日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2014年11月

「千年の美」つたえびと養成講座

 滋賀の文化財講座 打出のコヅチが行われているが、滋賀の新しい美術館の成立に向けて下記のような講座が教育委員会によってもたれることになった。
 
  平成26年度
    「千年の美」つたえびと養成講座

[目的] 滋賀に長らく伝わり、「千年の美」とも呼ぶべき豊かな文化財(佛教美術)の価値について、自ら学び、在住地域や県内の美術館・博物館において、文化財の守り手(伝承者)としてまた伝え手(発信者)として活動していただく人材を育成していくことを目的に、「千年の美」つたえびとづくり事業を実施します。

  第1回  『仏画制作の技法』

         講師 中村佳睦氏(あさば佛教美術工房 仏画師・截金師)

 仏画は日本画の一部門なのだが、伝統的な形式・技法(儀軌)にもとづいて描かれるもの。

 仏像の諸相…釈迦関係絵画、密教絵画、浄土教絵画、垂迹画、その他
 仏像の種類…仏、菩薩、明王、天部、羅漢・僧形、その他

〈描くための材料と道具〉
 基底材…紙、絹その他
 絵具…顔料…辰砂、朱、鉛丹、群青、緑青、雲母など
  *金剛輪寺の曼荼羅復元模写のために、絵具をも精製されたという。おおきな藍銅鉱・孔雀石が示
   される。現代市販されている群青などは粒が揃いすぎていて奥行きがでないという。
 箔・泥…泥は箔の切れ端から作られるとのこと。
 膠…三千本膠が製造中止になりかけて買い占めたという。その後粒膠が出て便利になったと。

 道具ー筆、刷毛、墨、硯、その他

〈制作技法〉
 鉄線描、肥痩線、裏彩色、隈取り(暈し)その他

〈截金体験実習〉
 カットされた截金、下絵の書いた紙、截金海苔(膠+布海苔)、絵皿、筆
  紙に糊をつけ、箔を筆でとって下絵の所定の場所におく、それだけ。
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根を詰める作業を久し振りにさせてもらった。
  工房のたくさんの皆さんが手助けして下さっていた。


 講義から実習まで、大変有意義にすごさせてもらい有り難かった。
 ただせっかくの「つたえびと養成講座」で、しかも休日の開催にもかかわらず、参加者は爺さん婆さんばかりで、中年がちらほら。若者はどこに行ったのやら、日本の文化の維持発展は誰が担うのやら。

金田幼稚園創立50周年記念式典

 我が子3人がお世話になった地元の幼稚園が創立50周年を迎えた。私がPTAの役員をしたことで式典参加への案内をいただいた。子どもが卒園してから30年以上も経ち、全く縁遠い存在になっていたが、式典の賑やかしになればと出席することにした。
 園児の描いた紙袋   式次第     左の表紙(園児の漉いたケナフ紙)
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 お土産
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 隣接する小学校の体育館でその式典は行われた。型通りのセレモニーのあと、園児の発表があった。
 3歳児は一列に並んでの歌。四歳児になると3段に並び、しっかり立って身体もぶれずに大きな聲で歌を歌う。五歳児では一部楽器も使っての歌。この年令で仲間とともにしっかり行動が出来ている。
 しかも椅子に座って待機中もうろつかず坐っていられた。たいした子どもたちである。これになお個々人の才能を伸ばし得たなら、日本も安心だと思わせられた。園児300人弱。
 それにしても教諭の先生のご苦労なこと。

泉屋博古館ー京・名・物

 丸太町通を寺町から東天王町へバスで移動して泉屋博古館へ。

   屏風で楽しむ

     『 京・名・物 』

         おもしろの花の都や

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 「祇園祭礼図」伝長谷川久蔵筆…保昌山、孟宗山、四条傘鉾、函谷鉾が描かれる。
                素朴だが生き生きした筆使い。
       *「祖利休宗易居士什具 ちゃくそん宗旦印」とあるが?
 「源氏物語図屏風」…まことに細かい描写で、どんな筆を使ったか気になるところ。
 「二条城行幸図屏風」…秀忠・家光親子が上京し、その二条城に後水尾天皇を迎えた歴史的行事
    の記録画。迎えの武家一行、行幸する天皇の集団、そしてそれを見物する多数の京の住人。道
    沿いには祭の時のように見物席が設けられる。家屋の大半は2階建て、しかしその2階には誰
    もいない(上からの攻撃を避ける)。
    それにしても全部で4700人余の人物画が描き込まれている。しかも従者は別にして見物衆の着
    物は全部描き分けられている。この群衆表現は、かの上杉本「洛中洛外図」に匹敵するか。
    別室では、高精細スキャナーによる拡大画像の放映が解説付で行われていた。なお会場ではこ
    ちらの欲しいままに画像を拡大できる装置が設置されていて、私も操作して目一杯大きくして
    みてみたことであった。

 「十二ヶ月遊覧図巻」…上等
 「四季草花図屏風」伊年印…宗達工房で描かれた伊年印の草花図はかなり残っていて、その半数近く
    に桜草が描かれている。ここにも出てくるー右隻第二扇中段に。やはり住友が収集しただけに
    保存状態の極めて良い作品である。
 「蔬菜図巻」呉春…京野菜を立付けで爽やかに描いている。伊藤若冲のあとを承けたものであろう。
    ナズナ、芹、嫁菜、蓮根、甘草、土筆、防風、蕨、蕗、実山椒、牛蒡、山葵、空豆、芋茎
    紫蘇、筍、胡瓜、ササゲ、白瓜、加茂茄子、茄子、唐辛し、葉ショウガ、豌豆、南京、鉈豆
    里芋、大豆、茗荷、コウタケ、シメジ、ヒラタケ、大根、百合根、水菜、チョロギ、蕪
    人参、蕗の薹、独活、クワイ
 

京都の看板ー内藤湖南の書

 衣笠から東山に向かう途中で昼食。丸太町府庁前の「近江屋清右衛門 - 丸太町/欧風カレー」をいただく。美味いうこと無しなのに、混んでいない。
 せっかく丸太町通にきたので、そのまま東に歩いて御所を過ぎ寺町にかかると、「彙文堂」という本屋がある。そこに立派な看板が掲げられてある。中国書を扱っていた関係で内藤湖南に書いてもらったものである。京都は文化の町。商家の看板にも著名人の揮毫したものが多く見られる。もっとも大名なのは富岡鉄斎のものであるが、その次にくるのが内藤湖南であろう。堂々としていながら、しかも繊細である
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  *クイックして拡大して見られたし  


堂本印象美術館ー京都画壇の巨星たち

 久し振りに衣笠へ。金閣寺行きの快速バスに乗る。秋の京都は東山が著名なので、いかな金閣寺でも春ほどではない。

 特別企画展

     『京都画壇の巨星たち供

         文化勲章受章者による日本画

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  昨年催された「京都画壇の巨星たち機彙歹眄緩院⊂野竹喬、上村松篁、池田遙邨、秋野不矩に続く第2弾として企画されたもの。

[回廊]
 上村松園「小町の図」
 西山翠嶂「神駿」…斬新さが眼を惹く。青色が鮮やか。
 福田平八郎「青柿」…葉の緑のグラデーションが心地よい。
 徳岡神泉「緋鯉」…金鯉のようだが?
 山口華楊「黒豹」

[展示室]
 上村松園「献燈」
  その他の美人画は類型的(個性的な美人画を描いても売れなかったであろうが)
 西山翠嶂「相撲図」
 福田平八郎「竹」…やはり竹がよい。しかしどれほど描いたのであろうか。
 徳岡神泉「枯葉」…厚塗りで、ほとんど抽象画。
 山口華楊「虎」…飼いならされた猛獣の姿。

[青年印象の意外な視線]
    *芸者遊びも盛んだったのか。
 「小唄十二ヶ月」…繊細洒脱の小品
   睦月…恋しこいしに月日を忘れ 鶯が啼く春じゃさうな
   神無月…雨の降る夜はひとしほ床し いつにおろかはなけれども
 「梅の女」(大正9年)…美人である。
 「和倉温泉の女」…芸者の日常の一コマ
 女義太夫ー団廣、団千代

観峯館ー扇面の美

 天候もよし、自転車で五個荘の観峯館に出かける。
 お昼は館の近くの丸亀製麺でうどんをいただく。

  館峯館  『扇面の美』

         ー美人画・人物画編ー

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 扇は日本のみならず中国でも日常の必需品であった。無慮多数の扇のなかには扇面に絵の描かれたものも少なくない。今回の展示では中国流の山水ではなく人物の特集である。
 ここの出ている扇面の多くは19世紀から20世紀にかけて描かれたものが中心である。近代に入ってからのものなのだが、その主題は旧態依然のままで、近代の息吹があまり感じられないのが残念である。

 白描美人図        樹下美人図       採菱図
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 仕女装鐘馗図       妻妾相争図       四相簪花図
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〈展示場〉
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    『題跋の書』
      ー出版物からみた人びとの交流ー
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 出版物に添えられている著名人の題跋を特集した展示である。
 勝海舟、三條実美、伊藤博文、岩倉具視、木戸孝允、大久保利通、有栖川宮熾仁親王など

京都国立近代美術館ーコレクション展

 ホイッスラー展に少しガッカリして4階に行く。

    『 第4回 コレクションギャラリー 』

 まことに多彩な展示が行われていて、こちらの方がずっと楽しめた。

[日本の近代洋画と浮世絵ー鏡としてのジャポニスム]
 ホイッスラー展でのジャポニスムを承けて、日本洋画にみられるジャポニスム風味わいの作品を集めた展示。橋・舟・木立・髪梳を主題にしたもの選択。
  黒田重太郎「冬林」
  熊谷守一「化粧」
    この二者がいい。

[生誕135年記念冨田渓仙特集]
  若菜摘…舟上の娘が採っているのは若布ではなかろうか。
  鵜舟、江畔萬里図、許栖岩、万葉春秋(二曲二双)
   *初めて見る作品ばかり、冨田渓仙展でもやってくれないかしらん。

[関西の現代美術]
  よい作品ばかりが並ぶ。ただ現代というのだが、20数年以上前の作品ばかり。
  泉茂「浮遊円盤」
  塔本賢一、関根勢之助、三島喜美代、木村嘉子、片山昭弘……

[陶芸:イギリスへのあこがれ]
  ルーシー・リー…日本的感性がありそうな
  ハンス・コパー、富本憲吉、バーナード・リーチ

[卓上 版画その他コレクションより]
  川上澄生、前田藤四郎、池田満寿夫、長谷川潔

[パリの日本人画家たち]
  佐伯祐三「裏街の広告」
  藤田嗣治「横たわる裸婦」
      「メキシコにおけるマドレーヌ」…滲み出る美しさ。

[フランス近代絵画の展開]
  モディリアニ「ベアトリス・へイスティング」
  ルドン、ルノワール、ボナール、モネ、シスレー、マティス、ユトリロ、ルオー、ピカソ
  シャガール、キスリング

京都国立近代美術館ーホイッスラー展

 国芳を楽しんだあと、うまくバスに乗れて京都国立博物館に向かう。ところがバスを降りたところ「鳥獣戯画展」が入館待ち3時間というので、これはあきらめて今日が最終日の近代美術館へ。

    『ホイッスラー展』*ここをクイック

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[第1章 人物画]
 「赤と黒:扇」…立ち姿の女性を赤と黒でうまくまとめてある。

[第2章 風景画]
 「ヴェニスの情景」…小品だが渋い銹色の色がいい。

[第3章 ジャポニスム]
 「白のシンフォニー」…ホイッスラーの愛人であったジョーがモデル。この年別
       れることになった彼女の鏡に写る顔は何やら寂しげ。
 「ノクターン:ソレント」…海に浮かぶ帆船3隻。全体が青緑一色で、何やら版
       木の板目模様を利用したものか。

[The Peocook Room]
 ホイッスラーのパトロンであったレスランドの邸宅の一部を、彼が青色と孔雀
  で彩ったもの。部屋そのものが美術品となっている。その仕様でレスランドと
  対立し決別することになる。映像で紹介。

 せっかくのホイッスラー展なのだが、版画などの小品が多数を占めて、本画の出展は少ない。私の目についたのは上記の3〜4点のみである。絵画史上新しい道をひらいた人かもしれないが、あまり心に響かなかった。
 出口付近に、アトリエで制作中の彼の大きなパネルがあったが、そのなかに唐木の高台が写っていた。その上部の四周は竹の節の形に加工さていて、日本からの持ち込まれたものかもしれない。
 

美術館「えき」KYOTOー歌川国芳の世界

 久し振りに京都に出る。日曜日でもあり、行楽日和なので駅からして人で溢れている。バス停に向かうも長蛇の列、これは無理と先に駅ビルの美術館に行く。

 美術館「えき」KYOTO
   
   浮世絵師『歌川国芳の世界』

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[武者絵の始まり 豪傑・合戦の図]
 水滸伝シリーズ
  浪裏白條張順…ザンバラ髪の細密さー黒地に白筋と細い黒線の使い分け
         刺青のふくよか感
   魯智深、李逵、阮小吾、呉用、杜興、張横、穆春、節永
  天罡星・地煞星の集合図
  本朝水滸伝

[ヒーローの妖怪退治・怨霊・幽霊]
  碓井又五郎飛騨山中打大猿…白い猿(ましら)が見事
  宮本武蔵と巨鯨 三枚組
  木曾街道六十九次之内 
    細久手堀越大領…不思議な妖怪ーパンダのよう
  竹沢藤次
    白黒の男の顔がまことに写生的
  朝倉当吾亡霊…首に血のりがべったり

[ダンディ 役者と伊達男
  四代中村歌右衛門「死絵」…法名ー歌成院翫雀日光信士 行年五十五
  摺物…しんば連・魚かし連市川三升へ送之…摺物だけに繊細優美

[洒落とユーモア 擬人パロディ(猫・狐・狸など)]
  鼠よけの猫
   此図ハ猫の絵に妙を得し一勇斎の写真(しょううつし)の図にして、これを
   家内に張おく時ハ鼠もこれを見ればおのずとおそれをなし、次第に少なくな
   りて出る事無し、たとへ出るともいたづらをけっしてせず、誠に妙なる図な 
   り。    福川堂記

[粋のファッション 鉄火肌の女たち]
  当盛風俗好…全体を藍色で統一、三人の女性の着物も

[洋風実験二十四孝・洋風表現の風景画]
  遠近法および影
   東都橋場之図…図の真ん中に花崗岩製の地蔵尊が

[歴史物語と忠臣蔵など]
  高祖御一代記(日蓮)…雪の表現

[国芳と一門たち]

[肉筆]
  写生が生きている

  *何度見ても国芳の浮世絵はよい。武者絵の見事さを再認識させられた。 
   もっと早く来ておればよかった。

三井寺 文化財収蔵庫

 智証大師円珍生誕1200年記念が三井寺全体で進められているが、今度新たに新築された収蔵庫を目指す。
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 お寺さんも物入りなのか、至る所で入場料を取る。駐車場代、寺域入場料、秘仏公開観覧料……
 今回は時間があまりないので収蔵庫だけにする。

  銅鐘(天平年銘)…天女が優美に飛翔する。
  両界曼荼羅図
  仏眼曼荼羅図
 重文不動明王二童子像
 重文訶梨帝母倚像
 重文吉祥天立像
  仏具
 重文園城寺尺
 重文十一面観世音菩薩立像…微妙寺本尊
 重文智証大師坐像
  役行者二鬼像
  天台太師像

  勧学院襖絵…狩野光信の金壁障壁画…ここには最も古い桜草の絵がある。何度も拝見しているのだが、今回ガラス越しとはいえ目近で拝見することができた。よく見ると、いままでどんな目をしていたのか、見間違っていた。桜草が一群れと思っていたのだが、それが桜草とすみれが一緒にまとまって描かれていたのである。大収穫。
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