探偵物語

2006年03月21日

ストーカー

♪ストーカーと呼ばないで あなたが好きなだけー♪

朝食バイキングをスタンバイしてる間(つまり開店前)、有線のチャンネルを1に合わせ
歌謡曲(ひょっとして・・・死語?)をかけております。
最近、上記の不気味な曲がかかるようになりました。

女性歌手が淡々と歌ってます。
(歌詞はうろ覚えだけど、意味は間違ってない筈)

♪あなたに毎日手紙を書くのが日課になりましたぁ
 あなたに届いた手紙を読むのが日課になりましたぁ♪

とか

♪あなたに毎日電話をするのが日課になりましたぁ
 何を話せばいいのかわからなくて無言電話でかけてますぅ♪

とか・・・正真正銘のストーカーじゃん!!


で、ストーカーで思い出しました。

昨年10月12日にUPした「ストーカー前・後編」
この投稿では、女性の車に精液をかけ続ける変態ストーカーの話を紹介しましたが
他にも首をかしげたり、背筋が凍るようなストーカー対策の依頼を取り扱った事が、我が福岡調査室にはあります。
どちらも私の入社前であった為、私が調査したワケではないのですが・・・。


「毎日、我が家の門の前にバナナの皮が落ちている」
と調査を依頼してきたのは初老の男性。
依頼人からこの話を最初に聞いた時、所長は危うく笑うところだったらしい。

で主任が調査に入った。
早朝4時に現場入りした時には・・・。

「たしかにバナナの皮がいっちょだけ(一つだけ)落ちとっさい」
と後日、入社して間もない私に教えてくれた主任。

まぁ「たかがバナナの皮」と、最初はさほど気にも止めてなかった依頼者もさすがに連日落ちていてかなりカリカリしだしたらしい。
そんなある日、いつもは門の前の落ちているバナナの皮が玄関前に落ちていて、ドリフのコント並みに滑ってこけたらしいw
これで依頼者の堪忍袋の緒が切れた。それで調査依頼となったワケ。

犯人の特定は簡単。ただバレないように張り込めばいい。
それも依頼社宅の塀の中に潜んでいて、ブロックの隙間から覗いていればいいのだ。
犯人も簡単につかまったらしい。何のことはない、犯人は近所の住人で日頃からロクに挨拶も交わさない依頼人に「うさ晴らし」をしただけの事だった。



この「バナナの皮」くらいなら他人には笑い話で済むが、今度の話はそうもいかない。

「週に二回はソレがあるんです」
と依頼者が言う。
依頼者の言葉に眉をひそめる所長。

依頼者はまだ若く、20代半ばの男性。ここ数ヶ月の間週に二回は自宅に届く「贈り物」に頭を悩ませている。最近は仕事の為の外出も怖いという。

「贈り物」はどうやら深夜、家族が寝静まった頃に届くようだ。
「贈り物」は決まってコンビニ袋に入れられ、玄関のドアノブにかかっている。

所長 「それ本物なんですか?」
依頼人「間違いなく本物です」
所長 「警察には相談しましたか?」
依頼者「もちろんしました。周辺のパトロールを強化するからとだけ・・・」
所長 「それだけ!?」
依頼者「はい」

所長が驚くのも無理は無い。しかし警察なんて所詮はそんなものなのかもしれない。
警察に相談しても相手にされず、結果ストーカーに殺害された女子大生の事件だって事実起きた。警察が動くのはいつも「何か」が起こってからなのだ。
事実私も、別れた元彼が結婚するという話を聞きつけ、元彼に「絶対に殺してやる」と殺害予告のメールを毎日送りつけた女性を張り込み行動を監視した事がある。
元彼は広島在住、女は福岡在住。元彼は広島県警に相談したが・・・・。
「予告の当日は署に捜査員を待機させておくから、興信所にでも依頼して元彼女が新幹線などで広島に来る動きをみせたら、連絡するようにしておきなさい」
との返答だったとの事。
「何か」が起こってからでは遅いのですよ?

話が横道にそれました。軌道修正、軌道修正。

そろそろ皆さんもコンビニ袋の「中身」を知りたいでしょう?

中身、それはズバリ猫の生首でした。

では一体誰が?単純に考えて30匹近い猫を犠牲にした猟奇的な犯人は?

通常の調査では、一件に付き一名の調査員で臨んでいるが「相手」が相手なだけに三名の調査員を配置。

犯人は一人ではなかった。
若い男三人が、車で依頼者の自宅に乗り付け「贈り物」を届けていたのだ。
証拠写真を警察に提出。ココまでやれば警察も重い腰を上げざるを得ない。
三人はすぐに逮捕された。

取り調べの結果、驚くべき事が分かった。
三人は依頼者とは接触は無かった。
では何故?
この事件には黒幕がいた。

依頼者の別れた元彼女だった。
どんな別れ方をしたのかはしらない。
元彼女は元彼である依頼者に復讐していたのだ。

では猫は?

黒幕である彼女が「用意」していたとの事だった。

私が担当した事件、聞いた事件の中でも最も陰惨な事件でした。 


yamasann0940 at 23:25|PermalinkComments(8)TrackBack(0)

2006年02月12日

調査報告書3 最終回

「調査報告書」の最終回です。


20:32 隣に座っていた男性Aが席を立つ。自分が出していたドル箱1つを持ち
      立ち去る際に本人と会釈を交わす。

   47 女性Aが現われ、本人と言葉を交わし立ち去る。

   54 時計を見て時間を気にする。

   59 9つ目の箱を使いきり、8個目の箱を手元に置き再び台に向かう。

21:23 かからなくなった台に首をかしげた後、台に向かって両手を合わせて
      拝んでいる。

   36 本人が後ろに積んでいた箱6個を、従業員が台車に載せ玉数の計算機
      に運んでいく。

   43 従業員が計算を終えた端数の玉を持ち、本人の所へ。

   51 本人が遊戯を終了。台より立ち去る。

   53 玉数を数え終わりカウンターへ

   54 景品交換所へ

   56 男性Aと接触。別れの挨拶を交わす。
 
   58 地下鉄「祇園駅」より地下鉄に乗車。

22:11 「天神駅」にて下車。構内の公衆電話の列に並ぶ。
      しかし結局かけずに並んでいた客に頭を下げ立ち去る。

   15 7番出口より本人が出る。

   20 福岡銀行本店前の屋台「一輪」に入りラーメンを注文する。

   35 同屋台より出てくる。

   40 西日本鉄道「福岡駅」へ。330円の乗車券を購入。

   42 駅構内のトイレへ

   43 急行「柳川行き」乗車。

   45 同電車発車

23:03 西鉄二日市駅にて下車。

   05 駅前に待機していたタクシーに乗車。
      タクシー○○社 105号車
      福岡35 き55−1×

23:08 自宅に戻る本人を確認。タクシー料金1070円
      これ以降の外出は無いものとし、現時点を以って本日の調査を解除する。




調査報告書には数十枚の証拠写真を添付します。
今回のケースでは駅に立っている本人や(もちろんフレーム内に駅名の看板を入れます)
パチンコに興じる本人の姿等を中心に撮影しました。

実はこの男性を後に3回ほど調査したのですが、その全てが同じパチンコ屋に通っていました。
当然その調査結果を受け、御両親大激怒
このパチンコ屋と我々の事務所は、すぐ近くで歩いていける距離。
父親が調査報告書を読むなりすぐに立ち上がって言ったらしい。
「行こう。どうせ今日もこのパチンコ屋にいってるんだろう」
数十分後にはこのドラ息子、パチンコ屋から「連行」されたらしい。

この調査で出てきた男性Aを後に調査する事になりました。
「何故か?」って?
このドラ息子、連行後に自宅で説教された際にこんな事を言ったらしい。
「パチンコ屋で凄い人と知り合いになった。いくつも会社を経営している人で、帰るときには若い衆がベンツに乗って迎えにくる。ボディーガードもついている」

聞いてるコッチが恥ずかしくなるような嘘。
「ただ遊んでいたのではない。人脈を作っていたんだ」
とでも言いたかったんだろうが、あまりにも幼く御粗末な嘘。
しかし・・・・
両親は信じられない事にコレを真に受けた。

「この男性Aが怪しい!!」

で追加調査
パチンコをやらない俺には辛い調査。
いい加減店員にも怪しまれそう。
パチンコ屋から彼を尾行し、彼の自宅を突き止めた。
ポストを漁って電話番号をGET。
社長の「電話調査」で彼の人となりが分かった。

調査の結果、当たり前だがAはシロ。
子供達は独立し、妻は既に他界。会社も定年退職し年金生活で唯一の楽しみがパチンコ。
彼にしてみれば(気付いていないとはいえ)迷惑な騒動だったでしょうね。



yamasann0940 at 19:58|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

調査報告書2

では前回の続きから・・・・
「だらだらと長い!!」
とお叱りを受けるかもしれませんが、本物の「調査報告書」がどんな物なのかを皆さんにお伝えしたいので・・・。


16:08 少し取り戻したようで、底が見えていた5つ目の箱がほぼ満杯となっている。

16:38 女性Aが本人に話し掛けているのを確認。

16:50 隣に座った50〜60代位の男性(以後男性Aと称す)と話しながら、お互い遊戯
      を続けている。
      男性Aの服装については以下の通り。
      グレーのベレー帽、黒の皮ジャン、黒のズボン、グレーのベスト
      紫のカッターシャツ。

17:07 女性Aは相変わらず本人の周りをうろついている。

17:08 ドル箱は7つ目となり8つ目に突入する勢い。
 
17:55 7つ目の箱は無くなり、6つ目の箱を手元に置き席を立つ。

17:58 「みどり牛乳」を自販機で購入し戻ってくる。

18:09 男性Aと身振り手振りを交え談笑している。女性Aの姿は無い。

18:19 腕時計を見て時間を気にするそぶりを見せる。

18:20 本人が遊戯する台が「かかる」

18:27 箱が7つ目となる。

18:30 腕時計を見て時間を気にするそぶりを見せる。

18:33 箱8つ目

18:38 箱9つ目

19:10 腕時計を見て時間を気にするそぶりを見せる。

19:20 腕時計を見て時間を気にするそぶりを見せる。

19:45 本人がポーチを手にし、台から立ち去る。ドル箱は台に残したままである。

19:53 「みどり牛乳」を自販機で購入し戻ってくる。
      溢れて手にかかったらしく、牛乳がついた手を舐めている。

20:00 ドル箱が10個目

20:17 箱1つを使い果たし箱が9つとなる。
      時計を見て時間を気にするが遊戯を続ける。


さて今回はこの辺で終わりましょう。
探偵物語、調査報告書編次回で最終回です。

yamasann0940 at 02:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年02月10日

調査報告書

最近はFLASHやら、サイトやら、スレッドやらの紹介ばかりで
自分の文で勝負しておりませんでした。

久しぶりに人気がある「探偵物語」でもUPしてみましょうか。

部屋を掃除しておりましたらば、調査中に記録をしていたメモ帳が見つかりました。
ボイスレコーダーなんて洒落た物を持ってなくて・・・
車を運転しながらとかにメモってたから、調査が終了したらすぐにワープロに向かわないと
・・・つまり記憶が残っている内に書き起こさないと分からないくらいの走り書き。
だから今読んでも、サッパリ分からない内容のものばかり。

しかし、今でも情景が蘇るものがありました。

皆さんが仮に探偵を雇い、調査を依頼した場合にはこんな報告書が届きますよ・・・・。
と、いう事で・・・今回は調査報告書の書式にのっとって投稿してみます。

今回のケースは対象者のご両親から。
「息子は現在無職。毎日ハローワークに行くといって出かけているが、毎回いい職場がないと言って帰宅する。ホントに行ってるのかどうか確認してほしい。悪い友人と付き合っているのではないかと心配もしている」
という依頼内容。

では、お楽しみください。

               調査報告書

調査内容 素行調査
調査日  平成13年1月30日
被調査人 ○○ △△(以下 本人と称す)
     25歳 男性
調査対象車両
     本人所有ならびに使用車両無し
調査起点 本人自宅
     福岡県二日市市○○ △△-□□-××
     TEL 092−924−○○○○


平成13年1月30日

10:00 当方、本人宅付近にて待機。調査を開始する。
      天気は晴。雲はあるが雨雲ではない。

10:27 本人宅に来客あり。近所の住民と思われる。50代女性と見られる。 
       赤い上着を着用している。会話の内容は聞き取れないが本人の母親らしき女性
      と談笑している。

10:45 来客が門より出てくる。同女性はその場より立ち去り坂を登っていく。

10:50 
  〜   本人宅に動きなし。
11:40

11:40 本人が本人宅門より出てくる。本人は徒歩である。
      尚、本人の服装はグレーのフリースジャケット、薄茶色のズボン、水色の靴下
      茶色の靴、メガネ着用。茶色のポーチを持っている。

11:42 本人宅最寄の西日本鉄道のバス停○○より○○番のバスに乗車。
      座席に座る。他の乗客と会話をする様子も無い。

11:46 JR二日市駅にて下車。運賃は200円。

11:47 270円の切符、300円の特急券を購入。
      情報では本人は本日、特急ソニックに乗車し小倉駅へ向かい、北九州のハロー
      ワークを訪れる予定という事であったが、この運賃では小倉に行く事はできず
      博多駅へ向かうものと推察する。

11:50 特急に乗車。4号車に乗り込み座席番号2D(窓側)に座る。

12:00 JR博多駅にて本人下車。

12:01 徒歩で大博通りを進み博多湾方向へ

12:10 パチンコ店「Gion1☆1」に入店する本人を確認。
      そのまま「CRFビッグパワフルFX」506番台に着席。
      遊戯を開始する。
      所在地
      福岡県福岡市博多区祇園1-30

12:30 本人が席を立ち移動するが、席はキープしている様子。

12:31 本人が席に戻ってくる。パック入りのドリンクを手にしている。
      (みどり牛乳)

13:00 現状変わらず。本人に近づく客も特に無し。

13:20 本人の遊戯する台が「かかった」様子。

13:24 本人の遊戯する台の隣に60代〜70代とみられるグレーのコートの男性が座る。
      本人と顔見知りという事でもなさそうで、会釈等を交わす事も無く、二人は
      パチンコに熱中している。

13:29 本人が席を立つ。店内の自販機方向に歩き出すが、すぐに踵を返し反対方向へ
      歩き出す。本人は「ドル箱」2箱を残したままトイレへ向かった模様。
      尚、隣に座っていたグレーのコートの男性もほぼ同時に席を立ち
      その場から立ち去る。

13:34 パックのドリンク「ミルクまろやかコーヒー」を手に、本人が戻ってくる。

14:00 本人の遊戯する台が再び「かかった」模様。

14:39 ドル箱が5箱に

14:57 ドル箱が6箱に

15:20 顔見知りと思われる60代位の女性(以後女性Aと称す)が本人に話し掛け
      本人もそれに笑顔で応じる。

16:02 本人の後ろに積まれている箱が4つに減っており、手元においている箱も
      残り少なくなっている。



ああ・・・長い・・・
今回はここまでという事で。
続きは次回の投稿で。
 

yamasann0940 at 21:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年01月03日

探偵純情派

改めまして・・・
皆様、明けましておめでとうございます。
今年も昨年同様、宜しくお願い致します。

本題に入る前に・・・
私、本日光学式のマウスと、葉書・住所録ソフトの「筆まめVer.16」を購入いたしました。
光学式マウス・・・いいですねコレ!
今まで使っていたマウスに感じていたストレスが嘘の様に解消しました。
カーソルがすいすい動く動くw
買ってよかった!!


さて・・・久しぶりのカテゴリ「探偵物語」です。
今回のお話は、私を含めた福岡調査室の三人の探偵が依頼者からの手紙に心を強く動かされたというケース。
担当したのは私ではなくて、福岡調査室の調査責任者のM主任。

うだるような暑い夏のある日、所長がある依頼書を持ってきました。
夏の調査は出来る事ならやりたくない。

何故って?
張り込みがとにかく大変。
車の中で張り込もうものなら正に地獄。
ガラスにスモークを貼った車内で、息を潜めてなければならない。
当然エンジンもかけれないし、クーラーなんてもってのほか。
もちろんガラスも閉めたまま。

そりゃあね、死ぬって。マジで。

毎年夏になると必ず、自分の子供をパチンコ屋の駐車場で車に乗せたまま煮殺す馬鹿親がいるけれど、アレを自分の意志でやるんですから。
正に軽目の自殺。

そんな理由もあって「誰がやるの?」ってな表情で、顔を互いに見合わせニヤリと苦笑い。
ここまでは夏の見慣れた光景。

しかし、今回はいつもとは少し違っていた。

「素行ですか?」
と主任。
「そう、浮気調査。依頼者は本人(被調査人)の婚約者でね・・・」
と所長が言葉を続ける。

それによると・・・
依頼人は広島(だったと思います。うろ覚えでスマソ)在住。20代半ばの女性。
結婚式を2ヵ月後に控えたある日、福岡で一人暮らしをしながら働いている婚約者の男性(被調査人)から「式の日取りを延期させて欲しい」との連絡(電話)が入った。
婚約者の浮気を疑った女性が訊いてみると「違う」と否定するが、理由に付いては言葉を濁すとの事。

「女やろうなぁ」
と主任。
「そうでしょうねぇ」
と俺たち。

「でね、依頼者は勤め先も寿退社で既に辞めててね。凄く不安になってるのよ。当たり前だけど」
と所長。
「うわちゃあ・・・かわいそうに」
と俺たち。
「で、調査の人に・・・って事で、手紙が来てるから」
そう言って所長が一通の封筒を手渡した。

凄く達筆の綺麗な字でした。
丸文字でもなく、書いた依頼者の誠実な人柄がうかがえる文字。
それに加えて何よりも俺たちが感動したのは、以下のような一文。

「こんな暑い時期にこんなお願いで申し訳ありませんが、どうかよろしくお願い致します」
こんな心配りをしてくれる依頼者は初めてだった。

「コレ、俺がやるわ」
主任が言った。
「何が何でも絶対に結果を出す。俺、無茶苦茶感動したよ!絶対にこの人の力になる!」
元々熱血漢で正義感の強い人だから、こうなると益々心強い。

俺も、もう一人のH先輩も感動してた。
M主任と同じ思いだった。

同封されていた写真は、依頼者が婚約者と一緒に映っている写真だった。
綺麗な人だ。婚約して幸せそうな心からの笑顔だった。
それがまた、俺たちの心を締め付けた。
依頼料は決して安くは無い。新生活を送るためには残しておきたい金の筈。
その「重さ」が益々、M主任の心に火をつけた。

調査は簡単に終わった。
婚約者はやはり浮気をしていた。
相手の女性は同じ会社で働くOL。容姿に関して言えば依頼者には遠く及ばない。
なのに何故?
もちろん恋なんて顔だけじゃない。
しかし、あの手紙からは依頼者の「人柄の良さ」が充分に感じ取れた。

仕事が無事に成功しても、主任はもちろん俺たちも喜べなかった。
空しくて哀しかった。

調査報告書を依頼者に手渡すと、依頼者は大泣きして涙を止める事が出来なかったそうだ。
会社も辞め、友人達には幸せな報告をし、病気で身体を壊しながらも男手一つで依頼者を育て上げた父親(母親は依頼者が幼い頃に亡くなったらしい)が、コツコツと貯めたお金で買ってくれた新生活の為の家財道具も自宅に所狭しと置かれているらしい。
父親は娘の結婚式を本当に心待ちにしているらしかった。

「私、父に何て言えばいいんですか?とても言えません」
そう泣きながら呟く依頼者に所長はかける言葉もなかったらしい。
「一日も早く清算して、こんな男は忘れなさい」
そう言うのが精一杯だったとの事。

私も後日、これと似たようなケースを担当して、やはりやるせない思いをすることになりました。それについてはまた後日・・・。


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2005年11月21日

探偵ソロデビュー4

何やら過疎ってますが、このまま突っ走ります。

深夜の1時頃に本人宅に到着。
本人宅周辺を歩いてみる。
この時間は、まだまだ起きている住民も多い。
調査用機材をセットする時間は、そう長くはないがその間は全くの無防備。
本人宅のみならず、周辺住民が寝ないと怖い。
車に戻り仮眠ポイントへ。

コンビニ弁当を食べ仮眠を2時間半ほどとった後、再び本人宅へ。
さすがに周辺住民も就寝の様子。
機材をセットして再び仮眠ポイントへ。
本人に動きだすのは7時頃。
まだ一眠りできる。

6時過ぎに起床。本人宅に移動する。
本人の車はまだ車庫にある。
つまり本人はまだ家の中にいると思われる。
張り込み開始。
いつもの通り、7時ごろ本人が外出するのを確認。
車に乗り込み仕事場の産廃処理場へ。

今までの投稿分で触れるのを忘れていたけれど、先輩との研修中に一度だけ本人が女性と接触している。その時は短い間の接触だったがその女を尾行し、住んでいるアパートも確認済み。内偵でその女が看護婦である事は調査済み。年齢は50歳過ぎ。
それ以降、その女との接触は無かったが、本人の浮気相手の第一容疑者である。

18時頃にいつものように本人が仕事を終えた。
今までなら真っ直ぐに帰宅していた本人だが、今日は違った。
本人が運転する車は看護婦が住むアパートに向かっている。
案の定、車はアパート付近に駐車。車を降りた本人が看護婦の部屋に入った。

アパートの入り口の前は田んぼ。
写真を撮るのに障害物も無いが、隠れる場所も無い。
コレって結構怖い。

主任から連絡が入った。
『どうね、山口さん。なんか動きあった?』
「はい。本人が例の看護婦の部屋に入りました」
『え!?ホントね!写真は撮ったね?』
「すみません・・・ソレが撮れませんでした」
『よかよか、出て来るトコが撮れればよかっさい』
「はい、頑張ります」
『俺ントコも今、本人が女と会ってからホテルに入ったっさい。これで証拠が撮れたけん、ココはもう終わってからそっちに行くけん!』
「マジですか?助かるなぁ」
『間に合うかどうか分からんばってんが、とりあえず頑張ってみて』
「はい」
主任の現場は熊本。俺は山口。距離はかなりある。
本人がいつ頃、部屋を出るのか分からない
服が汚れるのも構わず田んぼの中に入りつつ、撮影ポイントを探す。

結局本人はその日家に戻らず、お泊りのご様子。
主任も到着し、アパートの出口のすぐ前のあぜ道に車を停めて車内で二人で張り込み。
俺が当時乗っていたのはランドクルーザー。
車内が広いのでゆったりと張り込める。

部屋に動きがあったのは辺りがまだ暗い朝5時頃。
部屋の電気が点いた。
「山口さん!出てくるかもしれんよ!」
主任の言葉に弾かれるようにカメラを構えた。
主任も構えた。
約10分後、玄関の鍵が開く音がした。
カメラのシャッターを切る。連続シャッターで撮影する。
部屋から本人が出て来る様子がカメラに収まっていく。
後で分かった事だが、俺のカメラが男を追い続けたのに対し、主任のカメラは俺たちが乗った車に気付き、ドアの隙間から不安げに様子を窺っている女を撮影していた。
本人が女の部屋から出て来る写真は既に撮ったのだから、後は女の写真。
キャリアの差がこの撮り方だけでも現われている。

本人もこちらに気付いた。立ち止まり睨み付けてくる。
時既に遅し。
俺たちは証拠写真をお釣りがでるくらいまで既に撮った。
ランクルを発進させ、笑いながらその場を脱出。

その日の内に俺と主任は福岡に戻り、調査報告書を作成。
撮影した写真を現像し、報告書に添付。

所長の手から依頼者に手渡されたその報告書。
依頼者は夫の浮気を確信し、怒り心頭。
新たな依頼が発生する。
「この二人を別れさせてください!!」
「仕事料」は150万円。
この「仕事」は下請けとも言える「別れさせ屋」にまわされた。
「別れさせ屋」がどんな手段を使ったのかは分からない。
実際に二人が別れたのかどうかも分からない。

俺一人の仕事ではなかったけれど、俺の初仕事は高い評価につながった。

そんな俺の探偵ソロデビューのお話でした。


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2005年11月20日

探偵ソロデビュー3

そんなこんなで三日間の研修を終え、私と先輩は福岡事務所に戻りました。
それから三日間ほど私は仕事も無く、事務所で留守番。
主任(福岡事務所の調査員責任者)と先輩は別の現場に出ています。

事務所の掃除や、カメラの操作に慣れるための練習。
なかなか進まない時間を、なんとかこなして仕事らしきものをしてました。

そして4日目、事務所に出勤していつものように仕事の予定が書き込まれたホワイトボードに目をやって驚きました。

     ○○(山口)
      山口

○○は調査対象者の名前、(山口)は山口県という事。下段の山口は即ち私の苗字。
つまり山口県で○○の調査に私が入るという事。
それも明日からの調査。今晩の内に山口に出発しなければならない。

「本気ですか!?」
思わず声が出た。
所長が一言。
「もちろん」
「ちょっと待ってください。私はまだ入社したばかりで三日間しか研修してないんですよ?」
「いや、あなたなら大丈夫」
「無理ですよ!!」
「大丈夫だって。研修中に電調(でんちょう)かけたのは、あなたくらいのもの。アレができれば大丈夫」
電調とは電話調査の事。電話を直接、対象にかけて情報を聞き出す事。
簡単に思えるがコレが実に難しい。相手に怪しまれたら最後、本人に警戒心が生まれる為にその後の調査が非常にやりづらくなる為、ベテランでも緊張する調査方法。
「あれはたまたまですよ・・・」
「自信もって行ってらっしゃい。社長も誉めてたわよ。頑張って!」

余談ですが・・・社長は深夜のテレビ番組「ドシロウト」に名探偵として、出演した事がある。
で、この社長、電調の名人。
横でやり取りを聞いているだけで勉強になる。
実に巧みに情報を聞き出していく。

話が横にそれましたね。

その日の退社後、自分のアパートに帰り準備。
調査期間は三日間。対象者は研修中に「入った」産廃業者の2度目の調査。
替えの下着や洋服、カメラ、電池(調査機材に必要不可欠)、マグライト、手帳、ボールペン・・・・。
準備を整え軽く仮眠をとる。
23時ごろに起きいざ出発!!

以下4に続く・・・

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2005年11月19日

探偵ソロデビュー2

1の続きです。1をまだ御覧になっていない方は、そちらから先にどうぞ。

で、先輩について研修も兼ねた初仕事。
前回投稿したように三日間で二件の依頼をこなします。
一件目の産廃業者は真面目に仕事に取り組み、何事もなく終了。

問題は二件目。
これもまた浮気調査。
今回の山口出張最終日に、その仕事に取り組む。

ところが俺達やらかした。(博多弁 失敗した、とほぼ同意)
その日、本人は泊まり付きの会社の忘年会に出席するため、車で目的地のホテルへ移動。
ここまでは良かった。
本人は一次会終了後に、ホテルのバスに乗り込み二次会会場へ移動。
コレが実は予想外の行動で、我々が依頼者(本人の妻)から得ていた情報ではホテル内で二次会だった筈。

これは怪しい

慌てて我々も車に乗り込み追跡したが間に合わなかった。
完全に失尾(尾行中に相手を見失う事)してしまった。

「俺さぁ・・・実はこういうの多いんだよ・・・」
先輩いきなりカミングアウト。
「・・・・」
俺も返答の仕様が無い。だって先輩スゴク凹んでる。
「俺・・・責任とるわ・・・」
思いつめた表情。
「責任?どうするつもりですか?」
一応訊いてみる。
「辞表出すよ」
この一言に何故か俺がカチンと来た。今でも何故か分からない。
「先輩、簡単に辞めるなんて言っちゃ駄目です。もう少し考えてみましょうよ。俺も何かの縁で先輩と組んで研修してるんですから、俺との初仕事で辞めてもらっちゃ困ります」
「・・・・」
先輩黙ってる。
ここで俺に一つのアイデアが閃いた

「電話して聞きましょう!!」
「誰に?」
「ホテルですよ。ホテルのバスなんだから運行記録は残す筈です。ウマイこと言って聞き出しましょう!」
「・・・・」
先輩黙ってる。
でもバスを見失って二時間は経過している。時間も遅い。急がないと運転手が退社する!

「もしもし今日そちらで○○社の忘年会があった筈なんですが・・・」
と私。
『ええ、ございましたが・・・』
とフロント女性。
「私その会に出席しておりましたT(本人)の兄なんですが、身内に不幸があってどうしても本人と連絡をとりたいのですが、本人がこんな時に限って携帯電話を忘れたらしくて・・・」
『申し訳ありませんが、ご本人様はホテル外のお店での二次会に出席されていらっしゃるようでこちらでは御取次ぎできません』
知ってるっつーの。
「そうですか・・・そのお店の名前は分かりませんか」
『申し訳ございません。こちらでは生憎・・・』
フロント女性は間違いなく電話を切りたがっている。そうはさせん!!
「弟はその店にどうやって?」
『当ホテルのバスで移動なさいました』
「だったら運転手さんが何かしってるかも!本当に申し訳ないんですが取り次いでもらえませんか?」
渋る女性に頼み込み、運転手の証言で店名ゲット!!

「先輩!!やりました!!わかりましたよ!!急ぎましょう!!」
「山口さん!!ありがとう!!」
我々二人は店に急行。
幸い本人はまだ店内にいた。
この後は無事に調査が進み無事終了。

この一件が社長や、各支部に伝わり有難い事に俺の評価はうなぎのぼり。
「凄い新人がきた!」
と評判になったらしい。
たまたまなんですけどね。元々は俺ホテルマンだから、ホテルの業務の流れが分かってただけだし。


なかなか本題に入れない・・・・
続きは3へ・・・



yamasann0940 at 00:44|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2005年11月17日

探偵ソロデビュー1

久しく投稿していなかった「探偵物語」です。
今回は私が初めて一人でやった「仕事」の話です。

探偵を辞めた今でもテレビとか観てて思います。
テレビじゃ二人とか三人とか、多い時には五人とかのチームで張り込みだの尾行だのをやってます。うらやましくて仕方ない。
多分取材付きだからだろうけれど、恐らく普段の調査では、ほぼ単独行動でしょう。
少なくとも私が在籍していた興信所では、基本的には単独行動でした。
複数だと心強いだろうな。寂しくなかろうな。尾行も楽だろうな。

私がいたのは日本では大手の興信所でしたし、公告にも「全国規模」と謳っていますが、実際には福岡に私を含めた調査員が三名。岡山に五人。東京に一人。そして後は下請けとして使う、個人でやっている探偵さんたち。本社の佐賀には社長(調査に加わる事は無い)と部長(たまに調査する事がある)。このメンバーで日本全国をカバーですからペアでの仕事なんてまず無い。
私がいた福岡事務所は、山口県と九州全域を担当していました。

私は山口県と、長崎県の仕事が多くまわってきたのですが、その間、先輩方は他の県や、事務所で調査報告書の作成。
調査に入ってる間は全員がバラバラですから、三人で顔を合わせた時は必ずファミレスで食事。この時間はホント楽しくて、食事が終わったらフライドポテトとドリンクバーでの長時間の居座り(笑)
余談ですがこの時のメンバーは現在、全員探偵を辞めて堅気の仕事に就いております。

前フリが長くなりましたが、人手が足りないので基本的には一人で調査します。

もちろん入社した直後は、先輩の調査に同行させてもらい研修します。

内偵(下調べ)のやり方・・・本人(調査対象者)の自宅、駐車場、職場等の確認。
              張り込みの場所の選定。
調査用機材の使用方法
張り込みのやり方
尾行のやり方
写真の撮り方
などなど・・・

入社初日は、事務所で先輩が作成した報告書を読んだり、ワープロの使用法についての研修(使えましたけどね)でしたが、二日目に先輩と同行し山口県の現場へ。上記のような研修を受けました。

先輩の車で行ったのですが、なれない人だから気を使う。
俺の方が年上だから、先輩も結構気を使ってくれてる。

今回の山口出張は三日間。初日と二日目に一件、三日目にもう一件。
二件の依頼をこなします。

最初の「現場」は産廃業者の浮気調査。
調査日前日の深夜、先輩と待ち合わせして合流。先輩の車で山口へ移動。
内偵と、調査機材のセッティングを深夜の内に済ませてから仮眠場所に移動。
本人の自宅から2キロほど離れた山中にある、安全地帯に車を停めて車中泊。
コンビニ弁当とお茶の食事を済ませて三時間程度の仮眠。

俺はイビキが凄い。

「すみません、イビキすごかったでしょう?眠れましたか?」
「あ、大丈夫。俺、あまり気にならないから」
耳元で聞いていて気にならないワケがない。
申し訳なかったけど、その気遣いが嬉しくもある。

すぐに仕事開始。
下山し、まずはコンビニで朝食と昼食の買出し。
俺が弁当を買おうとすると先輩が一言。
「ごめん、先に言っとけば良かった。パンにしといた方がいいよ。どうしてもご飯モノならおにぎりがいい」
「そうなんですか?分かりました。でもなんでですか?」
「後で話すよ」
先輩がおごってくれました。感謝。

車内でその理由を聞いた。
張り込み中に弁当を食べると、本人に動きがあった時に動作がワンテンポ遅れる。(両手がふさがっているから)
パンなら片手でいいし、放り出しても車内が汚れる事はない。弁当なら長時間放置すると、傷んだり米が乾燥したりするが、パンならその心配が少ない。
なるほどね。

どうやら前フリが長すぎました。
中篇、後編と三部作になるかも^^


yamasann0940 at 22:45|PermalinkComments(5)TrackBack(0)

2005年10月29日

「行っちゃってる」依頼者達

こんばんわ。
最近更新が進まず、申し訳ありません。

今日はまたまた、探偵時代のお話。

先日も書きましたが興信所には色々な依頼が舞い込みます。

浮気調査
家出人捜索
素行調査
ストーカー対策
ボディーガード
等など・・・

今回は一風変わった依頼のお話

まぁ、ぶっちゃけていえば・・・・
依頼者の全員が、まともな神経の持ち主とは限らないわけで・・・

20代前半の女性からの依頼でした。
依頼の内容は、自室に仕掛けられていると思われる盗聴器の発見。
盗聴器を発見するための探知機を、依頼者宅に持ち込み調査開始。
依頼者はなかなかの美形。
調査員は2名。残念ながら私は当日、浮気調査で山口県に出張しておりました。
調査員は依頼者を見て、二人で小さくガッツポーズを交わしたそうです。
探知機に大袈裟なほど大きなアンテナをつけてスイッチを入れます。

まぁ、本当の事を言えばアンテナなんか必要ありません。
アパートの一部屋分を捜索するのに、アンテナなんか邪魔になるだけです。
では何故、アンテナをつけるのか?
依頼者を安心させるためです。ただそれだけ。
つまり、スイッチを入れた瞬間に盗聴器の有無が分かります。
ですが、一応ソレらしいフリをしながら部屋の隅々を調べます。

まぁ、ほとんどの依頼がそうであるように、この日も盗聴器や盗撮カメラの類は発見されませんでした。

「色々と調べてみましたが盗聴器もカメラも仕掛けられていないようですね」
「そうですか・・・でも・・・」
と依頼者。
「最近おかしいんです。絶対に誰かが私に電波を飛ばしてます」
顔を見合わせる先輩調査員二人。
『この人もかよ・・・』
実はこういう人、今とても多い。
こうなると話は長くなる。
「誰にも言ってない事を皆が知ってるし、体調もこの頃すぐれないんです」
「私に誰が電波を飛ばしてるか調べてくれませんか?」
「もし本当に体調を崩すくらいの強力な電波が飛んでたら、この探知機にも反応します。それに特定個人に向けて電波を飛ばすなんて無理です。私たちの体調も崩れる筈ですがソレも無いようですし・・・」
「いえ、絶対におかしいんです」
譲らない依頼者。
「そうおっしゃいましても・・・・調べるとなれば別料金になりますし、それなりに調査期間も必要になります。今、正確な調査費用は言えませんが50から60万円になると思いますよ」

受けたくない。
これが正直な気持ち。偽らざる気持ち。
こんな「電波女」から早く離れたい。

「ほら!見てください!!今光った!!ココです!!ココに盗聴器が!!」
そう言って彼女は右手人差し指でソコを指差した。
何処を?
彼女が指差したのは・・・自分の左手人差し指の爪でした。

「もし本当に仕掛けられているのであれば、私たちに取り出すのは無理です。外科手術で摘出してもらってください」
調査員の言葉に納得して頷く依頼者。

探知機を片付け、車に乗り込み発車。
二人は顔を見合わせこう言ったとさ。

「勿体無い・・・・」








yamasann0940 at 19:20|PermalinkComments(6)TrackBack(0)