レジンキャストミルク
【レジンキャストミルク】 藤原祐  電撃文庫

ある意味、まず硝子のキャラクターで勝ち、みたいな(笑
感情のあるなしの表現というのは匙加減が難しいのですが、硝子のそれはまさに絶妙と言ってもいい。あるのかないのかわからないというかわかっていないというか。本人は感情の有無を否定しているものの、その否定の頑なさが程好い。ムキになりすぎず無機質になりすぎず、この惚けているところがあるようにみせて微妙に無いような気にもさせられる。まあ晶へのふざけた応対みてたら無いわけがないんだが。
主人公の見せ方はえらく難しい選択をしたように思う。この手の欠落の持ち主を描くには、何か背筋をゾッとさせる異質さをそのキャラが持っていなければならない。異質さというのはなかなかこれが表現するのが難しいものだ。狂気や異常さを描くのとはまた一味違う、何かが欠けている、理解できないのではなく理解するのを許容できない恐ろしいなにか。
異質さのみを引き出すならまだしもこの主人公には心の痛みが残っている。それは更なる難儀な選択だ。
私は面白い作品に対してはひたすらに貪欲になる。まだ足りない。まだ甘い。まだ温い。もっともっと、その先に更なる境地があるはずだ。それを是非とも見せて欲しい。期待であり希望である。