2011年09月30日

The Rip Tide <Beirut>



約4年ぶり、3枚目のオリジナルアルバム。

バルカン、フランス、メキシコとリリースごとに旅をするかのように、
その土地の音楽を作品に反映させてきたベイルート。
対して今作では特定の土地の色を感じさせる作品ではない。
旅を経て、安住の地を得たかのような集大成的アルバムとなった。

元はザック・コンドンが一人で宅録で始めたユニットであったが、
今作ではツアーをまわるメンバーで固定されたバンドとしてレコーディングされている。
それも上記の変化と相互的な関係があるだろう。

朗々としたトランペットとマーチングドラムが高揚感を煽る「A Candle's Fire」で始まる。
ワールドミュージック的な装飾の多いナンバーではあるが、
しっかりとした芯を持つメロディによって、きっちりとポップミュージックとして機能する。
これは今作全体にも言える傾向で、よりソングライターとしてのザックの才能の開花であろう。
続く「Santa Fe」の平坦なリズムにはエレクトロニカのような感覚があり(無論電子音は用いてない)、
特異な存在でありながらも現代のシーンにも通ずる感性で作られていることがわかる。
先行シングルの「East Harlem」をはじめとする中盤のスローテンポの曲たちでは、
味わい深いクルーナー唱法がさらに際立ち、シンガーとしてのザックの見せ場だ。
また、「Payne's Bay」「The Peacock」でみられるコーラスワークなどはバンドを固定した成果のひとつだろう。

そして自分の居場所を歌ったバラード「Port Of Call」で本作は締められる。
つまり今作は仮初の寄港地。
彼らの音楽の旅のひとつの終着であると共に、また新たな出発でもあるのだ。
いまだ25歳。
これからどんな音楽を聴かせてくれるのか楽しみである。



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