【帝国陸軍情報部第三課 Pumpkin Scissors】  岩永亮太郎 講談社コミックDX

 それは<戦災>という名のもう一つの戦争だった……

 先日発売したばかりなのに最新の第二巻が置いてなかったり、そもそも一冊もなかったりと探すのに苦労しました。KCDXなんてどの本屋もちょびっとしか置いてないんだもん。
 でもこれは面白かった。近年稀に見る大当たり。
 仮面の男さんの所でも紹介されていたんで、この際ここで便乗して一気にプッシュします、プッシュプッシュ。

 舞台は大戦争が終結して三年を経た帝国と呼ばれる国。T−34みたいな戦車が登場している事から技術レベルは第二次大戦前後レベルでしょう。ただ、帝国という語感から感じられる通り民主国家とは言えず、貴族が権力構造の上層に位置しています。戦後三年が経過したにも関わらず、国内は飢餓や病気、貧困や治安の悪化、さらには盗賊化した兵隊の出没で混迷し、現在もなお荒廃の度を深めているという現状。これらの戦災を国は誠実に解消しようと頑張っている、というポーズの為に設立されたのが戦災復興を任務とする部隊、帝国陸軍情報部第三課。完全にお飾りの部隊として設立された第三課でしたが、理想に燃えるお姫様少尉に率いられ、幾多の人為戦災と戦う本物の戦災復興部隊へとのし上がっていくという漫画です。
 ヒロインのお姫様少尉は吶喊少尉と部下に揶揄されるだけあって理想バカの側面も持ちますが、もちろんそれだけではなくこれまでに現実という名の辛酸を嘗め尽くしている、という過程を経ていて理想バカではありますが、理想ボケはしていません。
 このお姫様がとかく格好いいんだわ。パカンと竹を割ったような明快さと、迷い苦悩しながらも毅然と前を向いて突き進む、というか吶喊する姿は、とにかく見てて気持ちがいい。鼻につくところがないんですよね。この人になら付いていきたいと思わせる魅力にあふれている。
 部隊名であるパンプキンシザーズ、この名前の由来もまたいいんですわ。気概に満ち溢れたエンブレム。
 熱いです、とにかく熱い。

「苦しむ民を見て 貪る悪を見て 貴様はなにも、感じていないのか?」
「黙れッ、我々は陸情三課(パンプキンシザーズ)だ! これは我々の仕事だ!」
「仲間を疑うなら、まずその前に仲間にならないと」


 ここぞという時にビシバシと叩き込まれる魂の台詞の数々。この漫画家、魅せ方を知ってます。素敵です、そして燃えます。
 そしてもはや凄絶としかいえない主人公のアクション。なにしろ生身で戦車に立ち向かい、これを真正面から撃破します。得物は対戦車拳銃一挺のみ。吶喊し、肉迫し、まさにゼロ距離から覗き窓を打ち抜いて、内部の人員を抹殺する。その描写っったらばすさまじいの一言です。

 かつて主人公が所属していた901ATT(対戦車猟兵部隊)を初めとする「存在しない部隊『不可視の9番(インビジブル・ナイン)』の残光、ある種『鋼の錬金術師』にも通じるような、同じ軍でありながら裏側に非常にきな臭いものを匂わせる陰謀の胎動。ドキドキです、ハラハラです。
 これはオススメ、最高に面白い。

 永きに渡る戦乱は社会を腐敗させあらゆる悪を蔓延させた……
 ――だが――
 それら<戦災>を討つための部隊がここに存在する……
 社会を覆う欺瞞のブ厚い皮を斬り裂き、腐敗したその実を暴き出す!
 部隊の名は――
 帝国陸軍情報部第三課 通称――Pumpkin Scissors!!!