標記につき、ご報告いたします。
                                                             リニューアル委員長  田淵幸弘
                                                                        幹  事  金澤 悟
                                                                   リニア部会長  志村浩男
   ■日 時  平成29年6月2日(水)16:30~17:45
    ■場 所  甲府冨士屋ホテル 3F「草笛」
    ■講演会
         テーマ 「未来のまちづくりと公共交通」
                  講 師 :森本章倫 氏(早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授)
                    ◇森本章倫(もりもとあきのり)氏プロフィール
                                山口県岩国市出身
                               1987年 早稲田大学卒業
                               早大助手・宇大助教授、MIT研究員
              2012年 宇都宮大学工学部教授
              2014年 早稲田大学創造理工学部教授
              学会活動 都市計画学会常務理事、日本交通政策研究会常務理事
                     世界交通安全学会国際フォーラム委員長
              研究分野 都市計画、交通計画、交通と土地利用の統合化戦略
  ■参加者   同友会(20)、佐々木邦明山梨大教授、東秀忠山梨学院大准教授、山梨県(5)、
          山梨総研(1)、岸川仁和甲府市副市長、JC山梨(1)   
  ■次 第                                   (司会:小澤健太郎)
 1.あいさつ (入倉要代表幹事)
   先日、部会で宇都宮の佐藤市長にお会いし、お話を聞いてまいりました。山梨と同様に少子
  高齢化や人口減少の問題等を抱えていますが、それを見据えた上でしっかりとした将来ビジョ
  ンを決め、かなりの投資額になりますが、LRT敷設実現をまちづくりの核として現在進められて
  います。山梨のリニアの話をしましたら、リニアを起爆剤としてまちづくりを考え進められるとた
  いへん羨ましがられました。LRTも長い年月をかけてこぎ着けたとお聞きし、山梨も将来のビジ
  ョンを決めていかないと手遅れになる可能性があると思います。リニア部会でも二次交通の研
  究をしていますから、森本先生のお話の中から方策など生み出せればと期待しています。どう
  ぞよろしくお願いします。
 2.趣旨説明 (志村浩男リニア部会長)
   部会では、10年近く山梨の将来とリニアについて研究し、提言もして参りました。2027年開業
  まで何もしなければ、リニアが我々にとって一体どんな設備になってしまうのか、また1時間に1
  本停車する前提で進んでいますが、果たして覆ることもあり得るのではないかと、大変危機感を
  持っています。リニアを迎える時代に県民にとって役に立つ交通機関とするためには、あるいは
  駅に接続する鉄軌道(LRTやBRT)敷設の有効性について部会の議論研究や主張があるわけ
  ですが、二次交通のメリットや方策を中心に、まちづくりも含めてお話していただければ有り難い
  です。

 3.講演 (森本章倫早稲田大学教授)
   ◎テーマ 「未来のまちづくりと公共交通」
     <講演内容(抜粋)はこちらからご覧ください(クリック)

 4.意見交換
 (同友会)
  私どもでは、新駅と市街地・甲府駅を結ぶ7キロ区間を専用線を使ったBRTの提案をしています。
  山梨県では難しくて、路線バスで対応するという方向性を出されたわけですが、リニューアル委
  員会では県内LRT、我々もBRTの活動をしています。各方面との折衝をする中で、結局はコスト
  をどうするかが原点となる。バスやローカル鉄道についても同じことがいえると思いますが、コス
  ト負担や運営維持費用をだれが出すかにかかります。宇都宮市・富山市は行政が県や市や国
  が主要部分の構造を作りますが、甲府では描きにくい状況で、提言が大きな波になっていかな
  い現実があり、もどかしさを感じています。地方での採算性の取れない公共交通のコスト負担は
  どのようにしていくべきなのか、お伺いしたい。
 (森本教授)
  先ず、LRTが儲かるでしょうか?独立採算制の考え方で成り立っているのは、私の知る限り日本
  だけです。例えば、富山でも運賃収入だけで賄えず、一定額を市が負担しています(先進国での
  採算性をみると運賃収入は3~4割、半分以上は行政サービスとしています)。他国のLRTは初め
  から「独立採算の乗り物ではない」という設定で出来ていて、アメリカでは事業所税をLRTに回し
  たり、消費税を公共交通の原資に出したり、フランスの場合は一定以上の雇用者を満たす事業主
  が負担するというように、町全体で公共交通を維持管理する仕組み・制度によってはじめて成立し
  ています。残念ながら日本ではこの考え方が理解されず反対される。しかし、デマンド交通のよう
  な小さな乗り物は運賃収入の全国平均は25%で、75%は補助金が出て成立している(そういう考
  えもある)。本来なら、支線系・幹線系あわせて全体のネットワークを構築して全体の収益性を上
  げれば良いですがこの壁はなかなか越えられない。たとえば一定に費用を支出する(市民が年間
  1,000円/人、19万人のまちならば1.9億円の公共交通維持費を支出する)ことも考えられないで
  しょうか。先程のデマンド交通は永久に赤字が考えられますから、これらも踏まえて全体の市の財
  政計画を立てることが出来るかどうかが、カギとなると思います。
 (同友会)
  街なみを変える、(利便性や交通・採算とは別に、)魅力的な街づくりにつながる公共交通について
  もう少しお話をお聞きしたい。
 (森本教授)
  公共交通は不特定多数のたくさんの方が利用して初めて成立するものです。人を増やしていかな
  くてはならない。本源需要として駅周辺に便利な街を作る、あるいは見て楽しい空間を作るといった
  魅力づくりがない限り、交通は派生需要なのでどうしようもない。交通と土地利用は鶏と卵の関係と
  いってよい。即LRTやBRTを作りたいのであれば、魅力創生をやっていかなければならない。
  もう一つのカギは、交通手段が錯綜している状態でなく一つのデザインコンセプトでまちを作る事で
  す。宇都宮は「雷都のコンセプト」で、車両デザイン、街並デザイン、IC化すべて統一してデザインし
  ながら街のセールスの最中です。未来のまちづくりというのは、アイデア如何でいかようにもできる
  ものと思います。
 (同友会)
  LRTは観光・環境提言型のまちづくりのイメージを持っていました。中国は大都市で次々にLRTを
  設置というお話ですが、主な原因は何でしょうか。中国の友人に10年後のリニアの話をしましたら、
  中国では2年で作ってしまうだろうと言われました。
  また、利用者推計のお話では、住民目線だけでいくと利用はこのくらいというご説明ですが、派生需
  要に観光資源という考え方もあって、訪日外人観光客の増加も見込んでいるのでしょうか。
 (森本教授)
  中国では例えば地下鉄建設は人口100万人というように決まっているため、LRTは比較的容易に建
  設できることが一因にあると思います。また、急激な都市化に対してLRT、BRTなどの公共交通整備
  が不可欠であるとの認識があります。なお、中国は国の力や自治体の権限が強く、意思決定から整
  備まで時間がかからないのも増加している原因です。
  富山のLRT利用者の一定割合は観光です。LRT自体の本源需要が1割程度あります。これは今まで
  計算されない数値ですが、少なくとも利用者が1割増えれば街中へ入っていく事や、さらに人を呼ぶ
  効果もあり、そういう場合はもう少し収益計算もしてもいいかと思います。

(文責:事務局)
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