全国大会個人戦前日 晩成高校宿舎

日菜「…………」

紀子「…………」

日菜「…ねえ」

紀子「…何?」

日菜「ヒマ」

紀子「…………」

日菜「暇だよ…」

紀子「仕方ないじゃん、まだ個人戦始まってないんだからさ…」

日菜「…………」



紀子「個人戦始まったら、忙しくなるって」

日菜「ならないよ」

紀子「?」

日菜「個人戦に出るのは良子と由華とやえちんだもん、私たちは付き添いじゃない」

紀子「…まあそうだけどさ、サポートとか色々…」

日菜「めんどくさいー」

紀子(この娘、こんな性格だったかな…?)



日菜「で、今日その三人は?」

紀子「個人戦の対戦相手チェックと作戦会議だって」

日菜「はあ…おいてけぼりか…」

紀子「私達はその間、牌譜整理とかしておくからねって言ったでしょ」

日菜「そんなのとっくに終わらせちゃったじゃん」

紀子「……そうだけどさ……」

日菜「今日まで何日もあったんだもん、もうやることないよー」



日菜「ひとついいかな?」

紀子「かまわんよ」

日菜「やっぱりさ、早く来すぎたんじゃない?」

紀子「……まあね」

日菜「私たち、なんでこんなに早く東京来たんだろうね?」

紀子「…知ってるくせに……阿知賀の応援するからでしょう」

日菜「でもさー、ぶっちゃけ阿知賀との関係って、やえちんが盛り上がっちゃってるだけだよね?」

紀子「言ってやるなよそれは」



日菜「まあ、分からなくもないけどさー」

紀子「?」

日菜「あのとき一番やられちゃったの、やえちんだしねー」

紀子「…よく誤解されやすいけど、やえちんはあの試合プラス収支だよ?」

日菜「わかってるよ、それ以上にあのドラの娘が持って行っちゃったからねー」

紀子「…わかってるならいいじゃない」

日菜「でもやえちんがどうしてもって言わなけりゃ、早く来る話にはならなかったよね」

紀子「…個人戦だけの選手でも早めにこっち来るのは、他の学校だって珍しい事じゃないよ」

日菜「だって個人戦までのホテル代自腹だよ?」

紀子「いいじゃんもうーそれは同意の上で皆で来たんだろー」



日菜「そういうわけでさー」

紀子「うん」

日菜「正味な話、私達にこれから出番はあるのかと」

紀子「ないでしょうなー」

日菜「言い切るね…」

紀子「咲日和で晩成編でもやってくれればねー」

日菜「………ん?何でって?」



紀子「咲日和、知らない?」

日菜「咲…日…和…」

紀子「そろそろ順番きてもいいと思うんだけどねー」

日菜「そう、これだよ!これだよノリちゃん!」

紀子「ん?」

日菜「咲と和!!あの団体優勝した清澄の!!」

日菜「間に私が入って咲×日×和!それなんて両手に花?私の時代来ちゃったこれ!?」

紀子「……はい?」

日菜「会いに行こうよ!この咲と和に!」

紀子(あれ、何か変なスイッチ入っちゃった?)



紀子「いやいや、清澄の一年生と私達なんて、全然接点ない他人同士だよ?会ってどうするの?」

日菜「とりあえず、仲良くなったら出番ができるかもしれないじゃない」

紀子「そう言うけどさ…、あの二人がどんな奴か知ってるの?」

日菜「?」

紀子「団体戦見てたでしょ?ちょーモンスターだよ?」

日菜「大げさだなあ」

紀子「私たちが負けた阿知賀だって勝てなかったじゃない」

日菜「そうだけどさー、年下なんだし怖がることじゃないよー」

紀子「お気楽ね…。じゃあビデオ観てみる?昨日の決勝戦」

日菜「うん」

ピッ



副将戦

灼「…………」ペターン

誠子「…………」ペターン

ダヴァン「…………」ペターン

和「…………」ボイーン

恒子「副将戦、ここまで静かな展開ですが、なにやら原村選手に対する物凄い殺気を感じます!」

灼(私のマイボールくらいでか… 死すべし…)ペターン

誠子(淡のほっぺより…たかみーのおもちより上がいるだと…!?)ペターン

ダヴァン(shit… 一体どんなカップラーメン食べタラあんなサイズになるデスカ…)ペターン

和「…………」(我関せず)バイーン

恒子「まあわかりますけどね、一目瞭然で原村選手の一人勝ちですしもう麻雀しなくていいよねうぐふっ」

健夜「口を慎みなさい恒子ちゃん それ以上言うとグーで殴るわよ」

----

紀子「見た?あの大きさ…」

日菜「た、確かにちょっとイラッとしたけど!友達になるのとは関係ないもん!」



大将戦

咲「穏乃ちゃん、凄いよ… 本当に山奥で迷っているみたいだった…」

穏乃「……」

咲「でも…私、やっと気付いたよ!」

穏乃「?」

咲「私はいつだって!最初から迷子だった!!」どん!

穏乃「!」

咲「だから今いる場所がどこだって!私はそこで花を咲かせてきたんだ!!」どどん!

穏乃「!!」

咲「カン!カン!もいっこカン!! ツモ!嶺上開花その他です!」シャラン

恒子「大将戦、決着ー!」

----

紀子「……勝てる?これに?」

日菜「無理、絶対無理」フルフル

紀子「でしょ…」



日菜「ま、麻雀で勝たなくたっていいんだよ!仲良しになればさ!」

紀子「そうだけどさ…どうやって仲良くなるつもり?麻雀が唯一の接点だよ?」

日菜「ふふふ、ちゃんと考えたさ!」

日菜「清澄の部長に変装して、先輩のふりして近付けばいいよ!」

紀子「……なんで清澄の部長?」

日菜「確かあの人もヒナさんだったよね?私もヒナさん!」

紀子「えっ」

日菜「あの人の声、聞いたことあるから知ってるよ!才色兼備の人気者で生徒会長のヒナさん!」

紀子「…声は一緒だけどそれは違う人、清澄の部長はヒナさんじゃなくてヒサさんだよ」

紀子「まあ過去に家庭の問題があったらしいのも似てるかもだけど詳細不明だし、あと清澄は生徒会じゃなくて学生議会ね」

日菜「よ、よく知ってるね…」



紀子「変装するなら、もうちょっと似てる部分がある人じゃないと…せめて名前じゃなくて外見とかさ」

日菜「うーん、じゃあこれはどうかな…」

日菜「髪の外ハネをこう…下向きに直してストレートに…」サッサッ

日菜「あとは色を茶色に染めて…湯飲みを持てば…ほら!」

紀子「あー、似てる似てる」

紀子「あれでしょ?劔谷の部長、古塚…こずえだっけ」

日菜「渋谷尭深!白糸台の!」

紀子(…どっちでも似たようなもんじゃ…)



紀子「白糸台の渋谷とアンタじゃ全然違うじゃん、一目でバレるよ」

日菜「似てるよ!どこが違うっていうのさ!」

紀子「おもち」

日菜「……いじわる」

紀子「古塚にしときなよ、おもち的にもさ」

日菜「劔谷と清澄の接点なんて、それこそ私らと同レベルで無いじゃない!」

日菜「誰?って言われておしまいだよ!」

紀子「渋谷でも一緒だと思うけどな…」



日菜「渋谷は決勝で清澄と対戦してたもん!」

紀子「渋谷が打ったのは中堅の部長だったでしょうが」

日菜「部長からでもきっかけがあればいいよ!最終的に咲×日×和になれば!」

紀子「アンタのそのポジティブ思考はどこから来るの…」

日菜「ほら!白糸台の制服もあるんだよ!」バッ

紀子「そんなもんどこで…」

日菜「いいのいいの!今日中に返しておけば問題ないから!」



紀子「結局渋谷尭深で行くのね…」

日菜「うん!大丈夫だよ!」

紀子「…はいはい」

日菜「よーし、いざ、清澄の宿舎へ!」

紀子「いってらっしゃーい」

日菜「えっ」

紀子「えっ」

日菜「…一緒に来てくれないの…?」

紀子(えぇー)

日菜「一人じゃ寂しいじゃん!私こう見えても人見知りだよ!?晩成のおとなしいメガネっ娘キャラだよ!?」

紀子「知らんがな」



紀子「咲×日×和になるんでしょ?アンタじゃないとなれないんだから、私はいいよ」

日菜「うー、そうだけどー」

紀子「それに、一人は留守番してたほうがいいでしょ」

日菜「やえちんたちも午後までかかるって言ってたから大丈夫だよー」

紀子「万一早く帰ってきちゃったとき、適当に言い訳しておいてあげるからさ…」

日菜「むー、しょうがないなー」

日菜「わかったよ!じゃあ一人で行ってくる!」

紀子(……ホッ)



清澄宿舎

日菜「「清澄高校ご一行様」…間違いない、ここだ」

日菜「よし!会いに行く!!」

日菜「制服よし!お茶よし!おもちの詰め物よし!がんばれ私!」

日菜「深呼吸して…」スーハー

日菜「いざ!!」

久「あら渋谷さん、早かったわね」

日菜「うひゃいっ!?」

久「?」

日菜(き、清澄の部長…!いきなり会っちゃった…!)



久「あなたと会うのは午後からの予定じゃなかったかしら?」

日菜(…えっ?)

久「まあいいけれど…そんなに私に会いたかったのかしら…フフフ」

日菜(会う予定…? 午後から…?)

久(でも……んー…?)

久(お土産に最高の葡萄を食べさせてくれるって聞いてたんだけど…)

久(お茶しか持ってないわね…)



久「それで?食べさせてくれるお土産っていうのはどこかしら?」

日菜「えっ?あっ、えっと、その…」

日菜(なにそれ!? 知らないよ!!)

久(…忘れてきちゃったのかな…?)

日菜(何とか取り繕わないと……、そうだ!)

日菜「お、お土産っていうのは! わ、私自身のことですっ!!」

日菜(この人たちと友達になる! 私がプレゼントだ!)

久(………?)

久(あぁ…「葡萄を食べさせたい」ってそういう…)



久(要するに、リベンジしたいんだ)

久(彼女の役満……葡萄の収穫・ハーベストタイム……)

久(決勝戦では、阿知賀の子が上手く立ち回ってたおかげで…)

久(途中でもしかしてとは気が付いたけど、詳細はよくわからなかったままだった…)

久(勝てばよかろうだけど、私もそこは消化不良っちゃ消化不良だったかもね…)

久(彼女も、自分の力を見せ足りなかったってところかしら?)

久(私も確かに、もう一度最初からじっくり見てみたかった…!)



久「…わかったわ」

久「あなたのそういうところ、嫌いじゃないわよ」

日菜「?」

久「白糸台の個人戦出場は、宮永さん、弘世さん、大星さんだったかしら?」

日菜「えっ、あ、はい」

久「…なら、気にしなくていいわね……私も団体戦終わったし、思いっきり打てるわ!」

日菜「??」

久「それじゃ、面子よぶわね」

プルルル

久「もしもし、和? 暇だったら今から一局打たない?」

久「…そうそう、個人戦のウォーミングアップのつもりでね」

久「んじゃ、咲も連れて宿舎の対局室まで来てちょうだい」

日菜「???」



久「じゃあ、行きましょう」

日菜「あ、はい…。って、どこへ?」

久「ここの宿舎、麻雀が打てる部屋もあるのよ」

日菜「はあ…」

久「そこで打ちましょう!いくらでも相手になるわ!」

日菜「えっ」

久「あなたのオーラス…楽しみにしてるわね!」

日菜(えぇー…?)



日菜(オーラス…それは知ってる…)

日菜(暇な毎日の中でさんざん見直してた…渋谷尭深の打ち筋…)

日菜(……「オーラスで役満をよく和了る」……)

日菜(…って、まさか、それを今からやれって!?しかもあの二人もいる前で!?)

日菜(無理無理無理!できるわけないでしょ!)

日菜(どうしよう!どうしよう!そんな事したらすぐバレちゃうよ!!)

日菜(渋谷じゃないってバレたら……)


――「ちょーモンスターだよ?あの二人…」――


日菜(あ……)

日菜(……殺される……)



紀子「……さて、本当に暇だ」

紀子「一人じゃすることもないし…やる予定だったことは終わってる」

紀子「ちょっとぶらぶらお散歩くらい許されるよね…」

紀子「ヒナはうまくやってるかな…」

……

紀子「ん?あれは…」

菫「よし、手分けして尭深の行きそうなところをあたるぞ!」

誠子「わかりました!」

淡「はーい」

紀子(白糸台の…。随分慌ててどうしたんだ…?)

菫「ん?君は…」

紀子「あ、どうも」



菫「君は…確か阿知賀の資料で見た宥の対戦相手…丸瀬だったか」

淡(菫先輩、そういうところの物覚えいいよね…)

誠子(松実さんが絡んでるから…)

紀子「…春大会でも会ってるんだけど、まあ覚えていてくれるとは光栄ですね」

菫「まあいい うちの渋谷を見なかったか?」

紀子「えっ」ドキッ

菫「今朝から姿が見えないんだ……連絡もつかない」

菫「探しているところなんだが、見かけなかったか?」

紀子「い…いや…知らないよ……」

紀子(渋谷尭深がいなくなった…?)



紀子「いやな予感がする…まさかヒナ…」

紀子「本物と遭遇しちゃまずいからとでも思って…」

紀子「渋谷を拉致監禁とか…!?」

菫「!?」

紀子「まずい… そんなことになったら大問題…」

紀子「いや、でもあの娘にそんな大それたことができるはずは…」

紀子「でも…結構思い込みで突っ走るところあるし…」ブツブツ

菫「あの…すまない、丸瀬?」

紀子「へっ、あ、はい?」

菫「全部聞こえてるんだが… 拉致監禁だと…?」

紀子「!!」

菫「どういうことか…詳しく聞かせてもらおうか?」



紀子「い、いや違いますよ!うちのヒナがそんなことしませんって!」

菫「ヒナ…そいつが拉致監禁犯か…?」

紀子(やべっ)

菫「どこにいるんだ…?そいつは…」

紀子(怖い…)

菫「大人しく話したほうが…身のためだぞ…」ギリギリ

紀子(やけに鮮明な幻覚が見える… まるで弓で狙われてるみたい…)

淡(菫先輩…素人さんに本物の弓向けちゃダメだよ…)

紀子「き…清澄の宿舎です…」



その頃 山梨のとあるぶどう園

尭深「ふう、これくらいでいいかな」ドサッ

ぶどう園主人「一箱で足りるかい?尭深ちゃん」

尭深「はい!ありがとうございました!突然無理言っちゃってすみません!」

主人「かわいい常連さんの頼みだからね!おいしく食べるんだよ!」

尭深「はい!」

尭深「竹井さん、喜んでくれるかな…」ワクワク

主人「でもよかったのかい、こっち来て? まだ大会中だろ?」

尭深「今日はオフですから!カイジに乗れば1時間ちょっとですし大丈夫です!」


ざわ… ざわ…ざわ…


主人「「かいじ(甲斐路)」な」



清澄宿舎

日菜(結局逃げられなくて…対局が始まっちゃった……けど)

咲「ツモ 嶺上開花です」シャラン

日菜「はい…」

和「ツモ 2000・4000です」

日菜「うう…」

久「ロン!北単騎よ!」

日菜「あうぅ…」

日菜(強い…勝てない…)

日菜(正体バレるかもって思うと、集中もできないよ…)

久(ここまではいいとこなしみたいだけど…勝負はオーラスよね…)



オーラス

日菜(テンパイした…これを和了ればなんとか最下位脱出…)

日菜(でも…役満じゃない…)

日菜(和了ったら…手を見せたらばれちゃう…!)

日菜(…だめ…和了れないよ…)

……

久「…流局ね」

咲「テンパイ」

久「テンパイ」

和「テンパイです」

日菜「……ノーテンです」パタン グシャグシャッ

久(…あら残念)



日菜(結局最下位…)

久(ちょっと物足りなかったわね…)

日菜(はあ…どうしてこんなことに…)

日菜(…でも…)

日菜(目的だった宮永咲も原村和もいる…! よく考えたら千載一遇のチャンスだよ!)

日菜(……よし!!)

日菜「も、もう一回!お願いします!」

久「そうこなくっちゃね」

日菜「あ、あの…、それで…お願いなんですけど…」

久「お願い?」

日菜「わ、私が勝ったら!私と友達になってくだしゃいっ!!」

久「あら…」

日菜(言った!言えたよ私!)



久(ふむ…)

久(私はもう友達のつもりしてたんだけど…)

久「…どう?」

和「ええ、そんなことなら」

咲「はい、私も」

久「…二人がよければ、私もいいわよ」

日菜「あ、ありがとうございます!!」

日菜(やるしかない…!)

日菜(オーラスの手は見せられないから…その前までに、トバすは無理でも勝てる点差をつける!)

日菜(私だって!)

日菜(やえちんがつけられた4万点差を、あの阿知賀から4人で2万8千点差まで詰めた晩成のレギュラーなんだ!)

日菜(阿知賀に勝ってたら、全国出場してこの人たちと打ってたはずなんだもん!)

日菜(勝って、咲×日×和になるんだ!)



日菜(よし!頑張る!!)

……

咲「ツモ 嶺上開花です」シャラン

日菜(…な、なんの!)

和「ロン 7700です」

日菜(……まだまだ!)

久「ツモ!今度は真っ向から5面張よ!」

日菜(がん……ばる……)

咲「ツモ 嶺上開花です」シャラン

日菜(ふぐぅ…)

……



日菜(和了れない…勝てないよぅ…)

日菜(でも…でも勝って友達に…)

日菜(あれ…?頭ぐるぐるしてきて…よくわかんなくなってきた…)

日菜(テンパイ…違う、まだイーシャンテン……)

日菜(四索ツモって…これで何待ち? 三索と、…あっ、フリテン…)

日菜(次が南3…?いや、南2の一本場…?今終わったのは…、えっと…?)

日菜(さっき和了ったの誰だっけ…?今何点差…?)



日菜(次こそ……次こそ和了らなきゃ……)

……

咲「カン」

日菜「!」

久(来ちゃったかしら…)

日菜(…ドラが…!)

咲「もいっこカン!」

日菜(!! ドラ7!)

日菜(最後のチャンスだ!お願い!和了らせて!!)



咲「もいっこカン!」

久(3つ目…決まりかな…)

日菜(お願いしますお願いしますお願いします)

咲(これで…嶺上開花…!)


日菜( お 願 い ! ! )



―その時、奇跡は起きたのかも―

チャッ

咲「!」

咲(和了り牌じゃない…こんなのいつ以来だろ…)

咲(……捨てるか……)タンッ

日菜「ろ、ロン!白と…ドラ10です!!」

咲「!!」

日菜(やった!逆転だ!1位だよ!!)

和(カンしておいて咲さんが振り込んだ…?)

久(珍しいこともあるもんね……って)

久「…あら」

日菜「?」

久「役満じゃないのね…オーラスなのに」

日菜「!!!」



日菜(オーラス…だった…)

久「やっぱりよくわかんないわ…どういうしくみなのかしら…」

日菜(やっちゃった……ばれた……ばれた……)

久「三倍満は確かに高いけど…今のはカンドラあってこそだし…」

日菜(にせもの……嘘つき……犯罪者……)


日菜(………死刑だ………!!)


久「ねえ、今の和了りって…」

日菜「う…」

久「?」

日菜「うえええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!」

久「!?」



……

久「なるほど…話をまとめると」

久「渋谷さんのふりをして、私たちと友達になりたかった…と」

日菜「ごめんなさい…ヒック ごめんなさい…エッグ」

久「でも、どうしてわざわざ私たちに?それも変装までして…」

日菜「ひぐっ………しゃぎ………」

久「?」

日菜「しゃぎびよ゛り゛に……なりたかったんでしゅ……」

久「??」

咲「和ちゃん…なんて言ったか分かる?」ヒソヒソ

和「……いえ」ヒソヒソ



バタン

菫「たかみー!!尭深は無事かー!?」

日菜「えっ」

久「あら?」

咲「?」

和「?」

誠子「ど、どうも…」

淡「あはは…」

久「白糸台の弘世さん?どうしたの突然?」

菫(…なんだこの状況は…)

菫(尭深が…清澄に囲まれて泣かされている…!?)



菫「清澄!これはどういうことだ!?」

久「どういうことっていうか…とりあえず落ち着いて頂戴」

菫「ええい、お前じゃわからん!主犯のヒナって奴を出せ!」

日菜「えっ!?」

菫「尭深!ヒナってのはどこにいる!?お前を誘拐した奴は!?」

日菜「ええー!?」

誠子「先輩!ちょっと興奮しすぎですって!」

日菜「あ…あの…あの…」

菫「なぜ答えない!?やっぱりヒナじゃなくてヒサなのか!?お前か竹井!?」

久「いや…だから落ち着きなさいってば」

尭深「ごめんくださーい」

菫「!?」



菫「えっ、尭深、あれ、えっ!?」

久「あっらー…めんどくさい事になってきたわね…」

淡「あれっ?たかみ先輩が二人!?」

尭深「? みんなどうしてここに?」

誠子「なんだこれ…でも、とりあえず先輩を落ち着かせないと…」

誠子「…そうだ!これで頭を!」ゴソゴソ

誠子「先輩、すみません!」

誠子「とうっ!」

ゴリッ

菫「ぐふっ」バタッ

日菜「ど、鈍器のようなもので頭を殴ったー!?」ガビーン

尭深「誠子ちゃん…何それ…?」

誠子「クーラーボックスの保冷剤さ 今日本当は釣りに行くつもりで持ってたんだ」

誠子「強くは当ててないから大丈夫! これで頭も冷えるでしょ」

久(撲殺しかけたようにしか見えなかったけど…白糸台では日常茶飯事なのかしら…?)



菫の頭を冷やして説明中…

菫「なるほど…よくわかった 勘違いしてすまなかったな」

日菜「いえ…こちらこそすみませんでした」

菫「だが尭深、それならなぜ無断でいなくなったんだ?」

尭深「えっ…」

菫「一言連絡しておけばこんなことには…大体、無断外出は厳禁のはずだろう…」クドクド

尭深「言いましたけど… 淡ちゃんに」

菫「!?」

淡「えっ」

菫「…あ~わ~い~?」

淡(……あぁ~……そういえば今朝……)



―今朝の回想―

淡「ふんふふーんふふーん」

尭深「あ、淡ちゃん、ちょうどよかった」

淡「何ですかー?」

尭深「今日ちょっと遠出したいから…、この外出届、届けておいてもらえるかな?」

淡「いいよ!」

尭深「じゃ、よろしくね」

淡「いってらー」

三秒後

淡「あれ、そういやたかみ先輩なんて言ってたっけ?まいっかー」

―回想終―

淡(ポケットに…確かにありますね、外出届)ガサゴソ

淡(これは…非常にやばい…)

淡「あ、私ちょっと用事思い出した!それじゃ!」ピュー

菫「待ぁてぇー! こら淡ー!!」ダダダダ



咲「行っちゃった…」

和「一体なんだったんでしょう…」

久「…まあ、よくわかんないけど…嵐は去ったわ」

久「落ち着いたところで…、話を戻しましょうか、日菜さん」

日菜「…はい…?」

久「あなたも友達になりたかったなら、最初から素直にそう言いに来ればいいじゃない」

日菜「でも…知らない人…」

久「関係ないわよ… 誰だって最初は知らない人同士でしょ」

久「こんなにかわいい子に友達になってって言われて、断る人なんていないわよ」ニコッ

日菜「!」ドキッ



久「とにかく、そんなに思いつめることじゃないわ」

久「ほら、立って」

日菜「?」

久「はい、握手」ギュッ

日菜「??」

久「約束でしょ?あなたが勝ったんだから、友達よ」

日菜「!!!」



久「じゃあちょっと、咲、和」

咲「はい?」

久「一枚写真撮りましょうか、彼女と」

日菜「!?」

和「…ええ、いいですよ!」

咲「はい、よろこんで!」

日菜「!!」

久「そうそう、両側から彼女を挟んで…腕組んじゃって…」

久「はい、チーズ」

パシャッ

久「はいオッケー」



日菜「あの…えっと…」

久「あなた、メールアドレスは?」

日菜「えっ?」

久「今撮った写真メールで送るから、ほら」

日菜「…いいんですか…?」

久「そのために撮ったのよ、ほら早く」

日菜「は、はい…」



久「はい送信」

ピロリン

日菜「わぁ…」

久「アドレス交換したんだから、これからいつでもメールしていいわよ」

日菜「は、はいっ!」

和(それが狙いでしたね…)

咲(…本当にこの人は…)

日菜「あ、ありがとうございました!」



日菜「…………」

日菜(三人で撮った写真……私が真ん中……)

日菜「えへへ… 咲×日×和、かあ…」


――その日は、私に単なる出番だけじゃなく…

新しい、ステキな友達ができた日でした。



その夜

紀子「…ねえヒナ」

日菜「何~?」ニコニコ

紀子「この写真さ、左から順に原村和、アンタ、宮永咲が写ってるけど…」

日菜「うん!私の宝物だよ!」

紀子「…これじゃ咲×日×和じゃなくて、和×日×咲なんじゃない?」

日菜「えっ………えええええええーーーー!!??」


カン




その日の兵庫 劔谷高校

照「尭深はどこに行ったんだろう…」

照「そろそろ会えると思うんだけど…」

照「あ、ここで麻雀やってるような感じがする…」

照「こんにちは」ガチャッ

美幸「げえっ!宮永照!」

友香「な、なんで兵庫にいるんでー!?」

梢「な、何しにきたんでございますか…」

照「あ、たかみー、一緒に帰ろう」

照「だめだぞー無断外出はー。菫が凄く怒ってるぞー」

梢「……はい?」


もいっこカン




2013/06/01 ニュー速VIP
木村日菜(晩成高校)「咲×日×和、かあ…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1370054707/