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8月のこの時期は、毎年「戦争について考える映画」をピックアップしています。この夏、ゆっくり鑑賞し、そしてじっくり考えてみてください!過去の作品もぜひ。


「マイ・ブラザー」→コチラから

「父親たちの星条旗」→コチラから 

 「大いなる陰謀」→コチラから 

「ジャー・ヘッド」→コチラから 

 

 イラク戦争へ出征した実在の狙撃兵クリス・カイルの自伝を名匠クリント・イーストウッドが映画化しました。 

伝説のスナイパーとして英雄視されながらも心を病み苦悩する帰還兵クリス・カイル役を演じたブラッドリー・クーパー がアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ大変高い評価を受けました。(作品賞や脚色賞など5部門でもノミネートされ音響編集賞を受賞) 

 その他にも多くの褒賞を受けた本作ですが、アメリカ人目線の英雄譚には賛否が分かれ、深く考えさせられる1本です。 

 さてあなたは、イーストウッドのメッセージをどう受け止めるでしょうか。 

 

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監督:クリント・イーストウッド 

出演:ブラッドリー・クーパー  シエナ・ミラー 


「あなたはここに居るけど、心はここにない。姿は見え、触れることもできるけれど、あなたは居ない」 

By クリスの妻 タヤ・カイル(シエナ・ミラー) 

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イラクでの任務を離れ本国へ帰還したカイル( ブラッドリー・クーパー)。家族のもとへ戻っても、最前線での高揚した感情は治まらず、極限状態の緊張感から解放されることはありませんでした。そんなカイルに向かって妻のタヤ(シエナ・ミラー)が言う悲しい言葉です。

 

幼い子供と愛する妻のもとへ戻り、平和な時を過ごしたいのですが、心は戦場に置き去りのまま。今この瞬間にも砲弾にさらされ命を落としているかもしれない仲間の兵士たちのことが頭を離れず、安穏と暮らすことができないカイルに向かってタヤは悲痛な叫びをあげます。

「心も帰ってきてほしい!」と。

 

愛する祖国を守るべく自ら志願し入隊。
 イラクの戦場へ4度も出征し1000日以上狙撃兵として従軍、160人もの敵兵を射殺してきたカイル。家族や国を守るという大義を掲げた「正義のための戦い」は彼を英雄にしましたが、しだいにカイルの心は壊れてゆきます。

例え、それが正義と信じた戦いであっても“人命を奪う”という非情な行為は、正常な人の心が許容できる限界を大きく逸脱している行いだからです。

「自分の行為を正当化する」ために、本能的に「感情を麻痺させる」兵士たちの多くが、退役後も心を病み続け、日常社会に戻れなくなってしまうといいます。

 

戦争の悲惨な惨状をリアルに描きだす作品も多くなりましたが、本当の悲惨は人々の心を蝕み崩壊させる「目に見えない部分」にあるのではないでしょうか。

 

まもなく74回目の終戦記念日を迎えます。

数少ない戦争経験者から直接言葉を聞くことができる最後の世代である私たちが、次の世代へしっかりと語り継いでいく必要があるのでないでしょうか。

 

【あなたも見たくなるストーリー】 

2001年のアメリカ同時多発テロをテレビで目の当たりにした青年クリス・カイルは、祖国の人々を守るために貢献したいとの思いを強くし、ネイビー・シールズで狙撃手としての過酷な訓練に励んでいく。やがてイラクに出征したクリスは、その驚異的な狙撃の精度で味方の窮地を幾度も救っていく。仲間たちから“レジェンド”と賞賛される活躍をし、無事に帰国したクリス。これでようやく、愛する妻タヤと生まれたばかりの長男と共に平穏な日常を送れるかに思われたが…。
(allcinemaより抜粋)



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【映画を楽しむプチ知識】 

本作の評価には賛否があります。反戦映画として高い評価を得る一方で、保守派層からは「愛国的な戦争支持映画」として認知されているというのです。

果たしてイーストウッドは、何を伝えたかったのでしょうか?それは、彼の過去の作品を振り返り、繋げて観ることで浮き彫りになってくるのではないでしょうか。

「グラン・トリノ」→コチラから

では、朝鮮戦争に出征し人を殺めた記憶から逃れることができず贖罪の日々を送る退役兵ウォルト役をイーストウッドが自ら演じました。

また2006年同時公開された硫黄島2部作
「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」→コチラから

では、日本軍と米軍の双方から同じ戦場を見つめ、互いの大義(正義)という戦争の矛盾を描き出しました。
 「アメリカン・スナイパー」に登場するイラクの狙撃兵ムスタファ(サミー・シーク)は、カイル同様、敏腕狙撃手で、イラクのライフル競技オリンピック代表選手でもあります。つまり、彼もまたレジェンドとして祖国では英雄視されていた背景があり、彼にも守るべき家族や国家、互いの掲げる大義、自分たちなりの正義が存在するわけです。

 

 ぜひこの機会にイーストウッド作品を堪能し、作品のメッセージを今一度考えてみてはいかがでしょう。