2012年06月08日

【253】 「刺青の男」 レイ・ブラッドベリ氏の死を悼む

刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111)
刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111)
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≪ 刺青の男 ≫

ブラッドベリ氏の死を悼みます。

SFというくくりでは、とうてい捉える事の出来ない人でした。
ファンタジー?・・いえいえ。ミステリー?・・いえいえ。
そのようなカテゴリーでは捉えることのできない作品の数々でした。

氏の名作と言われている「火星年代記」では、単にSFという枠を超えた“ 詩情豊かな世界観 ”をワタシたちに提示してくれたのでした。
氏の作品中、ワタシが最も評価している作品が「刺青の男」です。
「華氏451度」・「火星年代記」・短編「霧笛」etc.・・・数ある作品の中でも、この「刺青の男」は秀逸です。
傑作です!

ブラッドベリ氏の作品の中でも、この作品はもっと評価されてしかるべき作品だと思っています。
この作品は、<幻想性、ファンタジィー性、ミステリアス、宇宙的・・>など、さまざまな氏の<魅力的な要素>があたかも一本の組みひものように、彩り鮮やかに紡がれた一冊です。

ワタシは、「氏の代表作は何?」・・と聞かれたら、まずこの一冊をあげたいと思っています。

ブラッドベリ氏の作品は、SFというような一つのカテゴリーにしばられたりはしないのです。
未読の方には、真っ白な気持ちでブラッドベリ氏の作品を読んでいただきたいのです。
「刺青の男」をおすすめします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「刺青の男」
(ハヤカワ文庫・NVシリーズ)

(^^)
***

yamaneko0516 at 09:27|この記事のURLComments(1)

2012年04月10日

雨引山・楽法寺 【 まだら鬼神祭 】

【 まだら鬼神祭 】

49-11


【 多宝塔 】

36


雨引山楽法寺の「まだら鬼神祭」に行ってきました。
鬼が主役の奇祭。
鬼が弓矢を放ち、厄を払う祭りです。
放たれた矢を手にした人は、大運と無病息災が得られるとの事です。

河津桜が満開で気持ちのいい一日でした。
(^^)



yamaneko0516 at 13:55|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2012年03月05日

【252】「私の百人一首」白洲正子さん著

私の百人一首 (新潮文庫)
私の百人一首 (新潮文庫)
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 願はくは 花の下にて春死なん
   その如月の 望月のころ   
 西行


旧暦2月16日 西行の命日・・・。

「西行」を著した白洲正子さんであるからこそ、この百人一首で語られているわずか数ページの西行も、また、すこぶる的確な“西行論”として読める。

・・それは当時流行の歌論など、あったく必要とせぬ独自の世界であった。
「都離れぬ我身」と言いながら、漂泊の旅に一生をついやし、行脚(あんぎゃ)の聖(ひじり)かと思えば、後宮の女房と親しくする。しいて言うなら、「一所不在」が西行の実践した思想のように見えるが、それさえ仏教臭く聞こえる程、彼の生活は自由であった。・・・(略)・・・(抜粋)


3月8日が今年の旧暦2月16日であります。
その日は、満月です。
どこかで桜の便りが聞こえるといいと思う。

ー(や)−

2011年09月20日

【すコラ_11-09-20】「ヨブ記をめぐって」吉本隆明さん

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名称未設定 2


<上記の画像をクリックしてください。(ほぼ日刊イトイ新聞)>

震災があって、何を読むことができるだろうか・・。
この半年間、大きすぎる現実の前で、わたしたちはひたすら小さい存在であることを痛感させられてきました。
今、やっと何かを落ち着いて読む事ができそうです。
・・・「ヨブ記」。
上記の画像をクリックしていただくと、吉本隆明さんのお話を聴く事が出来ます。
この世を神様がお造になられたのだとしたなら、なぜ、不幸を、試練を、人間に与えるのでしょう?・・。

この一冊を、あなたに捧げます。

旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)
旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)



yamaneko0516 at 14:33|この記事のURLComments(3)TrackBack(0)

2011年08月31日

【251】「人間を考える」松下幸之助さん著

人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて (PHP文庫)
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野田新総理、松下政経塾出身。
この時期だからこそ、の一冊。
松下幸之助さんが生きていたら、このニュースを万感の思いで聞かれたことでしょう。

松下幸之助さんの哲学とは、一言で言うなら「新しい人間道」の提唱。
松下さんは、人間の尊厳の復活、そのために「新しい人間観」が必要であると語り続けていらっしゃった。
その哲学理念を語り尽くしたのが、この著作なのです。

松下さんは、常々「衆知」という事をおっしゃっていた。
この「衆知」を集める事が、「人間道」の根幹の一つの柱である、と松下さんは考えていたからですね。
松下幸之助さんの愛弟子である野田さんに、この哲学の遺伝子は引き継がれているでありましょうか・・。

松下幸之助さんの思索と情熱がほとばしった一冊。
松下政経塾の理念がわかる一冊でもあります。
ぜひ、ご一読を。


「人間を考える」
 松下幸之助 著
 PHP文庫(1995年/2009年)


yamaneko0516 at 15:02|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2011年02月10日

【250】「人間を考える」「松下幸之助の哲学」松下幸之助さん著

松下幸之助の哲学 (PHP文庫)
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人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて (PHP文庫)
人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて (PHP文庫)
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松下幸之助さんの『哲学書』2冊であ〜る。

『新しい人間観の提唱』
それが、この2冊の趣旨なのですが・・・。

2冊共にわかりやすい言葉で、平易に書かれている文章なのですが、松下さんの提唱されている“人間観”を理解することは、現代の日本人には、ひょっとすると容易ではないかもしれません。
 ・・・
現代の日本人の合理性(軽薄な論理性というべきか)では、松下論は、はるか彼方の感がしてしまうのです。質が違いすぎるのです。
“理想”などという言葉が、単に古めかしくしか聞こえなくなってしまったように、です。
松下さんのこの“哲学”には、“人間肯定”の論理が確固として底流を流れているのですが、現代の日本人には、それを支えきれるだけの“人間としての核、精神”が失われてしまっているように感じてしまいます。
 ・・・
“人間がどれほどすばらしい存在であるか”と言う事。
その事を、松下さんは堂々とおっしゃっている。

そういう自信というものの根拠を、おそらく現代人は素直に受け入れることができなくなってきてしまっているのかもしれません・・・。
だから、というべきか、悲しいかなこの2冊の“哲学書”は、忘れ去られているように見えてしまうのです。
なかなか理解されないだろう、と正直感じてしまうわけです。
ですが、一読の価値あり。そう断言できる著作です。

そういう一縷の望みを、つまり“人間肯定”のための一縷の希望を、良心から探すとすれば、哲学ではなく宗教に求めるしかなくなってしまうのかもしれません。
しかし、現代の宗教さえそれに応えられないとしたら・・・。

精神的なバックボーンを、もう一度取り戻してみたいという方におすすめの2冊です。

 ・・・
「人間を考える」
 PHP文庫・松下幸之助 著
 2009/12第1版8刷
「松下幸之助の哲学」
 PHP文庫・松下幸之助 著
 2009/4/第1版1刷