咲(捕手)「…………」さっ

豊音(投手)「!」

久(監督)(……いいセンいってる)

照(打者)「…………」

豊音(さすが宮永さん……! 指三本で中指が下向き、あれはカーブのサインだね……!)



豊音(まずはアウトローの微妙なところを突いてストライクをひとつ……。宮永さんのお姉さんは初球は見てくるタイプだって言ってたから、ここは手を出さないはず。さすが妹さん、冷静で的確な判断力だね! そして二球目、同じコースからボールふたつ分外へ逃げる球で空振りを誘う……。振ってくれたら儲けものだし、手を出さなくてもバッターの意識は外へ外へと向くはずだよ! そこから一転、今度はインの厳しいコースを攻めて体を反らさせ、外角に意識が向いていた体のバランスを崩していくんだね! ボールになってもいいけど、体に当てないようにコントロールを気を付けないと……! あとはカウントにあわせてストレートの見せ球を挟みつつ、最後は私の必殺「ふぉーくぼーる」で三振を取っちゃうよ!)

咲「…………」

豊音「…………」コクン

優希(実況)「さあ、ピッチャーがサインに頷きました!」

ガバッ

優希「ピッチャー第一球、振りかぶって……」

グワッ




豊音「えーいっ」ぽいっ


ヒョロヒョロ~… … …


ぽとっ


テン、テン、テン……




豊音「あー、届かなかったー」

咲「ざんねんー」

照「……惜しかったと思う」

豊音「野球って難しいねー」

咲「そうですねー」

照「どんまい」

ワイワイ キャッキャッ

久「…………」



久「うーん、やっぱり大人と同じ広さじゃ無理があったかしら?」

まこ「……それ以前の問題じゃろ」

久「もっと距離を縮めてやればなんとかなるわよね!」

まこ「球が届いてもストライクが入りそうにないんじゃが」

久「技術がない分は気持ちでカバーすれば!」

まこ「……どうにもならんじゃろ、あれは」

久「だめかしら?」

まこ「……わしらみんな運動部でもないっちゅうに。いきなり野球しよう言うても無理じゃろて」

久「んー、そうねー。一体誰なのかしら、そんなこと言い出したのは」

まこ「あんたじゃろ」

久「あれ?」



久「そうだったかしらー?」

まこ「あんた以外に誰がおるんじゃ」

久「インハイで一緒に戦った記念にみんなで遊ぼう、って言ってきてくれたのは姉帯さんよ?」

まこ「野球に決めたんはあんたじゃろが」

久「いいじゃない、うちに初めて野球できる人数が集まったんだからー」

まこ「……昔っから野球したいとは言うちょったけども。ここまで本気じゃとは思わんかったわ」

久「姉帯さんだってノリノリだったわよー?」

まこ「『野球するの初めてだよー、一回やってみたかったんだー』て話しとったがのう」

久「おや?」



久「よーし、これは特訓が必要ね!」

まこ「諦めるって選択肢は無いんかいの」

久「重いコンダラとか一回引いてみたかったの! コンダラ持ってきて!」

まこ「なんじゃそれは」

久「あら、重いコンダラ知らない世代? ジェネレーションギャップねー」

まこ「……あんたのいっこ下じゃろ」

久「そうだったかしら? 最近物忘れがひどくて……。あっ、物忘れに効くと言えば」

まこ「ナッツもクルミもここには無いが」

久「えぇー」



穏乃「……ねえ和ー」

和「……はい」

穏乃「私たちの打順まわってくるの、いつ頃になりそうかな?」

和「……もう少しかかりそう……といいますか、その前に中止になりそうですね」

穏乃「えぇー」

憧「ピッチャーがあれじゃ、ゲームが進まないわよ」

穏乃「せっかく和と遊びに来たのにー」

玄「……別の遊びでいいんじゃないかな……」

灼「……うん」

宥(……今日も平和です……)


カン




2017/01/16