現代 全国大会二回戦終了後

はやり「見て見てカンナちゃん!昨日の北大阪代表の記事!」

閑無「『一巡先を見る者』…か。大仰な言い草だ、どうせ三尋木プロだろ」

はやり「実際見てたけど凄かったよっ☆ 本当に未来が見えるなら、凄く強い武器になるねっ☆」

閑無「…………」

はやり「?」

閑無「…未来なんか見えたって、いいことなんてないさ…」

はやり「カンナちゃん?」

閑無「…ふん、なんでもない」

はやり「??」


――そう、どうせ信じないだろうから誰にも言ってないけれど。

お前と初めて会ったあの時、私には確かに未来が……十年後の私たちが見えたんだ。

初めて味わう、言いようのない敗北感とともに――



小学四年生 第10回松江こども麻雀大会

はやり「よろしくおねがいしまーす!」

閑無(フン、バカそうな奴… 楽勝…)

実況「さあ、決勝戦開始です!」


ドクン


閑無「え……」


――そこから、別世界があった。


はやり「ツモ 2000・4000です」

閑無(なんだこれ…)

はやり「ツモ 1300・2600です」

はやり「ロン 5800です」

はやり「ツモ 4100オールです」

閑無(なんだこれなんだこれなんだこれ)



――同じ方ばかりから聞こえる和了の声も、減っていくだけの点棒も、どこか遠い世界の話に感じた。

見えていたのは、輝く光の中で笑いあっている二人の女性。

なぜだかわからないけど、理解はしていた。

間違いなくそれは……私と目の前にいたアイツの、二十歳になった姿だった。




――「私たちも、ついに成人式だねっ☆」ボイーン



          なに      これ



  ――「…フン、ここまでお前と一緒とはな。腐れ縁もいいとこだ」ペターン



            おとな      みらい



――「私は嬉しいよ!カンナちゃんと居ると楽しい!」ボイーン



          あいつ      でか



  ――「…変わらないな、お前は」ペターン



            わたし      ぺた



――「これからも…ずっといい友達でいようね!!」ボイーン



           うそ      やだ      なんで



  ――「…………ああ」ペターン



         あいつ       おもち



アハハウフフ



           わたし       むり



…………




            か    て    な    い




――




実況「試合終了ー!優勝は瑞原はやりさん!」

はやり「ありがとうございましたー!!」

閑無「う…」

はやり「?」

閑無「くっ……」


閑無「くそがぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」ダッ



――絶望、理不尽、厳然とあった残酷な差。

初めて流した悔し涙。

気がつくと私は、自分のベッドの中にいた。

家に帰っても、どうせ一人。

でも今日だけは、その一人が有難かった。

あと、麻雀に負けたんだってことは、次の日になって気がついた。



閑無(…なんてことも、あったっけな…)

閑無(思えばそれが、こいつとの関わり始めか…)

閑無(いや、私だってなくはないよ?それがあって色々がんばったし。……でもそれ以上に……)

閑無「…………」チラッ

はやり「?」ボイーン

閑無「……………………」

はやり「??」バイーン

閑無「くそっ!絶対気のせいだって思ってたのに、その通りになりやがって!!どうなってんだこのおもちは!!」モミモミ

はやり「ひゃあぁぁぁ!くすぐったいよカンナちゃーん!!」


カン




2014/01/05