折れた魔剣
折れた魔剣
【折れた魔剣】 ポール・アンダースン/関口幸男 ハヤカワ文庫SF

自分にはつくづく翻訳本への適性が皆無だと痛感。
読んでてこれはとても面白いのだと頭では理解しつつ、まるで感情の方は入り込めない。これまでも、これは面白いっていう名作傑作と呼ばれる作品何作も読んだけど、どうしても翻訳の文章って感性の上っ面で滑ってしまって中に入ってこないんだよなあ。
本読みとしてこれはほんとにガックリくる。だって考えてみてくださいよ。日本で出版してる本の何百倍の本が世界では出版されてるのに、自分はそれを楽しめないんだから。なんちゅう莫大な損をしてるんだ。あー、がっくり。

とかなんとか書いてますが、翻訳文章に忌避感が無い方は滅茶苦茶面白いファンタジーなんじゃないでしょうか、これ。執筆されたのが指輪物語が書かれたのと同時期、1950年代と言いますが古臭さは全然無い、というかなるほどこれも今あるファンタジーの原典……っていうか、昨今のクロスオーヴァー作品の原典でもあるんじゃないか(笑
主にイングランドを舞台にエルフ族とトロール族の戦争、取替え子によってエルフ族の太守の養子として育てられた青年を主人公として語られる英雄譚なのだが。
これ、北欧神話やケルト神話やらみんなごちゃまぜ。神話全部どんと来いなのですよ。オーディンに巨人族にデ・ダナンに運命の三姉妹もいるのに、ちゃんとキリスト教の布教も進んでいて。トロール族の援軍に日本の鬼族が刀佩いて駆けつけてくるくだりにはもうどうしようかと思いましたよ(笑)
密かに強烈な妹モノでもありますし(いや、ほんとに)。この悲恋が泣けるやら燃えるやら。
悪役であるチェンジリングの片割れの凶戦士も、折々に垣間見える悲哀がまた胸を突き、単なる悪とするには勿体無いくらいの魅力がありました。
なんでこんなに面白いのに、楽しめないかなあ。へこむなあ。

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