日本の桜草と美術

桜草の栽培と美術鑑賞

2017年10月

烏瓜の実

 天気が回復したので、さっそく自転車でウロウロ。例によって琵琶湖西の湖の自転車道をとる。台風の影響がここにも及んでいる。湖岸に生えていた木が倒れて道を塞いでいる箇所があり、その撤去作業が行われていた。また湖の水嵩が上がり、そこここで水たまりが出来ている。さらに手漕ぎの観光船が道筋の橋をくぐれずに、休業しているようでもあった。
 その道中、昨年も見つけた烏瓜の生えている箇所では今年も赤い実を見つける事が出来た。それは台風の強い風に煽られても千切れずにいる。せっかくなのでいただいてきた。
DSCF7584

 と、我家にはもう一つの烏瓜がある。桜草の棗を作ってもらった蒔絵師さんによる香合である。本物の実と較べるのは酷なのだが、よく出来ている。
DSCF7587

銅鐸博物館ー御上神社の文化財

 雨が続くなか、家のなかにいると気が滅入るので、家人を誘ってちょっとした外出をする。手近に銅鐸博物館(野洲市歴史民俗博物館)があり、特別展が開かれている。

     『 御 上 神 社 の 歴 史 と 文 化 』

          ー 遷 座 1300年 記 念 ー

 近江に秀峯三上山がある。近江富士とも呼ばれている。そして山そのものが御神体であり、ふもとに御上神社があり山上に奥宮が鎮座まします。
 御上神社は古い歴史を持ち、本殿は国宝、拝殿・楼門・若宮は重文という由緒と伝統を誇る地域の神信仰の中心である。もと寺社習合の場であったが、ここでも廃仏があって失われたものも多い。
 今回は神社の遷座記念という事で、神社に伝わる文化財の一括展示が実現した。特に京博に寄託されていた「狛犬」の修理がなったお披露目でもある(21年振りの里帰り)。

DSCF7581DSCF7579

 重文「木造狛犬」
   「木造相撲人形」
   「両界曼荼羅」
   「秀吉朱印状」 
   「祭礼資料」他省略

あべのハルカス美術館ー北斎

 せっかくの外出なので、京都から欲張って大阪に出て阿倍野へ。
 いま話題の北斎展である。人が押し寄せているというのだが、昼過ぎなので高をくくって会場へ。
 私が経験したなかで最高ではなかったが、やっぱり人、人であった。まず観覧券を買うのに100人ほど、入館するのにも100人ほどで並ぶのにぐったり。やっと入れても会場は狭く、人の波。

  大英博物館 国際共同プロジェクト

       『 北 斎 ー富士を超えてー』  公式HPはこちら

DSCF7571DSCF7572

DSCF7573DSCF7574

 初期から晩年までの多様な作品群を通覧できるようになっている。こんな作品もあったのかと思い返せるよい機会であろう。
 北斎の展覧会は過去何度も行われている。近年では、2012年の京都文化博物館や大阪市立美術館が充実していたように記憶している。今回はこれらを超えているだろうか。

[第1章 画壇への登場から還暦]
  重文「二美人図」…北斎は優れた写生力を持っているが、いかに見せて感興を与えるか、誇張を
           巧妙に使っているようだ。

[第2章 富士と大波]
 「霞ヶ関での年始回り」など6点ーライデン博物館…博物館の注文品か、風俗画。
DSCF7575

 「富嶽三十六景」…摺の状況等の説明はない。また周囲の余白が切り取られている。

[第3章 目に見える世界]
 「諸国瀧廻」「諸国名橋奇覧」など。
 「牡丹や蝶」などの花鳥画…あまりおもしろくなし。

[第4章 想像の世界]
 「百人一首うばがゑとき」「百物語」など

[第5章 北斎の周辺]
 「涛図」…小布施町の屋台の天井画、波をいかに楽しく見せるか。

[第6章 神の領域]

 *それにしても混雑することが解っていれば、それに対する見せ方の工夫を図るべきである。
  ガラスケースの下の作品を見下ろす形式では前一列の人しか鑑賞できない。展示台を底上げして
  作品を目の高さに持ってきて、そして斜めに立てかける。さすれば首と首の隙間からでも後ろの
  人でも作品に接することができる。また説明文も目の高さにガラスに貼付ければいい。

 *作品に接したい気持ちは車いすの方も々であるが、椅子は場所をとるし見上げねばならないしん
  どさがある。身障者の方向けに専用の時間帯を設けるなどの配慮が出来ないものか。

京都国立ー国宝展 第2回目

 国宝展では基本的に3回の展示替えがあるので、4回行くことになる。今日はその2回目である。長い雨模様のあとの晴天で、暑いくらい。
 国宝展も開幕してしばらく経つので、少しは落ち着いてきて欲しいとの期待とは裏腹に、入館者は増えてきている。館内には入ったものの、3階に上がるエレベーター待ちに列が出来ていた。
 相変わらずの混みようでゆっくり鑑賞もしていられない。

    特別展覧会 『 国 宝 』   *見所はこちらから
[書跡]
 最澄・空海という日本佛教の大立者の書が出ている。
 最澄の「請来目録」…それほど上手の手とも思えないが。
 空海の「灌頂歴名」…手控えとして走り書きしたもので、書として眺めるようなものでもなし。
  ⇨共に歴史的価値として見るものだろう。

[仏画]
 「釈迦如来像(赤釈迦)」…何となく異国風で、この赤は高麗仏画の影響下に出来たものでは。
 「病草紙」「信貴山縁起絵巻」…この確かな描写力はどこで手に入れたものか。

[中世絵画]
 「瓢鮎図」…久し振りに拝見。賛が貴重というのだが、読めず。
 「花鳥図襖」狩野永徳…墨一色なのだが、梅の生気が恐ろしいほど漂っている。

[中国絵画]
 「秋景・冬景山水画」伝熈宗…これも20~30年振りに再会。もうこの世では見ることはないだろう。

[陶磁]
 「耀変天目」龍光院…残念ながら肩越しからしか拝見できなかったが、どうもいわゆる「耀変天
       目」とは違うような気がした。「耀変」とは光の煌めきなのだが、ここでは釉薬の色
       目のよう。近年話題となった「何でも鑑定団」に出展されたものによく似ている。
       ここは耀変なのか再調査する必用があるのでは。


   それにしても展示ケースの下に置かれている作品は見え辛い。なんとかしなさい。

石楠花の狂い咲き

 安土は沙々貴神社の近くの農家の庭先に石楠花がある。良い咲き振りなので、毎年花を楽しみにしている。ところが今日側を通ると花が咲いている、いま秋なのに。思わず目を疑ったがやっぱり石楠花だった。
DSCF3212

 西の湖をめぐる自転車道を通っていると、湖の水が増水しているのがわかる。このところの長雨のしからしむるところ。ところが、手漕ぎの遊覧船の通り道の小橋に差し掛かると、水と橋底との間が狭まっている。せっかくの行楽の季節なのだが、遊覧船も雨でたたられ、橋は潜れず、踏んだりけったりのようである。
 帰り道の田んぼではヒコバエの稲がタワワに実っている。もったいない話だが、見向きもされず、鋤き込まれて朽ちて行くのみ。
DSCF3214DSCF3215

るーぶる愛知川ギャラリー…松宮忠夫展

 この10月は書の展覧会である。

   『 松 宮 忠 夫 展 』

 *松宮さんは書家であり、教育家(高校の先生、校長、教育長)である人である。
DSCF3207DSCF3209DSCF3208


DSCF3201DSCF3202DSCF3203



DSCF3204DSCF3205DSCF3206

観峯館土曜講座ー十一屋コレクション

 観峯館での土曜講座が続いている。雨なので家人に送迎をお願いする。しかし時間を間違えて遅刻するという失態をしでかした。受講生は10人。

   館峯館 土曜講座 『 十一屋コレクション と 文人画 』

 講演内容

  文人画(南宗画・南画)とは何か……
   中国趣味の芸術思潮
    中国絵画の模索…詩・書・画の一致を
   自娯と交遊

  文人画と南宗画・南画の違い
   文人画…知識人の余技…教養や精神性
   南宗画・南画…江南での山水画表現
    ⇨絶対的区分ではない
 
  十一屋コレクションの形成
   文人画の作品が多い
   意図的に集めたというより自然に集まった。
    四代目野口忠蔵の知識人としての交遊のなかから、勿論豊かな財力の上に。
    特に古稀の祝いの席には多くの知識人著名人が集い、祝いの詩・画・書が届けられた。
    人が集まれば物も集まる。野口家ならば買ってもらえると名品が流れてくる。
     特に白隠もさることながら、この時代にすでに「曾我蕭白」が、
     そして伝虚堂智愚の「墨跡」があるのは驚きである。
   近江商人は幕末から明治にかけてよほど大儲けたようである。
       これは三井・三菱・住友等の財閥もしかり。

  柿邨につながる文人画の流れ
   幕末から知識人の増加(漢文・漢詩をよくする人達)
     中国趣味の流行…煎茶の席飾りには中国の文物が好まれた
   修行よりも情緒・風格に重きを
   明治に入っても漢学の風気は強まる…欧州学術語の漢語への大量の翻訳
   ⇨しかし東京美術学校では文人画を排除する動きに

  明治以降の文人画
   画家のヨーロッパ留学=後期印象派を学ぶ。
     文人画の精神性と一脈相通ずるところあるか。
   富岡鉄斎…自由で主観的な姿勢と詩・書・画の一致→評価され続ける

   しかし中国趣味からの離脱へ、賛文なしの文人画も登場
     *江天鳴鶴を紅天鳴鶴と書き誤るほど中国の古典に疎くなる

本の紹介『さくらそうアラカルト』

 桜草に関する専著が出版された。先に竹岡泰通氏の『桜草栽培の歴史』(初版、第2版)が出ていたが、栽培をも含めた本としては、さくらそう会の『色分け花図鑑桜草』以来となる。
 栽培人口が減っているので、関連図書の出版は難しくなっており、今回も自費出版だそうである。
 
   茂田井宏・茂田井円著

      『さくらそうアラカルト』江戸園芸への誘い

              小学館スクウェア   本体1500円+税

DSCF7564DSCF7565

  目次
   序章 さくらそう事始め
        ー娘からみたさくらそうー
   第1章 栽培のポイント
   第2章 鑑賞のポイント
   第3章 さくらそう栽培小史
   第4章 中国のさくらそう・報春花
   第5章 さくらそうの未来を切り拓く
   第6章 さくらそう品種コレクションセレクト

 著者の茂田井宏氏は、醤油醸造会社に勤める傍ら、桜草栽培に手を染められ、関西から野田に遷られてからも続けて、都合五十年桜草に携わってこられた。
 娘さんの茂田井円さんは大学で東洋史を修められた学究であるが、今回は専門のほうから父親をサポートされたという。

 栽培のポイント…要領よく自説を展開される。
 鑑賞のポイント…写真を多用されて大変理解し易い。飾り方では、各地の上屋花壇を写真で比較で
         きる。
 栽培小史…私の栽培史と少し違っているので、私のブログの「栽培史」のカテゴリーや、
      会誌(47、48号)と比較してもらうとよい。
 中国のさくらそう…私たちのあまり知らない情報を提供してくれられる。
 桜草の未来を切り拓く…消え行く園芸品種をしきりに気になさってるいるが、次々新花がが出現し
      ているので大丈夫のようである。それより栽培人口の減少が気になるところ。
 品種コレクション…300種以上もの写真はまさに圧巻。多様な品種の姿を楽しむ事が出来る。

DSCF7566DSCF7567

  *ただ 萩の上風→荻の上風 重紫雲→紫雲重 金鶏鳥→錦鶏鳥 紅天鳴鶴→江天鳴鶴
      玉の冠→玉冠 と改められるとよい。

観峯館ミニコンサートーシタール

 観峯館でのミニコンサートがあるので家人を誘ったら、「音楽なら行く」というので、ちょうど自動車で送ってもらう事が出来た。

     『シタールミニコンサート』

            演奏 田中峰彦さん

DSCF7558

 シタールという楽器はラヴィ・シャンカルの演奏を映像で見た事がある。それはカボチャ(瓢箪あるいは干瓢)の実を共鳴胴に使い、また共鳴絃が張られてふくよかな音を響かせる。
 田中峰彦氏は大阪の出身で、日本・世界各地で演奏されているという。彼の演奏はここから見られる。今日の聴衆は約50人ばかりで、満席であった。約40分。

 [演奏曲目]
    ビートルズナンバー
    月のたわむれ…田中峰彦作曲
    源流……………田中峰彦作曲
    ラグパティ(インドの曲)…本人の歌付
      アンコール…夕焼け小焼け
  

 

京都国立博物館ー国宝展

 龍谷大学から徒歩で京博に向かう。
 人が押し掛けているかと予想したが、それほどでもなくすんなり入館できた。ただ会場は人で「ごったがえした」状態で、私はゆっくり鑑賞している余裕を持てなかった。

  京都国立博物館 開館120周年記念

      『 国 宝 展 』  公式ホームページ

DSCF7559DSCF7562DSCF7560

 展示物が全て国宝というとんでもない展覧会である。ただこうも国宝だらけだと、あまり有難みが感じられないのは何故か。また私は長く生きていて、たいていのものは以前に拝見しているので、懐かしい気が起こる。

 私のお気に入りを紹介する。

[考古]
 「土偶」…驚くべき豊かな発想の形象である。

[仏画]
 「吉祥天」薬師寺…遥か昔、お寺で拝見した事がある。
 「赤釈迦」神護寺…初見
 「普賢菩薩像」東博…文化財保護法下での絵画第1号指定
 「千手観音像」東博…川崎正蔵氏旧蔵とあるが、全ての作品に旧蔵者名が記されているわけ
        ではない。この差は何なのか。仏像等は元あった寺社名を記すべきではないか。
 「地獄草紙」「病草紙」…先頃奈良博で拝見したばかり。
 「信貴山縁起絵巻」…確かな筆力はどう獲得されたのか、突然出てきたわけではなかろう。

[雪舟]
 「山水長巻」…長巻とある通り圧倒される長さに、緻密な絵がえんえんと続く。
 「慧可断臂」…薄く太い輪郭線が魅力。

[中世絵画]
 長谷川等伯「楓図壁貼付」…幼い頃お寺で見た記憶が微かにある。
 狩野秀頼「高雄観楓屏風」…乳児に乳を含ませている若い女房の何とも艶かしい事。

[中国絵画]
 「紅白芙蓉図」李迪…我家の側にこれが咲いているが、こんなに美しく表現できるとは。
 「宮女図」…美しい。

[仏像]
 「広目天立像」法隆寺…奈良時代のものとも思えないほど力強い(唐伝来という)。
 「兜跋毘沙門天立像」東寺…私の好きな天像
 「大日如来坐像」金剛寺…圧倒される巨大さ、一番新しい国宝。

[陶磁]
 「青磁鳳凰耳花入・万声」

[漆芸]
 「初音調度」徳川美術館
 「琉球国王尚家・玉冠」

[書跡]
 藤原為家「土佐日記」

  その他省略
Archives
TagCloud
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ