湯町中麻雀部に慕たちが入部する半年前

雫「はぁ……」

李緒「おろろ、どうしたの浮かない顔して?」ポップコーンボリボリ

雫「…………まあね」

李緒「何か悩み事かい? 新部長」ポップコーンボリボリ

雫「……それよ、その新部長」

李緒「?」ポップコーンボリボリ

雫「私になっちゃったじゃない……。麻雀部の新部長」

李緒「そだね」ボリボリボリボリ

雫「二年の先輩たち誰もやりたがらないから……。私まだ一年生よ……?」



李緒「いいんじゃない? 雫が一番責任感ありそうだし」

雫「…………」

李緒「麻雀への思い入れだってありそうじゃん」

雫「そういうのは……みんな持ってほしいよ……」

李緒「私はポップコーンのお供にちょろっと麻雀打てたらそれでいいもん」

雫「……普通逆だよね?」



雫「はあ……。憂鬱」

李緒「…………」

雫「やっていけるか……。不安だよ……」

李緒「…………」

雫「どうしたらいいのかな……」

李緒「…………」



――この時、私にはいくつかの選択肢があったんだと思う。

悩める親友に対して、なんと言葉をかけたらいいものか。

それはまるで、ゲームのシナリオが分かれるような分岐点。

……そして、その時軽率に選んだその一言が……。

親友の未来を、いや、筋肉を決めることになったんだ。







「筋肉にお願いしたら?」







部長としての仕事を果たしながらだったから、それは大変だったと思う。

でも、君はそんなことをおくびにも出さずに……普段と変わらぬ様子でがんばっていた。

大変じゃないの? って、いつだか一度だけ聞いたとき。


「こんな私でも、麻雀部のためにできることが……続けられることがあるってわかった。それが嬉しいの」


君は笑ってそう答えたね。



そして春。

二年生になって迎えた、念願の新入部員。


「見た!? 今年の新入生!!」

「全国に行った白築さんに、瑞原さんに……! そのほかにもたくさん……!」

「うれしい……! うれしい……!」

「来てくれるかな、麻雀部……? くれるよね……! ね……!」



あのときの嬉しそうな顔。

いざ対面したら情緒不安定爆発しちゃって、思いっきり引かれてた時の顔。

今でもよく覚えてる。



私は知ってるよ。

「こんな強い子たちが来てくれたのに、部長がへたれてたら申し訳ないよ……」

そんな風に言って、

新年度からその努力がもっと増えたことを。

部のために、そして自分のために。

決してその姿を表に出さず、裏でがんばり続けた君は――


雫「ロン! 12300です!」

真葉「! …………はい」

雫「デバサイ!!」



千沙「デバサイ……だな」

杏果「デバサイ?」

李緒(……えっ)

千沙「出場所最高……。一番いい相手から和了れたってこった」

玲奈「なるほど」

李緒(サイ……?)

閑無「いいぞいいぞ、いけるよ部長!」

李緒(…………まずいかも)



雫「デバサイ……サイ……」

真葉「?」

雫「サイ……」

花恋「?」

珠季「?」

雫「…………ふんっ!!」ゴォッ



雫「はいっ、サイドチェストォ!!」

                   >-<,,
               、_ノ::::::{!:::::::::ヽ_,
                f::::::::::::::::::::::::ハ
               フ::::ルヘ:::{へ::::ハ>
          __,. --、,. ヘ{!⌒ ,ヾ⌒リイヽ
        /   ヽγ´ { ヘ r-っ ハ⌒ヽ
        ,′γ⌒ ヽ  八 {:>-イ /   \
       , -{ /  ,. -‐く ノ )ノ / (   .::ハ─-、
     /  .::::_/    γ⌒ ̄⌒ヽf⌒ ̄ヽ     ヽ
    f  :/ /  ⌒ヽ.::/       ヽ    ',      ',
    jノ  :  {     /'⌒¨      .:::.   }     ノ::ノ
   / / ヽ-{:..   ー.:{ ー     ,,.. -‐、::::::::::::::::..::://ヽ
   ,′(:..   ヽ:::::::::::入       ..::::::::{`'''ー ::::/   ',
   {  \`丶、 ヽーく::ゝ、:::::::::::::::::::::::::,イ::{:::   .:} ヽ    !
    \  `丶、  ∨::レ、 ' -r─‐< :〉八::..__ノ ヽj 、..:ノ
     \丶、     \ `ー:::ノ .....ノ、二 γ´     :) ::::|
      ` '' ミ..,,_  ` ̄ ̄ \ ,,....ノ::ノ:...__,,,.. イ    !
           {ヽハ_` 、\ヽ}‐‐''"    ,,.....ノ ...::::イ
           `个::(ー‐\ヽ_}リ、_,,..____,,,,.. イ
           〔!:: ヽミ___>彡ニニニハ
            ヽ ..::::j:::::// ::i    ヽ
            ト─‐彡''"   .::|    .::ハ
            {彡/     ::::|:.  .::::::::}
                /     ..::::::}::::::::::::::::::j
           /      .:::::::::i:::::::::::::::::/
          /       .::::::::::/ ..::::::/
          ,′      ..::::::::/..:::::::イ








……そう。バッキバキのゴリマッチョに仕上がった。







――今でも、思うことがある。


雫「バックラットスプレッド!!」

真葉( ゚д゚)

雫「トライセップス!!」

花恋( ゚д゚)

雫「アブドミナルアンドサイ!!」

珠季( ゚д゚)


…………それでよかったのか、親友よ。



慕「…………初めて部長と会ったときにね」

はやり「うん」

慕「期待してるわ! って言って肩を抱かれたの」

閑無「あったなそんな事」

慕「その時の、掴まれた手の感触……。凄く印象的だった」

玲奈「印象的?」

慕「……ありゃそーとー鍛えてる」キラッ

杏果「慕?」



李緒「……ふーん、わかるの? 筋肉」

慕「あ、いえ……。なんとなく……」

李緒「なんとなく?」

慕「特にそんな……。無意識に出た言葉っていうか……」

李緒「…………そう」

李緒(…………素質、あるのかもね)



――よかったね、親友。

本当に、わかってくれる後輩が……来てくれたかもしれないよ。

……こっちのことまで。

…………。

…………正直、それもどうだろうとは思うけど。







――そして迎えた、一カ月後。県大会決勝戦の日。







夜 駅前

千沙「じゃあ……。解散な」

杏果「はーい」

閑無「優勝できなかった……」

玲奈「……ま、しょうがないよ最後のアレは」

はやり「じゃあ……私は次の電車に乗るから……」

亜搖子「おー」

美凛「おつかれー」

…………

慕「あれ……部長は……?」

全員「!」



美凛「…………そういえば、李緒ちゃんもいないね」

亜搖子「……ほんとだ」

閑無「…………」

玲奈「…………」

杏果「…………」

慕(……心配……)



シルバーマンジム 松江湯町支部

雫「うおおおおお! ベンチプレス! チェストマシーン! ワンモアセット、いっくわよーー!!」

李緒「…………」

雫「今日の悔しさは!! 全部大胸筋にぶつけるの!!」

李緒「…………そう」

雫「筋肉が!! 悔しさを忘れさせてくれる!!」

李緒「…………そうだね」

雫「次は絶対に勝ぁつ!! 筋肉でも!!」

李緒「…………筋肉では勝ってたよ、たぶん」



湯町中

閑無「…………あれ!? いねえ!?」

玲奈「ここじゃなかったのか……」

慕「さ、探さないと……」

杏果「……うーん……」

亜搖子「…………お、メール来た」

慕「!」

亜搖子「…………大丈夫みたい。いつものやつだ」

美凛「あっ、じゃあへーきだね」

慕「えっ、でも……」

美凛「問題ないよ。李緒ちゃんと一緒みたいだし」





ピロリン

はやり「……あ、部長からだ……」

はやり「……写真がついてる……」

はやり「えっと……」

はやり「……『おつかれマッスル! ナイスバルク!!』……?」

はやり「……はや~……」


カン




AA引用 AAMZ Viewer
https://aa.yaruyomi.com/

2019/10/11