塞「……はい。それじゃあまず、カタカナのウを書きまーす」

エイスリン「ウ!」

スッ ススッ

塞「あー……。えっと、そんなに紙いっぱいじゃなくてね、こんな感じで上の方に……」ススッ

エイスリン「ウカンムリ!」

塞「おっ、そうそうよく知ってたー。ウ冠ね」

エイスリン「ベンキョウシタ!」

塞「えらいえらい」

塞(…………本当はこの字の部首、ウ冠じゃないらしいんだけど。なんでだろうな)




塞「そしたら次に直線をこう……、よこ、たて、たて、よこ、よこ、と」

エイスリン「……ヨコ3ボン、タテ2ホン」

スッスッスッスッスッ

塞「あーちょっと待って」

エイスリン「?」

塞「書き順が違うんだなー」



塞「えっとね、よこ全部先に書かないで、いい?」

エイスリン「?」

塞「たてよこに順番があるんだ」

エイスリン「??」

塞「私のよく見て……。まずよこ、次にたて、たて、その後よこ、最後に少し長くよこ」

スッスッスッスッスッ

エイスリン「ナンデ……?」



エイスリン「ジュンバンチガウ、ダメデスカ……?」

塞「そうだねー。正しい書き順で覚えよう」

エイスリン「……ドウシテ……?」

塞「……うーん、どうしてって言われても……。そういうルールだから」

エイスリン「ルール?」

塞「筆の運びが自然なようにとか、全体のバランスがとれるようにとか。色々あるんだよ」

エイスリン「……ホエー……」



豊音「二人でなにしてるのー?」

塞「あ、みんな」

胡桃「書道?」

白望「……珍しい」

塞「うん。エイちゃんが漢字教えてほしいって言うから、一緒に書いて覚えようってね」

豊音「へー」

胡桃「なんて字を書いてるの?」

塞「塞だよ。私の名前」

エイスリン「サエ!」



塞「漢字で書けるようになりたいってさ。私たちみんなの名前」

豊音「そうなんだー」

白望「…………うれしい」

胡桃「それでわざわざ墨と筆?」

塞「せっかくだから」

エイスリン「ショドー!」

塞「初めてだって言うけど結構うまいよ、筆遣いとか。さすがお絵描きさんだね」



エイスリン「ヨコタテヨコタテ、ムズカシイデス……」

胡桃「よこたて?」

塞「あー、ほら、書き順だよ」

豊音「書き順?」

塞「塞の字の真ん中のさ。よこたてたてよこよこ、っていう順番がなんでって」

豊音「あー」

白望「……確かに」

胡桃「漢字に馴染みがない人にはね」



エイスリン「タテヨコ……ヨコ……ヨコタテ……?」

塞「最初によこ。で、たてたてよこよこ」

エイスリン「タテ……タテ……ヨコ……」

豊音「あははっ。絵描き歌みたいだよー」

エイスリン「タテタテ……ヨコヨコ……」

豊音「まーる書いてちょん!」

塞「こらこら」

胡桃「遊びじゃないでしょ。マジメな漢字の書き順!」



エイスリン「マルカイテチョン?」

豊音「うん! 丸書いてちょん!」

カキカキ

豊音「えっとね、こうしてこうして……。たてたてよこよこ、まーる書いてちょん!」

エイスリン「…………カワイイ!」

胡桃「絵描き歌はじめちゃったよ」

塞「脱線だなー」

白望「…………いつも通り」



豊音「まーる書いてちょん!」

エイスリン「マールカイテチョン!」

塞「ほーらほら。絵描き歌はまた後でね」

胡桃「書道の邪魔しない!」

豊音「はーい」

エイスリン「ハーイ」



塞「じゃあ、あらためまして。ウ冠にー、よこ、たて、たて、よこ、よこ」

エイスリン「ヨコ……タテ……タテ……ヨコ……ヨコ……」

塞「そうそう」

胡桃「がんばって!」

塞「その下に八って書いて……最後に土。 で、塞!」

エイスリン「サエ!」

豊音「かんせーい!」



エイスリン「コレデ、オシマイ?」

塞「そうだよ」

エイスリン「マルカイテチョン……」

塞「丸書いてちょんはしなくていいの」

エイスリン「イイノ……?」

塞「いいんだよ」

エイスリン「……モッタイナイデス……」

塞「そう言われてもな……」



エイスリン「!」

白望「?」

胡桃「どうしたの?」

エイスリン「……マルカイテチョン!」サラサラッ

塞「あっ」

胡桃「あっ」

塞「書き足しちゃった……」

豊音「これは…………」




塞



胡桃「…………」

豊音「…………」

白望「…………」

塞「…………」

胡桃「……塞だね」

豊音「塞だよー」

エイスリン「サエ!」

白望「…………塞」

塞「君たち」


カン




2017/10/10