小学六年生 全国大会終了後のある日

菜緒子「…………」

菜緒子「見覚えのない場所……。どこか現実感のないこの感じ……」

キョロキョロ

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「……ここは……」

菜緒子「…………夢の……中……?」



心「おねーさんっ、丹羽おねーさんっ」

菜緒子「?」

キョロキョロ

心「下だよっ! 足元!」

菜緒子「下……? あっ」

心「まいど!」

菜緒子(小禄さん……私の足元くらいの大きさ)

菜緒子(……なんなの……?)



心「丹羽おねーさんにはかわいいネコをさしあげたい」

菜緒子「うちはネコは……」

心「でもこのネコは捨てられたままにされたので大変なことになってます」

菜緒子「?」

心「あそんであげてねっ!」



                 ,,   /ヽ
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          彡
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菜緒子「…………えっ」







菜緒子「あ、あの……」

ちよ父「やあ」

菜緒子「ネコ……さん……?」


<●><●>


菜緒子「?」

ちよ父「ネコ……好きなのか?」

菜緒子「……うん」

ちよ父「私をネコと知った上での事か?」

菜緒子「う……うん」



ちよ父「実はこう見えても俺はネコじゃない」

菜緒子「えっ」

ちよ父「知代子の父です。娘がお世話になっております」ペッコリン

菜緒子「…………えっ?」

ちよ父「ないすとぅーみーちゅー」



菜緒子「知代子……って……。ええと、高橋……?」

ちよ父「ああ」

菜緒子「……お父……様……?」

ちよ父「いかにも」

菜緒子「そう……なの……?」

ちよ父「そうでなければ何だというのだ!」クワッ

菜緒子「ごっ、ごめんなさい! すみません!!」



菜緒子(どういうことなの……。高橋のお父さん、って……)

菜緒子(明らかに……人間じゃないし……)

菜緒子(というか……ネコ……でもないわよね……?)

ちよ父「…………」

菜緒子「…………」

ちよ父「…………」

菜緒子(…………どうしよう…………)

ちよ父「ところで君、何か悩みはないかね?」

菜緒子「…………えっ」



菜緒子「な、悩み……ですか……」

ちよ父「ああ。なんなりと言ってみたまえ」

菜緒子「…………」

ちよ父「…………」

菜緒子「あの……麻雀を真剣に取り組む相手が周りにいなくて……」


<●><●>


ちよ父「他に悩みはないかね?」



菜緒子「…………」

ちよ父「…………」

菜緒子「…………」

ちよ父「…………」

菜緒子「えっと……高橋って私のことどう思ってるのかなって……」


<●><●>

<●><●>


ちよ父「他に悩みはないかね?」



ちよ父「それじゃあお別れだ」

菜緒子「えっ?」

ちよ父「君の悩みはよく聞かせてもらった」

菜緒子「いや……何も解決してな……」

ちよ父「君は本当の高橋を探すんだ。今の君には無理だが」

菜緒子「ええ!? 本当の高橋って何よ!?」

ちよ父「俺に聞かれてもなあ」スウッ

菜緒子「ああ! 待って!! 飛んで行かないで!!」



菜緒子「…………って」

菜緒子「……待っ…………たか……は……」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

ガバッ

菜緒子「…………はっ!?」

菜緒子「…………」

菜緒子「……夢……」

菜緒子「…………悪夢を見たわ」



菜緒子「…………」

菜緒子「本当の……高橋……」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「私は……高橋を……」



菜緒子「…………」

菜緒子「いやいや、違うから。あれに言われたからってわけじゃ断じてないから」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「……ち、違うから!! 絶対そんなんじゃないんだから!!!」



ピッ ピッピッピッ

プルルル プルルル

……

菜緒子「もしもし高橋? あなた中学はどこへ進学するつもりなの?」

菜緒子「…………何言ってるの、聞いてみただけよ。いいから早く教えなさい」

…………

……




数日後

菜緒子「…………」

菜緒子「また……? 今度は建物の中……」

キョロキョロ

菜緒子「豪華なお家の大広間……。どこかしら、ここ……」

ちよ父「やあ、いらっしゃい」

菜緒子「!」

ちよ父「うぇるかむ」

菜緒子(自然と奥から出てきた……。我が家のように……)

ちよ父「遠慮することはない。ゆっくりしていきたまえ」

菜緒子「…………」



ガチャッ

慕「まいど」

ちよ父「まいど」

菜緒子「あっ、白築さん……?」

慕「丹羽さんお久しぶり。まいど」

菜緒子「ま、まいど……」

慕「おみやげだよ。かけつけ一杯つぶつぶドリアン」

菜緒子「いらないわ」

慕「おいしいのに……」

菜緒子「…………いらないわ」



菜緒子「……そうだ、それより白築さん」

慕「何?」

菜緒子「今、気安く挨拶していたけど…………。コレと、知り合いなの?」

慕「うん」

菜緒子「何なの……? 一体これは……」

慕「それはちよちゃんのお父さんだよ」

菜緒子「……あなたまでそんなこと……」

慕「紹介するね、お知り合いだから。こちら私のお父さん」

菜緒子「えっ」





    ________
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     ヽ._>              \__)



ちよ父「やあ、久方ぶり」

ジュウシマツ住職「うむ、しばらく」

菜緒子「……えっ」

ちよ父「せっかく来たんだ、夕食でもどうかね」

ジュウシマツ住職「いただこう」

慕「わーい」

ちよ父「君も食べていくかね?」

菜緒子「えっ」

ジュウシマツ住職「うむ」

菜緒子「いや……私は……」

ちよ父「赤いものも入っているが……。遠慮しないでください」

菜緒子「赤いもの……?」



ちよ父「君はトマトも食べろよ」

菜緒子「トマト……?」

慕「丹羽さんはトマト好き?」

菜緒子「…………嫌いじゃないわ」

ちよ父「好きとか嫌いとかはいい」

ちよ父「トマトを食べるんだ」



ジュウシマツ住職「そうだトマトを食べるがいい、我が義弟の分まで」

菜緒子「おとう……と……?」

ジュウシマツ住職「ああ、妻の弟だ」

菜緒子「……どうして……?」

ジュウシマツ住職「彼はトマトが嫌いでな……。こんなに赤いのに」

ちよ父「ああ、こんなに赤いのに……」

ジュウシマツ住職「……彼は食べられないという」

ちよ父「ああ、彼は食べられないという」

菜緒子「…………」

ジュウシマツ住職「…………」

ちよ父「…………」

二人「「君はどうかね!?」」ギロッ

菜緒子「ひっ」



菜緒子「ト、トマトなら……食べられますけど……」

ちよ父「…………」

菜緒子「…………」

ちよ父「……赤いんだが?」

菜緒子「…………はい」

ちよ父「こんなに赤いのに……君はおいしいと言う……」

ジュウシマツ住職「赤いのになあ」

菜緒子(…………何なの…………?)

慕「つぶドリは?」

菜緒子「遠慮するわ」

慕「…………そう」ショボン



咏「お邪魔するよっ!」

菜緒子「……あ、全国大会の」

慕「三尋木さん、まいど」

咏「まいどっ!」

菜緒子「三尋木……さん……?」

咏「おーう、話すのは初めましてだねぃ。まいど!」

菜緒子「いや……どうしてここに……」

咏「丹羽ねえさんを起こしに来たんさ。ほら、たかー、なすびー」

菜緒子「…………」



菜緒子(いや……ちょっと待って……)ジーッ

咏「ん?」

菜緒子(よく見たら……。三尋木さんじゃなくて、体に巻いたネコから声が出てる……?)

咏「どーかしたかいっ?」

菜緒子(…………気のせいか……目や口も動いてたような……?)

咏「…………」

菜緒子(……ぬいぐるみ、よね……?)」ジーッ

ネコ「なんやっちゅーねん」

菜緒子「!?」



菜緒子「な……え……?」

ネコ「よう気づいたな」

菜緒子「!?」

ネコ「……せや、わしがこの子に寄生して操っとる……三尋木咏の『本体』や」グワオ

菜緒子「えっ!?」

ちよ父「やあネコよ、調子はどうかね」

ネコ「ぼちぼちだねぃ、まいどっ!」

ちよ父「貴様と慣れ合うつもりなど無いわ!」クワッ

ネコ「つれないねぃ」

菜緒子(ネコと……話してる……)



ジュウシマツ住職「元気そうだな、ネコーよ」

ネコ「おおっと、その呼び方はタブーっさ。こっえー界隈に目ぇつけられちゃうぜぃ~?」

ジュウシマツ住職「はっはっは、失敬失敬」

慕「あははっ」


菜緒子(……なんでみんな、自然に接してるの……?)

菜緒子(寄生生物なんて……、操られてるなんて……! 大変なことじゃない……!)

菜緒子(…………)

菜緒子(なんとかしなくちゃ……!)



菜緒子「三尋木さん! 今助けるから!!」

グイッ

菜緒子「…………えいっ!」


ぶちっ


慕「あっ」

咏「」



ドサッ





菜緒子「えっ……」

咏「」

菜緒子「……倒れちゃった……。ネコを引き抜いたと同時に……」

咏「」

菜緒子「……魂が抜けたような目……ピクリとも動かない……」

咏「」

菜緒子「三尋木……さん……?」

咏「」

ジュウシマツ住職「やっちまったな」

菜緒子「えっ」



ちよ父「死んだな」

菜緒子「えっ」

ジュウシマツ住職「死んだねえ」

慕「うん」

咏「」

菜緒子「……そん……な……」

咏「」

菜緒子「ウソ……でしょ……?」

咏「」



慕「ちぎれちゃったね、ネコさん」

ジュウシマツ住職「ああ」

菜緒子「いや……私はただ……」

咏「」

ちよ父「君は体がちぎれたらどうなる」

菜緒子「死にます」

ちよ父「死ぬようなことを……」

ジュウシマツ住職「死ぬようなことを……」

菜緒子「……そんなつもりじゃ……」

咏「」

慕「とりあえずつぶドリ飲む?」

菜緒子「いらないわ」

咏「」



ちよ父「死ぬような……」

ジュウシマツ住職「死ぬような……」

慕「つぶドリ……」

<●><●>  ゴゴゴゴゴ

{0} /¨`ヽ {0}  ババッ シュババッ

菜緒子「ひっ」

ちよ父「死ぬようなことを!!」 クワッ

ジュウシマツ住職「死ぬようなことを!!」 クワッ

慕「つぶドリ!!!」

菜緒子「いやぁぁぁーーー!!!」



…………

……

がばっ

菜緒子「…………」

菜緒子「……夢……か……」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

菜緒子「…………」

ピッ ピッピッピッ

プルルル プルルル

……



菜緒子「……もしもし高橋? ちょっと話が……えっ、何度も電話してきて嬉しい? 何言ってるの真剣な話よ」

菜緒子「それよりあなたのご家族について詳しく知りたいんだけど……はぁ? ご両親に紹介なんてまだ早い? そういうんじゃないわよバカ勘違いしないでなによ高橋のくせに」

菜緒子「……あと、近いうちそっちに行くから。デート? なに沸いたこと言ってんの横浜で三尋木さんと会いたいのよそうその三尋木さん、だから会える段取りつけときなさいそうよあなたが。面識ないとか知らないわよどうにかしなさい命令よ」


カン




2020/10/04