日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2014年09月

竹の小刀

 男性にとって刃物は魔性のものである。その隙のない単純な姿に魅せられる。それを使ってみたいという気が起こらないわけではないが、眺めているだけでも心が高揚する。
 日本での刃物の代表は日本刀である。刀は実用品としての武器なのだが、はかなり早い段階からよい刀は鑑賞の対象となっていて使われていない。そんな刀が日本国中で保存されている。
 一般の家庭で刃物といえば包丁であり小刀であろう。私は小刀を集める趣味はないが、出会いがあって何本か手元にある。
 かつて岩波新書の村松貞次郎氏の『大工道具の歴史』を読み、さらに進んで彼の『道具曼荼羅』正・続・新の3冊も購入して、美しい機能美を誌上で堪能した。そのなかで「続」に小刀の記事があった。
 「武蔵国水心子藤原良明」作の「竹の小刀」である。鉄を自在に鍛造して竹の節を作ってある。本に取り上げられるくらいなのでたいした作品なのだろうと見入っていた。
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 ところが今からではどこか思い出せないのだが、ある金物店で「武蔵国水心子藤原良明」と彫られた小刀に出会った。これは彼の「竹の小刀」の作者のものである。何とか手に入れた。
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 しばらくして、京都の四条新京極の金物店を覗くと、何と本に出ていた「竹の小刀」一対が額に入れて頭上高く飾ってあるではないか。本に載るぐらいだから高価だろうと、京都に行くたびにその店に寄っては見るだけで楽しんでいた。しかし何度行ってもそのままである。私はおそるおそる値段を聞いてみた。何とか無理すれば買えないことはない。清水の舞台から飛び降りて一本を購入した。
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 もう一本もいずれ買おうと思っていたのだが、やはり一対のものは早く一緒にしてやるべきと件の店に向かった。ところがである、今まで動く気配のなかった商品が一つ売れると、待ってましたとばかりに、残りの一本も出てしまったというのである。もう我が家の「竹の小刀」は相方と出会うことはなくなった。寂しい片割れのままである。
 

実生苗のいまー9月末

 実生苗が何とか大きくなってきている。酷暑が少なかったので、苗にとっても今年は過ごしやすかったようである。ただ我が家では外に出したままの管理だったので、自然の猛威からは守ってやれなかった。
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 葉がポットからはみ出すくらいになると安心。
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京都に育ったある女性の姿

 大正時代の京都のモダンガール
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 その女性の配偶者となった男性
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日野のダリア園

 今年も日野のダリア園に孫の碧天(あおい)を子守がてら足を運ぶ。
 ダリアというのは一般によく知られている草花なのだが、大菊と同様に草姿が大きく小さな家の庭では納まりきらない。そこでダリア園での豪華な巨大輪を見せてもらうことになる。
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 突然変異であろうか、斑入葉になったもの。百数十年前なら大レアもの。
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酔芙蓉の異形花

 酔芙蓉がいま盛りである。この花は一日花なので、咲いた翌日には萎むのだが、朝晩の気温が下がると花が長持ちして、朝だけ白い花と桃色花が共存する。
 その中でときどき特異な花が見られる。一つの花で白と桃色の花弁が混じる。

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品名異聞ー続

 品種名の意味を考えている人は全国に私くらいしかいないだろう。こんな愚にもつかないことを考えるのは時間の無駄とも思えるのだが、頭の体操には大層よい。
 読んでくれる人はほとんどいないと思うものの、とりあえずは載せておく。

「東鑑」アズマカガミ
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 「東鑑」は名寄控に記載された古い品種である。しかし今日でも銘品としての地位を保持している。
 その名は「水鏡」とともに「吾妻鏡」という歴史書の書名から取られたものかと考えていたが、書名などを優雅な花の名に使うかと疑問がよぎる。
 「水鏡」は歴史書名というより、その言葉の原義である風景や事物の写る水面を鏡にたとえる内容によるとする方が、花にふさわしいといえる。謡曲の「野守」でも「水鏡」はものを映す鏡として使われている。
 すると「東鑑」も歴史書名でない場合を想定できないか。
 『地錦抄附録』に描かれた桜草の種類に「くわぎやう桜草」というものがある。これにどんな漢字を当てはめればいいのか。その重弁でふくよかな姿は丸い形が印象的で、これは「東鑑」にもよく似ている。 さて「くわぎよう」とは「花鏡」とするのがよいようである。「花鏡」とは周囲を花びらに象った鏡をいい、花の形に類似する。
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 また「花鏡」といえば中国伝来の園芸書『花鏡』(陳扶揺著1688)があり、『秘伝花鏡』として平賀源内の校訂を経て日本でも翻刻(1773)されて、園芸家にはよく知られた書であり、言葉であった。
 それでは「東」とは何か、これは京に対する関東の東ではないか。江戸時代和鏡が普及するなかで、下りものとしての京鏡に対して、下らない現地生産された江戸の鏡を「東鑑」と称したのではないだろうか。
 つまり、丸い花容を「花鏡」に見立てて、「東鑑」と名付けたのではないかと推量できるのである。

椿の開花

 犬の散歩に行く道中、椿が咲いていた。横ではなおムクゲが花をつけているのに。
 椿の花は咲く期間が長いことが知られるが、早いといって9月中旬に咲いているのにはびっくり。
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 実生苗の今…なかなか大きく成長せず
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滋賀の文化財講座 打出のコヅチ第5回

 滋賀の文化財講座 打出のコヅチ第5回 〈講演要旨〉
   『甲賀にお祭り大集合』
     〜民俗文化財交流フォーラムから
        ブロック民俗芸能大会滋賀大会へ〜
              滋賀県教育委員会文化財保護課 矢田直樹さん

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 ◦滋賀県の民俗行事の特徴・分類
   滋賀県は民俗行事の宝庫
      …大きな行事だけでなく、小さな集落の行事もよく保存されている。
   曳山、火祭り、オコナイ、山の神、野神、
         ソウモク、風流系の芸能、祇園行事

 ◦祭礼行事・民俗行事の現在
    この3年間に「まるごと調査」が行われた。
     ⇨母体としてのムラ・イエの弱体化進む。
       農村の変化…少子高齢化、働き手の流出、
     ⇨行事の改革=簡略化…家から公民館へ

 ◦祭礼行事・民俗行事の今後  
     行事数の減少傾向は続く
    一方で行事の重要性の認識の深まる地域も
      行事により地域の活性化が図られる
             …熱心に練習や準備に取り組む所も出ている
    行事の持つ潜在力の認識の必要
      もし消滅すればムラの行く末も悲観的に

 ◦第56回 近幾・東海・北陸ブロック民俗芸能大会 滋賀大会 内容紹介
    平成26年11月9日(日)
    甲賀市あいこうか市民ホール
    出演団体
      西川の大踊り  (十津川村)
      住吉田植踊   (大阪市住吉区)
      敷地天神蝶の舞 (加賀市)
      下余呉の太鼓踊り(長浜市)
      越中五箇山麦屋節(南栃市)
      小木田の棒の手 (春日井市)
      黒滝の太鼓踊り (甲賀市)
  踊りの概要と映像上映


 *民俗文化の衰退を遅らせることは出来るだろうが、それは不可避だろう。ほんとに農村をどうした
  らいいのだろうか。
  そんなことをいうている場合ではない、桜草の担い手も先細りになりつつある。これを如何せん。

品名異聞

 桜草の品種名について考える所があり、先に「大和神風」や「江天鳴鶴」「錦葉集」などを取り上げた。これはその続きである。
 桜草の品種名についてはいくつかの論考がある。それらは分類が中心で、なぜそんな名前が付けられたのかの経緯はあまりわかっていない。

[高根雪]たかねのゆき
 作出者の高木勇氏が「高根の雪」として発表されたものだが、私は「高根雪」を「高嶺雪」と同じであり、富士山であると思い込んでいた。しかし誰も文字を「高嶺の雪」と書こうとはしない。かの鳥居氏ですら「高根の雪」そのままである。ということは「高根」という文字を使う理由があるのか。
 「高根雪」という言葉が使われている例には、歌舞伎の外題に『高根雪伊達聞書』『高根雪伊達実記(こがねさくだてじっき)』などがある。といって現代では上演されることのない演目なので、これと桜草の「高根の雪」を結びつけるのは難しい。
 一方で「高根」という地名がある。
   元狭山地区高根雪(貴音雪)
   千葉県船橋市に「高根町」、市原市に「上高根」「中高根」
   山梨県北杜市高根町
 このどれかの地に作出者の高木勇氏が住まわれたか、何か縁のある土地であって「高根」を使われ、この品種が純白なので「雪」を付けられたと想像できるのである。
 ただ「高根」も本来は「高嶺」であり、いつ頃からか「高根」という文字がつかわれだしたらしく、「高根の雪」にも「高嶺」の意味が込められてはいる。

[駅路の鈴]
 「駅路の鈴」とは古代の駅逓制度に使われた「駅鈴」のことである。ただこの制度や鈴のことは、後の世ではよほどの学者以外には知るところではない。
 本居宣長は鈴を愛玩して、その書屋を「鈴屋」と称し、「駅鈴」のレプリカも所持していたという。江戸も後期になると古物愛玩趣味が広がり、珍品を公開展示することが各地で行われている。「駅鈴」もそんなおりに出されていたのかもしれない。
 しかしもう少し広く知られるきっかけがあったようである。次のような書が出ていたのである。
   『東海道駅路の鈴』 大曽根佐兵衛著 宝永六(1709)刊
      東海道各地の地誌を記したもの。
      旅のしおりのはしりであろうか
   『東海道五十三次絵本駅路の鈴』 北斎 文化中期
      かの北斎の作品だが、広重ほどには成功しなかったようである。
 このような書物を通して、「駅鈴」の実物を知らなくとも、間接的に「駅路の鈴」という言葉が使われていて、それを品種名に流用したものと思われる。

[玉冠] ぎょっかん
 「玉冠」は広辞苑にも載る単語で、玉で飾る特別な冠ー冕冠・礼冠を意味し、宮廷の儀式で用いるごく特殊な冠である。そんな言葉がなぜ桜草に使われるのか。そのためには、それが近世にある程度普及している言葉でなければならない。
 一応私自身が出した答えはあるが、これを読んで下さった人々も推理してもらいたい。何に使われた名前か。

苗が食害さる

 せっかく伸び上がった葉の茎を虫に食いきられた。処置無し。
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