王国神話 第二夜 約束は夢にとけて

【王国神話 第二夜 約束は夢にとけて】 著:明日香々一  富士見ファンタジア

 これ、古き良き時代の富士見ファンタジア文庫的なお話、もしくは昨今では懐かしいタイプの王道的ファンタジーという評価を良く見かけるんですが、昔の富士見ファンタジアにこういうのってありましたかね?
 二巻を読んで確信を深めたんですが、これってファンタジーというよりタイトル通り『神話』じゃないですかね。ライトノベル的な描き方によって塗されてますが、予断を排して見て見ると、作りがファンタジーと聞いて連想するものとはちょっと違っていて、むしろ創世神話とか多神教にみられる人間臭い俗な神様たちが出てくる神話なんかに似たものを感じます。昔の神話なんかも登場人物を今風のキャラクターとして描いて、軽妙なタッチで文章にしたら、案外この話みたくなるんじゃないでしょうか。
 内容の方は前作に引き続いて好感の持てる良作。ただ、上記したようにこの作品に強く『神話』的印象を抱いていたので、血の繋がった姉弟では結婚できないんだよ! という作中の展開には強い違和感を感じてしまいました。いいじゃん、別に血が繋がってても、とか思ってしまったのは決してエロゲに毒されているからではないはずです。
 ……「こころナビ」はあの血の繋がってるからこその背徳感がドキドキだったなあ(マテ
 じゃなくて。神話にしても実際の古代にしても、血の繋がった兄弟で結婚するのは珍しくなかっただけに、別に良かったのになあ、と感じてしまったようです。
 ただ、作品としてみるなら、姉弟二人の愛しているのに愛してはいけないという痛切な想いの交錯がとても切々と描かれてる事こそが話の主軸でしょうから、これはこれでよかったのかと。
 いや、その辛い気持ちが伝わってくるからこそ、くっつけるものならくっつけばいいものを、と思ってしまうわけですなあ。
 前作のヒロインであるオルフィナは、6人もの子供を儲けたお母さんになっても相変わらずの能天気なぼく少女で、なにやら安堵するやら惚れ直すやら(笑)