今期は、"予選・決勝を通して1セットのタイヤ使用"というレギュレーションに変更された。その結果、"究極のテクニックの祭典"ではなく、"タイヤ温存テクニックの祭典"となっているように思える。はたして、昨年よりレースは面白くなっただろうか?
タイヤを痛めれば、レースを捨てることになる現状。ドライバーは、タイヤをいたわらざるをえず、激しいバトルもめっきり減ってしまった。レース終盤は、さながらタイヤ耐久レースである。
今回も、タイヤ性能低下による、コースアウトやスピードダウンが見られた。その中に、見逃せない2つのトラブルがあった。1つは、マッサのタイヤから剥がれたトレッドが、フロントウイングを破壊したシーン。そして、最終周にトップを走っていたライコネンを襲った、タイヤ振動起因のサスペンション破損によるクラッシュ。どちらも大事に至らなかったが、スピードの乗っている箇所で起きる可能性もあり、重大事故の危険をはらんでる。
今回のタイヤレギュレーションは、スピードダウンを目的として変更されたという。気になったので、2004年のヨーロッパGPと、データを比較してみた。
「最高速」の平均値
2005年,308.13km/h。(97.7)
2004年,315.41km/h。(100)
「完走車の平均速度」の平均値
2005年,195.06km/h。(99.7)
2004年,195.62km/h。(100)
空力のレギュレーションも変更になっているので、すべてがタイヤによるものとは言えないのだが、平均速度は、0.3%しか落ちてない。かなりイタワリ走行している感じがあったが、実際は、さほどの変化はないようだ。これでは、スピードダウンの効果は少なく、ドライバーの安全と競技性をスポイルしているだけのように思えてしまう。
去年のレギュレーションに戻せとは言わないが、タイヤ交換にタイム付加をつけるなどの選択肢も残して欲しい。タイヤトラブルの車をオーバーテイクするシーンは、面白さ半分。スピードとテクニックを競ってこそ、Formula-1の醍醐味だと思う。
[参考] 2005年新ルール
片山右京 F1 blog ライコネンのクラッシュに思う(ヨーロッパGP)