあり。誤字の訂正がなされていて、読まれた証という。
  「長浜市鴨田遺跡出土巡礼札」宝暦四年(1452)の現存最古の巡礼札。
            竹生島への巡礼

  →近江は木簡の宝庫
       これを史料としてもう一つの近江史研究へと 

緞里絵図録

 この夏、近江八幡のボーダレス・アートミュージアムNO-MAで「緞里絵展」が催された。その図録がようやく完成して送られてきた。本格的な図録で、すべてに英語の翻訳がつけられている。日本を代表する美術作品として世界にも知らせたいとの思いからであろう。
 すべての芸術・美術作品はそのものから緊張感が漂っている。それは作者が知的障害者であるかないかにかかわらない。緞里絵さんの絵からもその力を汲み取ることが出来る。世界的な画家の仲間入りをしそうである。
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ボーダレス・アートミュージアムNO-MA ing……

 久し振りにNO-MAを訪れる。

   第8回滋賀県施設合同企画展

     『 ing……… 』

        〜障害のある人の進行形〜

 滋賀県内の福祉施設で暮らす人々の、「日々の暮らしの中で生み出され、継続して取り組んでいるもの」などまさに「ing…障害のある人の進行形」の展示会という。
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 荒井厚樹 1974〜 
   ◯「ラブラドールの犬」
 田村拓也 1992〜 やまなみ工房
   「絵を描くことを仕事にしたい」という
   小さい紙での原色モザイクー人形、飛行機、魚
 服部夏美 1993〜 滋賀県立近江学園
   大きな人物像(輪郭、クレヨン)
 タカキ・パウロ・セルジオ 1971〜 あそしあ
 服部徹 1983〜 バンバン
   「がむしゃらカレー」字を書き一部黒に塗りつぶす。
 下山孝也 1977〜 かいぜ寮
 福田増男 1941〜 蒲生野会ケアホーム
   ワラ半紙に鉛筆で犬など、文字は逆文字で

 山本和彦 1956〜 
  「かれは」 一本の木にたくさんの新めが春になれば出てきて春になれば花がさく そして花がち   って実がなって それから実はじゅくして、おちてゆく。それから育ったはっぱはかれはとなっ   てちってゆく。けれどかれはは風でふかれてどこへ行くかはだれもしらない。

 岩城仁 1985〜 さくらはうす
 多田有侑真 1982〜 社会就労センターこだま
   ◯マットにチョークで。黒い紙に蝉や蝶を丁寧に。赤地に魚もいい。
 番浦大朗 1981〜 蒲生野会ケアホーム
   「思いでめぐり」
 西田芳子 1958〜 びわこ学園医療福祉センター野洲
   ◯粘土…小さい塊を押し付けて大きな塊に 
 永松有 1991〜 クリエートプラザ東近江能登川作業所
 木村徹 1957〜 信楽青年寮
   ペン画…名前入りの肖像
 熊田史康 1992〜 やまなみ工房
   段ボールで家の模型(屋根なし)
 徳山彰 1939〜 彦根学園
   陶芸…自動車、オートバイ
   紙細工…三輪自動車、農夫
 石川一人・山内清 1949〜 彦根学園
   献立表の点字製作
 北村夏江 1935〜 湖北まこも
 川畑正弘 1953〜 しあわせ作業所
   風景のスケッチ
 牧野祐麿 1988〜 ステップあップ21
   粘土…紐作りで「どうくつ」を
 山本万里子 1968〜 さくらはうす
   帝人へのラブレター(酸素ボンベが離せないので)
 宮元節子 1959〜 ふくらの森
 林光正 1995〜 県立滋賀学園
 鷹羽善春 1948〜 県立むれやま荘
 庄徹浩 1972〜 ワークスさかた
 土田敦郎 1953〜 
   ◎陶製品…粘土の上に棒状の塊を放射状にさす。釉もいい色。
 川村幸雄 1952〜 ステップあップ
 堀江滋子 1954〜 びわこ学園医療福祉センター野洲
 竹原陽子 1986〜 伊香立の杜木輝
 辻隆行 1982〜 クリエートプラザ東近江能登川作業所
   ワープロで数字を打ち出し、それを切って、コピー機の上に並べて印刷する。 
 

安土文芸セミナリヨ はつらつコンサート

 寒かったが空は晴れていたので、自転車で出かける。

   第190回 はつらつコンサート

      『ロシアのクリスマス』

         指揮  若代孝三

         演奏  びわこウィンドアンサンブル
               吹奏楽中心の中年の楽団、なかなかの美形も混じられて眼福。

         賛助出演 童謡をうたう会

 「四季」より (12ヶ月の小品集)  P.チャイコフスキー
      11月 トロイカ
      12月 クリスマス (ワルツ)
      1月 炉端にて

        8人編成(フルート2、オーボエ2、クラリ2、バスーン1、コントラバス1)
               女7人、男1人

 聖夜のマチルダに何が来る       C.ライネッケ
     *若代さんによるドイツのクリスマス前夜の紹介。町にクリスマスマーケットが出現して関      連商品が売り出される。日本の歳末大売り出しのよう。マーケットでは寒さしのぎにホッ
      トワインが売られる。これがよく回るという。

    楽員8人追加(フルート2、クラリ2、バスーン1、トランペット2、トロンボーン1)
               女6人、男2人

 「白鳥の湖」より        P.チャイコフスキー
    白鳥達の踊り   歯切れよく
    葦笛の踊り    軽やかに

 コーラス  初老の10人の女性達
      コーラス喫茶の定番であったロシア民謡を
   赤いサラファン   A.E.ヴァルラーモフ
   モスクワ郊外の夕べ V.ソロヴィヨフ=セドイ
   カチューシャ    M.ブランデル
      *ロシア語も一部交えて

 みんなで歌おう  吹奏楽の伴奏付で
   あなたの心に
   蛍の光

   *1時間あまりの音楽会だったが、やはり生の演奏はいい。

観峰館ージャズライブ

 書を中心とする美術館である滋賀は東近江の観峯館では、館の行事として幾度か音楽会が催されている。冬にはジャズである。私は今回始めて足を運ぶ。

   『冬の音楽ライブ in 観峯館』

          菅野義隆/ギター(東京より)

          西村有香里/ティーサックス(滋賀)

          権上康志/ウッドベース(大阪)

           八日市で行われるJAZZフェスティバルの実行委員の呼びかけで集まった3人。
           今回始めての顔合わせという。しかし少しの練習で直ぐに息をあわせられるの               がジャズのいいところ。
 西村さんが軽妙に会を進行。

[1部]

 1、Shiny Stockings

    柔らかい電気ギターの音色で始まる。西村さんは妙齢な女性なのだが、サックスを自在に操つ        る。3人のアンサンブルが心地よい。西村さんはこの曲に合わせて、自身が持つストッキング        の中で最も派手は物を履いてきたという。

 2、Moon River

 3、Smoke Gets in Your Eyes

    ギターの複雑な和音、サックスの低音が染みる。

 4、シェルブールの雨傘〜How Insensitives

    そぼ降る雨に響くギターの音。そしてボサノバに移行。

 5、Autum Leaves

    ベースのソロが聴かせる。ウッドベースと言えば黒人の大男が力強く弾いているイメージがあ
    るのだが、小柄な権上さんが見事な技巧で奏でる。

[休憩]

[2部]

 1、Tricotism

    調弦からいきなりベースのソロで始まる、そしてギターへ

 2、Sentimental Journey

 3、White Christmas

 4、Santa Claus is Comin' to Town

 5、Smile

    ギターが繊細に

[アンコール]

   What a Wonderful World
     静かに穏やかにさわやかに。

  *展示場をホール代わりに使って、100数十人のお客さん。近在のジャズ好が集まった感じだが、私をも含   めて初老のおっさんが一人で聴きにきているのを幾人も見かけた。

  *そんなに大きくないホールなのでマイクなしで演奏してもよかったのでは。

桜草の魅力=変化性にあり

 一般に花は昆虫による媒介によって受粉が行われる。花は昆虫に来てもらうために、花弁を見せ、昆虫にも識別できる色を持ち、蜜を提供し、匂い(フェロモン)を放つ。昆虫に頼らない風媒花にはそんなものはない。
 ここでは花弁の形についてのみ私論を展開する。
 花の基本形は一重の同じ形の花びらが放射状に開くものである。それは集合花でも同じで、周囲一重にだけ花弁を持つ(ひまわり、コスモスなど)。これは平面的な2次元の世界ということができる。       *特殊な形の花は除外して話を進める。
 ところが、花の中には違う形の花弁が組み合わさって一つの花となっているものがある。水仙や蘭などである。水仙は筒状の副花冠を持ち、蘭は特異な唇弁(リップ)がある。基本は一重なのだが、全体として整合性をもった立体的な構造となっている。この形は人間の感性と深いところで結びついているらしく、これ以上の形の変化を考えない完成されたものとして受け入れている。水仙も蘭も育種が行われても、基本の形は野生のとき其のままで、弁巾が広がったり、変わった色合が生み出されるだけである。形態の変化は極力避けられる。
 経済発展著しい中国では蘭の栽培が大変盛んとなっている。その流行を支えるのが新花の供給であるが、整った花型は変えようはないため、奇形花が巾を利かせており、見るに耐えない新花が多い。中国春蘭一花では、名花「宋梅」を越えるのは至難のようである。
 百合やチューリップも6枚の花被片(3枚の萼と3枚の花弁)で一応一重の花と考えられるのだが、これも立体的な形なので、形そのものを変化させる改良はされていない(近年八重種が少し出ているが)。
 一方突然変異で花が多弁化することがある。おしべが花弁化したり、集合花では二重三重に花弁が生ずるのである。昆虫の媒介に邪魔になりそうで自然界では淘汰される可能性が高いと考えられるのだが、人はこれを好んでこれを選びとった。
  *タンポポなどは野生でも八重であるが。
 多弁化することで花に厚みが増し、立体構造となることが人間の嗜好に合致したのである。試みに、一重の山吹と八重の山吹を較べてみると圧倒的に八重の方が豊かである。ストックも同じで、一重の観賞価値は低い。
 牡丹はすでに数百年前に多弁化した花が取り上げられて育種が始まっている。ところが絵画などの古い資料を見る限り、その花容は現代のものとほとんど変わりがない。多弁化して立体的となるとやはり完成した形・姿として我々は受け入れて、これ以上の変化を求めていない。いったん牡丹で確立した多弁化した花容は一つの標準となり、「牡丹咲」という範疇で括られることになる。
 ただ椿などでは、八重咲きにも多様な変化を見出して優れた品種群を作り出しているのは特異である。
 それでは多弁化しなかった、多弁化できなかった平咲一重の花ー完成した姿形とは考えられない花ーは育種の過程ではどういう変化をその植物に求めたのであろうか。桜草は一茎多花なので全体としては厚みのある花容であるが、一つ一つの花は平凡である。そこで我々の先達は、桜草の持つ変化への可能性どう引き出して園芸植物として高めたのであろうか。まずは花びら(花冠列片)の形に注目して切れ弁を見出している。これは一重だからこそより映える。また色の変化ー白花や濃色、絞りや表裏色違いを取り上げた。とくに表裏色違も一重の方が鮮やかである。ついで花弁の形である。平咲から抱咲、掴咲などより厚みを感じさせる花容を選択して、立体的に見せている。そしてこれらが組合わさってた多様な品種群が出来上がった。
 人というものは欲張りなものである。一つの花・一つの品種だけに心を留めることは無理である。変化を求めるのは人間の性なのであろう。桜草は八重化できなかった(近年の八重種は別にして)が故に多様な品種群を生み出してきた。桜草にも理想的な花型が述べられることがあるが、現存する銘花を見る限り、先達は理想型は見出し得ないと見極めて変異性に注目したようである。

珍なるマンホール

 珍しいマンホールが眼についたので紹介。多分この手のものは一つだけではないだろうが、私は始めて見るもの。
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初冬の不断桜

 西の湖ぞいの公園にある桜がなお細々ながら花をつけている。侘しい風情。
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