ヤクルト6ー2楽天

四回まで三人ずつで片付け、三振も順調に積み重ねていた則本が、五回、先頭の雄平に初ヒットを許してから3イニング連続失点で無念の降板。
則本が一番恐れていたのは、今、12球団最弱のヤクルトに敗れながら、世界新記録などと大げさに騒ぎたてられることで、連続ふた桁奪三振などチームの勝利に貢献しない記録じゃないか、と思われることだったはず。
ある意味「チームの勝ち敗けなど知ったことか」と嘯けるほどの利己主義者なら、この試合は簡単に制して記録を達成していただろう。

則本に余計なことを考えさせた原因は、データの少ない投手をことごとく打ちあぐねる打線である。
相手先発の原樹理は昨年2勝8敗で、おそらくスコアラーの研究対象にはならない投手。
この手の投手に毎度毎度好投を許すということは、楽天のフルスイングの根拠が配球分析による確率論に依存していることを示す。
「今回の投手はデータ蓄積が不十分のため攻略法は不明です」と言われた途端、出たとこ勝負のフルスイング、すなわち無茶振りとなって相手を助けることになる。
金子や菅野など球界を代表するような投手は滅多打ちにできても、弱小球団が苦し紛れに出してくる投手を打ちあぐねるのは、それだけ楽天のスコアラー陣が優秀であるということだ。
そういう意味では、今日の先発の岩貞は昨年ふた桁勝利をマークした阪神の主力投手だから、その投球傾向は丸裸にしているはず。
地元紙の河北新報に、「重複指名必至の田中を避けた消極的な1位指名」と批判された藤平が、話題の田中よりも先にプロ初勝利をマークするための強力な援護は期待してもいいだろう。

ソフトバンクが1.5ゲーム差に迫ってきているので、高卒ルーキーの好投でその差を維持または拡げるというのが理想の展開。
とにかく今季一番の注目試合である。

※ おずさん、拍手コメントありがとうございます。