日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2015年04月

実生の花

 昨年実生した苗が花をつけた。開花率はあまり良くはない。ちょっと見に眼を惹く花は見られない。
しかし全部捨てるのは癪なので、いくつかめぼしいものを取りのけておく予定。
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 主な選抜の基準は次のようなものである。
   類似花のないもの…名札がとれてもそれと判る個性がある
   列片(花弁)が離れていないもの…重弁がよい
   それから………
   

品種名「玉冠」を読み解く

 【玉冠】
 このところ、品種名の由来について、その歴史的成り立ちを考えている。順次会誌に載せる予定であるが、今般「くらしの植物苑」で言及した「玉冠」については、ここで報告しておく。さて私の解釈が妥当かどうか、読者も自身で推定してもらいたい。
 この品種はすでに『桜草名寄控』(1860)に所載されている。これをどう読むか、「タマカンムリ」「タマノカンムリ」とする例が多いようだが、「ギョクカン」とするのがいいようである。
 「ギョクカン」で調べると〈玉で飾った冠、冕冠、礼冠〉とでてくる。特殊な冠のようで、言葉の意味としてはこれでいいのかもしれない。しかし何か腑に落ちないところがある。王や天皇・皇帝などが特別な場合にしか被らない冠を、江戸での名のある植木屋や直参の中級武家が知っていたかということである。ひょっとして江戸から京都二条城に派遣されて、朝廷と交渉する役を負った武家がこんな冠を知ったかもしれない。しかし品種名などには、関係者の間で通用する言葉が選ばれるのが普通で、得体の知れないものは避けられる。 
 となると人々にある程度知られた事物に「玉冠」という名前が付けられていたのではないか。そこでインターネットでこれを検索してみると、多くの冠カンムリの記事のあと煎茶の銘柄に「玉冠」があるではないか。お茶ならカンムリより一般的である。
 次に煎茶で検索してみると、煎茶の代表に「冠茶」がある。これを「カブセチャ」と読ませている。茶樹に被せものをして柔らかい葉を育てて製茶したものである。つまり「冠」は「カンムリ」ではなく「かぶせる」と言う意味だったのである。
 〈江戸後期の冠茶の茶摘みの様子を描いた着物ー東博〉
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 そして煎茶のような緑茶が飲まれるようになったのは江戸中期以降であり、中産階層の人々の集まりなどに煎茶が振る舞われたもので、ちょうど桜草愛好家の階層と一致するのである。
 それでは「玉」とは何か。これは「玉露」の玉と同じく「翡翠」のことである。煎茶の水色を「翡翠」の石の色に見立てたもの。ちなみに「露」は露の玉のことで、かっての「玉露」は丸く製茶されていたことによる。「玉露」が天保六年(1835)に世に出たことからして、「玉冠」はそれより前から知られていたと考えられる。そして今日でも「玉冠」と名付けられたお茶が市販されている。
 これが「玉冠」の正体である。                       (山原 茂)

東京国立博物館ー東洋館

 この館にくるとホッとする。中国や朝鮮関係がやはりなつかしい。
 ここで面白い解説文を見つけたので紹介する。イランの古代の遺物で、青銅製の轡について。
 曰く「轡には皮紐をつけて馬の頭をがんじがらめに縛り上げ、手綱を握った乗り手の意向のままに操るのが目的です」とある。
 思わず笑ってしまったが、これではならじと監視員さんに「これはちょっとおかしいでしょ、正すべきでは」とおせっかいをしてしまった。

東京国立博物館ー文化館

 せっかく上野まで来ているのである、東博は避けて通れない。筑波から引き返して上野へ。お昼は東京文化会館内にある上野精養軒でハンバーグを食す。
 公園内は食のイベントが行われていたが、横目で眺めて一路東博へ。
 東博では特別展もあるのだが、これはパス。他の日本文化と東洋館は私の年令では無料なのでここだけにする。
 何と言っても日本を代表する博物館である、展示品は重文級がゴロゴロある。国宝もあるが、わが滋賀の神照寺の至宝である「華籠」がここにもでている。この品はあちこちの博物館の預けてあるので、神照寺はただ所蔵者という名義だけの存在になってしまっている。

 私の目についた作品をいくつか紹介する。
 〈国宝平治物語絵巻〉
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 〈国宝光悦船橋蒔絵硯箱〉      繊細な蒔絵の小簞笥
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 〈春信ー寄山吹〉       〈春信ー藤原元真〉
   山吹の花さへつらしくちなしの〜     咲きにけり我が山さとの卯の花は〜
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 鎌倉期の甲冑を江戸期に補修した記録が展示されている。何をどのように補修したか細かく記載されるとともに、本体の甲冑でも補修した部分が見た目にも判るように違う素材で補われている。驚くべきは、朽ちてぼろぼろになった素材もことごとく保存されていることである。今日の補修の基本がすでに江戸期に出来上がっていたのである、恐るべし恐るべし。島根日御碕神社蔵
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 高円の宮さんが亡くなられてから、その所蔵の根付けが東博に寄贈され、それが展示されている。
現代根付が中心である。生前の著書2冊を持っているので、東博本をお買い上げ。
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 「茶摘み」の図柄の小袖がでている。その絵では何と日除けがある、「冠茶(かぶせちゃ)」である。こんなところで桜草の品種の「玉冠」の正体が分かるとは、博物館に行くものである。これは別項で解説する予定。

関東花紀行ー筑波実験植物園

 上野でさらに一泊。国立科学博物館の筑波実験植物園での桜草展示を見に行く。
 秋葉原からつくばエクスプレスでつくばに。バスで植物園へ。
 科学研究の最先端を目指して作られた新しい都市だけに、やけにだだっ広い。私にとっては異空間である。
 入口の建物で桜草の鉢が売られている。今盛りの状態のよいものばかり。室内では桜草関係の多くのパネルが掛けられている。浪華の資料も使われている。そこからすぐ園内に桜草の展示場が設えられている。ものすごい上等に作られた小屋掛け花壇がある(総桧作りか)。そこに足付きの万年青鉢にポット植の花が差し入れて飾られている。足は股開きの格好となっている。奥の小屋には主に里親の方達がつくった鉢が並べられている。残念ながら歴博の植物苑と較べると少し貧相の感は免れない。これからどうなるのか心配である。
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 広大な園内を見たかったのだが、今回はあきらめる。と遠くに赤い花の木が見えるので近着くと、シャクナゲの大木であった。
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くらしの植物苑・観察会

 上野で一泊。佐倉での講演は昼からなので、途中市川に寄り道。2年前にも訪ねさせてもらった葛飾八幡宮での展示会。数名の役員が詰めておられる。本殿を拝見しにいっている間に、会の代表の佐藤さんが来られる。お茶をいただきしばし歓談。
 〈市川さくらそう会〉
 ここの桜草は小振りの鉢(丹波普通鉢)を使い、小さく締まって出来ている。展示される人が多いので、鉢がぎっしりと詰められてある。
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 〈くらしの植物苑・観察会〉
 早めに着いて、関係者に挨拶、担当者の山村さんに展示の概要を説明していただく。持参のパワーポイントを渡して設定をしてもらう。そのうち茂田井さんも来られる。
 会場風景は「ひらりんさん」のブログを参照されたい。
 花は少し盛りを過ぎたがよく咲いている。手入れが行き届いている。公的機関で桜草を栽培維持するのは難しいのだが、ここはうまくいっているようだ。
 お昼は本館のレストランで、「古代米のカツカレー」をいただく。
 さて本番、『日本の桜草栽培史』を話す。
     〈茂田井宏氏の撮影〉   
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 まずはせっかくなので表題に使った写真「豊旗雲」の説明。桜草の品種には花・茎・葉のバランスが大切。さらに鉢写りも大事と。
 本論に入る前に、歴史を構成すためには歴史的方法論にもとずかねばならない、資料の軽重の見極め、資料はその時代の常識にもとずいて読むこと等々。具体例として古い品種名の意味を読み解く。
「玉冠」と「江天鳴鶴」をとりあげる。
 歴史の経過は駆け足で通り過ぎる。ただ染植重二代目伊藤重兵衛の書き残した『桜草名寄控』の重要性を強調しておく。
 2時間弱の話のあと外に出て、私の作出花につきその系統関係を実際の花で見てもらう。
     鹿島→流れ星→群千鳥、空穂猿  薫る雪→光る雪→雪野山 など
 
  *正直に言えば、「栽培史」などをどれだけ判ってもらえたか、はなはだ心もとない。
 
 聴衆のなかに、埼玉の川端さん、そしてブログ知り合いの「ひらりんさん」が来ておられた。

関東花紀行ー神代植物園・靖国神社

 歴博・くらしの植物苑観察会で話すため東京へ。せっかくなので一日早く行って桜草の展示会を見学する。東京の展示会には長年の無沙汰であった。

 〈神代植物園〉
 新幹線を品川で降り、山手線で新宿へ。そして京成電車で調布、そこからバスで植物園。入園料はちょっと高めの500円、しかし老人は半額。
 入口からすぐのところに、大きな2棟の展示小屋が設えられてある。
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 〈鳥居恒夫氏〉        〈宮崎三千男氏ー新花中心〉    〈伊丹清氏〉
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 *雨が多かったの出全体が徒長気味の出来となっている。出展者数名で鳥居さんがたくさん出され
  ている。私の「光る雪」「標野行」もでていた。
  控所で『色分け花図鑑ー桜草』(増補版)が売られていたので購入。

 〈靖国神社〉
 調布で遅い昼食をとってのち、九段下まで行く。さすがというべきか金曜日なのだが人出が多い。
 ここでも大きな小屋が設えられてあり、数名の方の展示である。
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西の湖すてーしょんー宮谷孝子布絵展(再)

 宮谷孝子さんの布絵展では展示替えがあるというので、桜見物から西の湖すてーしょんに回る。中年を少し過ぎた女性群が押し掛けていた。

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安土の桜

 運動がてら安土に桜の花の探訪、ちょうど八重桜の盛りとなっている。
 〈関山〉                     〈兼六園菊桜〉
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 〈御衣黄〉       〈?〉          〈?〉
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花が五分咲きに

 花が遅れていたが、ようやく花が咲き始めた。今年は雨が多く全体が徒長気味で、しっかりした咲き振りではなく、ひょろひょろしている。花付も良くない。
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 何とか咲いているが、雨と風で傷んだ花を見られるように化粧直しする。
 〈元の乱れた姿〉
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〈化粧道具ー竹串とセロハンテープ〉〈茎の後ろに串を挿し、テープでとめる〉
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〈手直し後の姿〉
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 〈もう一つの手直し〉                      〈手直し後ー牡丹雪〉
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