実況「―さあ、全国高校生麻雀大会長野県予選、団体戦決勝です!」

実況「まずは満を持して団体戦に初登場!全国個人2連覇の宮永照を擁する清澄高校です!」


煌「ついに来ましたね!決勝戦です!」スバラッ

優希「テンションあがってきたじぇ~!」

咲「うぅぅ~…緊張するよ~」

まこ「咲は相変わらず気が小さいのう」

照「…大丈夫、お姉ちゃんがついてる」


清澄高校麻雀部

先鋒:宮永照
次鋒:片岡優希
中堅:染谷まこ
副将:花田煌
大将:宮永咲



実況「そして昨年まさかの団体連覇ストップ!今年は名門校のリベンジなるか!風越女子高校!」


貴子「優勝取り返すのは当然… お前ら一回くらい宮永に勝ってこいや…」

久「あらあら…始まる前から随分ピリピリねえ」

美穂子「大丈夫です…私達のできることをやりましょう」

華菜「去年負けたのは華菜ちゃんのせいだし… 今年は絶対勝つし!」

未春「がんばろう…!」

純代「……」コクッ


風越女子高校麻雀部

先鋒:福路美穂子
次鋒:吉留未春
中堅:上埜久
副将:深堀純代
大将:池田華菜


……

実況「……団体戦決勝、いよいよ開始です!」

ワァァァァーーーーー



清澄編

2年前 春

照「……ここが麻雀部の部室」

コンコン

照「……すみません、入部希望なんですけど」

……………

ガチャ

照「……誰もいない」

照「私ひとり…」ポツーン

照「……とりあえず掃除しよう」



照「いらない椅子や机をどける…」

照「ふんっ…」ググググ

照「…………」

照「……重いものは苦手……あとまわし」

……

照「カーテンは…取って洗う…」

照「えい」ビリビリッ

照「…………」

照「……破れた布はカーテンと呼べない……次」

……

照「棚の埃を払う…」

照「えい」バキッ

照「…………」

照「……こわれちゃった……今のなし」



照「雑巾がけ… バケツに水を…」トテトテ

照「あっ」コケッ

バシャン

照「……ぬらす手間が省けたからいいや」フキフキ

……

照「窓拭き…」

照「えい」パリン

照「…………」

照「……ガラスとか危ない……もう触らない」

……

ドンガラガッシャン

照「……積んだ本が崩れた……私のせいじゃない」

……

照(…おかしい)

照(掃除したらきれいになるはずなのに…)



一週間後

照「なんとか片付いた」(物を端に寄せただけ)

照「でも…部室が狭くなった気がする」

チラッ

(部屋半分ゴミの山)

照「…見ない振りをしよう」

照「…雀卓があればいいや…」



クラスメイトA「へー、宮永さんって麻雀するんだー」

照「…うん」

クラスメイトB「私もちょっとは打てるよ!」

照「よかったら…麻雀部に…」

照「見学でもいいから…遊びに来て」

クラスメイトC「うん!いいよ!」


放課後

照「ツモ 8400オールです」ギュルルン

A「ひいぃぃぃ…」

B「か、勝てない…」

C「ま、まいりました…」

照(…楽しんでくれたかな……?)



照「あの…」

A「は、はいっ!?」

照「これ…よかったら…入部届け」

A「……どうする?……」ヒソヒソ

B「一回も和了れないんじゃね……」ヒソヒソ

C「宮永さんは嫌いじゃないけど……」ヒソヒソ

照「……だめ…かな…?」

ABC「……ごめんなさい……」

照「……そう」

照「……」ショボーン



二ヶ月後

照「…部員が増えない…」

担任「おう宮永、麻雀部の調子はどうだー?」

照「先生…」

担任「よかったらこれ、出てみるか?」スッ

照「…インターハイ…?」

照「でも…人いない…」

担任「わかってるよ、団体戦は無理でも個人戦がある」

担任「それになんだ、注目を集めたら部員が増えるかもしれないぞ?」

照「…わかりました」



全国大会

実況「インターハイ個人戦、決着です!」

実況「激戦を制したのは、なんと全くの無名校から来た一年生!長野・清澄高校の宮永照選手です!」

健夜(アラサーではない)「素晴らしい力を持った選手ですね… 間違いなく、彼女はこの世代の中心となるでしょう…」

実況「しかしあれほどの選手が、なぜ有名校に行かなかったんでしょうか?」

健夜(アラサーではない)「人の事情はいろいろありますから…」

健夜(アラサーではない)「無名校だからといって、これだけの選手が居ても不思議なことではありません…」


照「ありがとうございます!ここまで支えてくれた麻雀部の仲間に感謝しています!」(営業スマイル)

アナウンサー「以上、宮永照選手でしたー!」


照(…嘘ついちゃった)

照(麻雀部の仲間なんて…いないのに)

照(……ひとりはつまんない)



その後

野次馬「キャー宮永さーん チャンピオンだー カッコイイー」

ワイワイガヤガヤ

照「麻雀部に…人が来るようになった…」

照「…先生の言ってた通り」

照「よかったら…打っていきませんか…?」

野次馬「はい!」

……

照「ロン 18600です」ドガン

野次馬A「ひえぇぇぇ!」

野次馬B「失礼しましたー!」

野次馬C「もう来ませーん!」

照「あ…また…」



照「やっぱり、負けてばっかりじゃ楽しくない…のかな…」

照「でも…手加減はできない…やりかたもわかんないし…」

照「……手加減は……」


―回想―

照「咲のバカッ!」

咲「!」

照「なんで…なんでそんな打ちかたするの…?」

咲「えっと、あの…」

照「手加減されて勝ったって…嬉しくないっ!」

咲「そんな…手加減なんて……」

照「…もういいよ」プイッ

咲「あ……」

―回想終―


照「…手加減は…嫌……」



ある日の帰宅途中

照「結局部員は増えないまま…」トボトボ

照「…あれ?ここどこ…?」

照「…考え事してたら迷っちゃった…ここは…」

照「粗大ゴミ置き場…?」

おっちゃん「なんだい?ここにあるのは全部ゴミだぜ?」

照「! …これは…」

照「すみません、これ…捨てるなら、もらっていってもいいですか…?」

おっちゃん「お、おう。何に使うか知らんけど…」

照「ありがとうございます」



部室

照「リヤカーを借りてここまで運んできた」

照「あとはこれを並べて…」

ゴトッ ゴトゴトッ

照「…できた」

照「…………」

照「…上出来…!」キュピーン

照「これで…4人打ちができる…!」

……

照「…よろしくお願いします」ペッコリン

東家:宮永照 25000点
南家:灯籠A 25000点
西家:灯籠B 25000点
北家:灯籠C 25000点




照「ロン!12000!」

灯籠A(照)「さすがだな照…だが次はそうはいかん!」

灯籠A(照)「…その牌ロンだ!」

照「なにぃ!そんなところを狙い撃ちしてくるとは!!」

灯籠A(照)「これが私のシャープシュートだ!」

灯籠B(照)「負けてたまるか!ポン!チー!」

照「むむっ、その鳴きは!」

灯籠B(照)「私はフィッシャー!河から有効牌を釣り上げるのさ!」

照「なんという技だ!」



オーラス

灯籠C(照)「フフフ…今までの捨て牌はこのための伏線だったのだ!」

灯籠C(照)「収穫の時…ハーベストタイム!」

照(…………)

照(…ここで役満ツモになるとかっこいい)

照(…………)

バラバラ

(山を崩して牌を並び替え)

灯籠C(照)「ツモ!大三元!」

灯籠A(照)「ぐわああああ!」

灯籠B(照)「なんだとぉぉぉ!」


照(……たのしい)ムフー



ある日の教室

クラスメイトA「宮永さん、これって麻雀のすごい人なんだって?」

照「それ…はやりんのぬいぐるみ…」

クラスメイトB「ゲーセンの景品で取ったんだ!宮永さんにあげるよ!」

照「…ありがとう」

照(…仲間が増えた…)


部室

はやりん人形(照)「オッス、オラ新しい部員!」

はやりん人形(照)「得意技はダブリーだよ!ダブリーすぎて今じゃ高校100年生さ!アハハ!」

灯籠A(照)「ほーう、じゃあ随分年上だね、ってなんでやねーん!」

照(……ノリツッコミ)ムッフー



またある日

灯籠B(照)「フフフ…お前の山越しツモもここまでだ!」

はやりん人形(照)「なにい!?」

灯籠B(照)「秘技・山つなぎリング!」

はやりん人形(照)「な…なぜあなたがそれを知っている!?」

灯籠B(照)「円環の理に導かれよ!」

はやりん人形(照)「ぐっはあー!」

……

照「…たのしかった」

照「もう一戦」ポチッ

雀卓「…ガラゴンガラゴンガガッ…ガガガガッ…」

照「?」



雀卓「ゴゴガッ…ゴギャギャギャギャ…」

照「えっ?あれっ?」バンバン

雀卓「ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…フクスコ…」

照「どうしたの?えいっ!えいっ!」ギュルルバキン

雀卓「モルスァ」

照「…………」

照「…こわれちゃった…」



麻雀ショップ店員「卓の修理ですね、了解しました」

照「…よろしくお願いします」

店員「では、お受け取りは2週間後になりますー」

照「………はい」

照「2週間…部活できない」

照「帰ろう」トボトボ

……

帰宅中

靖子「おう、宮永じゃないか」

照「?」



靖子「インハイチャンプがこんなところで何やってんだ?部活の時間じゃないのか?」

照「今…雀卓が修理中で…」

靖子「ふん?まあ暇ならちょっと付き合えよ」

照「あの…あなたは…」

靖子「藤田靖子…プロ雀士だ」

……

Roof-top

まこ「らっしゃーい」

靖子「おう、今から打てるか?」

まこ「ええですよー」

照「ここは…」

靖子「私のいきつけのカツ丼屋だ 麻雀も打てるぞ」

まこ「せめてカツ丼も食える雀荘と言ってほしいんじゃがな」



靖子「今日はこいつを連れてきたんだ お前も一緒に打てよ」

まこ「これはこれは、どえらいお客様じゃのう」

照「?」

……

照「ツモ 6200オール」ギュルルン

まこ「流石の強さじゃのう…トビじゃ」

靖子「お前… それだけの力があって、なんで風越に行かなかったんだ?」

照「もともとインターハイに興味はなかった…」

照「家族で麻雀打ってたけど…打てなくなっちゃったから」

照「だから、部活に入っただけ」

靖子「…ほう?」

まこ(なんか重そうな事情がありそうじゃね…)

まこ「……あの、あんまりプライベートな事はどうかと…」ボソボソ

靖子「ああ、別に深入りはしないさ」



靖子「まあなんだ、清澄じゃろくに打てる部員、居ないんだろ?」

照「…どうしてそのこと」

靖子「ちょっと、な」

靖子「一人が嫌なら…ここ来て打てよ」

照「!」

靖子「たまになら、私が来てやるからさ」

照「でも…お店に迷惑じゃ…」

まこ「おう、うちなら大歓迎じゃよ」

照「……いいの?」

まこ「なんならバイトもどうですか?色々衣装も取り揃えてますよ」

照「…そこまではなくていいけど……ありがとう」



―それから、清澄高校麻雀部の活動はRoof-topでも行われるようになりました―


照(…ぼっちじゃ…ないよ…)

照(もう一年待てば… 咲が来てくれる……来てほしい)

照(それまで…私がここを続けてないと)

照(…がんばろう)



プルルルル

久「もしもし」

靖子「おう、私だ… 言われたとおりにしてやったぞ」

靖子「これで借り無しだな」

久「ひとつ分ね~」

靖子「チッ… しかしよく宮永の様子を掴んだもんだな?」

久「練習試合の申し込みしても一回も受けてくれないんだもの…気になって調べちゃうのは当然よ」

久「ちょっと清澄に知り合いのロリコ…いえ、生徒会の人がいてね」

久「あとは清澄の近所の麻雀ショップにも協力してもらったわ」

靖子「…お前がそんなに敵に塩を送る性格とは思わなかったな」

久「なんだか気になってね…」

久「よくわからないけど、世界が違えば、私がそうなってたような気がしたのよね…同類の匂いっていうのかしら」キリッ

靖子「なんだそりゃ…まあいいが、オカルトも程々にしとけよ」

久「あはは、了解~」



新年度 新入生部活説明会

ザワザワ

一年生A(宮永照さんだ…)

一年生B(誰ー?)

一年生C(麻雀のインハイ優勝者の!)

一年生D(おおー初めて生で見たよー!)


照(今年部員が入らないと… 廃部になっちゃう…)

照(がんばらないと…)

照(必殺…営業スマイル!)

照「麻雀部です!インターハイ出場を目指して活動しています!」キラキラ

照「去年は個人戦のみでしたが、ぜひ団体戦にも出場したいと思っています!」キラキラ

照「私と一緒に全国を目指しましょう!」キラリン

一年生(かっこいいー!!)



その日の麻雀部

ワイワイガヤガヤ

キャー チャンピオンダヨー カッコイイー

照(いっぱい来てくれた…)

照「それじゃ早速、打ってみましょう」

一年生「はい!」

……

照「ツモ 8300オールです」ドガシャン

一年生「も…もういいです…」コソコソ

一年生「失礼しました…」タッタッタッ

照「あ…」

照「…またやっちゃった…」ショボン



まこ「なんじゃい、どいつもこいつもちょっと負けたくらいで情けないのう」

照「あなたは……カツ丼屋さん…」

まこ「せめて雀荘の店員さんというか名前覚えとってほしかったのう、もう結構な付き合いのはずなんじゃが」

まこ「一年の染谷まこじゃ 入部希望じゃけんど、ええですか?」

照「………」

照「でも…」

照「人いない…こんな部でいいの…?」

まこ「人ならおるじゃろ、わしとアンタと一年生が」

照「でも…みんないなくなっちゃった…」

まこ「…そこに一人おるみたいじゃけど?」



照「?」

まこ「ホレ、そこで卓に伏せっとる」

煌「…………はっ!あまりのことに意識が飛んでおりました!」ガバッ

照(あの人…確か今日唯一、南場までいったときの人…)

煌「さすがチャンピオン!すばらな打ち筋でした!」

煌「こんな強い方と一緒に打てるとは、実にすばら!」

煌「ぜひ入部させてくださいませ!すばらです!」

照「あ……」

まこ「三人居りゃあ、後一人くらい日替わりでどうにかすりゃええじゃろ」

照「ありがとう…染谷さん、須原さん」

煌「花田です!」



煌「高遠原中学出身、花田煌と申します!」

照「…麻雀部部長の宮永照です」

まこ「染谷まこじゃ、部長とは一応半年前からの知り合いじゃ」

煌「よろしくお願いしますね、宮永部長、染谷さん!」

まこ「まこでええわい」

照「…私も、苗字じゃなくていい」

煌「わかりました!まこに照部長!では私も、煌でお願いします!」

まこ「おう」

照「…うん」

煌「すばらっ!」


照「それじゃあまずは…」

まこ「…掃除…じゃな」チラッ

煌「ですね…」チラッ



煌「部屋半分が埋まっているのはちょっとすばらくないですからね…」

まこ「しかし随分ホコリ被った…机に棚に本にガラクタと…」

煌「こっちは…お菓子の空き箱ばっかり…?」

まこ「不思議なゴミの山じゃな」

煌「不要なものはこの際、思い切って処分していきましょう!」

まこ「とりあえず空き箱は全部捨てるとして…、これは…何じゃ?」

煌「灯籠…ですか?」

照「あ…それは…」

照「…捨てないで…」



まこ「? なんか使うんかい?」

煌「見たところただの灯籠のようですが…?」

照「そ、それは…えっと…」

照(…去年の部員さんだとは言えない)

照「その…」

照「…必殺技に使う…」

まこ煌「?」



照「えっと、後ろにこう、並べて…」ゴトゴトッ

煌「ほう?」

キュピーン

ガシッ

ギュルルルン

照「コークスクリューツモ!!」バシィン

煌「おお~スバラ」パチパチパチ

まこ(…意味あるんかのう…?)

照(…喜んでくれた…)



数日後

まこ「よし、掃除はこんなもんじゃろ」

照「うん…凄く綺麗になった… 灯籠もピカピカ」

まこ「ほいじゃあ、明日から4人で打つために…」

煌「そうですね、麻雀を打てそうな方を探して、ゲストになっていただきましょう!」

まこ「最初のとき居た連中なら、わしのクラスにも何人かおったわ」

照「私も…二年生に声かけてみる…」



そして数日後

煌「ようこそいらっしゃいました!ゆっくりしていってください!」

一年生A「で、でも私あまり強くないし…いいの…?」

煌「はい!大歓迎ですよ!」

照「…おやつも買ってきた」

一年生A「これ凄く高いケーキ…!いいんですか?」

照「問題ない、みんなで食べよう」

まこ(おや、レシートにはケーキ5つと書いとるんじゃが…1個ずつで丁度じゃよな…)

煌(部長のほっぺについてる白いのは…何でしょうか…?)



対局中

照(4人で打てる… 4人で…!)ワクワク

一年生A(大丈夫かな…怖いな…)ドキドキ

煌(せっかく来ていただいたゲストの方…無碍にお返しするわけにはまいりません!)

煌(トバさせませんよ!私だけではなく…他の誰も!)

煌(なかなかにやりがいのある目標ですね!すばらです!)

まこ(インハイチャンプのつくる顔… 素人同然の顔…)

まこ(…ほいで、その間でなんとか立ち回ろうとしよる顔…)

まこ(見たことの無い顔が色々見えるわ…)

まこ(……こりゃ、ええ経験じゃ)



南三局一本場

照「ロン 12300です」

一年生A「あ…はい…」

煌「むう…ここで終了ですか… 今日はすばらくなかったですね…」

まこ「アンタ2位じゃぞ」

煌「誰かがトバされてしまったら、私としては負けなのです…!」

まこ「ほうか、まあ目標が高いのはええこっちゃがそれは大変じゃろうて」

一年生A(南場までできた…この前は東四局もいかなかったのに…)

照(またトバしちゃった… 怒ってるかな…)

一年生A「あの…今日はありがとうございました!楽しかったです!」

照「!」

まこ「おう、またよかったら気軽に来んしゃい」



煌「どうしました?」

照「はじめて…ありがとうって言われた…」

煌「はい、聞きましたよ!すばらでしたね!」

まこ「ま、楽しんでもろうたならなによりじゃな」

煌「うん!こんな感じでやっていけば、3人で十分、大丈夫です!」

照「……うん!」



5月

照「大変残念なお知らせです」

煌「!?」

まこ「どしたんじゃ急に」

照「部費が… なくなっちゃった…」

まこ「えっ」

煌「まさか、盗難!?」

照「違う…使っちゃった」

照「お菓子代…全部…」



煌「なんと…それは困りましたね…」

照「…もう活動できない」

煌「お菓子が無くても活動くらいは…」

照「できない」

まこ「…しょうがないのう… うちでバイトでもするか?」

煌「バイト…ですか?」

照「…お菓子のためなら…しかたない…」


Roof-top

まこ「ここ、わしの家じゃ」

煌「ほほう!これはすばらなお店ですね!」

照「…久しぶり」

まこ「じゃ、接客用の衣装に着替えてもらおうかの」



まこ「おー、よう似合うとるわ」

煌「これはいわゆるメイド服というものでしょうか…?すばらです!」(水色メイド服)

まこ「部長の方も… あっ」

照「胸が…ブカブカ…」(ピンクのメイド服)

煌「アチャー」

まこ「そのサイズしかなかったんじゃ、なんとか布をしぼって合わせてもらえんか」

照「こんなサイズが似合う人間の気が知れない」ゴゴゴゴ

照「もし居たら敵…地の果てまでぶっつぶす」ギュルルン

煌「部長?なにか不穏な発言になっていますよ…?」

まこ「まあ、胸さえ合わせりゃお似合いじゃって!」



照「お帰りなさいませ、ご主人様!」キラキラ(営業スマイル)

まこ「おう、ええ笑顔じゃ」

煌「順応早いですね…」

……

照「こちら、お冷とおしぼりでございます!ご注文は以上でおそろいですか!?」

客A「いや…まだ何も頼んでないから…」

照「失礼しました!ご注文を承ります!」

客A「…とりあえずメニューください」

照「かしこまりました!メニュー一丁です!」

客A「いや、その…」

……

まこ「順応…しとるか?」

煌「あはは…」



照「お待たせしました、コーヒーでございます」プルプル

照「あっ」コケッ

バシャ

客B「うわー!卓の上にコーヒーが!」

照「だ、大丈夫です!牌は倒してませんから!拭けば続けられます!」

客B「そういう事なの!?」

……

照「ロン!18600でございますご主人様!」ギュルルン

客C「ひいぃぃぃ…もう帰るわ…」

……

まこ「…ええのは笑顔と麻雀の腕だけじゃな…」

煌「最初のイメージと違って随分ポンコツさんですね…」



6月 インターハイ県予選

煌「方々手を尽くしましたが、結局部員が足りず…」

まこ「団体戦はテレビ観戦か…」

照「………」ショボン

煌「まあ人数ばかりはしかたありませんよ…ほら、一緒にテレビ見ましょう?」

照「……うん……」ショボーン

ピッ



衣「昏鐘鳴の音が聞こえるか……? ロン!」

実況「龍門渕・天江選手、なんと2発目の倍満直撃ー!」

華菜「んにゃああぁぁぁぁ!!」

実況「逆転です!名門・風越女子敗れるー!」

……

まこ「全員一年生か…なんとも凄い連中がでてきよったもんじゃな…」

煌「大丈夫です!個人戦では私たちが勝ちますよ!」

照「…龍門渕の人たちは、今回は個人戦には出ないみたい」

まこ「えっ」

煌「…そうなんですか…」

照「あの人たちとも…打ってみたい…」

照「…やっぱり、団体戦に出たい……!」



県予選個人戦

煌「よし、みなさんがんばりましょう!」

照「…うん」

三人「ファイト!おー!」

照「…私はこっちの部屋」

まこ「わしはこっちじゃ」

煌「あ、まこ、途中まで一緒ですね」

照「…じゃあ行く」

煌「はい!ご武運を!」



久「あら、あなたたち清澄の人よね?」

煌「はい?そうですが?」

久「さっき宮永さん、会場の外に出て行ったけど…大丈夫?」

まこ煌「えっ」

ピンポンパンポン

放送「清澄高校・宮永選手、至急所定の卓で受付を済ませてください」

放送「規定時間内に受付完了されない場合は失格となります」

まこ煌「!?」

久「あらあら…」

まこ「と、とりあえず探しに行くぞ!」

煌「はい!」



会場の庭

煌「あ、いましたよ!あそこの角に!」

まこ「まったく…何しとったんじゃ…って」

照「どうぞー、サーカス団のご案内でーす」

まこ「子供に風船配っとるー!」ガビーン

煌「すみません、部長!?」

照「あ…まこ、煌、風船どうぞ」

煌「いりません!一体何してるんですか!」

照「あそこのピエロさんが、手伝ってくれたらアメちゃんくれるって」

煌「知らない人について行っちゃいけません!もう試合が始まりますよ!」

照「あっ…そうだった」

まこ「時間が無いわ!急いで戻らんと!」

ドタドタバタバタ



一回戦終了後

煌「なんとか間に合いましたが…」

まこ「これから対局じゃっちゅうに、なんで外に出てしまうんかのう…」

照「…ごめんなさい」

照「でも、私はちゃんと対局室へ向かってた。おかしいのは建物の構造」

煌(出口と対局室は逆方向だと思うのですが…どれ程迷子さんなんでしょうか…)

まこ(こんなんでよう去年インハイ優勝できたもんじゃのう…)

煌「…去年は一体どうなさってたんですか?」

照「付き添いの先生がずっとついててくれた」

煌(先生、心中お察しいたします…)



まこ「これほどポンコツじゃとは思うてなかったのう…」ヒソヒソ

煌「こんな事で昨年王者が失格になったら大問題になってしまいますね…」ヒソヒソ

まこ「…こうなったらしゃーないわ」ヒソヒソ

煌「…ええ!」ヒソヒソ

照「?」

まこ煌「全部"ゴッ"付き添う!」

照「??」



煌「お疲れ様!次はあちらです!さあ行きましょう!」

照「そこまでしてくれなくても…」

まこ「ここまできたらずっと付いてっちゃるわ!」

煌「お手洗いはよろしいですか!?」

まこ「ほれ、お茶飲んで!汗拭くか!?マッサージするか!?」

照「…大丈夫」

煌「到着しましたよ!この部屋です!」

まこ「よっしゃ!わしらも自分の対局室行くぞ!ダッシュじゃ!」ダダダッ

煌「はい!ではまた対局後!」ダダダッ


美穂子「宮永さんたち…凄いチームワークね…」

久(…幼稚園の運動会に来た両親…?)


照「………ありがとう…」



実況「県予選個人戦、終了です!」

実況「1位に輝いたのは清澄高校二年・宮永照選手!県予選2連覇です!」

実況「2位は風越女子二年・福路選手、3位には同じく風越二年の上埜選手が入りました!」


照インタビュー中

煌「なんとか部長は全局お導きしましたが…私たちは及びませんでしたか…」

まこ「いやー、2位3位の二人も相当な強さじゃったぞ」

煌「正直、ちょっと体力が持たなかったですね…」

まこ「それは言いっこなしじゃて」

煌「フフッ、これからはランニングも必要ですかね!」

まこ「ほうじゃな、全国はもっと大変じゃ!」



次の日 部室

照「…二人とも、昨日はありがとう」

まこ「なんじゃい、急に改まって」

照「毎回対局室まで連れて行ってくれて、凄く嬉しかった… おかげで優勝できた」

照「でも、二人は私についてたおかげで集中できなかったと思う…」

煌「いやいや、そんなことはありませんよ!」

まこ「好きでやったことじゃ、気にせんでええよ」

照「でも、迷惑かけた」

照「だからお詫びにこれ…食べて」

煌「これ…一日限定10個の超高級ケーキ!」



まこ「こがな高いもん…大丈夫なんかい?」

照「部費じゃないから問題ない。私のお小遣い。」

煌「そんな、尚更いただけないですよ…」

照「いい。迷惑かけたから」

まこ「部長…」

煌「そうですか…わかりました!すばらなご厚意に感謝します!」

まこ「…ほうじゃな、ありがたくいただくか」

照「うん…どうぞ」

煌「いただきます!」



煌「…………」モグモグ

照「…」ジー

まこ「…………」モグモグ

照「…」ジー

煌「…………」モグモグ

照「…」ジー

まこ「…………」モグモグ

照「…」ジー

煌(ケーキのおいしさは…すばらなんですが…)

照「…」ジー

まこ(あんなキラキラの目ぇして食い入るように見られとったら…)

照「…」ジー

まこ煌(…食べにくい…!)



煌「あの…部長もお食べになりますか?」

照「いい…二人で食べて」

まこ「部長の分は無いんかい?」

照「ふたつしかない…二人へのお詫びだから二人のもの」

照「気にしないでいっぱい食べて」

煌(そうおっしゃいましても…)

まこ(一番食いたそうな顔を目の前にして、放置はできんわい…)

まこ「一口くらい…どうじゃ?」

照「うぅ~…だめ…」フルフル

まこ(変なところで頑固じゃのう…)

煌(お気持ちは凄く嬉しいのですが…)



まこ(煌よ、なんとかできんか…)チラッ

煌(…わかりました)チラッ

煌「部長、お気持ちは十分いただきました」

煌「しかし我々は、部長と一緒に喜べたらそれが一番すばらです」

煌「部長に食べていただいたら私たちも嬉しいですから…、一緒に食べましょう?」

照「…そう?」

煌「はい!」

まこ「おう」

照「………わかった」

煌「はい、あーん」

照「………あーん」パクッ

煌(いい笑顔をなさいますね…)

照「…おいしい」モグモグ



その日の帰り道

煌「部長があんなにケーキを人に譲るなんて…初めて見ましたね…」

まこ「結局食うたけどのう…」

煌「実は私達のことをすごく気にしてくれてる…すばらな先輩です」

まこ「団体戦に出られんかったのも、一番へこんでたしのう…」

煌「団体戦…出たいですね…」

まこ「ほうじゃのう…」

煌「あんなすばらな先輩と一緒に出られたら、これほど嬉しいことはありません」

煌「頑張りましょう…部員集め!」

まこ「おうよ」



そして全国大会―

実況「個人戦決着です!」

実況「優勝の栄冠は、清澄高校二年・宮永照選手が掴みました!大会2連覇の偉業達成です!」


憩「いっやー、あの人ほんま人間とちゃうわー」

憩「あれはお菓子の妖精やね」


煌「おつかれさまでしたー!すばらでしたよ!」

照「…ありがとう…」

まこ「やりよったな、部長!」

照「でも…やっぱりひとりは嫌…」

照「みんなで、出たかった…」

煌「元気出してください!来年があります!」

まこ「ほうじゃな、来年こそ!」



数日後 部室

煌「ということで!来年に向けて、部員集めの作戦会議です!」

まこ「作戦言うてものう…せめて誰ぞ当てでもありゃええんじゃが…」

煌「一人でしたらなんとか……来年優希が来てくれれば…」

まこ「優希?」

煌「私の中学の後輩です!麻雀の腕はすばらですよ!」

まこ「ほうか…じゃがどう誘ったもんじゃろうな…」

煌「そうですね…いくらインハイチャンプの部長がいるとはいえ…」

まこ「風越みたいな名門ならともかく、麻雀するために清澄に来てくれっちゅうのものう…」

煌「そういう事にはこだわらない娘だと思いますが… とすると清澄にも特に惹かれる要素はないですね…」

煌「何かもっと別の…うちに来たいと思える何かが必要ですね…」



まこ「ほいでも、一人でも当てがあるとわかれば前進じゃ」

煌「そうですね、しかしまだもう一人…」

まこ「うーん…」

照「あ、あの…」

煌「! 部長、どなたかお知り合いが!?」

照「…………」

照「…ううん、なんでもない…」

まこ「ほうか…」

煌「まあ、ゆっくり探しましょう!まだ時間はありますから!」



宮永家

照「言えなかった…… 妹がいるって……」

照「咲とは…あの事があってから、ずっと会話が無い…」

照「自分の部屋に入ってほとんど顔を出してくれないし…」

照「たまに顔を合わせても、気まずくすれ違うだけの日々…」

照「いつまでも、このままじゃいけない…」



咲「…おやすみなさい」

照「あ、咲…ちょっと、お話していい?」

咲「…………」

咲「……何?……」



照「あのね、お、お姉ちゃんもう…怒ったりしてないから…」

照「…高校生になったら、一緒に麻雀しよう?」

咲「!」

照「…で、できれば、その、……同じ学校で……」

咲「…………」

照「…………」

咲「…ごめん、お姉ちゃん」

咲「先のことなんて、まだわかんないよ…」

咲「…おやすみ」

バタン

照「あ…」

照「…………」

照「…まだ…時間はある…から……」



数日後

煌「そういえば、もうすぐ文化祭ですね…」

まこ「じゃな」

煌「麻雀部としてはどういたしますか…?」

まこ「何かやるチャンスじゃとは思うが…」

煌「とりあえず、展示発表のスペースをいただいて全国大会に行った様子を紹介するのはどうでしょう?」

まこ「ええ案じゃが…部長ひとりの写真ばっかりになってしまうのう…」

煌「うむぅ…私達の力が及ばなかったばかりに…」

ガチャ

照「…遅くなった」

まこ「おう、お疲れさん」

煌「? 部長、その紙はなんですか?」

照「…学食で配ってた」



煌「チラシですね…どれどれ」

煌「『文化祭企画・清澄食堂新メニューコンテスト』…?」

チラシ「学食の新しいメニューにしたい料理を大募集!」

チラシ「あなたの提案した料理を当日作って売り出していただき、人気投票を行います!」

チラシ「1位になったメニューは、清澄食堂のレギュラーメニューに採用されます!奮ってご参加ください!」

煌「食堂のメニュー…ですか…」

煌「……!!」ピコーン

煌「そうです!タコスを作りましょう!」



まこ「タコス?」

煌「優希はタコス大好きなんです!」

煌「食堂メニューにタコスが入れば、きっと大喜びですよ!」

まこ「そがな理由でかい…?」

煌「もちろん文化祭にも来てもらって、うちの麻雀部をアピールするのです!」

照「…それはいいと思う」

まこ「…まあ、目立つに越したことはないわな」

照(咲も…来てくれるかも…)

煌「では、文化祭は展示発表と、この新メニューコンテストに参加しましょう!」

照まこ「おー!!」



Roof-top

煌「それでは!」

煌「こちらの厨房をお借りして、出品するタコス作りを行います!」

煌「優希が喜ぶようなおいしいタコスを完成させましょう!」

まこ「しかしのう…うちの店でもタコスは作ったことがないわ…」

煌「私もですが大丈夫です!こんなこともあろうかと!」

煌「部長に図書館で作り方の本を探してきていただきました!」

まこ「おお」

照「…これ」

煌「すばらです!では私が読み上げますからその通りに作ってみましょう!」

照まこ「おー!」



煌「『まずは砂糖水を煮詰めてカラメルソースを作ります』」

照「はい」

まこ「よっしゃ!」

煌「『お次はたまごと牛乳、お砂糖にバニラエッセンスを混ぜ合わせます』」

照「混ぜるのは得意」ギュルルン

まこ「うわっと、飛ばさんように」

煌「『バターを塗った器にカラメルソースを敷いて、その上から混ぜた卵液を流し入れます』」

照「ゆっくり…こぼさないように…」

まこ「うまいうまい」

煌「『オーブンに入れてしばらく焼けば、おいしいプリンの…でき…あがり……?』」

まこ「えっ」

照「………」ワクワク



まこ「…見事にプリンができたわけじゃが」

煌「おかしいですね…どこで道を間違えたのか…」

まこ「いや最初っからじゃろ」

照(…プリンおいしい)モグモグ

煌「…タコスの本を…お願いしたはずなんですがね……」

まこ「…ああ…わかっちょるて……」

煌「…………」

煌「反省会を開きましょう!何かご意見のある方!」

照「はい」

煌「はい部長!」

照「タコスよりプリンがいいと思います」



煌「えっと…今回は私の後輩の大好物ということなので…」

照「むぅ~…」

煌「プリンは食堂の売店にもありますから…ね?」

照「ぶぅ~…」

まこ「今回は新メニューじゃからのう、諦めんしゃい」

照「ぶすぅ~…」

煌(はあ…仕方ないですね)

煌「試作品を作るときには、一緒にプリンも作っていいですから!」

照「わかった。全力でおいしいタコスを作る。頑張ろう」キリッ



そして試行錯誤中…

煌「えっ!?トルティーヤってトウモロコシの粉なんですか!?」

まこ「そうらしいわ…小麦粉でええかと思うとったんじゃがのう…」

煌「もう何枚か焼いてしまいましたよ…どうしましょう…」

まこ「…って、あれ!?ここに置いとった焼き上がりは!?」

照(…プリンクレープ…おいしい)モグモグ

煌「部長…」

まこ「…まあ捨てずに済んでよかったわい」



さらに試行錯誤中…

照「私も焼くの…?」

煌「人手が足りないですから!ここは部長にも焼いていただかないと!」

まこ「インハイチャンプの焼いたタコスとなったら、みんな食いつくじゃろ」

照「…やってみる」

煌「まずはタネをひとすくい…そうそう」

ジュゥゥゥ

まこ「フライパンをゆっくり回して、タネをまんべんなく広げて…」

照「回す…回すのは得意」ギュルルン

ドバシャッ

まこ「うおわっ!」

煌「焼く時にコークスクリューしちゃだめです!」



さらに試行錯誤中…

煌「やっぱり味の決め手はサルサですね!オリジナルのサルサを作りましょう!」

照「これからい…もっと甘口がいい」ドサドサァ

煌「部長ー!そんなに砂糖入れちゃ駄目ですよー!」

まこ「サルサは辛いもんじゃからー!」

煌「ってあれ…? 待ってください!それは塩です!」

まこ「えええええー!?」



そして…

三人「できたー!」

煌「これはすばらな出来になりましたね!」

まこ「これは美味いわ、うちの店でも出したいくらいじゃ」

照「…うん」

煌「ご覧ください、こちらにできました最高のタコスと…」

まこ「…プリンアラモード、チョコクレープ、いちごのホールケーキ…」

煌「…なぜあるんでしょう…」

まこ「…明らかにタコスに使わん材料まであるのう…」

照「…がんばった」キラーン

※この後三人でおいしくいただきました



夜 宮永家

コンコン

照「咲…いる?」

照「あのね… 明日、うちの高校で文化祭やるの…」

照「よかったら、見に来て…」

照「食堂でタコスの売店、やってるから…」

……………

照「あれ?咲? いないの?」

ガチャ

照「お風呂かな…?」

照「…パンフレットとお手紙だけ置いておこう…」

照「……来てくれるかな……」

照「……おやすみ、咲」



文化祭当日 麻雀部展示教室

煌「午前中は私がこちらのお当番です!」

煌「どうぞ見ていってくださいませー」

煌「麻雀部の活動報告ですー」

……

男A「おい、食堂の新メニューのやつ、食ってみた?」

煌(! フフフ…早速噂になっていますね…)

煌(ちょっと聞き耳を立てさせていただきますか…)

男B「おう、買ったら投票券がもらえるやつだろ?それでうまかったら投票と」

男A「どれがオススメ?俺、今から食いに行くんだけど」

男B「どれも結構いけたぜ」

男C「あー、でもタコスだけは食ってねーな」

男B「あ、俺も」

煌「!?」



男A「何?タコスそんなにマズイの?」

男B「いや、まずくはないっぽいけど」

男C「小学生くらいの女の子が、物凄い勢いでタコス全部食っちゃってるんだとさ」

煌「!」

男B「そうそう、それで何十分待ちとか言ってたから諦めたんだ」

煌「なん…ですと… まさか…」

プルルル

煌「! まこから電話!」

まこ「ヘルプじゃ!そっちはええから大至急、追加の材料買うてこっち来とくれ!」



新メニューコンテスト会場

優希「うまいじょ!タコスうまいじょー!!」ガツガツ

まこ「な…なんなんじゃこいつは…作るんが追いつかん……」

照「もう材料なくなっちゃう」

まこ「材料は今、煌が買いに行っとるから!もうちいっと辛抱じゃ!」

客A「ねえマダー?」

客B「早くしてー」

客C「もう待てないよー」

まこ「くっ…人手が足りん…」

まこ「誰か…タコス焼ける人はおらんか…」



煌「材料買ってきましたよ!」

まこ「おう、待っとった!」

まこ「じゃあ入れ替わりで部長、ゴミ捨ててきとくれ!あとできれば誰か助っ人を!」

照「わかった」


ゴミ捨て場

ドサッ

照「ふう…」

照「…助っ人って言っても… どうしよう…」

照「…知らない人と話したら駄目って言われてるし…」

フワッ

照「!」

照(今のは咲のシャンプーの香り…)

照(咲……?来てくれたの…?)キョロキョロ



京太郎「うっわーすげー行列だな!タコスの出店すげーじゃん!」

咲「うん…忙しそうだね……後にしようか…」

京太郎「いやいや、これが食いたくて来たんだろ? オレ、並んでおくか?」

咲「えっと…別に食べたいわけじゃ…」モジモジ

京太郎「?」

照(!…いた!)

ザッ

咲「あ、お姉ちゃん…」

京太郎「お、宮永先輩だ」

照「咲……」



咲「あれ? 京ちゃん、お姉ちゃんのこと知ってるの?」

京太郎「知ってるも何も、同じ中学だったろ。中1のとき見覚えあったし、テレビ出た有名人じゃん」

照(!……この人……)

ギロッ

京太郎「?」

咲「あっ、えっと、ちがうの!京ちゃんはただのクラスメイトで、たまたま一緒に…」

グワッ

咲「お、お姉ちゃん…?」

照(照魔鏡…!この人は…)ゴゴゴゴゴ

京太郎「な、なんですか?」

照(…タコス屋さん…!)



ギュッ

京太郎「へっ?」

咲「お姉ちゃん?」

照「……お願い……」

照「うちのお店を助けて…」ウルウル

京太郎「えええ!?」

照「こっち!」グイッ

京太郎「えっ、あっ、ちょっと!?」

咲「ま、待ってー!」



照「連れてきた!タコス屋さん!」

京太郎「ええー!?」

まこ「おう、お前さんタコス焼けるんかい?というか焼け!手伝え!」

京太郎「あ、は、はいぃ!」

……

ジュゥゥ

京太郎「こ、こうですか?」

まこ「なかなか手際ええな!じゃあ次はこっち!あとこれとそれも!」

優希「うまいじょ!もっと持ってくるじょー!!」

京太郎「ひえぇぇぇ…」



煌「大分お客様が捌けてきましたね…」

客D「おい、あれ宮永照じゃねーの?」

客E「なんでタコス売ってんだ?」

煌「! これはすばらなチャンスですよ!」

煌「部長!裏は私がやりますから、お客様の呼び込みをお願いします!」

照「わかった」

煌「部長の知名度でお客様を集めて…」

煌「さらにこの時間、お昼が過ぎてちょっと小腹がすいてくる頃…!」

煌「ここで有利なおやつ系メニューはうちだけ…!ここからが勝負です!」



タコス店裏

咲「………」

咲「あの、京ちゃん?」

京太郎「どらっしゃぁぁぁ!トルティーヤ2枚返し!!」

咲「………」

咲「お姉ちゃんは…」

照「タコスいかがですかー? どうぞ寄っていってくださーい!」

咲「………」

咲「………することがない…」ポツーン

煌「おや、タコスをお求めですか?それでしたら表のほうに並んでいただいて…」

咲「あ、いえ、違うんです!実は…」



煌「なんと!部長の妹さんですか!すばらです!」

煌「ではこちらへお座りください!すぐ部長をお呼びしますから!」

咲「あ、いいんです!やめてください!」

煌「?」

咲「ちょっと…事情があって…」

咲「ずっと、お姉ちゃんには会わせる顔がないっていうか…」

咲「会ってもきっと、ちゃんとお話できない気がするっていうか…」

煌「ほう?」

咲「私が…悪いんです…」

咲「だから…いいんです、遠くで見てるだけで…」

煌(ふむ…これはなかなかになかなかの…)



煌「詳しい事情は存じ上げませんが…」

煌「勇気を出して、お話されてみてはいかがですか?」

咲「えっ…」

煌「歩み寄る勇気があれば、きっと部長は応えてくれるはずですよ」

煌「ちょーポンコツ…もとい、不器用なお方ですからわかりにくいかもしれませんが…」

煌「部長が大切な人の気持ちを無碍にする方ではないことくらい、半年ほどのお付き合いでもよくわかりますよ」

咲「……大切な人…そう思ってくれてるのかな?……」

煌「部長がどう思っていらっしゃるのかは…私にはわかりませんが、」

煌「あなたはお姉ちゃんのこと、大切なんですよね?」

咲「……はい……」

煌「すばらです!ならば大丈夫!」

煌「何かあったら、この私にご相談なさい!どーんと解決して差し上げますよ!」

咲「須原さん……」

煌「花田煌と申します」



煌(これはなんとか、二人でお話しする時間を作って差し上げたいですね…)

煌(とはいえ、無理に騒いで話し難くしてしまっては、すばらくありません…どうしましょうか)

煌(なるべく自然に…ここを離れて部長を裏に…)チラッ

まこ(煌はいつまでも何をやっとるんじゃ…この忙しいんに…って)

煌「……」チラッ チラッ

まこ(! あれは煌のアイコンタクト!)

まこ(……了解じゃ!)キュピーン

まこ「部長ー!ちょっと裏の方お願いするわー!」

照「…わかった」

まこ「おーい煌よ!早ようこっち来て手伝うてくれやー!」

煌「あ、はーい!只今!」

煌(まこ…すばらです!)

煌「では呼ばれましたので、ちょっと失礼しますね!ごゆっくりここでお待ちくださいませ!」

咲「あ…はい…」



照「あ、咲…」

咲「お姉ちゃん…」

照「…………」

咲「…………」

照「えっと、バタバタしちゃっててごめんなさい…せっかく来てくれたのに」

咲「ううん…いいよ」

照「…タコス、食べてくれた?」

咲「ううん、まだ…」

照「じゃあ……はい、これ」

咲「お姉ちゃんが焼いたの…?」

照「うん」

モグモグ

咲「おいしい…!」

照「よかった…」



咲「なんだか、とっても久しぶりだね」

照「?」

咲「こうやって、二人でゆっくり話すの…」

照「そうだね…」

照「高校に入ったら、なかなか早く帰れなくって…ごめんね」

咲「違うよ!…私が…お姉ちゃんを避けてたから……ごめんなさい」

照「咲…」

咲「あ、あのね…お姉ちゃん…!」

………

……




まこ「…うまくいったんかの?」

煌「すばらっ!」



放送「コンテスト投票受付終了時間となりました!皆様お疲れ様でしたー!」

煌「なんとかやりきりましたね…」

照「ありがとう…急に無理言ってごめんなさい」

京太郎「い、いえ、何のこれしき!オレも楽しかったですし!」ゼェゼェハァハァ

優希「お前、なかなかやるな!うまかったじょ!」

まこ「アンタは食いすぎじゃ」

咲「京ちゃん、料理できたんだね…」

京太郎「いやいや、たまたまだって」



ピンポンパンポン

放送「大変お待たせいたしました!それでは、新メニューコンテストの結果発表です!」

煌「見てください!いよいよですよ!」

まこ「ウチらの番号は何番じゃ!?」

煌「えっと…、6!6番です!」

放送「それでは発表します!まずは第三位!………」

照「………」ドキドキ

煌「大丈夫、大丈夫です…」



放送「………そして第一位!清澄食堂の新メニューに選ばれたのは…」

放送「…エントリーナンバー、6番!」

まこ「!」

煌「!」スバラッ

放送「清澄高校タコス部の皆さんによる、タコスに決定しましたー!」

まこ「えっ」

煌「えっ」

照「やったぁぁぁ!」ガタッ

まこ煌「えっ」



まこ「煌よ… 参加申し込みは誰がしたんじゃったか…」

煌「私は用紙すら見てませんよ… てっきりまこがやってたものと…」

まこ「ほうか… まあ大体そうじゃとは思うたが…」

煌「ええ…」

まこ煌(……この人は……)

照「?」ニコニコ



煌「あの…部長?」

照「何?やったよ!優勝だよ!!」

煌「はい、すばらですね。ときに、タコス部と書いてエントリーされたのは、部長のお考えで?」

照「うん、タコスを作るからタコス部がいいと思った」

照「直前でプリン部にしようと思ったけど、思いとどまった。偉い」

煌「それはそれは、すばらなご判断です。では質問ですが、うちは何部ですか?」

照「…………」

煌「…………」

まこ「…………」

照「…………麻雀部?」

煌「正解!」



照「……そっち系かあ……」アチャー

煌「いえ、他の系とかありませんからね?」

まこ「…プッ」

煌「…フフッ」

照「?」

まこ「まったく…しょうがない部長じゃ」アッハッハッハ

煌「ええ、本当に!」アッハッハッハ

照「…怒ってないの…?」

まこ「なんの、もうそろそろ慣れたもんじゃ」

煌「はい!実に部長らしくてすばらっ!すばらです!」

照(…褒められた…?)


照「………ありがとう」ウフフッ


放送「清澄食堂新メニューコンテスト、これにて終了でーす!」



その夜 宮永家

咲「今日のお姉ちゃん、凄く楽しそうだった…」

咲「最後のあんなに笑った顔、もう何年も見たことなかったよ…」

咲「私も… あの中に入れば…あんな風になれるのかな…?」

照「ただいまー」

咲「あ…お帰りお姉ちゃん」

照「…今日は、来てくれてありがとう」

咲「うん…」

照「…久しぶりに…ゆっくり話せたね…」

咲「うん…」



咲「あ、あの…」

照「何…?」

咲「今日は…とっても楽しかったよ!」

照「…そう…よかった」

咲「お姉ちゃんの部の人たち…とってもいい人たちだね!」

照「うん、自慢の仲間」

咲「そ、それでね…、私も…あの人たちと一緒に麻雀したい……かな…」

照「!」

咲「あ、ま、まだ先のことはわからないけど!その前に受験勉強がんばらないとね!」

照「咲…」

照「…ありがとう」


照「がんばって…よかった…」



そして4月―

煌「さて、わが麻雀部には3名も新入部員が入ってくださいました!すばらです!」

優希「タコスに導かれて来たじぇ!」

京太郎「あはは…麻雀部だとは思わなかった…」

咲「よ、よろしくお願いします…」

まこ「おう、よろしゅうな」

煌「それでは部長!ごあいさつをお願いします!」

照「…うん」



照「2年前…ここにいるのは、私一人でした…」

照「寂しい時も、やめたい時もあったけど…諦めなくてよかったと思っています…」

照「いろんな人に支えてもらって…ここまで来て…」

照「今、これだけの人が集まってくれて…本当に嬉しい…」

照「この部活で、ずっとやりたかったことが…」

照「やっと…できるようになりました…」


照「清澄高校麻雀部は…インターハイ団体戦に出場します!」


みんな「おおー!!」



実況「―さあ、全国高校生麻雀大会長野県予選、団体戦決勝です!」

実況「まずは満を持して団体戦に初登場!全国個人2連覇の宮永照を擁する清澄高校です!」


煌「ついに来ましたね!決勝戦です!」スバラッ

優希「テンションあがってきたじぇ~!」

咲「うぅぅ~…緊張するよ~」

まこ「咲は相変わらず気が小さいのう」

照「…大丈夫、お姉ちゃんがついてる」


照(私にも……ここにいる、みんながついてる……!)


カン




阿知賀編

実況「県予選団体決勝、決着です!」

実況「優勝を手にし奈良県代表に輝いたのは、なんと10年ぶりの出場!阿知賀女子学院です!」

実況「前インターミドルチャンピオン原村和が、高校でもその力を見せつけました!」


穏乃「やったぁ!今度こそ一緒に全国だよ!和!」

和「はい…!やりましたね!」


阿知賀女子学院麻雀部

先鋒:松実玄
次鋒:松実宥
中堅:原村和
副将:鷺森灼
大将:高鴨穏乃



実況「そして、王者晩成高校は一回戦で阿知賀女子に敗退!10連覇ならずの大波乱となりました!」


晩成高校麻雀部

先鋒:小走やえ
次鋒:丸瀬紀子
中堅:新子憧
副将:上田良子
大将:巽由華


憧「負けた…中学の時から、また…」

初瀬「あ、憧はがんばってたよ!中学の時より凄く強くなったし!」

初瀬「阿知賀に勝ちたいって一心で、一年でレギュラー取ったんじゃない!」

憧「初瀬…」

やえ「…そうだな」

憧「小走先輩…」



やえ「お前はうちの中でも相当打ってた… ニワカじゃない」

やえ「それに、阿知賀のことはお前からよく聞いてたし…対策も立てた」

やえ「…それでも勝てなかったなら、あいつらもニワカじゃなかったってことだ」

憧「先輩…」

やえ「胸張って話してきなよ、友達なんだろ?」キリッ

憧「…はい!」タッタッタッ

やえ「…行ったか…」

やえ「…………」

やえ「ふ゛え゛ぇ゛ぇ゛~ ニ゛ワ゛カ゛の゛く゛せ゛に゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛~」

由華「よしよし」



穏乃「あ、憧!」

和「憧…」

憧「…シズ…和…」

憧「…優勝おめでとう!今回はやられちゃったわね!」

穏乃「憧…」

和「……」

憧「なぁーにその顔はー? ひょっとして私に気でも遣ってるのー?」

穏乃「う…だって…できれば、一緒にいたかったし…」

和「玄さんや赤土先生も…気にしておられました…」

憧「もう…何言ってんのよ、相変わらずヤレヤレね」

憧「いい?よく聞きなさいよ!そんな気を遣う必要全っ然ないんだから!」



憧「阿知賀の中等部で二人が麻雀部再結成したって聞いたときは…、正直、ちょっと悔しかったけど」

憧「インターミドルのとき、それは私と打ちたかったからだって言ってくれたの、凄く嬉しかった!」

憧「だから、インターミドルで負けたときに思ったの…」

憧「いつか、あんたたちに絶対勝ちたいって!そう思って、私は晩成に入ったんだから!」

穏乃「憧…」

和「憧…」

憧「だから、次は絶対勝つから!その時まで変なのに負けるんじゃないわよ!」

憧「私の…、最高のライバル!」

穏乃「…うん!」

和「…はい!」



灼(県予選が終わって…)

灼(全国大会へ向けて私達は、平日は学校で部活、週末は全国へ遠征という日々)

灼(そして私は、朝の日課ができた…)

穏乃「あーらたさーん!おはよーございまーす!!」

穏乃「トレーニング行きましょー!!」

灼「…今行く」

灼(穏乃が毎朝、呼びに来てくれて…一緒に朝練をするようになった)

穏乃「じゃ、行きましょうか!」

灼「うん」

近所の人「おーう灼ちゃん穏乃ちゃん、今日もがんばってるねー」

灼「ありがとうございます!」

`○ω○´「ブチョーさーん!しずちゃー!がんばれー!!」

穏乃「おー!」



穏乃「それじゃ、かるーく山一周してきますね!」

灼(一緒に近くの自然公園まで来て…穏乃はそのままランニング)

灼(そして私は…)

灼「ふんっ!」ブンッ

灼「はぁっ!」ブンッ

灼(…素振り。)

灼(きっと全国で、役に立つ気がする…たぶん準決勝くらいで…)

子供「お母さーん、あの人なんでボウリングのピンを振り回してるのー?」

母「シッ!見ちゃいけません!」



穏乃「ふぅっ!今日もいい汗かいたー!」

灼「お疲れ」

穏乃「じゃあ、部活行きましょうか!」

灼「待って…今日は大事な話がある…」

穏乃「?」

灼「…これを見て」

穏乃「雑誌?うちの紹介記事ですか?」



雑誌「阿知賀女子学院麻雀部… 先鋒から中堅まで並ぶ大火力は全国屈指。」

雑誌「しかし副将・大将は明らかに戦力不足で、後半の失速が懸念材料。」

雑誌「大本命の永水女子麻雀部相手では、副将はいい勝負だが大将(笑)の戦力差は(笑)。」


穏乃「あちゃー、なんか言われちゃってますねー」

穏乃「でも、そんな雑音気にしなければいいんですよ!」

穏乃「晩成に勝てたのもみんなの力があってこそって、赤土先生も言ってくれてたじゃないですか!」

灼「違う…麻雀の話じゃない…」

穏乃「えっ?」

灼「これは麻雀雑誌じゃない…よく見て」

穏乃「…『月刊おもち通信』…?」



穏乃「じ、じゃあこの全国屈指の大火力って…」

灼「うん…おもちのこと」

穏乃「…こんな雑誌どこで…?」

灼「…玄が持ってた」

穏乃「玄さん…」

灼「…穏乃は、今の麻雀部ができた経緯、知ってる?」

穏乃「?」

穏乃「あ、当たり前ですよ!私が言いだしっぺなんですから!」

穏乃「インターミドルに和しか行けなかったから、今度こそ一緒に全国行こうって!それから赤土先生のために!」

穏乃「それに…また憧と打ちたかったから…」

灼「そう…。でも世間で知られているのは違…」

穏乃「えっ?」



灼「おもち大好きしずちゃんはおもち部を作ろうと、おもちを集めた…」

灼「しかし、3人しかおもちがなかったため、人数合わせに私を誘って現在に至る…」

穏乃「そ、そんな!」

灼「麻雀は部活として成り立つための仮の姿…」

灼「…それが世間の認識」

穏乃「そんなのってないよ!こんなの絶対おかしいよ!」

灼「世間じゃ私が部長なのも、おもちを見せないマスコミ対策なんて言われてる」

灼「この誤解と風評被害を放置しておけない」

穏乃「き、気にしないでいきましょうよ!相手にしないのが一番ですよ!」

灼「でも、私と穏乃におもちが無いのは事実」

穏乃「うっ」

灼「だから、一緒におもちを大きくしよう」

穏乃(えぇー…)



穏乃「具体的に、どうするんですか?」

灼「…これを用意した」

穏乃「ボウリングの球…?」

灼「子供用だから大丈夫…そんなに重くな…」

灼「これを胸に入れよう」

灼「まずは見た目が大事だと思…」

穏乃(えええぇー…)



穏乃「よいしょっ」

灼「いい?じゃあ手を離す…」

穏乃「はい…」

ボトッ ボトッ

穏乃「あー、やっぱり支えるものがなくちゃだめですよー」

灼「うん…」

灼「噂によると、世の中にはおもちを支える「ぶらじゃー」というものがあるらし…」

穏乃「ぶらじゃあ?って何ですか?」

灼「私も知らな… 穏乃が知ってたら教えてほしかった…」

穏乃「うーん…」

灼「うーん…」



近くの木陰

憧「ま…マズいわ… そんな話になってるとは…」

憧「その風評を流したのが私だって知れたら… あの阿知賀の部長にピンで撲殺される…」

阿知賀はおもちのチームと評判を流す

うわーん!私はおもちが無いよー!と私に泣きつくシズ

大丈夫よシズ!私と一緒に晩成に来ればいいわ!

うん!やっぱり憧と一緒がいい!憧大好きー!

憧「という、偏差値70を超える完璧な計画が…」

初瀬「未練たっぷりじゃないの…」

憧「う、うるさいわね初瀬!」



初瀬「こんなところから覗いてないで、会いたいなら会いに行ってくればいいじゃない」

憧「ば、バカ言わないで!最高のライバルがそう簡単に馴れ合うとか…」

初瀬「はあ…憧って意外とめんどくさい性格ね」

憧「なっ!?」

やえ「どうしたー?憧と初瀬じゃないか」

憧「小走先輩…」

初瀬「あ、おはようございます」



憧「小走先輩こそ、どうしてここに?」

やえ「そ、それはその…」

やえ「阿知賀の部長がいつもここに来ると聞いて…」

やえ「やっと見つけて会いに…じゃない、そ、壮行試合でもやってやろうかと思ってな…」

憧(!…壮行試合…?)

憧(そしたら、シズと和とまた打てる…!)

憧「壮行試合いいですね!やりましょうよ!」

やえ「そ、そうか」

憧「丁度あそこに居ますから!話つけに行きましょう!」

やえ「お、おう…」



やえ「…………」

憧「…………」

やえ「…………」

憧「…………」

やえ「…どうした、行けよ!」

憧「小走先輩から行ってくださいよ!」

やえ「ばっ、バカを言うな!お前の方が先に来てたんだろ!」

憧「いいですよ、先輩なんですからお譲りします!」

やえ「いやいや、ここはじっくり待ってから攻めるのが王者のうちしゅじで…」

ワイワイキャッキャ


初瀬「……似たもの同士が……」



その頃、阿知賀女子麻雀部

玄「うへへ…和ちゃん…お姉ちゃん…」

玄「おもちがいっぱい…ここが桃源郷です…」

晴絵「全く…毎日よく飽きないもんだな」

和「SOA(そんなおもち好きありえません)」

玄「もうおもち部でいいんじゃないかな…」

晴絵「お前それ灼とシズの前でも同じこと言えんの?」

玄「うへへへへ…」

晴絵「駄目だ、聞いてないや」



玄「のどかちゃ~、おもち触らせて~」

晴絵「なんかごめんな和、こんなんで」

和「いいですよ、昔からですし… もう対処も慣れました」

和「えいっ」ギュム

晴絵「エトペンを玄の顔に…?」

玄「えへへ~、和ちゃんのおもち~」(エトペンモフモフ)

晴絵(いいのかそれで…)

和「これを教えてくれた赤土先生には感謝しています」

晴絵(そういうつもりでエトペン抱いて打てって指示したわけじゃないんだが…)

宥「あったかいお茶がおいしい…」ズズズ

宥「阿知賀は、今日も平和です」


もいっこカン




2013/03/13 ニュー速VIP
照「もしも転校や家の事情なんて無かったら」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363145686/