この美術館のコレクション展は、ときに不思議な主題もあるが、いつも楽しく見させても

らっている。今回は少し中身が想像できるだけに待ち遠しかった。

    京都市博物館コレクション展第三期

        『ふたつで一つ』


 [対の表現1] 一対として作られたもの

 森寛斎「山水図屏風」六曲一双…幕末ながら金砂子を散らした穏やかな山水。

 鈴木松年「春秋風物山水之図」六曲一双…寛斎のものより約30年後の作品だが、具体的な

     写生が進み、近代的に。

 今尾景年「蕉陰双鶏図」六曲一双…これもやはり鶏は粉本を写したものでなく、しっかり

     した写生の結果であろう。

 川端玉章「葡萄に栗鼠・芭蕉に狗子の図」六曲一双…20世紀に入ってからの作だが、狗子

     はなお宗達・応挙をそのまま受けている。

 清水六兵衛(五代六和)「青華牡丹花瓶一対」…金で縁取りされた深緋と紅色の牡丹があ

     ざやか。


 [二人で一つ]

 出展されるであろうと予想したものが多く出ている。

 土田麦僊「平床」…朝鮮の若い娘が二人。チマチョゴリの線が流れるように美しい。淡く

     静か。

 北野恒富「いとさんこいさん」…絵の中から大阪の娘さんの声が聞こえてきそう。

    “あんた何かええことあったん、言いよし” “うんう 何もあらしまへん”

 梶原緋沙子「よもやま話」…少しやつれた若年増二人、何を話すか。美人画でない故に個

     性的な顔立ち。大正5年でこんな絵は売れたのであろうか。

 上村松園「人生の花」…婚礼向かう母娘という同じ図柄が二幅並ぶ。松園初期(24才)の

     代表作。


 [対の表現2]

 上村松園「春日長」対幅…舞の稽古であろうか、速筆であっさりと。

 鈴木松年「戦勝萬歳図」対幅…日露戦争の戦勝記念提灯行列。その提灯や日の丸を見る

や、松年の落款印を使っている、お遊び。

 上村松篁「水魚二題」対幅…出目金匹、その下に朽ちた蓮の葉。

              水をはった水田あとに鯉一匹、泥鰌2匹。品格高し。

 富岡鉄齋「万歳舞図・安楽祭図」対幅…50歳代の穏やかで伸びやかな風俗画。 

 竹内栖鳳「雄風」2曲一双…虎2匹。

 榊原紫峰「獅子」2曲一双…獅子雌雄。

   →この2点はそれぞれが対であるとともに、虎と獅子を対比させる心憎い展示。

 六代清水六兵衛「三彩人物煙草具一双」…頭が後に伸びた宇宙人が跪く姿。こんなものが

     昭和5年に作られている。

 やなぎみお「案内嬢の部屋1F」写真2点組…左右にショウウインドウで真ん中に歩く歩

     道、一点は案内嬢がウインドウに並ぶ、もう一点は案内嬢が歩道に転け、ウイン

     ドウには花がある。


 [対と見立てる]

 玉城末一「籐椅子によれる少女」「宇吉」→男女一対に

 菊池契月「少女」、菊池隆志「爽夏」→同じモデルを親子で描いているのか。これもまた

     共に魅力的な美人画。

 麻田浩「悲の地、黒・赤」…繊細な心の奥底を覗き、神経質なまでに細部にこだわる。

 菊池隆志「交響詩画2面」…渦巻く怒濤の海面を、薄墨を重ねて。

 八木一夫「方」「円」→禅画円相を見るよう。

 その他省略。


 いつもと同様大変楽しめた。何度も見ている絵が多いが、何度見ても飽きない。

 また配布されるパンフレットには作品リストだけでなく、小さいながら写真も載せられて

いることである。実物を思い出すよすがとなって、まことに便利でうれしい。

これは所蔵作品だから出来るのであろう。