小学六年生 松江こども麻雀大会決勝戦

実況「さあ、決勝を戦う四選手が会場に揃いました!」

慕(決勝戦だ…ここで勝てばおかーさんに…)

閑無「今年こそ勝たせてもらうぜ」

杏果「お手柔らかに」

はやり「はやや~、よろしく~」

実況「決勝戦の開始です!!」

慕(よし、今日もがんばろう…。鳥さんと一緒に!)

哲夫「君はいい子だね、僕は鳥人だよ」

慕「!?」



東一局

慕「えっと…、はい?」

閑無「審判さーん!!審判さーん!!変な人が入ってきてますけど!!」

哲夫「君は麻雀が好きなんだろ?」

慕「?」

哲夫「でも叔父さんに牌を売られちゃったんだよね」

慕「!」ドキッ

哲夫「心配しなくていいよ、僕が代わりにステキなプレゼントをあげるからね」

慕「どうして知ってるんですか…?」

哲夫「ご存じだね、鳥人だからね」

慕「えっと…、もう返してもらいましたから…」



哲夫「じゃあ君にいいものをあげようね」

慕「いいもの?」

哲夫「うん、君にこの、叔父さんには見えない一索をあげようね」

慕「えっ」

哲夫「君にも見えないから注意するんだよ」

慕「?」

哲夫「僕にはぼんやりと見えるんだよ」

慕「??」



警備員「はいちょっと君ー、お話いいかなー」グイッ

哲夫「いや待って!痛い痛い!」

警備員「言い訳は警備員室でしてねー」

哲夫「すんません!大人しくしますんで!痛いのはやめて!」

バタン

杏果「連れて行かれちゃった…」

慕「???」

閑無「なんなんだよ……」

タンッ

はやり「ロン、2000です」

閑無「…………はい」



東二局

閑無(くそっ、なんだったんだあの人… 私の親番が…)

慕(よくわかんなかったけど、気を取り直してもう一度…、鳥さん!)

西田「君は本当に鳥が好きだね、私は鳥人だよ」

閑無「審判さーん! また出たよ違う人ー!!」

西田「見てごらん、人間の体に鳥の頭がついているだろう?」

閑無「変な説明してくるよー! 気色悪いー!」

慕「??」

西田「友達になろう」

閑無「ならないよ友達なんて!ドン引きしてるだろ私たち!!」



西田「友達の証に、このタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてやろう」

閑無「いや、上から下まで全部人間だろあんた!?」

警備員「はいはーい、君もこっち来てくれるー」グイッ

西田「痛い痛い痛い!すんません!痛いて!」

バタン

慕「…………」

杏果「…………」

はやり「…………」

閑無(くっそ…二度も惑わされるか……。見てろ!)

タンッ

閑無「ロン! 3900!!」



東三局 舞台裏

西田「……おい相方」

哲夫「なんや」

西田「全然ウケてへんやん今日」

哲夫「あんなオモロイ事起こってんのにな」

西田「リアクションしてくれたん一人やで!」

哲夫「島根の小学生メンタル強いな」

西田「いやメンタルの話かどうか知らんけど」



西田「なんでや、何があかん」

哲夫「やっぱリアリティが無いんちゃうか」

西田「リアリティ?」

哲夫「オレら鳥人言うてるけど実はただのオッサンやん」

西田「そうやな、自分で鳥人言うてるだけやからな」

哲夫「顔から上が鳥でもなんでもないしな」

西田「そうやな、ちびっこにはわかりにくいかもな」

哲夫「ほなこれつけていこか」バッ

西田「何やそれ?」

哲夫「鳥の頭のかぶりもんや、これかぶったら鳥人なるて」

西田「なんでかたっぽニワトリでかたっぽ鼠の国のダックやねん!」

哲夫「しゃーないやんか! これしか無かってん!!」



西田「アカンて、オレの思てた鳥人とちゃうわ」

哲夫「贅沢言いなやもう」

西田「こんなんなら無しでええて、いつも通りで」

哲夫「ウケてへんからなんとかせな言うたんお前やろ!」

西田「こんなんオンエアでけへんやろ! 世界一怒られるダックやんけ!」

哲夫「オンエアてなんやねん! テレビ放送なんかされてへんて!」

西田「観客席に中継しとるやろが! こういうんが後々モザイクせなあかんてややこしなんねん!」

哲夫「はっ、モザイクで済めばええけどな!」

西田「なんでお前が逆ギレしとんねん」

はやり「ツモ 1300・2600です」

西田「ほら一局終わってもうたぞ! 早よ次行かな!」

哲夫「ほなオレ先な、ニワトリもらうで」サッ

西田「あっ、ズルっ! ダック置いてくなや!!」



東四局

閑無(もう出てこないよな…?)

慕(鳥さん……?)

哲夫「んー、もぐもぐ」

閑無「何やってんのニワトリの頭なんか被って! あんたさっきの人だろ!」

哲夫「んー、焼き鳥のねぎまおいしいね」

閑無「共食いだよ! ニワトリが鶏肉食べるなよ!」

哲夫「僕は鳥人だよ、君にこの残ったねぎをあげよう」

慕「えっ」

閑無「いらないよ! あんた鶏肉しか食べないのかよ!」

哲夫「ううん、この手前のねぎは食べたんだよ」

閑無「どうでもいいよ!」

杏果(閑無……元気だなぁ……)



警備員「はーいまたお前か、いい加減にしろよー」グイッ

哲夫「痛い痛い痛い!すんませんって!」

バタン

慕「…………」

杏果「…………」

閑無(……あんなの無視! 無視無視!!)

タンッ

閑無「ロン! 2600!」

はやり「はや~」

閑無「やっとあれが居ても慣れてきた…」

杏果「ねぎまの力?」

閑無「違うよ!」



南一局

慕(鳥さん…来ないのかな…)

…………

……

実況「流局です!」

閑無「ノーテン」

杏果「テンパイ」

慕「テンパイ」

はやり「ノーテン」

閑無(くっ、親流れ……)

慕(…………)

西田「君は本当に鳥が好きだね」

閑無「警備員さーん、また来たよー!」



西田「警備員さんは呼んでも来やしないよ」

警備員「いや、居るけども」

西田「見てごらん、人間の体に鳥の頭が付いているだろう」

閑無「毎回言わなくていいよ気色悪い! あんたもかぶりものでしょ!」

西田「ダックじゃなくて普通の鳥の頭だよ」

閑無「何言ってるかわかんないよ! なんだよダックって!?」

西田「君のクラスに転入することにしたよ」

閑無「えっ」

警備員「はいはい、君の転入先はここじゃないからねー、二度と出てこないでねー」グイッ

西田「あっ、ちょっ!! これだけ言わして!」

警備員「?」

慕「?」



西田「待たせたね、ところで今の和了りは何飜かな?」

閑無「えっ? 流局ですけど?」

西田「チキン南蛮だよ!」

閑無「…………」

はやり「…………」

杏果「…………」

慕「…………」

閑無「…………流局ですけど」



南二局一本場 舞台裏

哲夫「おい、今のずいぶん出るの遅かったやんか」

西田「ダックで出るわけにいかんやろが! せやから必死で他の探しててん!」

哲夫「その普通の鳥のやつどこにあった!? それあるならオレもそれしたかったわ!」

西田「ギリで見つけたんや、ホンマギリやってんからな!」

哲夫「危うく一局終わるとこやったやんけ!」

西田「うっさいわ、ダックで出てたらオレ自身が終わってたいうねん!」



西田「ほんでどうすんねん、もう後半戦やぞ」

哲夫「何がやねん、そんな焦んな」

西田「鳥好きのあの子ぜんぜん和了れてへんで」

哲夫「大丈夫やって、これからやから」

西田「オレらあの子の応援しに来たんちゃうんか! このままじゃ焼き鳥やで!」

哲夫「まあある意味焼き鳥でもおいしいんちゃう、鳥だけに」

西田「何もうまいこと言えてへんで」

哲夫「大丈夫大丈夫、お前今スベったから弱気になってるだけやって」

西田「スベった言うなや! 反応がなかっただけや」

哲夫「スベってんねんそれ!」



はやり「ロン、5800の一本場は6100」

西田「また一局過ぎてもた…。もう切り札出すしかないやろ」

哲夫「鳥進一と手羽真一か? 早いて!最後のネタやんかそれ!」

西田「もうオレらがいたたまれへんて、あの子が和了れんと邪魔しにきただけやんか」

哲夫「そいでも落ち着けて! 焦って変えたら余計スベるて!」

西田「せやからスベる言うなや! スベってへんわ!」

??「苦戦しているようだな」ザッ

哲夫西田「あ、あなたはー!!」

??「ここは儂に任せてもらおう」



南二局二本場

慕(鳥さん……どうしちゃったのかな……)タンッ

閑無(なんか慕がやつれてきてるな…)タンッ

杏果(慕ってときどきダークな表情見せるよね…)タンッ

はやり(はや~……)タンッ

…………

……



    ________
    |              |
    |  / ̄ ̄ ヽ,  |
    | /        ', |
    | {0}  /¨`ヽ {0}, !
    |.l   ヽ._.ノ   ', |
    リ   `ー'′   ',|
    |              |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



閑無「!」ゾクッ

はやり「!」ゾクッ

杏果「!」ゾクッ

慕「?」

杏果(なんだろう…この嫌な感じ…)

閑無(なにかよくないものが……来るっ……!)

はやり(…………★)

慕「??」



        //
       / /
      /  /    パカ
    /    /
   / . / ̄ ̄ ヽ
  / ./^)  ,     、',___
 / 〈 〈  {0} /¨`ヽ}0},〉   /
/  ヽヽ   ヽ._.ノ  ヽ /
" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"∪



        //
       / /
      /  /
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 / 〈 〈  {0}/¨`ヽ{0} ,〉   /
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\               ¦         /
  \             ¦        /
             / ̄ ̄ ヽ,
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    \    ノ//, {0}  /¨`ヽ {0} ,ミヽ  /     \          /
     \ / く  l   ヽ._.ノ   ', ゝ \     <  ウェイ!   >
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  --   |    f\      ノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_   )    - _
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   /_ノ /              ,ノ 〈           \
    (  〈              ヽ.__ \        \
     ヽ._>              \__)



警備員「はい、ちょっと来てもらおうかー」グイッ

ジュウシマツ住職「待ちたまえ、まだ何もしてないが」

警備員「問答無用ですよーこの変質者めー」グイグイッ

ジュウシマツ住職「私は住職です」

バタン

はやり(最速の退場……)

慕「???」

閑無(なんなんだよもう……)

……

コトッ

杏果「ツモ。トイトイ三暗刻ドラ2、3200・6200です」

閑無(むう……。でも、まだこっからだ…!)



南三局 舞台裏

哲夫「おい住職アカンやん! 全然アカンやんかお前!」

西田「おだんごの子まで和了ってもーたがな! ホンマにあの子だけ焼き鳥やんか!」

住職「問題ない、私は住職です」

哲夫「大ありやろ! オレらよりひどいやんけ!」

西田「お前あの子らと絡みすらでけてへんやろが!」

住職「大丈夫だ、私は住職です」

哲夫「あんたそればっかりやないか!」

閑無「ツモ! 1000・2000!」

西田「ほら終わってもうた! オーラスやぞもう!!」

住職「ふむ、かくなる上は…、三人一緒に出るぞ」

哲夫「!」

西田「!」



オーラス

ダダダダッ

閑無(始まる前から来た…)

哲夫「鳥人だね、ご存じだね!」

閑無「だねってなんだよ! ご存知じゃないよあんたなんか!」

哲夫「今日は君にいいことを教えてあげようね」

閑無「いいこと?」

哲夫「先日僕が畑でイチジクの実をつついてたときに、僕に気付いた愚かな人間どもは僕のくちばしを縄で縛ったんだよ」

警備員「はいはい、手足まで縛られたくなかったら大人しくしなさい」グイッ

哲夫「くっ、ぼっ、僕はその縄を手で取ったんだよ、手ぇあるからねー!!」

警備員「はいこら抵抗しないー」ギチギチッ



西田「人間の体に鳥の頭がついてるぞー」

閑無「もう説明から入ってきたよー!説明しながら来ちゃったよ!」

西田「君は大空を自由に飛びたくはないかい」

慕「はい?」

西田「空を飛んでお母さんを探しに行きたくないかな」

慕「!」ドキッ

西田「飛びたいなら私につかまるといい」

慕「そんなの…できるんですか…?」

西田「飛べやしないけどね!」

閑無「飛べないのかよ! 変な期待持たせるなよ!!」

警備員「はいはい、飛ばなくていいからもう出てくるんじゃないよ」ガシッ

西田「痛い痛い!痛いっすて!」



住職「いやー、あちゅいですね!」

警備員「そいっ!」ゴリッ

住職「ぐふっ」

閑無「最速!?」

住職「私は住職です」

警備員「はいもう全員こっち来なさい!」グイグイッ

哲夫「めっ、目ヤニをあげよう!!」

西田「逆の人鳥だったらよかったね!!」

警備員(こいつら今回は粘るな…)グイグイッ

住職「それでは私は、先に、おしとします」

警備員「おりゃっ!」ドカッ ドスッ

バタン



閑無「…………」

杏果「…………」

はやり「…………」

慕「あの……」

審判「いいですよ、始めちゃってください」

慕「はあ……」

実況「さあ、いよいよオーラス開始です!」

閑無(よし、やっと邪魔が無くなった……。集中!)



閑無(あいつらはもう居ない、これで最後だ!)

慕(…………)タンッ

はやり(最速で逃げ切り……)タンッ

杏果(トップとは4800差か……)タンッ

閑無(逆転の高い手を作られる前に…、速攻で私が勝つ!)タンッ

…………

……

警備員「あいつらが逃げたぞー!!」

閑無「!」

バタンッ



警備員「お前たち! いいかげんにしろ!!」グイッ

哲夫「これだけ! これだけやらしてくださいて!」

西田「オレらかって必死やっちゅうねん!」

住職「ゲッゲッゲッ」

ダダダッ

哲夫「と、鳥進一だよ!」

西田「手羽真一だよ!」

住職「私は住職です」

警備員「ふんっ!」バキッ ドカッ ポーイ

三人「ぬわーーー!!!」

慕「ロン ピンフドラ1、2900です」

閑無(……速い……! 私や瑞原以上に……!)

杏果(完全にあいつらをスルーしたね……)



オーラス一本場 舞台裏

哲夫「あかんやんか! ネタ全部でけへんかったやん!」

住職「何を言う、あの子が和了れたではないか」

西田「全然点数足らんやんけ! オレらもあんま関係なかったで!?」

哲夫「オーラス終わってもうたやないっすか!」

住職「大丈夫だ、あの子がオーラス親だから連荘できる。勝つまでな」

西田「他の子にやられてもーたら終わりやろ! 何を悠長なこと言うてんねん!」



西田「どうすんねん! 早よせなこの一本場も終わるで!」

住職「焦らずともよい。最後だからあの子も慎重に攻めるはず――」

慕「ロン」

哲夫「早っ!!」

閑無(速度重視……!!)

はやり「はや~」

西田「おい住職なんもかんもアカンなお前!」

住職「……大丈夫だ、まだある」

慕「中のみ、1500の一本場は1800です」

哲夫「! まだ足らへん…!」

住職「よし、二本場になるぞ」



西田「ほんでどうすんねんな!?」

住職「見なさい。ここに隣の部屋からくすねてきた一索……鳥の牌がひとつある」スッ

哲夫「!」

住職「これを山の中に仕込んで…、あの子に引いてもらえばいい」

西田「山に仕込むて…できんのかいなそんなん」

住職「儂が神速のすり替え技を見せよう…。大丈夫だ、問題ない」



哲夫「ほいでも、ちょうどあの子が引ける場所なんかわかりませんやんか」

西田「そうや、他の子に引かれてもうたらどうすんねん」

住職「大丈夫だ。儂らからでも簡単に仕込めて、かつ確実にあの子に引いてもらえる場所がある……!」

哲夫「そないなもん……、あっ」

西田「……まさか」

住職「そう」

哲夫西田「嶺上牌……!」



住職「お前たち二人でなんとか全員の視線を卓から逸らすのだ。その隙に儂が牌をすり替える」

哲夫「ホンマ大丈夫なんすか?」

住職「儂よりお前たちの心配だ……全員の注目を集めろ」

西田「全員の…」

住職「魂を見せよ…お前らの本気の芸人魂を…!」

哲夫「!」

西田「!」

哲夫西田「…………」コクッ



オーラス二本場

実況「さあ、配牌が終わりました! オーラス二本場に突入です!」

ガチャッ

ダダダッ

慕「!」

閑無(やっぱり来たよ……)

哲夫西田「はいどうもー!笑い飯でーす!よろしくお願いしまーす!!」

閑無「とうとう普通に漫才始めちゃってるけど!?」

哲夫「テレビで野球見てたら面白いですよね、特にこう、キャッチャーと審判がたまに判定でケンカするとこね」

西田「あー判定ミスみたいなね」

杏果(! ……このネタ……)



哲夫「ほなオレキャッチャーするからお前審判やってくれ」

西田「おう」

哲夫「しまっていこー!」

西田「パーンパーッパラッパーパ、パーンパーッパラッパーパ、……」

慕「??」

はやり(はや~?)

杏果「…………」

閑無(もう何も言わない方がいいか……)

…………

……

哲夫「ほんでラグビーも見てて面白いね」

杏果「!」ビキッ



哲夫(やんのか!? ホンマにやんのか!?)

西田(芸人魂見せんねやろ! これしかないねん!)

哲夫(小学生女子の前やで!? オレら大丈夫か!?)

西田(さっきスベったせめてもの償い……。あの子のためなら…本望や)

哲夫(お前……)

西田(いくで……、チンポジ!)

スッ

杏果「はーい、見ない聞かない!!」ガタッ

哲夫西田「!?」



杏果「警備員さん! この人たち痴漢です!!」

哲夫西田「なにィ!?」

警備員「確認しました、排除します」

閑無「ちょ、何言ってんだよ杏果!?」

杏果「はーい閑無、ちょっと我慢してねー」スッ

閑無「うわっ!? 目隠しすんなよ!?」

杏果(……ハンカチシュート!)シュッ シュッ

慕「!」パサッ

はやり「!」パサッ

哲夫(おだんごの子がみんなの目を隠した!)

西田(やるやんけあの子…)



哲夫(今や! 住職!!)

住職(うむ!)シュッ ササッ

西田(やったッ!)

警備員「はーいお前たちいい加減にしろよー」ドスッ

哲夫「うぐっ… おなかはやめて…」

警備員「もうおまわりさん呼んじゃうぞー」グリグリギリギリ

西田「痛い痛い痛い! グーでグリグリは痛いて!」

警備員「大人しくしろ変質者!!」ドカッ

住職「いいえ私は住職です」ゲッゲッゲッ

…………

……

バタン

杏果「…………行ったか」フゥ



空き部屋

警備員「終わるまでここで大人しくしてなさい」

三人「はい」

警備員「正座でな」

三人「……はい」

警備員「じゃ、鍵かけさせてもらうから」

バタン

ガチャリ

住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

三人「…………成功!」グッ



哲夫「よっしゃ! 仕込んだったで嶺上牌!」

住職「うむ、よくやったぞ」

西田「住職もやるやんけ!」

住職「私は住職です」

哲夫「あとはあの子が一索待ちでカンするだけや!」

住職「うむ!」

西田「えっ」

哲夫「?」

住職「?」



哲夫「どした、相方」

西田「…………どうやってや、それ」

哲夫「えっ」

住職「?」

西田「……どうやって一索待ちでカンしてもらうねん、あの子に」

住職「えっ」

哲夫「えっ」

西田「えっ」



住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

住職「……その発想は無かったわ……」

哲夫「おいぃぃぃ!!」

西田「住職ぅぅぅ!!!」




バサッ



――まったく、仕方ないなお前たち



住職「!」クワッ

西田「ん?」

哲夫「?」

西田「何か言うたか住職?」

住職「…………いや」




――あとは任せておきなさい



バサッ バサバサッ



哲夫「なんやあれ……」

西田「……鳥……?」

住職「…………」ゲッゲッゲッ



フワッ


慕(!)


――(待たせたね、慕)


慕(鳥さん…!)


――(私はそこだ…。彼らが用意した山の上……)


慕(鳥さんの…声が聞こえた……!)

スウッ

慕「カン!」

閑無「!」



タンッ

慕「ツモ! 嶺上開花,東! 2500オールです!!」パサッ

\オーッ/

実況「嶺上牌から一索ツモ! 大逆転の和了です!」

閑無「な…」

はやり「はやー」

実況「優勝は湯町小六年、白築慕さん!」

慕「ありがとうございました!」

\ワァァァァーーーー/

哲夫「やったー!」

西田「やっとやー!」

住職「ゲッゲッゲッ」



バタンッ

哲夫「やった!やったな!」

西田「ああ、よかったよかった!」

警備員「あっ、お前たちどうやって部屋から!?」

慕「あ、ありがとうございます…?」

住職「よし、胴上げだ!」

哲夫西田「おう!」

慕「えっ」

ワーッショイ ワーッショイ ワーッショイ

…………

……



警備員「はい、おまわりさんこちらですー」

警官「了解!」

三人「!!」ビビクン

警備員「とうとうお触りしやがったんでー、遠慮なく引っ張ってってくださいー」

哲夫「えっ、いやその」

西田「おい、これ問答無用のやつや」

住職「うむ、逃げるぞ」

警官「痴漢の現行犯で逮捕する! 大人しくしろ!」

三人「退却っ!!」

ダダダッ

警官「待てーー!!!」

…………

……



帰り道

耕介「……なあ慕」

慕「ん?」

耕介「あの鳥かぶってた三人組ってさ……知り合い……?」

慕「うーん……わかんない」

耕介「お前がよく言ってる友達の鳥さんって……あいつらなの……?」

慕「…………わかんない」

耕介「……おじさんちょっと、お前の友達って心配になってきちゃったんだけど……」

慕「…………大丈夫だよ」



その夜

悠彗「ただいま。遅くなりました」

父「おー、おかえり」

悠彗「……夕御飯遅らせてなんて言ってごめんなさい」

父「いいよ。お前も熱中することができたんだろ」

悠彗「うん……。今日の決勝戦を見てさ、私も舞台に立ちたいなって」

父「ふーん、憧れの舞台ってか? いいじゃないか、ステキな理由だよ」

悠彗「憧れか……。そうなんだけど、憧れで終わらせたくないって思った」

父「……そっか、がんばれ」

悠彗「それでさ、相談なんだけど」

父「ん?」

悠彗「麻雀と漫才ってさ、両立できるかな? オタクもやりながらで」

父「はい?」


カン




2015/01/18 SS深夜VIP
慕「鳥さんは友達!」哲夫「君はいい子だね、僕は鳥人だよ」
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