【USZn】

爽「かーもんべいびー、うっすーざーん」ピョンピョン

誓子「また新しいの見つけてきたのね」

爽「明日これみんなでやろ! また動画撮ってさー」

誓子「今度はどこに投稿するのよ」

爽「別にどこもないけどー、楽しいじゃない!」

誓子「ユキのダンスセンスを前回把握した上で言ってるの?」

爽「簡単だって! ヘイ、かーもんべいびー」ピョンピョンピョンピョン

誓子「……危なっかしいわ」

爽「大丈夫大丈夫! ほら、かーもんべいびうぅわっ!!」ドンガラガッシャン

誓子「言ったそばから!!」



【邪神かな?】

爽「チカー、これ食べよー」うにょーん

誓子「また変なもの買ってきて……。何そのお餅みたいなの」

爽「お餅じゃないよー。白くてうにょーんって伸びるアレー」

誓子「……ヨーグルト?」

爽「ぶぶー。甘くて冷たいやつさー」

誓子「ああ、トルコ風アイスね」

爽「風じゃないよ! ちゃんと正式名称ついてる本場の本物!」

誓子「知らないわよ」

爽「材料だって本物とは全然違うんだから。トルコ人に怒られちゃうぞー」

誓子「……じゃあ何ていうの、正式名称」

爽「ドンドゥルマ」

誓子「ドンドゥルマ!?」



【荒川さんに弟子入りしよう】

爽「じゅんけつで私が打った清澄の宮永咲ちゃん」

誓子「強かったわね」

爽「あの子も卒業したら麻雀プロになるのかな」

誓子「そうかもね」

爽「私思うんだけどさ、彼女は大阪に行ってナースになるのが一番いいと思うんだ」

誓子「その発想はなかったわ」

爽「救命救急病棟で今にも死にそうな人専門で! 絶対あってるって!」

誓子「して、その心は」

爽「臨死やん、介抱」

誓子「なるかー、爽の座布団捨てちゃっていいわよ」

爽「ごめんなさいごめんなさい」



【松実館移転計画】

爽「全国大会の会場でさ、阿知賀の松実姉妹に会ったんだ」

誓子「あら」

爽「そういえば家のストーブちゃんと消してきたっけーって揺杏と話してたら、すっごい食いついてきて」

誓子「ストーブ?」

爽「お姉さんのほうに『夏なのにストーブつけていいんですか!?』って聞かれたの」

誓子「ああ、なんかすっごい寒がりみたいね彼女」

爽「だからとりあえず、『北海道ならいつでもつけ放題だよ!』って答えといた」

誓子「北海道だって暑かったらつけないわよ」

爽「そしたらね、すっごいぱあぁって顔輝かせて『私、北海道に住みたいっ!』って」

誓子「あんたそれとんでもない詐欺を働いたんじゃないの」

爽「隣にいた妹さんに光速で否定されてた」

誓子「そりゃそうよ」



【使徒の言葉】

爽「マタイ福音書7章12節。『己の欲する所を人に施しなさい』」

誓子「おや、黄金律」

爽「自分がしてもらいたいと思うことを、他人にもしてやりなさい、と」

誓子「そうね」

爽「チカはうちの部でいちばん敬虔な子だと信じています」

誓子「うん?」

爽「だからそのからあげひとつちょうだい」

誓子「だめ」



【隗より始めよ】

爽「なんだよー、チカはからあげ欲しくないのー?」

誓子「どうしてそうなるのよ」

爽「チカだってからあげもらえたら嬉しいでしょ? それならまず人に与えるところから」

誓子「だったら爽が私にからあげくれるのが先じゃない?」

爽「チカ……、恐ろしい子……!」

誓子「それでからあげもらえると思ってる方が恐ろしいわよ」



【聖書の教え】

爽「チカはひどい」

誓子「自分のからあげを自分で食べてるだけじゃない」

爽「とても教会の家の子とは思えません」

誓子「随分な言い草ね」

爽「『求めよさらば与えられん』とは何だったのか」

誓子「ふむ」

爽「目の前の哀れな子羊はからあげを求めています」

誓子「テサロニケ人への第二の手紙3章10節、『働かざる者食うべからず』」

爽「出たよ」



【だいたい鶏さんの揚げたやつ】

爽「ひらめきました」

誓子「すばらしい」

爽「からあげが無ければザンギを食べればいいじゃない」

誓子「同じじゃないの」

爽「おおっとぉー道民ソウルフードをその辺のからあげと一緒にするんですかぁー?」

誓子「じゃあこのからあげはいらないわね、ザンギじゃないから」

爽「一緒です」

誓子「はやっ」



【孔子曰く】

爽「あっ、逆だよ逆」

誓子「ん?」

爽「『己の欲せざる所は人に施すことなかれ』だ」

誓子「それは論語」

爽「自分がされたらいやなことはさ、人にさせてもいけないんだ」

誓子「……それも大事なことね」

爽「だから勉強やめてもう帰ろう」

誓子「だめ」



【時は来たれり】

爽「じゃあ、そろそろ冗談は終わりにしてからあげを」

誓子「ごちそうさまでした」

爽「えっ」

誓子「今日もまた一日の恵みを与えてくださったことに感謝します」

爽「あ…………?」

誓子「さ、そろそろ終わりにしましょ、受験勉強の休憩タイム」

爽「私の……からあげは……?」

誓子「ないわよ」

爽「チカの鬼ー! 悪魔ー!!」

誓子「私は神様に仕える身よ失礼ね」



【はるちゃんはそんなこと】

爽「昨日のテレビでさ」

誓子「うん」

爽「高校生の青春ドラマっぽいやつで」

誓子「あー、あれね」

爽「『先生! 私たちをダシにしたの……!?』ってセリフがあった」

誓子「うん」

爽「…………お風呂の水ってこと?」

誓子「ちょっと黙って」



【温かき】

爽「油で揚げたうどんなんておいしいのかな?」

誓子「何を突然」

爽「ほら、このうどん屋さんのチラシ」

誓子「どこ?」

爽「これこれ、『あたたかき、揚げうどん』だって。なんか荘厳」

誓子「『おんかき揚げうどん』ね」

爽「えっ」

誓子「えっ」

爽「…………あたたかいでしょ?」

誓子「あたたかいわよ」



【半分ずつにしようよ】

爽「買ってきたー肉まんふたつ」

誓子「ありがと」

爽「さてここで問題です」

誓子「ん?」

爽「このふたつ、片方は肉まんですがもう片方はプレミアム肉まん」

誓子「むっ」

爽「なんと見た目は同じ袋に入っていて区別つきません!」

誓子「私はプレミアムがいいわ」

爽「さあそれでは、チカにどっちか選ぶ権利を……えっ」

誓子「私はプレミアム」

爽「えーっと、これから楽しい二択チャレンジが……」

誓子「プレミアムをちょうだい」

爽「…………はい」

誓子「ありがと」



【備えあれば】

爽「ユキっていい子だよな」

誓子「そうね」

爽「どんな衣装でも断らずに着てくれるし、私らにずっとついてきてくれたし」

誓子「感謝しないといけないわね」

爽「土下座して頼んだら大抵のことはやってくれそう」

誓子「なんで土下座する前提なのよ」

爽「この先何があるかわからないんだし。いつでもできる準備はしておこう」

誓子「こらこら床の固さを調べに行かない」



【見たいけどさ】

爽「実際ユキってさ、どこまで無茶言っても聞いてくれるかな?」

誓子「無茶言う前提なところから考え直したほうがいいわね」

爽「ユキが怒らないでしてくれそうなギリギリのラインを考える」

誓子「うーん」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………ホホホイ?」

誓子「いやいやー」



【そういえば】

誓子「揺杏に聞いたんだけど」

爽「ん?」

誓子「カエルとタオルとどっちがスベスベかって言ってたらしいわね」

爽「あー。揺杏がブランドのタオルって言うから」

誓子「…………なんで知ってるの」

爽「?」

誓子「カエルがスベスベってなぜ知ってるの」

爽「…………はて」

誓子「私はなんか濡れててべっちょべちょのイメージなんだけど」

爽「…………なぜだろうね」

誓子「触ったの? そんなのを」



【殺意の波動】

誓子「触ったの?」

爽「…………昔ね」

誓子「……私と出会ってから?」

爽「…………まあ、何事も経験だしさ」

誓子「触った手で触ってたの? 私を」

爽「…………」

誓子「…………ねえ」

爽「…………チカ、目が怖い」



【パァァン】

爽「柏手の安っているじゃん?」

誓子「将太の寿司?」

爽「うん、あれ見てて思ったんだけど」

誓子「うん」

爽「両手のひらを叩き合わせることを、柏手っていうんだ」

誓子「そうね」

爽「じゃあかしわもちってのはさ、おもちを」

誓子「その先はユキで実験しないって約束してから聞くわ」



【みんなで持って】

爽「清澄の先鋒の子はいつもタコス食べてた」

誓子「そうだったわね」

爽「姫松の主将は串カツ食べてたし、臨海のユキと打った人はカップラーメンマニアらしい」

誓子「ふむ」

爽「やっぱり私たちにも何か食べ物キャラが欲しいと思います」

誓子「それはどうだろう」

爽「ユキをもっと売っていくためにもだよ! 北海道名物でご当地アイドルアピール!」

誓子「何を企んでいるのかしら」

爽「いやー、こないだジンギスカン鍋が安くってさー」ゴトゴトッ

誓子「なんで五つも買ってきたの!?」



【レンジャイ】

爽「私はレッド!」

誓子「……まあ」

爽「ピンクは成香だよなー」

誓子「ユキもピンクのイメージ無い?」

爽「うーん、ユキはブルーって感じ」

誓子「あー、それもわかるわ」

爽「で、揺杏がグリーンだよ」

誓子「うん…………」

爽「ん?」

誓子「…………私がイエロー?」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………レッドやる?」

誓子「……うん」



【悔い改めよ】

爽「それじゃ、マタイ福音書5章39節」

誓子「ほう」

爽「『右の頬を殴られたなら、左の頬も差し出しなさい』」

誓子「まあ、それも基本ね」

爽「『ひとたび殴れば罪の重さは倍となり』」

誓子「うん?」

爽「『ふたたび殴れば更に倍、みたび殴ればそのまた倍に』」

誓子「何その続き」

爽「『やがて相手は重みに耐えかね地に這いつくばりて』」

誓子「…………」

爽「『詫びるかのように頭を差し出す』」

誓子「『故に、"侘助"』」

爽「ぐっはぁー」



【秘密】

爽「『こんにちは! ボクは麻雀牌カムイだよ!』」

爽「『いつもご苦労だな。この雀卓カムイに何か用かね』」

爽「『どうしてあなたは、チカが叩いたときだけ機嫌がよくなるの?』」

爽「『フッフフ、とどのつまりご褒美があればこそやる気は出るというものだな』」

爽「『ふーん、ご褒美なの? 叩かれるのが?』」

爽「『叩かれるではない。誓子ご主人様が責めを与えてくださる、だ』」

爽「『あ、それ知ってる! 『どMの発想』ってやつだよね!』」

爽「『人聞きの悪い言い方をするでない。誓子女王様の容赦ない一撃こそ我が悦びなのだ』」

爽「『ボクにはわからない世界だなー』」

爽「『フッ、若いなおぬし。あのゾクゾク感がわからんとは……』」

誓子「何を一人でブツブツ言ってるの」

爽「!!」ビビクン



【語源】

爽「寿に司って書いて寿司だろー?」

誓子「魚へんに旨いで鮨よ」

爽「寿を司るから寿司だって」

誓子「魚が旨いから鮨じゃないの」

爽「むぅー」

誓子「…………」

爽「よし、ユキに聞こう!」

誓子「いいわよ」

……

由暉子「寿司というのは当て字です」

爽「えーっ」

誓子「ほらー」フフン

由暉子「鮨というのも元は違う食べ物の名前です」

誓子「えっ!?」



【そこはさあ】

爽「成香はかわいい」

誓子「そうね」

爽「ユキもかわいいな」

誓子「ずっと言い続けてるわよね」

爽「それじゃ揺杏は」

誓子「……かっこいい、かしらね」

爽「だよなー」

誓子「そうね」

爽「じゃあ、嫁にするなら誰」

誓子「……それ言う?」

爽「せーので」

誓子「…………仕方ないわね」

爽「せーのっ、揺杏」

誓子「さわ……えっ」



【あこがれの】

爽「ひとつ部活で心残りがありました」

誓子「何かしら」

爽「みんなで合宿やってみたかったなって」

誓子「……なるほど」

爽「海辺の静かな別荘みたいなとこ借りて」

誓子「いいわね」

爽「昼はみんなで海水浴……! スイカ割りにビーチバレーにユキの水着……!」

誓子「うん?」

爽「夕食はバーベキューしてカレーも作って! 夜は花火にゲーム大会に怖い話!!」

誓子「麻雀しなさいよ」



【別の未来】

爽「ぶっちゃけた話、私らが麻雀やるようになったのはたまたまだ」

誓子「そうね、ずっと違うゲームやってたし」

爽「麻雀部じゃなかったら何部になっていたでしょうのコーナー!」

誓子「うーん」

爽「私は七並べ部で全国制覇がいいと思う」

誓子「七並べに全国大会も何もないわよ」

爽「バックギャモン部とか将棋部とか」

誓子「将棋でカムイをどう使うのよ」

爽「…………相手の駒を私の支配下に」

誓子「そんなことしていいの?」

爽「おこられて終わりだよなー」



【人が集まればね】

誓子「もう少し体を動かすようなのは無いの」

爽「うーん、じゃあ硬式野球部!」

誓子「動かしすぎよ」

爽「注文の多いチカだ」

誓子「極端すぎるじゃないの」

爽「清澄の部長はやる気だったって聞いたけど?」

誓子「あの人と一緒にしちゃだめ」



【爽=ハルヒ、誓子=キョン、成香=みくる、ユキ=ユキ、揺杏=古泉】

爽「とどのつまりSOS団だよな私たち」

誓子「部ではないけど。……まあ、みんなで楽しいことしたかっただけって所はそうかもね」

爽「なー」

誓子「じゃあ、SOSって何の略?」

爽「ん?」

誓子「世界を大いに盛り上げる涼宮なんちゃら~、じゃないでしょ。名前が違うもの」

爽「そうだなー」

誓子「そこはオリジナルにしないとね」

爽「整いました」

誓子「はい獅子原さん」

爽「さわやちゃんのおもちがすっごい団」

誓子「はいフィクション」

爽「なんだよーSOS団は元々フィクションだろー」



【異世界通信】

有希「はい土下座」

キョン「長門?」

有希「今『おもちが逆じゃねーか』とかいう失礼な発想をした有機生命体は私に土下座」

キョン「落ち着け長門、意味わからんぞ」

有希「問題ない。あなたには影響のない話」

キョン「土下座とか穏やかじゃないな。何があったんだ」

有希「微小なノイズを検知。だが無視できる範囲」

キョン「……そうか」

有希「無視できる範囲」

キョン「……大事なことだから2回言ったのか」

有希「そう」

キョン「そうか」

有希「そう」



【そうだったのか】

爽「残念なことに」

誓子「はい」

爽「うちでおもちがすっごいのはユキだけだ」

誓子「不本意ながらそうね」

爽「やっぱ何か吸い取られてる?」

誓子「何を言い出すの」

爽「みんなユキに吸い取られちゃったんだ」

誓子「初めて会った時からユキはああだったじゃない」

爽「実はユキという名の妖怪おもち吸いに引き寄せられて私たちは出会ったのです」

誓子「なにそれこわい」



【なんだってー】

爽「いや、ある意味本当の事なんだけど」

誓子「ある意味って何よ」

爽「あーでもね、これは秘密にしときたかったんだけどなー」

誓子「?」

爽「実はユキはね……。人間じゃなくておもちカムイなんだ」

誓子「何言ってんのよ」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………」

誓子「…………えっ本当?」

爽「嘘だよ」



【ダイエットコーラが最強らしい】

爽「ここに取り出したるはメントスです」

誓子「出たわね」スッ

爽「ちょっ、炭酸しまうなよー」

誓子「何するか想像つくもの」

爽「君のような勘のいいチカは嫌いだよ」

誓子「こないだもそれやって成香をべっちゃべちゃにしたじゃない。警戒するに決まってるでしょう」

爽「ちぇーっ、つまんない」

誓子「食べ物をおもちゃにしないの」

爽「おもちゃじゃないよ! 真面目だもん」

誓子「尚更だめよ」



【ふいうち】

爽「今私の口にはメントスが」

誓子「ええ」

爽「チカは炭酸を飲んでいます」

誓子「そうね」

爽「この状態でキスしたらどうなるのー、っと」

誓子「何その口移し我慢大会」

爽「あっはっは、するわけないけどー」

誓子「別にいいわよ。しよっか? キス」

爽「!?」ドキッ

誓子「冗談よ」

爽「うっエッホッエホゲホッ、喉に……引っかかった……」ケホッ

誓子「あらあら大変、これ飲んで」

ゴクッ しゅわしゅわ~

爽「ごばふっ!!」



【我は求め訴えたり】

爽「マタイ福音書5章42節、『求める者には与えなさい。あなたから借りようとする者に背を向けてはならない』」

誓子「からあげはあげないわよ」

爽「もらうのは諦めました。なので借りる方向で勝負したい」

誓子「むっ」

爽「500円貸してください」

誓子「却下」

爽「からあげを買いたいんです」

誓子「見知らぬ人にも優しくしなさいって話よそれ。私たち同士で借金なんて冗談じゃないわ」

爽「箴言14章21節、『貧しい人を憐れむことは幸いだ』」

誓子「だめったらだめ」

爽「おかたいですなーチカはー。たったの500円だぞー?」

誓子「たったのって言う程度なら我慢しなさいよ」

爽「ごめんなさいとても大金なんですがなにとぞお貸しいただければと」ペッコリン

誓子「そういうとこよ。その軽い感じ」



【ある意味まじめなので】

誓子「…………わかったわよ、仕方ないわね」

爽「その言葉が聞きたかった」

誓子「私は言いたくなかったわ」

爽「いいだろーちゃんと返すんだからさー」

誓子「じゃあ、この聖書に誓える?」

爽「ん?」

誓子「聖書に手を乗せて必ず返しますって言えるなら、考えてもいいわ。うちの生徒ならその重さわかるわよね」

爽「んあぁ、まさか聖書を持ち出してくるとはな。このディラン・マッケイを試そうってのかいキャサリン」

誓子「誰がキャサリンよ。それは星条旗に誓う人でしょ、いいからほら」

爽「よし、諦める」

誓子「即決ね」

爽「聖書に嘘はつけないもんなー」

誓子「それ返さないつもりだったってことじゃない?」

爽「おや?」



【24時】

爽「漫画や映画でさ、ちょっと現実にはありえない描写とかあったとき」

誓子「うん」

爽「その筋に詳しい人がネットで細かく訂正してたりするじゃない」

誓子「あるわね」

爽「麻雀漫画だったら、『どうも、麻雀警察です』って。ああいうなんちゃら警察っていうの憧れる」

誓子「憧れるんだ」

爽「かっこいいじゃない! なんかスペシャリストって感じ!」

誓子「かっこいいかはよくわからないけど」

爽「やっぱり道民としてはさ、北海道のことでそんなのがあった時はツッコミ入れたりしたいわけよ」

誓子「ほう」

爽「どうも、北海道警察です」

誓子「本物出てきちゃったわ」



【いうほどでも】

爽「そもさん」

誓子「せっぱ」

爽「魚屋さんとかけまして、なんと解く」

誓子「独善的な人と解くわ」

爽「その心は」

誓子「どちらもそれは、セルフィッシュ」

爽「チカはかしこいなあ」

誓子「ふふーん、そうでしょう」



【いわせるな】

爽「もいっこそもさん」

誓子「せっぱっぱ」

爽「爽ちゃんの部内恋愛とかけまして」

誓子「冬の天気と解くわね」

爽「その心は」

誓子「ユキにふられたらチカに入ればいいじゃない」

爽「えっ?」

誓子「…………むしろ最初からチカだけに居なさいよ」ゴニョゴニョ

爽「えっごめんよく聞こえなかった、なんて?」

誓子「なんでもないわよ!! 部内恋愛とか変なこと言わないで!!」クワッ

爽「…………怖っ」



【セレゾ・カルドソ・デ・モラエス】

爽「チカがプロサッカー選手だった時の話を伺いたい」

誓子「もう随分前よそれ」

爽「群馬だっけ?」

誓子「当時は草津ね」

爽「ポジションは」

誓子「DFよ」

爽「でも通算11得点もしたんでしょ?」

誓子「その頃はボランチもやってたし。あとキャプテンもやってたわ」

爽「それだけ中心選手だったのに、なんでブラジルに帰っちゃったのかな?」

誓子「怪我よねえ」

爽「怪我なあ」



【ユキぴょん】

爽「また見つけてしまいました」

誓子「何でしょう」

爽「はやりんにあってユキに無いものとは」

誓子「ほう」

爽「後輩の面倒見の良さだね」

誓子「ふむ」

爽「決勝の日のラジオにチームの後輩呼んでたり、戒能プロとも仲がいいって聞くし」

誓子「それは確かに」

爽「これを会得できれば、また一歩ユキが打倒はやりんに近づけるんじゃないかと思います」

誓子「なるほど」

爽「だから私たちも今からユキに面倒を見てもらおう」

誓子「先輩のプライドってものは無いの?」



【おとしまえ】

爽「昨日見た夢でさ」

誓子「うん」

爽「なんだか知らないけど、ずっと土下座してた」

誓子「何よそれ」

爽「理由はわかんないんだけど。起きた瞬間、あー練習しててよかったーって思って」

誓子「まったくうれしくないよかった報告ね」

爽「何が怒られるようなことになるかわかんないしさ。やっぱ想定は大事だなって」

誓子「ユキはおもちカムイですとか変なこと言ってたからじゃないの?」

爽「それは本気なんだけどなー」

誓子「またそういう」



【くらべんな】

爽「というかですね、桧森さん」

誓子「何よかしこまって」

爽「カムイカムイ言ってますけど、チカもみんなも簡単に受け容れすぎです」

誓子「カムイの存在を?」

爽「普通はおもちカムイなんて、聞いただけでなんだそりゃってなるじゃん」

誓子「爽が言ったんじゃないの、カムイがありまぁすって」

爽「これでも打ち明けるかすっごい悩んだんだぞー。ずっと内緒にしてたのにさー」

誓子「爽が受け容れてほしいって言ったから受け容れただけよ。他に何があるっていうの」

爽「チカ……」

誓子「そう言われて信じられないような仲だとでも思ってたのかしら? 失礼しちゃうわね」

爽「…………じゃあ、神様と私ならどっちを信じ」

誓子「神様」

爽「はやっ」



【本気】

爽「プリン山崩しで勝負!」

誓子「受けて立ちましょう」

爽「まずお皿にプリンをぷっちんし! 真ん中に旗を立てます!」スッ

誓子「うむ」

爽「ひとすくいずつ交互に食べていって、旗を倒したほうの負け!」

誓子「いいわよ。賞品は?」

爽「残りのプリンを全部食べられるでどうだ!」

誓子「委細承知」スッ

爽「えっ待ってなんでカレースプーン出してるの」

誓子「ひとすくいはひとすくいよね」



【へたれ】

爽「二回戦はルールを変えます」

誓子「カレースプーン禁止は無しよ?」

爽「すくったプリンは、相手に食べさせることにしよう」

誓子「考えたわね」

爽「あーんで」

誓子「……あーん……で……?」

爽「うん」

誓子「私が……爽に……あーん…………」ゴクリ

爽「さ、今度はチカの先攻で!」

誓子「わわわったししっがささささわやににああっああんあんあんあん」ガクガクブルブル

ズシャッ

爽「一刀両断!?」



【オメガの民の】

爽「プロ麻雀せんべいカードでのユキの称号を考えたい」

誓子「気が早いわね」

爽「小鍛治プロの"Grandmaster"とか、はやりんの"Whirlwind"とか! かっこいいやつ!」

誓子「ああいうのはただつけてもだめよ。ちゃんとその人の特徴を踏まえないと」

爽「ユキの特徴といえばもちろん、ちっちゃかわいいおもちの子」

誓子「麻雀でね」

爽「んー、やっぱ左手打ちかなー」

誓子「……そうね」

爽「左……手……」

誓子「…………」

爽「…………アリステラ?」

誓子「ユキの笑い声をフォーフォフォフォにさせるつもり?」



【活殺】

爽「打倒はやりんの前にとんでもない強敵を見落としていたかもしれません」

誓子「ほう」

爽「清澄で聞いてきたんだ。私たちをすべてにおいて上回る最強の刺客……! 風越女子三年、福路美穂子!」

誓子「ふーん、どんな人?」

爽「お裁縫に限らず料理洗濯なんでもこなす、家事スキルの幅広さは揺杏以上」

誓子「へー」

爽「ユキに匹敵するおもちをお持ちで、成香みたいに片目がかわいく」

誓子「ほほう」

爽「麻雀の腕はオカルトの上に確かな実力と経験が積み重なり、ある意味カムイ頼りの私より上手」

誓子「ふーむぅ」

爽「そしてその奇跡の手はチカのごとく、ちょっと触ればどんな機械も一発で…………あっ」

誓子「機械?」

爽「…………チカの勝ちです」

誓子「???」



【我割れり】

爽「モーセは民のために祈り海を割りました」

誓子「そうね」

爽「私も何かを割って皆に尊敬されたいです」

誓子「割るって何を」

爽「腹筋」

誓子「よしなさい」

爽「点棒箱」

誓子「ハコワレしてどうするのよ」

爽「むぅー、じゃあ何ならいいんだよー」

誓子「さしあたっては目の前のこれね」スッ

爽「?」

誓子「分数の割り算よ」

爽「そういう本当のやつはちょっと」



【たべられた】

爽「プレゼント交換会やってさ、チカに私の像あげたの覚えてる?」

誓子「今でもうちにあるわよ、大量に」

爽「あの時のシリコン型でね、昨日揺杏がチョコの像作ってきてくれたんだ」

誓子「ほんとにやったのね」

爽「成香とユキもいて一通り写真撮ったりしたら、『じゃあ食べるかー』ってなって」

誓子「……まあ、そのために作ったんでしょう」

爽「…………みんなで像をバラバラに割って、頭からガブッって」

誓子「…………」

爽「…………わりとみんな躊躇なくバキバキ折ってガリガリいって」

誓子「……チョコはチョコよ?」

爽「……私の……体……」プルプル

誓子「よしよし怖かったわね」



【そんな日もある】

爽「あっ、この前よりたくさんからあげ……」

誓子「爽が欲しいって言ってたから。二人分作ってもらったわ」

爽「えっ今日はからあげもらっちゃっていいのか!?」

誓子「おかわりもいいわよ」

爽「うれしい……! うれしい……!」うめうめ

誓子「……フフフッ、単純なんだから」

爽「余は満足じゃ! チカには星三つを授けようぞ」

誓子「ありがたき幸せ」

爽「くるしゅーないぞよ」

誓子「で、何点満点の星三つ?」

爽「五点かな」

誓子「もしもしお母さん? もうからあげたくさん作らなくてもー」

爽「あっあっ待って待って」



【今日も今日とて】

爽「レンジで煮魚」

誓子「一分半」

爽「裸の亀は」

誓子「すっぽんぽん」

爽「おーいおーい」

誓子「北海道」

爽「ほっかいどぉお~~お~~」

誓子「…………」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………暇です」

誓子「そうね、私もよ」



【初秋の三年生】

爽「どうしてこんなに暇なのでしょう」

誓子「……部活が終わっちゃったからね」

爽「その言葉は聞きたくなかった」

誓子「ただの事実じゃないの」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………」

誓子「…………」

爽「…………終わっちゃったな」

誓子「……そうね」



【それはふたりだけの】

爽「引退したくないー」パタパタ

誓子「足パタパタさせてもだめよ」

爽「卒業もしたくないー」パタパタ

誓子「…………」

爽「まだ……遊び足りないよ……」

誓子「…………」

爽「来年も……みんなといっしょがいい……」

誓子「…………」

爽「…………」パタパタパタパタ

誓子「……あなたが卒業すれば、私も卒業するわ。それでいいじゃない」

爽「チカ……」キュン

誓子「…………『幽遊白書』10巻 act.89、幻海師範に曰く」プイッ

爽「おやおや~~、なんですぅその取ってつけたような補足~?」ニヤニヤニヤッ

誓子「う、うるさいわね! 何よ急に元気になって!!」



【見つめあうと素直に】

爽「…………でもほんとにさ」

誓子「?」

爽「楽しかったよ、チカのおかげで」

誓子「なーに言っちゃってんの」

爽「チカが一緒にいてくれたから、今の私がある。幼稚園の昔から」

誓子「…………らしくないわ」

爽「私がどこで何をやらかしても、気味悪がって近寄らない人がいても。……私はそれで、すっごく救われたんだ」

誓子「…………そう」

爽「エヘヘッ、感謝しますっ!」ニコッ

誓子「…………」カァァァ

爽「…………」ニコニコ

誓子「…………えっとごめん、それ聖書のどこ?」

爽「私の言葉だよ! もーー!!」



【眠れない夜】

爽「カムイの子より教会の娘への手紙――最終節」

爽「『…………ありがとう。大好き』」

爽「…………」

爽「…………」

爽「…………」

爽「はーぁっ」

爽「…………いつ渡せるんだろうな、この手紙」



【君のせいだよ】

誓子「教会の瀟洒な淑女よりカムイの君への手紙――最終節」

誓子「『我は汝の隣人なり。アーメン』」

誓子「…………」

誓子「…………」

誓子「…………」

誓子「はーぁっ」

誓子「…………伝わらないわよねーこんなの」

誓子「いやでも汝の隣人を愛せなんてまさに基本中の基本だし? わかんなかったらそれこそうちで三年間何やってたんだって話でしょいやでも爽よ? こんな回りくどい書き方してもしも気づかれなかったら私がバカみたいじゃないの、というか汝の隣人を愛せってそういう意味じゃないわよ? もっと言えば私と爽は隣人なんてレベルのアレじゃないからね? ないのよ? ……でも爽よ、爽なのよ? ……」ブツブツ


カン




2019/03/22 SS深夜VIP
爽「かーもんべいびー」誓子「うっすーざーん」
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